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メービスの反転公式

ドキュメント内 , n (ページ 51-56)

証明 すべての nに対して第一式が成り立てば,それを第二式の右辺に代入して X

d|n

X

δ|d

µ µn

d

F(δ)

δdの約数なので, n dn

δ の約数になる.したがって和の順序を逆にすると

=X

δ|d

F(δ)X

δ0|nδ

µ(δ0)

補題1 によってかっこ内の和で n

δ >1 のものは0になり,F(n)µ(1)のみが残る.

∴ X

d|n

µ µn

d

G(d) =F(n)

つぎにすべてのnに対して第二式が成り立てば,同様に X

d|n

F(d) = X

d|n

X

δ|d

µ µd

δ

G(δ)

= X

δ|n

X

δ0|nδ

µ(δ0)

G(δ) =G(n)

■  特にF(n) =ϕ(n)のときはG(n) =nである.整数で定義された関数で定理19の等式(26)が すべての nについて成り立つものはオイラーの関数ϕ(n)のみである.そして

ϕ(n) =X

d|n

µ µn

d

d

となる.実際 n=pαqβrγ· · · とすると

ϕ(n) = X

d|n

µ µn

d

d=X

d|n

µ(d)n d

= µ(1)n+µ(p)n

p+µ(q)n

q +µ(r)n r +· · · +µ(pq)n

pq+µ(pr)n pr+· · · +· · ·+µ(pqr· · ·) n

pqr· · ·

= n−n p−n

q −n

r +· · ·+ n pq + n

pq +· · · − n

pqr − · · ·

= n µ

11 p

¶ µ 11

q

¶ µ 11

r

· · ·

練習問題 6.4 解答25 整数で定義された関数F(n)が乗法的関数のときG(n) =X

d|n

F(d)で定 義された関数G(n)も乗法的関数であることを示せ.また,この事実を用いて補題1の別証を考 えよ.

練習問題 6.5 解答26 正の実数xを超えない自然数のうちでnと互いに素であるものの個数 を ϕ(n, x)とおく.ϕ(n, n) =ϕ(n)である.[x]で xを超えない整数を表すと定理19,定理20 の一般化として

X

d|n

ϕ(d, dx) = [nx]

ϕ(n, x) = X

d|n

µ(d)

·x d

¸

が成り立つことを示せ.

7 1の n 乗根

7.1 1の n 乗根

1のn乗根,すなわち方程式

xn1 = 0 (28)

の根は n個ある.それらは cos2kπ

n +isin2kπ

n , (k= 0, 1, · · ·, n−1) (29) である.実際これらはすべて偏角の異なる複素数なので異なる.しかも n乗すると1になるので,

方程式(28)の解である.簡単のために α= cos2π

n +isin2π

n , (k= 0, 1, · · ·, n−1) とおくと,(29)はド・モアブルの定理より,

αk (k= 0, 1, · · ·, n−1)

と表される.このとき因数定理からxn1 はx−αk を因数にもつ.したがって xn1 は xn1 =Q(x)(x−1)(x−α)· · ·(x−αn−1)

の因数分解をもつ.次数と最高次数の係数を考えるとQ(x) = 1がわかり,このn個がちょうど方 程式(28)の解であることがわかる.

ここでαn= 1なので,(29)においてkに与えるべき値はnを法としての一つの剰余系である.

さらに(k, n) = 1のとき(29)において 2kπ

nn倍してはじめて2πになるので,αkn乗し てはじめて1 に等しくなる.1のn乗根のうちn乗してはじめて1 のなるものを1の原始 n 乗 根という.

定理 21

1の原始 n乗根はϕ(n)個ある.それらは cos2kπ

n +isin2kπ n

において,knを法としての既約剰余系の値を与えて得られるものである.

証明 すでに述べたように(k, n) = 1のとき(21)において 2kπ

nn倍してはじめて2πになる ので,αkn乗してはじめて1 に等しくなる.つまりαk は原始n乗根である.

逆にβ が原始n乗根であるとする.βxn1 = 0の根であるからβ=αlと表される.

もし(l, n) =d >1 ならn=dn0, l=dl0 とおくとき cos2lπ

n +isin2lπ

n = cos2l0π

n0 +isin2l0π n0

なので, (αl)n0 = 1となり, n乗してはじめて1となる,という仮定に反する.ゆえに (l, n) = 1 となる.

ゆえにαk が原始n 乗根となるのは,nと互いに素なk を用いてαk と表されるときにかぎる ので,その個数はϕ(n)個である.ちなみにαlは原始n0 乗根である. ■ 

例 7.1 1の6乗根は

1, −1, 1±√ 3i

2 , 1±√ 3i 2 そのうち原始6乗根は最後の二つだけである. 1±√

3i

2 は原始3乗根,−1 は原始2乗根,1 は1乗根である.

定理 22

nの素因数分解をn=pαqβrγ· · · とし,

Fn(x) = (xn1)(xpqn 1)(xqrn 1)· · · ·

(xnp 1)(xnq 1)· · ·(xpqrn 1)· · · (30)

= Y

d|n

(xnd 1)µ(d) (31)

とすれば,Fn(x)は1の原始n乗根のみを根とする多項式である.Fn(x)はϕ(n)次で,その最高 次数の係数は1,その他の係数もすべて整数である.ここにµ(n)はメービスの関数である.

証明 1の原始n乗根のみを単根とする方程式で最高次数の係数が1であるものをFn(x) = 0 と する.定理21の証明より,その他の n乗根はnの約数dに対し、原始 n

d乗根になるが,dが1 以外の約数を動けばn

dn以外の約数を動くので,原始n乗根以外のn乗根はnの真の約数d を次数とする原始d乗根になる.原始n乗根と合わせた全体がちょうど1のn乗根の全体である.

つまり Y

d|n

Fd(x) =xn1となる.xを十分大きく各Fd(x)が正の値をとるように固定する.そ れぞれの最高次数の係数が正なのでそれは可能である.その上で両辺の対数をとる.

X

d|n

logFd(x) = log(xn1)

整数ndに関する等式と見ればメービスの反転公式(6節定理20)が使え logFn(x) =X

d|n

µ(d) log(xnd 1)

つまり

Fn(x) =Y

d|n

(xnd 1)µ(d)

両辺xの多項式で,十分大きいxでつねに成立するのでxに関して恒等的に成立する.したがっ て(31)が示された.

Fn(x)の次数は定理21よりϕ(n)でその係数は(31)より明らかに整数である.式(30)の分子分 母の最高次数の係数はともに1なので分母を払って係数比較すればFn(x)の最高次数の係数が1

であることがわかる. ■ 

例 7.2

F6(x) = (x61)(x1)

(x21)(x31) =x2−x+ 1

F12(x) = (x121)(x21)

(x61)(x41) =x4−x2+ 1 pが素数なら

Fp(x) = xp1

x−1 =xp−1+xp−2+· · ·+ 1 Fpe(x) = xpe1

xpe−11 =xpe−1(p−1)+xpe−1(p−2)+· · ·+ 1 練習問題 7.1 (解答27) Fn(x)の定数項はn= 1の場合以外+1であることを示せ.

練習問題 7.2 (解答28) Fn(x)の第二項(ϕ(n)1次の項)の係数は−µ(n)に等しいことを示せ.

つまり1の原始n乗根の和はµ(n)である.

練習問題 7.3 (解答29) αを1の原始n乗根とすれば αk (k= 0, 1, · · ·, n−1)

がすべてのn 乗根で,そのうち(k, n) = 1なるkに対するものがちょうど原始 n乗根になるこ とを示せ.

練習問題 7.4 (解答30) 次のことを示せ.

(1) 互いに素な二つの整数a, bに対し,1の a乗根とb 乗根をすべての組合せについて掛けて 得られるab 個の積が1のab乗根の全部になる.

(2) 1の 原始a乗根と 原始b 乗根をすべての組合せについて掛けるなら1の 原始ab乗根の全 部が得られる.

ドキュメント内 , n (ページ 51-56)