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軸力と曲げを受けるはりの塑性崩壊

ドキュメント内 Ⅶ 有限要素法解析のための破壊力学の基礎 (ページ 167-174)

12. 構造強度設計

12.2 塑性崩壊とその評価法について

12.1.2 軸力と曲げを受けるはりの塑性崩壊

断面が高さ t、幅bで 降伏応力σyの真直はりを考える。

① 軸力を受けるはり(膜降伏)

軸力として引張荷重Nを受けるはりの断面に生ずる応力分布σの変化を荷重Nの増加(弾 性Ne~降伏Nc)とともに図12-4(1)に、荷重―変形(伸び)曲線を図 12-4 (2)に示す。全断 面降伏が崩壊限界で、限界荷重は Nc=σybt であり、この Nc に達すると変形(伸び)は無 制限に変形が生じる(無制限塑性流れ)。

12 この近似の方法は様々な考え方がある。単純に水平部を降伏応力に設定する場合と、引張強 さと降伏応力の間に設定する場合などある。この近似により,設計が安全側になるように設定

σ σ

E

ひずみ硬化なし ひずみ硬化あり

σ: 降伏強さ E : 縦弾性係数 1

図12-4 軸力を受けるはりの降伏

② 曲げ を受けるはり (塑性関節 、ヒンジ)

図12-5(1)に示すような曲げ(モーメントM)を受けるはりを考える。はりの応力

分布σの変化をモーメントの増加とともに図12-5(2)に、モーメント~変形(回転角)

曲線を図 12-5(3)に示す。断面の応力は弾性(M)→上下面で初期降伏(M)→

表面近傍で部分降伏(Mp y)→全断面降伏(M 引張・圧縮降伏)と変化する。この 全断面降伏が崩壊限界で、その限界モーメントはM=σbt/4であり、このM に達すると変形(回転)は無制限に自由(ヒンジ)となる(図12-5(4))。

とMの間では、表面近傍の塑性域はこれ以上の荷重を支え切れなくなり、中立 面近くの弾性域(Mp y、弾性コア部)が荷重を支えるので、結果的に剛性(回転角―

曲げモーメント線図の傾き)は徐々に低下し、Mにおいて完全にゼロになる。

③ 軸力と曲げを受けるはり(塑性関節 、ヒンジ)

図12-6(1)に示すような軸力(引張N)と曲げ(モーメントM)を受けるはりを考

える。断面の応力分布σの変化およびモーメント~変形(回転角)曲線は“②曲げを受 けるはり”の場合と同様である。ただし、曲げに加えて軸力との組合せ荷重が存在する ために、断面の応力は中立軸が移動する。応力分布は図12-6(2)のように、弾性(M

)→組合せ応力が大きい図の上面で初期降伏(M)→表面近傍で部分降伏

(Mp y)→全断面降伏(M 引張・圧縮降伏)と変化する。この全断面降伏状態が崩 壊限界条件であり、この条件に達すると変形(回転)は無制限に自由(ヒンジ)となる。

引張荷重

伸び N

N

無制限塑性流れ

(2) 荷重―変形特性

(1) 応力分布の変化 0

σ

σ

弾性 Ne t N

全断面降伏 N=σbt 0

σ

σ t N

図12-5 曲げを受けるはりの降伏

(4) 塑性関節

● M=Mc θ=∞

0 σ

σ

M -σ

M t

(1) 曲げを受けるはり

σ

0 M

弾性

初期降伏 Mpy

部分降伏

全断面降伏

σ<σ σ

⇒ ⇒ ⇒

断面

0 0

σ

0 -σ

(2) 応力分布の変化 b

=σbt/4

曲げモーメント

回転角θ M

(3) モーメント~回転角曲線 Mpy

回転自由

図12-6 軸力と曲げを受けるはりの降伏

図 12-7 に示す全断面降伏状態(崩壊限界)に対する崩壊条件を考える。ここで、は りは高さt、幅bの長方形断面はりとし、中立面は下面からηの位置にあるとする。

図12-7 曲げ+軸力を受けるはりの全断面降伏状態

崩壊限界における軸力およびモーメントのつりあいを求めるために、それぞれ図12-8

(1)および(2)のように分けて考えると、つり合い式はそれぞれ式(12-2)および式(12-3) で与えられる。

( η )

σ − 2

= b t

N

y 12-2 (12-2)

( η )

η

σ −

= b t

M

y 12-3 (12-3)

式(12-2)および(12-3)からηを消去することによって崩壊限界条件式が得られる。この 限界条件を応力表示として、膜応力σ(N/bt)と曲げ応力σ(=6M/bt2)を用いて次の ように変形する。

+ =

σ σ

0 0 0

(弾性応力分布)

0 σ

σ

M t

(1) 曲げ+軸力を受けるはり

(2) 応力分布の変化

Me 弾性

M y 初期降伏

M py 部分降伏

M c 全断面降伏

σ<σy σy σy σy

⇒ ⇒ ⇒

中立軸 図心

- σy - σy

断面 0 0 0 0

σ

M N

t η

1 ,

2 1 3

2

 ≤

 



 

 

 

− 

=

y m y

m y

b

σ σ σ

σ σ

σ

ただし、

12-4 (12-4)

また、

σ

m*

= σ

m

/ σ

y

, σ

b*

= σ

b

/ σ

yを用いて無次元表示すると、

{

1

( ) }

, 1

2

3 * 2 *

*

= −

m m

b

σ σ

σ

ただし、 12-5 (12-5)

図12-8 崩壊限界における軸力およびモーメントのつりあい

式(12-4)、式(12-5)の条件式は図12-9の曲線で表される。状態(A), (B), (C)の塑性崩壊時 の応力分布を図の右に示す。

図12-9 崩壊限界の応力表示

σ N N

t η η

(1) 軸力のつり合い

σ

M 0

t η

η

(2) モーメントのつり合い

σ

0

(B)

(σ=0)

0 σ

(A)

(σ=1)

σ

0

(C)

式(12-5)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 σ=σ/σ

σ=σ/σ 崩壊限界(応力表示)

σ=(3/2)[1-(σ

(A)

(B)

(C)

(解答)

(1) 全断面一様降伏(膜降伏) σ=σ

=σbt=250×9×20=45000N =45kN

(2)

ⅰ)表面降伏(初期降伏) σ=σ

=σ(bt/6) M=PL したがって、PL=σ(bt/6)

∴ P=σ(bt/6L)

=250×(9×202/(6×500))=300N

ⅱ) 全断面降伏(ヒンジ) 崩壊限界 M=σ(bt/4) M=P

したがって、PL=σ(bt/4)

∴ P=σ(bt/4L)

=250×(9×202/(4×500))=450N

ⅲ) P/P(=M/M)=450/300=1.5 練習問題1

図に示す片持ちはり構造について、自由端Aに軸力Nと水平力Pが負荷される場合の 塑性崩壊を考える。

(1)軸力Nだけが負荷される場合について崩壊限界荷重Nを求めよ。

(2)水平力Pだけが負荷される場合について下記の諸量を求めよ。

(ⅰ)初期降伏荷重P (ⅱ)崩壊限界荷重P (ⅲ)P/Pの値

P N

B L

はり(長方形断面)

寸法 : 厚さ t =20mm 幅 b=9mm 長さ L =500mm 材料:降伏強さσ=250MPa

(弾完全塑性材)

(解答)

M=σ(bt/6) M=P

∴ σ=6M/(btσ)=6PL/(btσ) =(6×400×500)/(9×202×250)

=4/3

崩壊条件式(12-5)から、

(σ=1-(2/3)σ

=1-(2/3)×(4/3)=1/9

∴ σ=1/3

σ=σ=N/(btσ)から、

=σ(btσ

=(1/3)×(9×20×250)

=15000N =15 kN

練習問題2

図に示す片持ちはり構造について、自由端Aに軸力Nと水平力Pが負荷される場合の 塑性崩壊を考える。

一定の水平力P=400Nが負荷されている場合について、軸力の崩壊限界荷重N を求めよ。

はり(長方形断面)

寸法 : 厚さ t =20mm 幅 b=9mm 長さ L =500mm 材料:降伏強さσ=250MPa

(弾完全塑性材)

=400N N

B L

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