12. 構造強度設計
12.3 SN 線図による疲労設計
12.3.7 疲労寿命設計 *
機器の使用期間あるいは寿命があらかじめ定められている場合、その寿命に対する時間強度 で設計する。この場合の評価(判定)基準は線形累積損傷則(マイナー則)による。疲労寿命 設計における疲労評価の手順の概略(例)を図12-25に示す。
図12-25 疲労寿命設計の概略手順(例)
最大主応力の変動パターンの決定
(σa, σm, n)i (i: 評価サイクルNo.)
修正変動パターンの決定
(σa, σm’, n)i
相当応力振幅(σeq)iの決定
変動パターンiに対する 損傷率(ni /Ni ) の計算
強度評価:線形累積損傷則 D=Σ(ni /Ni )<1
設計SN線図の決定 平均応力の修正
(σm σm)
影響因子の影響を 含む安全率の考慮
平滑試験片のSN線 図の決定(両振り)
(解答)
荷重に対する安全率を考慮して、T=ηTa=πTa ネジ底の断面積 A=202π/4=100π ネジ底断面の公称応力 σ0=T/A=Ta/100
最大応力 σm a x=ασ0=4×(Ta/100)=Ta/25
応力変動は片振だから、応力振幅σa=平均応力σm=σm a x/2=Ta/50 平均応力による疲労限度の低下を求める
片振りの疲労限度 σw’=σw 0(1-σa/σu) ここで、σw’=σaの片振りの条件を使うと
σw’=σw 0σu/(σw 0+σu)=600×200/800=150MPa 判定条件 ; σa<σw’ より、
Ta/50<150
Ta<50×150=7500 許容引張荷重
T =7500N=7.5 kN 練習問題1
図1に示すフックネジ部について、下記の評価条件に対して、疲労限設計により許容引 張荷重Taを求めよ。
評価条件 :
荷重変動は荷役荷重とし、荷重/応力の変動パターンは図2による。
フックの材料(鉄鋼)
引張強さ σu=600MPa 両振疲労限度 σw 0=200MPa ボルトネジ部の応力集中係数 α=4
α=ネジ底の最大応力σm ax/ネジ底(谷径d=20mm)断面の公称応力σ0 σ0=T/A=T/(πd2/4) A:谷径の断面積
荷重の不確定性に対する安全率 η=πとする。
すなわち、 T=ηTa
図2 運転条件 圧力(MPa)
②
③
時間
④
⑤
⑥ P
ΔP
運転サイクル(2)
3000回 運転サイクル(1)
15000回 50
0
図3 評価(応力)サイクル 時間
②
③
① 応力(MPa)
⑤
⑥
(n1=3000回)
(a)評価サイクルⅠ Δσ1 500
+
応力(MPa)
Δσ
(n2=15000-3000
=12000回)
Δσ2=500×ΔP/P
練習問題2
図1に示す圧力容器の「ノズル取付部内面コーナー」について、下記の評価条件に対し て図4のSN線図により疲労強度を評価せよ(累積損傷率Dを求めて評価)。
(a)外観図
図1 ノズル付き球形鏡(ふた部)
円筒部 球かく部
”内圧 P”
● 疲労評価部位
(b)ノズル取付部内面コーナ
(軸対称断面、FEMモデル)
対称軸 対称軸
評価条件:荷重変動は内圧とし、運転条件は図2による。
材料 : 低合金鋼 (降伏強さσy=320MPa 、引張強さσu=500MPa)
コーナーの最大応力σm a x(=σθ)=500MPa (P=50MPaに対す る応力値)
評価法:図2の運転条件に示すように、運転サイクル(1)および(2)の2つのパタ ーンが重畳する場合、この運転条件から図3の(a)および(b)に示す2つの評価(応 力)サイクルⅠおよびⅡの組合せとして評価する。
(解答)
(評価サイクルⅠ)
最大応力σm a x=Δσ1=500+Δσ2/2=500+0.16×500/2=500+4 0=540MPa
σm ax=σm+σa=540MPa>σy(=320MPa)
応力変動は片振だから、σa=σm=540/2=270MPa
したがって、平均応力σmの修正(シフト)を式(12-7)により考慮する必要がある。
すなわち、修正平均応力σm‘ は、
σm‘=σy-σa=320-270=50MPa
つぎに、拡張修正Goodman線図を適用して、式(12-8)により等価応力振幅σe qを求める。
=300MPa 10
9
= 270
500 1- 50
= 270
σ
’ 1- σ
= σ σ
u m a eq
図3のS-N線図を用いて、σe qに対する破断繰返し回数N1を求めると、
N1≒5×103回、n1=3×103回 損傷率 n1/N1=3/5=0.6
(評価サイクルⅡ)
最大応力はサイクルⅠと同じで、σm a x=540MPa>σy(=320MPa)
応力変動は、σm=500MPa、σa=40MPa
したがって、平均応力σmの修正(シフト)を式(12-7)により考慮する必要がある。
すなわち、修正平均応力σm‘ は、
σm‘=σy-σa=320-40=280MPa
つぎに、拡張修正Goodman線図を適用して、式(12-8)により等価応力振幅σe qを求める。
図4 評価用SN曲線(両振)
1 10 100 1000
10 100 1000 10000 100000 1000000
繰返し回数 N
応力振幅 S MPa
10 100 1000 10000
100MPa
11 ≒ = 1000 500-280
50 = 40
500 1- 280
= 40
σ
’ 1- σ
= σ σ
u m a eq
×
図3のS-N線図を用いて、σe qに対する破断繰返し回数N2を求めると、
N2≒6×105回、n2=12×103回、n2/N2=12/6×102=0.02
(線形累積損傷則)
D=Σn/N =0.6+0.02=0.62<1.0