5. 梁の曲げ(静定問題)
5.5 梁の曲げ応力
図5-21 対称面とその変形
図5-22 対称面の変形 直角な升目は変形後も直角で、せん断変形が起きていない。
ここで、図5-22下の対称面の変形から、下部の凸側が伸びて、上部の凹側が縮んていること がわかり、これは、その中間に伸縮しない面が存在することを意味する。この伸縮しない面を 中立面と呼び、図 5-23 のように、軸線を含む xz 面である。中立面と横断面の交軸を中立軸と 呼ぶ。
x
y z
対称面 対称軸
軸線 横断面
横断面
軸線
図5-23 梁の中立面と中立軸・図心
次に、具体的に、幾何学的な変形を考える。図5-21下から微小長さ部分dxを図5-24(a)のよう に取り出す。ここで、中立面の曲率半径をρとするとdx=ρdθが成立する。ここで、中立面を 原点に取って、中立面からの距離を下向き正にyと置き、下面をy1、上面を y2 (<0)とする。
次に、qsとprがどれだけ伸縮しているかを考える。図5-24(b)のように、点bを通り、pqに
平行な線s"r"を引くと、qsはqs"へ、prはpr"へ伸縮することがわかる。よって、ひずみは下面
で、
" 0
"
1 11
= = = >
ρ
ε θ y
dx d y qs ss
x 5-14 (5-14)
と、引張りになる。上面では、
" 0
"
2 22
= = = <
ρ
ε θ y
dx d y pr rr
x 5-15 (5-15) と、圧縮になり、統一的に
ε
x= ρ
y 5-16 (5-16) と定義できる。x
y z
横断面
軸線 中立面 中立軸
図心(重心)
図5-24 梁の微小長さ部分の変形
変形はx方向しか生じておらず、y, z方向は拘束がなく応力がゼロになるため、x方向の応力を 求めるためには、ひずみにヤング率Eをかけるだけで良い。ここで、中立面を原点に取って、
中立面からの距離を下向き正にyと置くと、以下のように表現できる。
σ
x= Ey ρ
5-17 (5-17)図5-25のように、上面で圧縮、下面では引張、その間は線形に分布し、中立面でゼロになる。
これが曲げ変形の応力場の特徴である。
図5-25 梁の厚さ方向の応力分布
式(5-17)の応力を求めるためには、図心の位置と、曲率ρが必要となる。
以下、図心と曲率を求めるため、先ず、軸線方向には荷重が作用していないため、応力を合算 するとゼロになる必要がある。
q s
p r
dθ
ρ
y1
y2 (<0) 中立面
(a) (b)
q s
r p
dθ
r"
s"
a b
dθ
s" s y1
b pqの平行線
dx
y
中立面
= 0
= ∫
∫
A A
x
E ydA
dA ρ
σ
5-18 (5-18)よって、
∫ = 0
A
ydA
となるy軸の原点が中立面(中立軸)の位置となり、断面がy軸に対称であ ると仮定したことにより、中立面(中立軸)は図心を通ることがわかる。∫
A
ydA
は、断面の幾 何学的形状のみから定まる量で、断面一次モーメントと呼ぶ。中立軸に関する断面一次モーメントがゼロになる位置として、中立軸を求めることができる。
具体的な図心位置の算出法を示す。
図5-26 図心位置の算出
はりの横断面を図5-26a)のように、y軸に対称な形状とし、対称軸上の任意点O を通る座標(y’,
z’)のz’軸から距離e離れたところに中立軸があるものとする.中立軸を通る座標(y, z)のz
軸から任意点Cまでの距維をyとする.任意点 Cの座標値は
e y y z
z ' = , ' = +
5-19 (5-19)したがって,式(5-19)のy=y’-eを式(5-18)に代入して
0
' − ∫ =
∫
A A
edA dA
y
5-20 (5-20)eが一定であることを考慮して上式を整理すると,中立軸の座標eが次式のように求まる.
A S dA
dA y
e
zA
A '
'
=
= ∫
∫
5-21 (5-21)
図5-26b)のように、領域の面積を面積を細かい領域に区分するときは、
∑
∑
∆
∆
=
i i i
i i
A A y
e
5-22 (5-22) z’中立軸 O
e
y z
dy dA
y, y’
図心
z’
dAi
y
ia)
b)
となる。
次にモーメントの釣り合いを考える。応力σxのz軸まわりのモーメントの総和が、断面の曲 げモーメントMに等しいことより、
∫
∫ =
=
A A
x
E y dA
dA y
M
2σ ρ
5-23 (5-23) 断面二次モーメント= ∫
A
z
y dA
I
2 は、断面一次モーメントと同様に、断面の幾何学的形状のみか ら定まる。Izを使って、式(5-24)が得られる。EI
z= M ρ
1
5-24 (5-24)EIzを曲げ剛性と呼び、曲げに対する曲がりにくさの指標となる。
結局、式(5-17)の応力は、
I y M
z x
=
σ
5-25 (5-25)で与えられる。この曲げによる応力(最大値を最大曲げ応力と呼ぶ)は、断面の曲げモーメン トに比例することがわかる。また、中立面からの距離が遠いほど大きく、つまり表面で最大に なる。
ここで、中立面からの距離を下向き正にyと置き、下面をy1、上面をy2 (<0)とし、図5-21の ような変形をする場合、下面は最大引張り応力σ1が生じ、上面で最大圧縮応力σ2が生じ、そ れぞれの値はで示される。
2 2
2 1 1
1
,
Z M I
My Z
M I
My
z z
−
=
−
=
=
= σ
σ
5-26 (5-26)ここで、Z1, Z2は中立軸に関する断面係数と呼ばれており、それぞれ次式のように定義される。
2 2 1
1