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資金援助の状況

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 143-152)

4 政策、法律及び利害関係者に関する課題

4.2 資金援助の状況

各国政府は、CCS実証プロジェクトに対する幅広く異なる種類の資金援助を提供してい る。本節の説明は、補助金などの割当てだけでなく、税額控除を含むすべての直接的な資 金援助に言及している。現在進行中の大規模な実証プログラムに関する政府支援の割当て は、主に2008年及び2009年に策定され、発表されたものである。こうした資金援助は、

低炭素技術としてのCCSの革新の加速と、経済刺激の必要性の両方の意図が関連している。

現在までに、大規模CCS実証プロジェクトの支援に対し総額約235億米ドルが利用可能 となっている(図43)。2010年末の時点では、利用可能資金の約55%が既に特定のプロジェ クトに割り当てられており、2011 年もこの割合はほぼ変わっていない。カナダ(アルバー タ州を含む)、オランダ及び米国では、すべての補助金を特定のプロジェクトに割り当てて おり、米国では税額控除が今後割り当てられる予定である。豪州、英国及び欧州委員会で は、競争入札の手続中である。

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図43 国別CCS実証に対する公的資金による支援の関与1

■割当て済み ■未割当て

1 中国におけるプロジェクトは、国有企業及び国際機関によって支援されている。これらのプロジェク トのための融資支援は含まれていない。

2 英国では、現在の実証のための競争プロセスのほかに、3 件のプロジェクトを支援することを約束し ている。これに係る資金の確約はまだ発表されていないが、2009年の推定によると、4件の実証プロ ジェクトから成るプログラムに必要な総支援額は、72~95億ポンドになる。

3 NER300融資プログラムに選ばれることを条件に、Air Liquideへのオランダ政府からの資金援助の確

約が含まれている。

2011年はこれらの残りの入札が継続しており、全体的な資金支援はほとんど変わってい ない。6月には、豪州政府が16億8,000万豪ドル(18億4,000万米ドル)のCCSフラッグシ ッププログラムに基づく融資対象としてCollie Hubプロジェクトを選定した。これまでに、

3億3,300万豪ドル(3億6,500万米ドル)が暫定的に提供されている。これには、プロジェ

クト開発初期段階の重要なフェーズにおける、詳細な貯留可能性調査のための資金援助と

しての5,200万豪ドル(5,700万米ドル)が含まれている。Collie Hubプロジェクトのこの第1

段階が成功した場合、豪州政府は、同プロジェクトを完了するために必要となる産業界及 び州政府からの資金6億6,000万豪ドル(7億2,300万米ドル)超へのてこ入れとして、2億

8,100万豪ドル(3億800万米ドル)の追加出資を予定している。

米国 欧州 豪州 カナダ 英国2 ノルウェー

韓国 オランダ3

単位:10億米ドル

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北米

北米のプロジェクトが利用可能な総資金に関しては、2011年は良い結果と悪い結果が混 在している。2009年に米国では、「米国再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment

Act, ARRA)」に基づき、実証プロジェクトへの支援総額が大幅に増額された。ARRAに基

づいて利用可能となった34億米ドルの90%以上が、発電プロジェクト(7件)又は産業応用 のプロジェクト(3件)に割り当てられている。残りは、貯留サイトの特性把握及び回収技術 研究開発の支援に向けられている。

もし、これらのプロジェクトのうちのいずれかが進行しない場合、ARRA による融資は 国庫に返還され、その他の目的のために用いられる。現時点では、気候変動政策の策定が 米国議会によってほぼ中断された状態であるため、多くのプロジェクトが影響を受けてい る。2010年動向報告書以降、8件のプロジェクトが保留や取消しとなっており、その大き な理由の一つは、国の炭素削減政策が不確実であることと、国家的な炭素削減に対する使 命感の欠如である。これらのプロジェクトのうち Mountaineer プロジェクトと Antelope

Valleyプロジェクトの2件は現在進行していない。前者は中断中であり、後者は中止とな

り資金が国庫に返還されている。Mountaineerプロジェクトは、ARRAの融資に加えて、エ ネルギー省が管理する「クリーンコール発電イニシアチブ(CCPI)」に基づき 1億8,800万 米ドルを受け取った。プロジェクトが中止となった場合は国庫への返還が法律によって規 定されているARRAによる融資とは対照的に、CCPIにおける返還資金をその他のCCSプ ロジェクトに利用可能であるかは、米国行政管理予算局によって、ケースバイケースで決 定される(ただし、議会によるその他の規定が存在する場合を除く)。

カナダにおけるプロジェクトは、米国とは対照的に、2011年中に行われた資金援助及び 支援拡大を受けて前進した。カナダ政府及びアルバータ州政府は、アルバータ州の豊富な オイルサンド資源の開発を追求しており、付随する大量排出をCCSにより削減すべく支援 を提供している。両政府は、今年の初めに3件のプロジェクトを対象とする総額17億カナ ダドル(18億米ドル)の資金援助を完了した。同時に、アルバータ州政府は「指定ガス排出 者規則(Specified Gas Emitters Regulation)」の改正を通じて、(EORを伴わない)CO2回収・地 層貯留を行うすべての精製又はビチューメン改質プロジェクトへの支援を増強した。この 改正により、現在利用可能なオフセットクレジット制度における支援レベルが事実上2倍 になり、また、アルバータ州のクレジット価格が上昇した場合は更なる支援機会も提供さ れる。

欧州

2011年5月、13件のCCSプロジェクトが、他の65件の革新的再生可能エネルギープロ ジェクトとともに、NER300 プログラムの次のステージに進む基準を満たしていると特定

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された。NER300は、EU排出量取引制度(ETS)に基づき3億トン分のCO2排出権が準備さ れている(又は、「新規参入者用排出枞」として新規参入者用に準備される)融資手段である。

これらの排出権は、革新的な再生可能エネルギープロジェクトとCCSプロジェクトへの資 金提供のため、2011 年後期から2012年後期まで売却されることが予想される。これらの 資金は、CCSプロジェクトの投資コスト増分と、操業費の現在価値から収益源を差し引い た金額を含む、CCS関連コストの最大50%を補填することができる。

2011年8月現在、EU ETSに基づくCO2排出権の2012年12月先物取引の価格は、約13 ユーロである。この価格では、NER300が調達する総資金額は約39億ユーロ(56億米ドル) になる。この資金による支援は、CCSプロジェクトと革新的再生可能エネルギー技術プロ ジェクトの両方を対象としており、資金の75%がCCSプロジェクトに用いられると仮定す ると、総額で約29億ユーロ(42億米ドル)になる。

プロジェクトが受け取ることができる最高額は、NER300 が調達した資金の 15%、すな わち、上述の仮定では5億8,500万ユーロ(8億4,000万米ドル)となる。仮に卖体プロジェ クトが判定基準を満たしこの最高額を受け取る場合、最大で5件のプロジェクトへの資金 援助が可能となる。最高額以下の資金援助が行われる場合、さらに多くのプロジェクトへ の資金援助が可能となる。現在検討中のプロジェクト数件が、「回復のための欧州エネルギ ープログラム(EEPR)」による資金援助を受けている。両資金を合計した欧州委員会からの 総支援額は 50%を超えることはできない。そのため、NER300 の資金援助額は、50%の限 度額を下回るようにEEPRの援助額に合わせて調整される。

現在EIB(欧州投資銀行)は、プロジェクト案の資金及び技術についてのデューデリジェン

スを実施しており、この情報は欧州委員会に提供される。欧州委員会は、加盟国とともに 各プロジェクトのランク付けを行うこととなっており、最高位のプロジェクトは、貯留CO2

1トン当たりのコストが最も低いプロジェクトとなる。これらのプロジェクトのランクは、

利用可能な異なるCCS技術を実証する必要性を考慮に入れるように調整される。

最高位のプロジェクトのうち、最大8件がNER300プログラムの資金援助を受けること ができる。しかし、前述のとおり、最終的に支援を受ける件数は、各プロジェクト案の総 コスト増分と特定プロジェクトに対する最大援助額に左右される。最終的な支援決定は、

2012年後半に行われることが予想される。当インスティテュートは、NER300プログラム により全体で欧州の4~6件のCCSプロジェクトが支援されると予想している。

産業別、技術別及び貯留別の融資取決め

これまでのCCSへの全融資額の75%以上が、大規模実証に充てられている。この融資の うち81億米ドル、すなわち76%が発電プロジェクトに割り当てられており(図44a)、肥料 産業、石油産業又は石炭ガス化産業が更に20%を占めている。

燃焼前技術が、発電及び化石燃料ガス化の両方で様々な目的で使用されており、そうし

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た目的には、肥料製造が含まれている。その結果、燃焼前技術は、大規模実証への全融資

額の50%を占めている(図44b)。

図44 大規模CCS実証プロジェクトに対して約束された公的資金

発電 石油精製及び/又は肥料 化学品生産 その他の産業 エタノール ガス精製

燃焼前 燃焼後 酸素燃焼 ガス精製 未定

燃焼前 燃焼後 酸素燃焼

EOR 深部塩水層 枯渇油ガス田 明示せず 組み合わせ

単位:10億米ドル

単位:10億米ドル

単位:10億米ドル

単位:10億米ドル (a) 産業別

(b) 回収技術別

(c) 発電プロジェクト向け回収技術別

(d) 貯留タイプ別

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しかし、発電部門のみを考慮した場合、燃焼前技術(すなわち、IGCC)は、約40%を占め ている(図44c)。米国など数ヶ国は、最近、資金援助を燃焼後技術に割り当てるよう望んで おり、これらの技術も40%を占めている。

IPCC は、様々な貯留タイプ全体のポテンシャルを1,700~11,000Gtと見込んでおり、そ のうち深部塩水層は、適切な地層の90%以上を占めている(IPCC 2005)。現在までの資金援 助の配分では、深部塩水層を対象としたプロジェクトは、貯留タイプが特定されている資 金援助の割当ての41%を占めている(図44d)。対照的に、活動中の油田でのEORプロジェ クトは、これまでの割当額のほぼ50%を占めている。前述のとおり、この割合は、CO2 EOR が、EORが可能な地域での CCS 実証の「促進剤」としての役割を果たしている程度を反 映している。

全世界で、約40件の大規模実証プロジェクトが政府からの資金援助を受けており、その 総額は100億米ドルを超える。これらのプロジェクトすべてが、貯留選択肢を備えた統合 CCSプロジェクトとみなされるわけではない。また、これらのプロジェクトのうち数件は、

中止又は保留となっており、さらに、初期評価のための尐額融資を受けているだけのもの もある。しかし、今日までに割り当てられた資金の大部分は、21件のプロジェクトに支給 されており、それぞれが2億米ドル以上を受け取っている。これらのLSIPに総額96億米 ドルが割り当てられており、支給されたCCSプロジェクト融資総額の約89%を占めている

(図45)。最高額の支援を受けている卖一のプロジェクトはFutureGen2.0であり、10億4,800

万米ドルに達している。

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 143-152)

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