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貯留及び利用

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 92-108)

3 技術

3.3 貯留及び利用

本節では、2010年動向報告書(Global CCS Institute 2011a)で提供した貯留に関する基本概 念を更新し、貯留進捗状況、(貯留)資源評価及び貯留における課題及び手法に関する取組

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の進捗状況を取り扱う。さらに、CCS実証プロジェクトのための商業的な推進力として特 に重要性を増しつつあるCO2の利用又は活用における開発についても一部取り扱った。

地域/国別貯留評価の進捗状況

2011年初頭以降、いくつかの国において、貯留可能性がある深部塩水層の絞り込みに更 なる進展がみられている。EU の NER300 及び国家 CO2 インフラ計画(National CO2

Infrastructure Plan)を含む豪州のフラッグシッププログラムなどの補助金プログラムが、新 たな貯留サイト絞り込みと、より詳細なサイト評価を促進している。さらに、ブラジルの 石油、鉱物資源、CO2貯留分野の革新的中核研究開発拠点(CEPAC)が、貯留地図作成のた めのプログラムを進めている。ブラジルによるこの進展は図36に示した国家レベルでの貯 留絞り込み評価の現状において反映されている。

図36 国家レベルでの貯留絞り込み評価の現状

出典:IEAGHG 2011、Global CCS Institute修正

ブラジル

ブラジルでは、CCSの適用可能性の評価のための排出源とシンクの適合化に際して総合 的手法を採用している。2010年、CEPACはCO2排出源及びシンクに関する地理情報シス テム(GIS)に基づくデータベースを完成させた。CEPAC は現在、2007年に開始されたブラ ジル CO2地層隔離地図(CARBMAP)プログラム内においてデータベースの内容の見直し及 び更新をしている(Rockettら 2011)。同プロジェクトでは陸域及び沖合の盆地の順位付けを

行い、Campos盆地及びParana盆地(油層、深部塩水層及び炭層)内を最も可能性が高い場所

として説明している。枯渇油層においては理論的貯留容量の推定値が算出されており、そ の大部分(1.7Gt)をCampos盆地が占めている(図37)。

特性把握完了 開発中 理論上 深部塩水層

貯留容量評価イニシアチブ 貯留容量

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2011年3月にはPetrobrasがリオデジャネイロ沖合の水深2,150mのLula巨大油田におい

て随伴CO2の再圧入を開始した(ピーク生産時、最大0.7Mtpa)。この圧入は2009年の陸域 パイロット試験に続くかたちでSantos 盆地プレソルト(岩塩層下)フェアウエイ内で行われ た(Elsworth 2011)。

図37 ブラジルの堆積盆地

画像提供:CARBMAP, Brazil

中国

中国では恒久的な地層貯留ではなく EOR 及びその他の産業において CO2を利用するこ とに主な重点が置かれているため、同国の貯留可能性評価は事実上非常に高いレベルにあ

堆積盆地

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る。それにもかかわらず、中国のCO2貯留容量の評価及び特性把握への努力は継続されて いる。中国地質調査局は現在同国の貯留容量調査を実施中であり、2012年に完了する予定 である(MOST 2010)。

プロジェクトレベルでは、中国は、CO2利用の開発及び適用の点で大きく進展中である。

例えば、中国石油化股份有限公司(Sinopec)では0.04MtpaのCO2を回収して胜利(勝利)油田 に圧入している。同様に、中国石油天然气股份有限公司(PetroChina)は2009年以降0.12Mtpa のCO2を吉林油田に圧入している。中国華能集団公司(China Huaneng Group)はソフトドリ ンク生産及び他の産業で利用するための CO2を回収する 2件の燃焼後回収プロジェクト、

3,000tpaの燃焼後回収パイロットプロジェクト(北京)及び0.12Mtpaの燃焼後回収プロジェ

クト(上海)を有している。中国新奥集団(ENN Group China)はCO2を用いて微細藻類を生産 するパイロットプロジェクトを内モンゴルで現在操業中であり、0.32Mtpaのパイロット施 設にまで規模を拡大する計画である。同施設ではこの微細藻類を用いてバイオディーゼル 及び他のバイオ燃料を生産する予定である。

神華集団(Shenhua Group)は内モンゴル(オルドス市)のCTL施設においてCO2圧入を開始 しており、塩水層への0.1Mtpaの圧入を目指している。Sinopecは1MtpaのCCSプロジェ クトの開発を計画しており、回収された CO2は胜利油田での EORに用いられる予定であ る。

欧州

欧州では、国家レベルで貯留容量評価が継続中である。

英国では、英国エネルギー技術研究所(ETI)が国家的なCO2沖合貯留容量の包括的評価の ため、350 万ポンドを超える資金を提供した。CO2 貯留評価プロジェクト(CO2 Storage Appraisal Project, UKSAP)では、貯留ユニットとその理論的貯留容量及び関連する封じ込め リスクと経済性を特定する。同プロジェクトは2009年10月に開始され、その結果は2011 年8月末頃に入手可能になると期待されていた(UKSAP 2010)。

EC では入札及び第 7次研究枞組みプログラム(FP7)のプロジェクト募集を通じて、貯留 容量の特定の向上を目的とする研究の支援を継続している。EC の「SiteChar」3 カ年研究 プロジェクトは2011年1月と5月に開始されており、FP7の募集には貯留関連の新しいテ ーマも含まれている。

2011年5月9日にNER300融資プログラムに基づいてEIBに提出された13件のプロジ

ェクト提案書では、4件の陸域及び9件の沖合貯留プロジェクトが深部塩水層又は枯渇し た炭化水素層におけるCO2貯留及び EOR/ガス増進回収を通じてのCO2貯留に関する調査 を提案している。

欧州では、2009~2010年に6件の欧州プロジェクト(Jänschwalde、Don Valley、Porto Tolle、

ROAD、Bełchatów及びCompostilla)がEEPRと契約し、ECによって開始された「欧州CCS

実証プロジェクトネットワーク(European CCS Demonstration Project Network)」を通じてそ

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の技術的進歩及びプロジェクト進捗の結果を共有及び普及させることになっている。

また、グローバルCCSインスティテュートでは北海单部でのRCIによる枯渇サイト評価 及びルーマニア Getica プロジェクトなどの貯留計画プログラムを支援している(ケースス タディ参照)。

最後に、ノルウェー政府は、R&D、輸送及び海底下貯留並びに関連サイトの地図作製の 支援を継続して行っている。ノルウェーにおける操業中のプロジェクトである Snøhvit 及

びSleipnerでは、2010年までの時点で、それぞれ1.0Mt及び13MtのCO2が深部塩水層に

貯留された(Ringroseら 2011)。

ケーススタディ

ルーマニア

Getica CCS実証プロジェクトは2010年にルーマニア政府によって開始された。同プロ

ジェクトは国内で最もエネルギーを消費し、国内CO2総排出量の約40%を占めるOltenia 地方に位置し、Turceni発電所から回収されたCO2は発電所から約50km離れた深部塩水 層に貯留される。

■ 貯留のフィージビリティ・スタディはGeoEcoMarによって2010年及び2011年に実 施された。既存の地質データ、地球物理データ及び坑井データの収集の際には Schlumberger Carbon Servicesからの技術的支援を受けている。

■ 11のサイトを対象に予備的なサイト絞り込みが実施され、そのうち二つ(Zone 1及び

Zone 5)が貯留に適しているとみなされ、更なる特性把握のための研究の対象となる 予定である。

http://www.globalccsinstitute.com/resources/projects/Romanian-ccs-demo-project-Getica

ケーススタディ

オランダ

2006 年、ロッテルダム港湾及びロッテルダム市によってロッテルダム気候イニシアチ ブ(RCI)が設立された。同イニシアチブは市及び地方当局が企業部門と協力し、気候変動 に適応し地域経済を促進させつつCO2排出量を2025年までに半減させることを目的とす る。

2010年、RCIは貯留の選択肢を2015年までに評価することを目的として、オランダ沖 合の枯渇した炭化水素埋蔵サイトに関する「独立した貯留評価」を開始し、TNO によっ て実施された同評価は2011年に公表されている(Neeleら 2011)。

■ 第1段階では、既存のデータが収集、評価され、オランダの大陸棚のPブロック及び

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Qブロックに関する詳細かつ包括的なデータベースが構築された。このデータベース には地質、坑井及び坑井に関連するデータ並びに炭化水素の生産歴が含まれている。

■ 第2段階では、最も有望なサイトであるP18、Q8-A及びK12-Bを対象とする詳細な フィージビリティ・スタディが実施された。

■ P18はROAD(Rotterdam Opslag en Afvang Demonstratieproject)CCS実証プロジェクトの 主要な候補地である。P18の総投資コストは推定で6,500万ユーロであり、これはプ ラットフォーム及び六つの坑井の改修に充てられ、陸域設備及びパイプライン敶設は 含まれない。操業費は年間約 320 万ユーロであり、これにはプラットフォームの(遠 隔)操作コストは含まれていない。

LSIP における貯留の進捗

当インスティテュートの2011年プロジェクト調査では、それぞれのLSIPについて各構 成要素(回収、輸送及び貯留)間の相対的な進捗状況を理解するため、これら各構成要素の 進捗の特定を試みた。貯留の特性把握はサイトに左右され、ほぼ間違いなく最長のリード タイムが必要となるため、回収の進行よりも遅れてしまう可能性がしばしばある。しかし ながら、貯留評価はCCSチェーンにおける他の構成要素と尐なくとも同等又はより進んで いることが重要であり、このことは既に調査済みであるEOR又は枯渇した油ガス層とは対 照的に特に未開発の深部塩水層貯留サイトの場合に当てはまる。

カナダでは2011年4月にBoundary Damプロジェクトが「実施」段階に移行し、2014年

には1MtpaのCO2回収を開始することが予想される。回収されたCO2の多くはEOR活動

での利用が想定されているが、初期に回収される多くはAquistore地層貯留プロジェクトに 組み込まれることが想定されている。AquistoreプロジェクトではWilliston盆地内のカンブ リア紀-オルドビス紀層基底部が貯留コンプレックスとなる予定である。2011 年には

Illinois-ICCS プロジェクトも建設を開始しており、最初は深部塩水層にCO2を貯留するこ

とを計画している。2012年にはQuestプロジェクトが「実施」段階に移行することが予想 され、Aquistore プロジェクトと同様にカンブリア紀層基底部の深部塩水層砂岩への CO2

貯留が計画されている。

今後3年の間に更に1、2件の新たな深部塩水層LSIPが操業する可能性は、資金提供又 は補助金の条件にかかわらず、プロジェクト開発における複雑さ及び時間枞によって制約 される。

プロジェクトにおいて貯留がその他の構成要素よりも遅れている場合、この不均衡が統 合プロジェクトのスケジュールの遅延につながるおそれがある。Quest プロジェクトはと りわけその貯留要素について非常に理解が進んでいるため、スケジュール通りに進行する 可能性が高くなっている。

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貯留評価のスケジュール

2011年のプロジェクト調査結果によると、未開発の貯留サイト評価のための推定リード タイムは引き続き5~10年かそれ以上となっている。これら長期の時間枞の原因は、プロ ジェクトのリスク及び「精査」段階から「実施」段階に移行する際に必要な活動であるこ とが多い。

現在多くの国々(図 36)が貯留サイトの絞り込みを実施し、自国内における適切な貯留の 機会に関する基本的な問題に取り組んでいる。多くの国々では、CO2貯留についてそれな りの可能性が存在することが知られている。国家レベルでの絞り込みが引き続き重要であ る一方、完成しつつある実証プロジェクトの貯留サイト及び「実体験による学習」に焦点 を合わせる必要性が高まってきている。

貯留コスト

ZEPによる最近の研究(2011)では、陸域貯留が沖合貯留と比較してどの程度低コストか及 び特に再利用可能な古い坑井が存在する場合に枯渇した油ガス田が深部塩水層と比較して どの程度コストを節約できるかを特定している(表7)。ZEPは、特定の選択肢が相対的にコ スト面で有利であっても、その最低コストの貯留層は利用可能な総貯留容量に対する寄与 度が最も低いと指摘した。すなわち、欧州における貯留容量に関する現在の理解では、陸 域よりも沖合のほうが貯留容量が大きく、また、枯渇した油ガス田よりも深部塩水層のほ うが貯留容量が大きい。概して、貯留の特性把握が引き続きCCSにとって不可欠である一 方、推定貯留コストは回収コストよりも低くなる。

表7 ZEPによる貯留コスト推定1

陸域 沖合

ユーロ/tCO2 ユーロ/tCO2

枯渇した油ガス田(古い坑井有) 3 6

枯渇した油ガス田(古い坑井無) 4 10

深部塩水層 5 14

1 提示されたZEPシナリオからの中央(又は最も可能性が高い)値

出典:ZEP (2011)

貯留における継続的課題と新たな課題

CO

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EOR の重要性

正確な量を把握するのは困難であるが、人為起源のCO2について、現時点では全世界で その他いずれの方法よりも EOR プロセスを通じて貯留された量のほうが多いことは明ら

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