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政策、法律及び規制の状況

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 117-143)

4 政策、法律及び利害関係者に関する課題

4.1 政策、法律及び規制の状況

CCSという解決策が現在初期段階にあることと、気候変動政策の不確実性とが相まって、

現時点では商業投資家がほとんど存在しないことが一般的となっている。新規参入者にと っての短期的な障害は、CCS 技術に関わる高額な資本コスト及び CCS 技術が直面するリ スクの性質に起因するものがほとんどであり、そのほとんどは政策及び規制上の性質を有 する。

これらの要素があるにもかかわらず、本報告書内で先述したように、例えばEORなどで のCO2の価値が、プロジェクトの全体的な経済性を向上させるのに役立つ収益源を生み出 すことが可能な場合など、状況によっては、民間部門が進んでCCSプロジェクトに投資す る意志があることを示している。プロジェクト提案者との議論では、政策の不確性が主要 なリスクであると認識されていることが示されており、特に、政府が実現性のない政策意 図を表明した場合に懸念事項となっている。

米国のCCSに関する省庁間タスクフォース(The United States Interagency Task Force on

CCS)(2010)は、CCS関連の市場の失敗に取り組むために、政策立案者は以下のような措置

気候変動政策 エネルギー政策

革新政策 産業政策

プロジェクト 地方

国際

103 を講じるべきであると言及している。

・対象となっている市場の失敗の性質及び規模を考慮する

・経時的に変化する状況に合わせて調整可能な政策を策定する

・民間部門にとって最大限に柔軟な対応が可能となる政策を設ける

・政策はその他のインセンティブと補完的にする

・政策目標(尐なくとも、納税者及び/又は消費者にとってのコスト)を忠実に実行する

これらの原則には、以下のような可能性のある政策手法の広範な組合せが含まれており、

全政策レベルで適用される。

・交渉による合意(部門特定の扱い)

・情報に基づく手段(最良慣行)

・規則及び基準(排出及び技術性能に関する基準)

・人材開発(施設及び/又はインフラの能力向上)

・価格に基づく手段(炭素価格設定の仕組み)

・研究開発政策(革新技術への融資)

・財政支援(補助金、租税減免及び/又は税額控除)

国際的政策及び法律の環境

気候変動に関する国際連合枞組条約 (UNFCCC)

気候変動のための国際的な努力が20年以上にわたり本格的に続けられてきている。1992

年にUNFCCCが採択され、1994年に発効した。現在、世界の大気中温室効果ガス濃度を、

危険な「人為的」気候変動を防止するレベルで安定化させるための援助を、194 カ国が約 束している。1997年に国際社会は、CO2の絶対排出量に上限を設けることで、長期的に排 出削減する約束を確立することに移行した。2005 年に発効した京都議定書には、2008~

2012年がこの約束の実施期間として規定されている。

直近の主要な気候変動会議(COP16)は2010年12月にカンクンで開催され、各国が「世界 全体の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃以内に抑える」ことに同意した(UNFCCC

2010)。この展望は、世界が直面している気候変動という状況において CCS が果たさなけ

ればならない役割について理解を深めるための基礎となるものである。

国際的な気候変動問題に関して、当インスティテュートのメンバーである各国政府の

UNFCCC及び京都議定書における状況並びに排出削減目標を表10に示した。

104

表10 各国の排出削減目標の状況

排出削減目標及び誓約 UNFCCC 京都議定書 京都議定書

約束(2008 - 12 年、1990年比)

2020年ま (無条件)

2020年まで (条件付)

2050年まで (条件付)

その他 批准

豪州 8% -5%

(2000 比)

最 大-15% は-25%

(2000年比)

-80%

(2000年比)

1992 12 30

2007 12 12 ブ ラ ジ

-36%~-39%

(予 測 排 出 量 比)

19955 12

20028 15 ブ ル ガ

リア

-8% -20%

(2005年比)

19955 12

20028 15

カナダ -6% -17%

(2005 比)

-20%

(2006年比)

-60~-70%

(2006年比)

1992 124

2002 12 17

中国 -40~-45%

(GDP 当たり

CO2、2005 年比)

-17%

(GDP 当 た りの CO2 2015年まで に、2005 比)

19931 5

20028 30

エ ジ プ

1994 125

20051 12 欧 州 連

-8% -20%

(1990 比)

-30%

(1990年比)

-80~-90%

(1990年比)

1993 12 21

20025 31 フ ラ ン

0% -14%

(2006年比)

19943 25

20025 31

ドイツ -21% -14%

(2005年比)

-60~-70%

(2006年比)

1993 129

20025 31

インド -20~-25%

(GDP 当たり

排出原卖位、

2005年比)

1993 111

20028 26

イ ン ド ネシア

-26%

(何 も 対 策 を 講じなかった ケース(BAU) 比)

CO2 -25 -30%

(BAU 比 、 2012 - 2015 年) CO2 -40%

(2025 年 ま でに)

19948 23

2004 123

イ タ リ

-6.5% -13%

(2006年比)

19944 15

20025 31

日本 -6% -25%

(1990年比)

-80%

(1990年比)

エネルギー 関連排出量 2030 までに30%

以 上 削 減 (1990年比)

19935 28

20026 4

韓国 -4%

(2005年比)

-30%

(2020 年 ま での「有望 推定値」比)

1993 12 14

2002 118

105

排出削減目標及び誓約 UNFCCC 京都議定書 京都議定書

約束(2008 - 12 年、1990年比)

2020年ま (無条件)

2020年まで (条件付)

2050年まで (条件付)

その他 批准

マ レ ー シア

最大-40%

(GDP当たり、

2005年比)

19947 13

20029 4 メ キ シ

最大-30%

(BAU比)

19933 11

20009 7 オ ラ ン

-6% -30%

(1990年比)

1999 12 20

20025 31 ニ ュ ー

ジ ー ラ ンド

0% -10%

(1990 比)

-20%

(1990年比)

-50%

(1990年比)

19939 16

2002 12 19 ノ ル ウ

ェー

1% -30%

(1990 比)

-40%

(1990年比)

2030年内に カーボンニ ュートラル

19937 9

20025 30 パ プ ア

ニ ュ ー ギニア

カーボンニ ュートラル

最低-50%

(2030 年 ま でに、BAU 比)

19933 16

20023 28

ル ー マ ニア

-8% -20%(199

0年比)

19946 8

20013 19 ロシア 0% -15

-25%

(1990 比)

-50%

(要求) (1990年比)

1994 12 28

2004 11 18

サ ウ ジ ア ラ ビ

1994 12 28

20051 31 单 ア フ

リカ

-34%

(BAU比)

-42%

(2025 年 ま でに、2005 年比) 2020 - 25 にピーク排 出量

19978 29

20027 31

ス ウ ェ ーデン

4% -17%(2006

比)

19936 23

20025 31 ト リ ニ

ダ ー ド トバゴ

19946 24

19991 28 ア ラ ブ

首 長 国 連邦

英国 -12.5% 最低-80%

(2050 年まで に、1990年比)

-22%

(1990年比、

2008-12年)

1993 128

20025 31

米国 -17%

(2020 ま で に 、

2005

比)

最 終 目 標 -83%

(2005年比)

2025 年 に -30%

2030 年 に -42%(2005 年比)

1992 10 15

凡例:■共通行動 ■コペンハーゲン合意誓約

106

2011年12月に单アフリカのダーバンで開催予定のCOP17の議題として、2010年12月 カンクン合意で挙げられたCCS業界の主要な対象分野は、以下の五つである。

・ 国としての適切な緩和行動(NAMA)の登録-技術、財政又は能力開発について国際的な 支援を必要とする国々は登録簿に記録され、非支援国の行動と、それに必要な支援を適 合させることが可能と合意された。

・ 技術メカニズムの採択-この技術メカニズムは、発展途上国における新技術の開発及び 利用(実証及び普及を含む)の強化を目的に、2012年に完全に機能させることが合意され た。管理する組織には、技術の開発及び移転の必要性(政策及び行動を含む)の概要提供 を援助する技術執行委員会(TEC)並びに国家的、地域的、部門別及び国際的な技術ネッ トワーク、組織及びイニシアチブを促進するための気候技術センター・ネットワーク (CTCN)が含まれる。

・ 資金メカニズムの採択-2012 年までを対象に最大約 300 億米ドルの発展途上国向け合 意済み「短期」資金の提供並びに発展途上国における適応及び緩和行動(プロジェクト、

プログラム、政策及びその他の活動)の支援(国連事務総長の「資金に関するハイレベル 諮問グループ」は、こうした融資は可能と判断している)を目的として世界銀行が管理す る緑の気候基金(Green Climate Fund)(年間1,000億米ドル)の設立を含む。

・ プロジェクトレベルのCCSプロジェクト/CDMの下での削減-様々な技術的課題と安全 性に関する要件が解決・満足されることを条件に、CCSプロジェクトをCDMとして許 容することに、各国政府は合意した(後述)。

・ 市場メカニズム-緩和行動の費用対効果の向上及び促進を目的とした、一つ以上の新た な市場に基づくメカニズムの確立に向けた作業を継続することで、各国政府は合意した

(この点は、COP17において検討されることになる)。

CCSのプロジェクトレベルでの活動の制度化が、特にCDMを通じて、UNFCCCの下で 現在詳細に検討されている。CDM は京都議定書に基づき確立された世界的なカーボンオ フセット市場である。2006年以降、CDMは、認証排出削減量(CER)と呼ばれる取引可能な 手段で、先進国(京都議定書の附属書Iの締約国)が発展途上国(非附属書I締約国)の排出削 減プロジェクトに投資することに報いてきている。各 CERは1トンのCO2に相当し、売 却又は排出義務の免除に充てることができる。CDM は、発展途上国における地域的プロ ジェクトを対象とする資金援助の動員に関して明確な違いを生じさせている。

CCS プロジェクトによるCO2削減で CER取得が可能かについて、京都議定書に基づく 附属書I締約国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)において、CDM内の検討が 進められている(UNFCCC交渉背景に関しては、付属資料E.1を参照)。

CCSをCDM化するかについての最終決定は、ダーバンで開催されるCOP17において行 われると予想される。ダーバンまでに行われる検討プロセスは以下のとおりである。

107

1. UNFCCC事務局が、

a. 2011年2月21日までに公認オブザーバーからの提出物に基づく「統合」報告

書を作成する。

b. 法律専門家及び技術専門家の技術ワークショップを主催する(2011年 9 月初旪 にアブダビで開催予定)。

c. 2011年12月の第35回科学及び技術の助言に関する補助機関(SBSTA)会議の検

討対象とすべく、様式と手続の草案を作成する。

2. SBSTAは、昨年のカンクンにおける京都議定書締約国会議(CMP)の決定が提起した

課題及びUNFCCC事務局作成の様式と手続の草案について、CMP7においてCMP

に勧告することを念頭に、更に検討する。

3. UNFCCC及び京都議定書の締約国は、ダーバンにおいて、CMPへの勧告に含まれ

る法律文の草案作成について公式に交渉する。CMPは、SBSTAの勧告を採択する かどうかを判断しなければならない。

既に課題が限定的に特定され、広範囲に、かつ、透明な形で提起されているものの、CMP

がCOP17においてCCSのCDM化を採択するかは確定的ではない。代わりにCMPでは、

特定の課題に関する追加的協議及び/又は代替協定の決定を行う更なる作業を、SBSTA に 委任する可能性がある。

CCS のCDM化を妨げている限定的な課題は、主に貯留関連である。当インスティテュ ートがCDM下のCCSに関してUNFCCCに提出した2011年提出文書(Global CCS Institute 2011c)で引用したように、これらの課題を管理する正当な手法は、過度に規範的な手法を 課すのではなく、リスク管理が基本となる。

最終的に、CCSプロジェクトがCERを取得可能な登録対象活動として採択されると仮定 すれば、提案者は、それを裏付けるベースライン及び推計の方法論を提示して CDM理事 会(EB)による承認を得なければならない。EBでは、CMP が正式な立場を採択するまでは CCSの方法論に関する提出物を検討しないのが現状である。

主要 8 カ国 (G8)

G8は、国家及び政府首脳サミットにおいて年1回開催される、先進経済国の非公式会合 である。G8のメンバーは、フランス、米国、英国、ロシア、ドイツ、日本、イタリア及び カナダである。

G8では、2005年に初めてCCSへの深い関与及び支援を発表し、以下の文を含む「グレ ンイーグルズ行動計画:気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する宣言 (Gleneagles Plan of Action:Climate Change, Clean Energy and Sustainable Development Declaration)」を出した。

「我々は、CO2回収及び貯留技術の開発及び商業化を加速するための作業に取り組

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 117-143)

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