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技術コスト及び課題

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 108-115)

3 技術

3.4 技術コスト及び課題

CCS実証プロジェクトに資金援助を行う上で重要な政策目標として、CCSが製品(主に電 力)の生産において商用規模で適用された場合の、その製品の性能とコストに及ぼす影響に 関する情報を得ることが挙げられる。CCSチェーンにおける個々の構成要素のコストに関 する情報は、回収、輸送及び貯留の各節に示した。本節の対象は、全体的なCCSのコスト である。

昨年、CCSの詳細なコスト研究がIEA(2010b)、WorleyParsons(2011)、DOE NETL(2010a)

及びZEP(2011)によって発表されている。これらの研究では、平準化コスト及びCO2削減

コストの評価基準を用いて、異なる技術のコストを比較している。

平準化された発電コストとは、初期投資の正当化を目的として、発電所の経済的耐用年 数全体の総発電量に対する、回収の必要がある平均発電コストの基準である。概してこの 金額を得ることで、初期資本投資、同投資の回収率、燃料及びその他の可変コスト並びに 操業と保守にかかる固定費用を含む全コストが網羅されることになる。

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CO2 削減コストとは、CCS 技術を備えない参照プラントと同じ量の製品(電力など)を生 産しつつ、大気中へのCO2排出量を削減するコストである。CO2削減コストを用いること で、予想炭素価格に関して同条件で異なる技術の順位付け及び比較が可能となる。

これらの研究のうち、最初の3件は既に分析済みであり(Global CCS Institute 2011a)、主 な結論は以下のとおりである。

・ 大規模実証施設のコストに係る最大の不確実性は、先行資本コストである。資本投資コ ストはCCS施設を組み入れることで、IGCC施設の場合は約30%、その他の石炭及びガ ス火力技術の場合は80~100%増大する。

・ 回収技術を含む総設備投資コストは、石炭火力CCS発電所における発電コストの約45

~50%を占める。

・ 他のCCS技術と比較して、酸素燃焼のコストは、平準化発電コストと CO2削減コスト の双方において相対的に低い。同時に、酸素燃焼技術は成熟度が最も低い技術であるた め、不確実性レベルがより高い。

・ 不確実性を考慮した場合、現段階では、コスト面で明確に優位性を持った卖一の技術を 特定するのは困難である。

・ 3件の研究の平準化コストの推定値は、3~4年前の推定値よりも一貫して高い。これは、

手法の変更及び以前省かれた項目を含めたことが原因であり、現在コストは以前の推定 コストよりも15~30%高いと推定されている。

・ CO2貯留の経済性は、対象とされる貯留層の地質に影響される。効率的な輸送手段によ ってアクセス可能な適切な貯留サイトが存在しない場合は、CCSは一定の状況下におい ては適切な選択肢ではないことがある。理想的な貯留条件においては、貯留コストが総 コストに占める割合は5%未満であり、「より悪い」地質特性を有する貯留サイトの場合

は約10%に上昇する。

・コスト推定値が研究ごとに異なる理由は、技術性能、投入コスト又は投入コストを平準 化コストに変換する方法における仮定条件が、それぞれ異なるためである。これらの相 違点の多くは、仮定条件を標準化して共通の手法を適用すれば解決される。3件の研究 それぞれの各仮定条件が平準化発電コストに与える影響は一般的に 5%のオーダーであ る。

これらの 3件の研究では、主に米国において実証される予定の技術に基づいた推定に焦 点を合わせている(要約した情報を表8に示す)。当インスティテュートの研究においても、

資本、労働及び技術コストの調整を通じて、これら推定値を世界の全地域に対して「地域 化」し、さらには鉄鋼、セメント、天然ガス精製及び肥料生産に関するコスト推定も含め ている。

2011年7月、ZEP(2011)は、今日の欧州における発電部門を特に対象とした研究及び2025

年以降に関する推定値を公表した。これらのコスト推定値は、産業界のZEPメンバーによ

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って提供されたプロジェクト及び技術のコストデータに基づいて導出された。上述した研 究と同様に、本研究で報告されているコストも、2006年のZEPによる類似の研究(ZEP 2006) から実質ベースで15~20%上昇している。またZEPは、NETL及び当インスティテュート による最近の研究を比較した結果、ZEPによるコスト推定値のほうが低いことについても 言及している。とはいえ、特にプロジェクトの重要部分に関する個々の技術要素固有の不 確実性を考慮すると、現在利用可能な技術のコストを反映させたコスト推定値は、4 件す べての研究においてほぼ一致している。ZEPとNETLによって作成された種類の設計研究 は±30~40%付近の範囲の不確実性を有する。

さらにZEPの研究では、異なる貯留形態とともに、幅広い種類の輸送方式にわたりコス ト計上のための選択肢を提示している。これらのコストについては、本章前半の各々の節 で簡卖に説明している。

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表8 最近完了したCCS設計コスト研究の要約

燃焼後 IGCC 酸素

燃焼 NGCC

WORLEY PARSONS NETL IEA1 WORLEY PARSONS (SHELL) NETL (SHELL) NETL (CONOCO PHILLIPS) NETL (GE) WORLEY PARSONS WORLEY PARSONS DOE NETL

基準年2 2010 2007 2008 2010 2007 2007 2007 2010 2010 2007

容量 MW(Ne

t)

546 550 474 517 497 514 543 550 482 474

総建設コスト (overnight cost)

米 ド ル /kW

4701 3570 3838 4632 3904 3466 3334 4430 1964 1497

O&M3 米 ド ル

/MWh

16 22 14 18 12 6

燃料コスト 米 ド ル /MWh

34 20 13 33 18 18 17 44 72 52

回収率 % 90 90 90 90 90 90 90 90 90 90

効率4 % 27.2 26.2 34.8 32.0 31.2 31.0 32.6 29.3 43.7 42.8

容量率 % 85 85 85 85 80 80 80 85 85 85 リードタイム 4 5 4 4 5 5 5 4 3 3 耐用年数 30 30 40 30 30 30 30 30 30 30 割引率 8.8 9.1 10 8.8 9.1 9.1 9.1 8.8 8.8 9.1 輸送5 米 ド ル

/MWh

1 - n/a 1 - - - 1 1 -

貯留6 米 ド ル /MWh

6 5.6 n/a 6 5.7 5.6 5.3 6 6 3.2

LCOE7 米 ド ル /MWh

131 135 90 125 151 140 134 121 123 109

CO2削減コス

8

米 ド ル/ トン

81 87 ~75 67 77 93 109 57 107 106

1 IEAによる推定値には、回収及び圧縮コストのみが含まれる。

2 基準年は、当時の現在価値での報告が行われた年。

3 NETLの研究には所得税と財産税が含まれており、これらの税は他の研究には含まれていない。

4 IEA は低位発熱量(LHV)の総熱効率、その他2件の研究は高位発熱量(HHV)の総熱効率を報告してい る。

5 想定輸送距離は、Worley Parsons研究が100km、DOE NETL研究が80kmである。DOE NETLの場合 は、輸送コストは貯留項目に含まれている。

6 NETLによる研究には30年間の法的責任に対する支払いが含まれている。

7 平準化された発電コスト。

8 各研究における参照施設の石炭技術は、すべて超臨界圧微粉炭を用いたものである。DOE NETLによ る研究に関する金額についてはグローバルCCSインスティテュートが算出した。

出典:IEA(2010a)、DOE NETL(2010a)、WorleyParsons(2011)

97 表9 ZEPによるCCSコスト推定

石炭 ガス

参考:

超々臨界 圧ボイラ

燃焼後

回収 IGCC 酸素燃焼

参考:

Fクラス

タービン

燃焼後 回収

基準年1 2009 2009 2009 2009 2009 2009

容量 MW(Net) 736 616 900 568 420 350

総 建 設 コ ス ト (overnight cost)

ユーロ/kW 1711 2860 3300 4060 786 1829

O&M ユーロ/MWh 7 14 15 13 6 13

燃料コスト ユーロ/MWh 18.3 26.6 28.3 28.6 56.4 68.1

回収率 % - 90 90 90 - 86

効率2 % 46 38 36 35 58 48

容量率 % 85 85 85 85 85 85

リードタイム n/a n/a n/a n/a n/a n/a 耐用年数 40 40 40 40 25 25

割引率 8 8 8 8 8 8

輸送3 ユーロ/MWh - 2 2 2 - 2

貯留 ユーロ/MWh - 4 4 4 - 2

LCOE ユーロ/MWh 44.5 80 87 94 71.9 104

CO2削減コスト ユーロ/トン - 46 54 65 - 114 1 基準年はコスト要素の推定現在価値が報告されている年である。

2 LHV総熱効率

3 ZEPは、29件の異なる輸送ネットワーク構成に関するコストを推定している。本表において選択した値

は、表8の結果と一貫させるために2.5Mtpa2点間の陸域ネットワーク(180km)に関する値である。

出典:ZEP(2011)

過去の環境技術における革新から得られるコスト上の教訓

CCS実証のための政府からの資金援助は、技術的革新の加速をその目的の一部としてい る。ここでは数多く課題が提示されており、例えば、既存のパイロットプロジェクトに基 づいて大規模操業のコストを正確に推定することが挙げられる。既存のシステムに技術を 追加することの影響は、システム内の他の技術要素の性能及び信頼性に影響を及ぼす可能 性があり、それは小規模の限定されたデータでは予測するのが困難である。小規模なプロ ジェクト又はパイロット施設の経験に基づいて推定された新技術に関する初期のコストは、

通常、その後見られる初期の大規模な適用におけるコストよりも低い(Yeh and Rubin 2010)。

設計変更及び初期の商業化段階における製品性能の向上により、コストが追加されること がしばしばある(Neij 1997)。しかし、その後技術が成熟して追随する設計に学習結果が組 み入れられるに従い、コストが低下することもまた一般的である。

発電から排出されたCO2を回収する技術はまだ初期の段階にある一方で、化石燃料火力 発電所からの排出に対処するための他の環境技術がいくつかが開発及び適用されてきてい

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る。これらの環境技術には、二酸化硫黄(SO2)制御のための排ガス脱硫(FGD)システム及び 窒素酸化物制御のための選択触媒還元(SCR)システムなどがある。

米国における「大気汚染防止法(Air Pollution Control Act)」を根拠とする資金援助及び保 健省を含むその他の機関からの補助金に対応する形で、FGD システムの開発が1950年代 初頭に開始された(Hamilton 2009)。1960年代後期から1990年代にかけて技術革新と開発活 動が増大した(Taylor 2003)が、これは各政府が SO2排出レベルの制限を追求するのに応じ て、技術需要を刺激するように設計された資金援助の強化及びいくつかの政策の策定の両 方によって推進された。

1972~1982年には、規制要件を満たすのに必要なシステムの信頼性及び性能を達成する

ために設計が修正され、初期のFGD実証プロジェクトの資本コストは2倍以上に膨らんだ。

10年間の経験と学習後はコストが低下し始め、1990年代中期までにほぼ半分まで低下した

(Yeh and Rubin 2010)。同様に、欧州及び日本において展開された初期のSCRシステムのコ

ストも、小規模なパイロット規模の発電所に基づく当初の予測よりも高かった。その理由 は、特にこれらのコスト研究には、商用規模の経験が限定的なことに関するリスクを管理 する偶発事象に関する費用がしばしば含まれていなかったためである。ほぼ15年の経験を 経て、最終的にSCRシステムに関する資本コストは、初期設計研究による推定よりも実質 ベースで低くなった。

その他の発電関連技術のコストにおいても同様のパターンを観察することができる。例 えば、天然ガス複合サイクル発電所の開発は 20世紀中頃に開始され、1970年代後半及び 1980年代前半までは利用可能な高い水準の商業展開には至らなかった。それでもなお、商 業利用可能な施設の展開の初期段階には、1981~1991年にコストが増大し、その後低下し た(Colpier and Cornland 2002)。

これらの経験から得られた教訓のいくつかは、詳細なプロジェクトコスト計算又は一般 的なコスト研究の実施者によってCCSのコスト推定に取り入れられている。研究では、シ ステムプロセス並びに統合上及びプロジェクト管理上の課題に関わる偶発事象に関する費 用としての引当金を増額するようにしている。いくつかの部門では限られた数の商用規模 CCSプロジェクトが操業するにとどまっており、さらに石炭火力発電、鉄鋼又はセメント の生産に関しては操業中のプロジェクトがまったく存在しないため、先行プロジェクトは 20%以上の臨時費用をプロセスコストに計上している(WorleyParsons 2009)。プロジェクト 開発者からの情報として、いくつかの事例では偶発事象に関する費用が最大で40%に達し ていることも伺える。

同時に、CO2の回収及び貯留に関わるコスト計算法は、組織によって各々異なっている。

社会全体に関わるような研究において、様々なコスト構成要素を定義する上で一貫したコ スト項目及び用語体系は存在しない(Rubin 2011)。コスト推定における時間枞は、現在にお ける技術の理解(いわゆる、「First of the kind」)と、プロセス及びプロジェクト上の不確実 性が低減された後に得られるであろう将来の技術(いわゆる、同種の中で n 番目)との間で

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 108-115)

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