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回収

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 62-81)

3 技術

3.1 回収

本来であれば大気中に排出されるCO2の回収、処理及び輸送可能なレベルまでの圧縮は、

ほとんどの場合、CCSによる追加コストの最大の要素となっている。本節では、CCSを適 用可能な複数の異なる産業において、様々な回収技術及び技法の開発状況について概説す

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る。本報告書のために委託された米国電力中央研究所(EPRI)による研究(EPRI 2011a)及び同 研究所とノルウェー石油エネルギー省後援のプロジェクトの一環として国際連合工業開発 機関(UNIDO)によって実施された一連の研究(UNIDO 2010a、b、c、2011)において、更なる 詳細を参照することが可能である。

CO

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回収の主要な技術選択肢

化石燃料の使用に起因するCO2回収の主要な技術選択肢は以下のとおりである。

・燃焼排ガスからの燃焼後回収(PCC)

・燃料ガスからの燃焼前回収

・酸素燃焼-酸素による燃料の直接燃焼

石炭火力発電システムを対象としてこれら三つの手法を図21に示した。

図21 石炭火力発電所からのCO2回収の技術選択肢

出典:EPRI (2011a, p1-1)

燃焼後回収は、新たに設計された化石燃料火力発電所への適用又は既存の施設への追設が 可能である。現在燃焼後回収技術の中で最も進んでいるのは、吸収プロセスである。燃焼 後回収技術は、セメント、石油精製、石油化学などの他の産業でも利用可能である。

IGCC発電所における燃焼前回収は、高圧下での酸素又は空気を用いた燃料のガス化及び 燃焼後回収

石炭

空気

石炭

蒸気

空気

空気

石炭

電力及び熱

電力及び熱

電力及び熱 ガス化

シフト反応、

ガスクリーンアップ

+CO2分離

CO2分離

CO2分離

CO2圧縮 及び脱水 燃焼前回収

酸素燃焼

空気分離 空気

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それに続く酸性ガス除去(AGR)プロセスを用いたCO2除去によって構成される。そこで得ら れる、水素を豊富に含んだ合成ガス(シンガス)がガスタービン発電設備に供給される。AGR プロセスを用いた CO2の燃焼前回収は、石油、ガス及び化学工場でも商業的に実施されて いる。

酸素燃焼は、燃焼用空気に含まれる窒素を除去し、空気の代わりに酸素を用いて燃料を燃 焼する。ほとんどが CO2である排ガスが浄化、乾燥及び圧縮される。酸素燃焼を採用した 石炭火力発電所では、酸素燃焼ボイラに排ガスの一部が再循環される。排ガスが空気中の 窒素の役割を果たすため、ボイラ伝熱管の材料にとって許容可能なレベルに温度を維持す る。

回収技術として三つの主要なカテゴリがあるが、そのそれぞれについて異なる技術を用い た複数の経路が存在し、気候条件、所在地及び燃料の種類によって、より好ましい特定の 適用方法が存在する可能性がある。

技術成熟度

本節における技術成熟度(TRL)という用語は、取り上げられた技術の開発レベルを示すた めに用いられる(WorleyParsonら 2009)。このTRL手法はR&D の早期の段階における個々 の技術の状況を追跡するのに特に有用である。九つのTRLを表4に示した。

表4 技術成熟度(TRL)

技術成熟度 説明

TRL-9 フルスケールでの商業化

TRL-8 準商用規模実証施設(商用規模の25%超)

TRL-7 パイロット施設(商用規模の5%超)

TRL-6 プロセス開発装置(フルスケールの0.1~5%)

TRL-5 該当する環境における構成要素の検証

TRL-4 実験室での構成要素試験

TRL-3 分析、「概念実証」

TRL-2 適用対象の明確化

TRL-1 基本原理の確認

所定のTRL を達成することで、プロセス開発者及び組織が次のレベルの成熟度を達成す るために必要な資源を知ることができる。TRL-9の達成は通常の商業利用の規模での操業を 最初に成功したことを示す。TRLをTRL-9まで上げるために要求される技術的及び財政的 リスクはそのレベルに従い徐々に高くなる。

TRL-9 における「商業化」という表現は、実施の物理的な規模(すなわち、商業用途にお

いて要求される規模)を指すことに注意することが重要である。したがって、ある技術が

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TRL-9に達して技術的には成熟していても、既存の市場におけるプロジェクトの経済的要件

はまだ満たしていない場合がある。TRL システムは、技術を展開する上での商業的又は経 済的な面での可能性には対応していない(EPRI 2011a)。

このため、TRL分類は全般的なプロジェクト開発におけるリスクを表現することは意図し ていない。本分類は個別のプロジェクトごとの分類であり、いわゆる「First of the kind」と なるプロジェクトの進捗状況については、技術的構成要素及びその要素を実現可能なプロ セス内に組み入れる能力に対して、熟練したプロジェクト提案者がどの程度自信を持って いるかによって影響されることがある。つまりプロジェクト提案者は、より高いTRLを有 する代替の技術的構成要素よりもその個別プロジェクトに関するビジネス事例が優れてい る場合は、より低い特定のTRLの技術的構成要素を選択する場合があることを意味する。

図22は、主要な回収技術の一部について現在の技術成熟度を要約したものである。

図22 回収技術に関するTRLの要約

出典:EPRI (2011a)

近年、電力事業者によって購入された「フルスケール」での石炭火力発電所は 400MWe を超え、ほとんどが600MWeを超える新たな能力を有する。先端の石炭技術に関するTRL 評価の目的においては、400~800MW(Net)の発電能力の発電所によって TRL-9 が達成され ると考えられる。この基準に従い、回収を伴うKemper Countyの空気吹きIGCC(582MW)が 成功裏に操業すれば、この特定の技術に関して TRL-9を達成することとなる。一方で、ア ミン液を用いた燃焼後回収を利用する Boundary Dam(110MWe)及び酸素燃焼を利用する

FutureGen2.0(200MWe)は、これらの技術に関してTRL-8を達成することになるであろう。

CO2回収に関するこれらの TRL は、一般的にその技術が発電に関しては開発の最終段階 及び実証の初期段階にあり、さらにいくつかの適用についてはこれよりも進んでいること を示している。対照的に、再生可能エネルギー技術に関して利用できるTRL順位は存在し ない。しかし、EPRIによる技術の展開に関する評価では、一例として、溶融塩を用いるい くつかの太陽熱発電は開発の最終段階にあり、集光型太陽光発電は実証の初期段階にある ことが示されている。陸域での風力発電(発電容量3MW未満)は成熟した技術であるが、30m

技術成熟度(最高レベル9) 燃焼後回収

燃焼前回収 水素焚きガスタービン 酸素燃焼

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以深の水深で固定された基礎を用いた大規模な沖合風力発電技術も実証段階にある。また、

大規模な浮体式洋上風力発電システムは、非常に初期の開発段階にある。

天然ガス精製又は化学工程においてCO2回収は成熟した技術である。この成熟度は、「実 施」又は「操業」段階にある現在進行中の産業プロジェクト件数として反映されている(図 23)。発電部門に適用される回収技術はそれよりも成熟度が低い状態であることが顕著であ り、ほとんどのプロジェクトは計画段階(「特定」、「評価」又は「精査」)にある。

図23 回収技術のLSIPへの適用状況

天然ガス精製又は化学工程産業におけるプロジェクトでは、貯留に適した比較的CO2純度 が高い副生成物が生成されるが、発電プロジェクトでは燃焼ガス又は合成ガスからの CO2

分離のための回収設備を設置するための多大な追加コストが生じる。

発電に関しては、コスト及び性能の点でいずれのCO2回収技術も他の利用可能な回収プロ セスよりも優れていない(Finkenrath 2011)。最終的には、世界全体におけるCO2回収技術適 用の範囲として、新設・追設を問わず、多くの種類の石炭及び天然ガス燃料を対象に、ま た、局地的な地理、事業、商業、社会的受容性及び規制条件とあいまって、発電所に適切 に組み入れられたこれら三つすべての方法が要求されることになる。

燃焼後回収

発電部門における燃焼後回収の適用

石炭火力発電における典型的な燃焼後回収プロセスを図24に示した。石炭は空気中で燃 焼され、発生した熱が蒸気タービン及びそれに接続された発電機によって電気に変換され

プロジェクト件数 発

産 業

計画 実施 操業

燃焼後回収 燃焼前回収 酸素燃焼による

CO2回収 各種/明示せず

燃焼前回収 工業分離

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る。燃焼排ガスは既存の汚染抑制技術を用いて窒素酸化物、硫黄酸化物及び灰が除去され る。燃焼後回収プロセスは残った燃焼排ガスからCO2を選択的に分離するのが目的であり、

この分離はCO2濃度5~15%の範囲の比較的低濃度で行うことが可能である。燃焼後回収は 既存の施設追設可能であるという利点を有し、さらにエンドオブパイプという性質上、市 場条件によって要求される場合には回収なしで操業可能な柔軟性を備える。

図24 発電における典型的な燃焼後回収プロセス

以下に三つの主要な燃焼後回収プロセスを示した。

・ 吸収:溶媒内へのCO2の取り入れ。例えば、CO2分子を溶液内に溶解する。実質上すべ ての短期及び中期の開発中の燃焼後回収プロセスが吸収方式である。

・ 吸着:固体表面上でのCO2分子の選択的取り入れ。吸着剤は、排ガスからCO2を選択的 に吸着し、次に、吸着した CO2を解離するために圧力を低下及び/又は温度を上昇させ ることによって再生される。吸着の一つの利点として、再生エネルギーが吸収溶媒と比 較して低いと主張されている。

・ 膜:膜物質内を選択的に浸透させることによる排ガスからの CO2分離。吸着剤と同様、

膜は低エネルギーの回収プロセスを提供可能であると主張されている。

現時点で発電部門に燃焼後回収技術を利用する操業中のLSIPは存在しないが、燃焼後回 収を備えるBoundary Damが建設中であり2014年の操業が計画されている。この規模の建 設中のプロジェクトは他に存在しない一方で、16 件の燃焼後回収発電プロジェクトが計画 段階にある(付属資料C)。

発電部門における燃焼後回収技術は、一般的に利用可能なアミン吸収プロセスから派生し たものであり、現在は比較的小規模で行われている。これらの技術を商業的に利用するた めには相当の再設計及びスケールアップが必要となる。近い将来に利用可能とみなされる 技術はすべて吸収プロセスを利用しており、石炭火力発電所から抜き出した 5~25MWe 以 下の規模に相当するガス量で試験が実施されている。

水 NOX除去 灰除去 硫黄除去 CO2回収

選択 触媒還元

電気

集塵装置 排ガス脱硫 微粉炭

焚きボイラ

蒸気タービン 石炭

空気

電力 フライアッシュ 石膏/廃棄物 圧縮及び貯留、

EOR又はその

他の用途のため のCO2

CO2除去 排ガスは 煙突へ

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