• 検索結果がありません。

プロジェクトの詳細

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 35-61)

2 プロジェクト

2.2 プロジェクトの詳細

記載されている LSIP のほとんどは北米及び欧州に存在する(図 9)。具体的には、米国に 25件、欧州に21件のプロジェクトがあり、すべてのLSIPの62%を占めている。さらにカ ナダ(9件)、豪州(6件)、中国(6件)が続く。欧州内では英国が最多のプロジェクト件数(7件) を有しており、次にオランダ(4件)及びノルウェー(3件)が続く。現時点では、日本、インド、

ロシアなどのその他の重要な排出国では、LSIPは特定されていない。

図9 地域別及び年別LSIP

任意の年にこれら74件のLSIP で貯留することが予想されるCO2量は、場所及びプロジ ェクトライフサイクル全般において潜在的な活動レベルを示す別の指標となる。

米国は、プロジェクト件数だけでなく回収CO2量に関しても最も活発な地域である(図10)。

各年の潜在的CO2貯留量を見た場合、6カ国(米国、英国、オランダ、豪州、カナダ、中国)

がCCS活動の86%を占めている。

米国 欧州 豪州・ニュージーランド

カナダ 中国 中東 その他のアジア諸国 アフリカ

プロジェクト件数

21

図10 地域別又は国別の潜在的CO2貯留量

本報告書で取り上げた74件のLSIPを図11の地図上に示し、北米、欧州については図12、

図13にもそれぞれ示した。これらの地図ではプロジェクトの産業部門及び貯留タイプも示 している。またこれらの図中では、付属資料 C の詳細なプロジェクトリストに対応する参 照番号を用いてプロジェクトを特定した。

米国 欧州 カナダ 豪州・ニュージーランド 中国 中東 その他のアジア諸国 アフリカ

潜在的CO2(Mtpa)

計画 実行 操業

22

図11 産業別LSIP世界地図

詳細については地域図を参照

世界のLSIP 産業部門

発電 ガス精製 複数の回収施設 その他の産業 EOR(石油増進回収) 深部塩水層 枯渇した油ガス層 各種/明示せず 貯留タイプ

23

米国

米国は最も動きのある市場であり、以下のような特徴を有する。

・ 操業中(4件)、建設中(3件)及び開発計画中(18件)のプロジェクト件数が最多である。

・ 3件のプロジェクトは、今後12ヶ月の間に最終投資判断を下すかどうかの判断が可能な 状態になることを明らかにしている。

・ 昨年、最多件数のプロジェクトが保留(5件)又は中止(3件)となった。

・ 政府によって多額の実証プロジェクト資金が提供されている。

このようなレベルのプロジェクト活動は、本章で前述されたCO2 EORシステムによる機 会が提供されていること及び米国が最高額の政府補助金を特定のプロジェクトに配分して いること(第4.2節)によって裏打ちされている。この点、資金配分プロセスが依然として懸 念され、さらにはEOR機会の成熟度が米国よりも低い、世界の他の数多くの地域とは対照 的である。

米国では CO2が工業プロセスの一部として既に「回収」されており(例えばガス精製及び 肥料生産)、そのCO2を用いる機会が存在する産業は勢いづいている。これらの産業では、

純度の高いCO2流が手元にあるため、圧縮、輸送及び貯留に注力している。EORが最多の 米国では、これら CO2回収源、パイプライン及び油田事業者の間で取引を成立させる上で の強いインセンティブが存在する。

しかしながら、発電及びSNGなど回収コストが相対的に高い場合は、CCSに関する強力 なビジネス事例を創出するのは容易ではない。例外も存在しており、例えば、テキサス・

クリーン・エネルギー・プロジェクトに代表されるような、複数の質の高い生産物を複合 発電モードで生み出す石炭火力発電所を挙げることができる。これらの複数の生産物には、

電力、高付加価値の化学物質及びCO2などがある。

米国において現在までに実現可能なビジネス事例を創出し「実施」段階に移行している発 電プロジェクトは1件(Kemper County)である。その他のプロジェクト、例えばAntelope Valley プロジェクト及び AEPの Mountaineerプロジェクトは、多額の政府融資を受けているにも かかわらず「実施」段階に進むことができず保留状態になっている。これは、国内の炭素 関連法令が存在しない場合(及び、相対的回収コストが高いことを考慮した場合)、CCSを発 電プロジェクトに適用しビジネス事例を創出するためには、一連のインセンティブが必要 なことを示している。このような一連のインセンティブには、以下の項目のすべて又は一 部を含む。

1. 多額の連邦政府補助金(数億ドル以上の規模)の継続及び承認されたプロジェクト所有者 にしばしば先行者としての税優遇の追加。

2. 回収設備操業費増大を補填するため又は低炭素ポートフォリオ義務を満たすため、州が 電力料金による回収(一部又は全額)を認める準備を整える(例えば、カリフォルニア州の

「温暖化対策法 (Climate Legislation AB32)」)。

3. CCS を用いるプロジェクトの資本コスト及び操業費の追加分を補填するためのローン

24 保証及び税額控除。

4. EOR 用 CO2を含むその他の有価生成物の販売を通じて収入を生み出すためのオフテイ

ク(取引量)契約。

2011年中の顕著な展開として、新たな所有者として有望なSCS Energy LLCとの契約を期 待し、Rio Tinto及びBPが、水素エネルギー・カリフォルニア・プロジェクトから撤退した ことが挙げられる。SCS Energy LLCは、テキサス・クリーン・エネルギー・プロジェクト と同様の複合発電施設として同プロジェクトを再構成することを意図している。

米国の七つの炭素隔離地域パートナーシップ(Regional Carbon Sequestration Partnerships, RCSP)が実施している事業に注目することは重要である。これらパートナーシップは数多く のCCS手法の利点を比較調査する全国ネットワークを形成しており、これにより、世界の 他地域に幅広く適用可能となる、米国の異なる地域にとって最適なCCS手法を見極めるこ とができるようになる。パートナーシッププログラムは、NETLが管理している。

パートナーシッププロジェクトの一つ(中西部地層貯留コンソーシアム(MGSC)イリノイ 盆地-Decatur 試験圧入)が、2011 年後半に圧入を開始することが予想される。CO2はイリノ

イ州Decaturに所在するArcher Daniels Midland(ADM)エタノール工場から回収され、圧縮後

に付近の深部塩水層内に圧入される。計画されている回収・圧入量(CO2 1,000 トン/日、す

なわち 36 万 5,000 トン/年)は大量であり、当インスティテュートの産業施設を対象とする

LSIPの規模判定基準に非常に近い。この試験圧入プロジェクトは3年間操業することが予 想され、総CO2圧入量は約100万トンになる。当インスティテュートのLSIPリストにはこ れよりも大規模な、もう 1 件のプロジェクト(ADM エタノール工場から回収された 1Mtpa のCO2を用いるイリノイ州ICCS プロジェクト)が含まれており、これは現在「実施」段階 にある。

25

図12 北米の産業別LSIP地図

北米のLSIP 産業部門

発電 ガス精製 合成天然ガス 肥料生産 石油精製 石炭液化 エタノール工場 水素

EOR(石油増進回収) 深部塩水層 各種/明示せず 貯留タイプ

26

カナダ

カナダの CO2排出削減戦略では、CCS が引き続き主要な役割を果たしており、プロジェ クトのための政策制度及び資金援助基盤の進展において、州レベルで大きな前進を遂げて いる。CO2 EOR及びオイルサンドの可能性が、引き続きCCSプロジェクト開発の動機とな っている。

過去12ヶ月でプロジェクト開発に対して影響を与えた主な要素は、以下のとおりである。

・ 2011年5月、アルバータ州「CO2貯留借地権規則(Carbon Sequestration Tenure Regulation)」

に基づき、ShellがQuestプロジェクトのためのCO2貯留権を申請した。Shellは、財政、

許認可及び地域社会による承認に関する課題が順調に進展した場合、2012年中に最終投 資判断が可能と述べている。

・ 2011年4月、SaskPowerは、サスカチュワン州政府よりBoundary DamのCCS部分の進 行に対する承認を得た。

・ 2011年3月、アルバータ州政府は、CCSの全要素に関する世界で通用する規制の策定を 目 的 と す る 大 規 模 な プ ロ ジ ェ ク ト で あ る 「 規 制 枞 組 評 価(Regulatory Framework Assessment)」プロセスを開始した。

・ 2011年2月、アルバータ州政府がアルバータ州CO2幹線パイプライン(ACTL)に関する4

億9,500万カナダドルの補助金契約をEnhance Energyと締結した。この決定はアルバータ

州エネルギー資源保護委員会によるパイプライン建設の承認を得たことで、更に強化さ れている。

・ 2010年11月、アルバータ州政府がCCS実証に重要ないくつかの障壁に対処することを 目的とする「CO2回収貯留規則改正法(Carbon Capture and Storage Statutes Amendment Act)」

を導入した。特に、同法は既存の法律を改正し、CO2 を貯留するための孔隙空間の利用 を模索する企業向けの仕組み並びに監視及び閉鎖計画に対する関連要件を規定している。

この法律により、アルバータ州は一定の条件が満たされた後は、貯留 CO2について長期 的な責任を負うことになる。これらの条件については「規制枞組評価」を通じて現在策 定中である。2011年4月には、孔隙空間借地権申請条件を設定した「CO2貯留借地権規 則」が公表された。

カナダでは以下のプロジェクトを含む堅調な大規模CCS実証プログラムが継続中である。

・ Great Plains/Weyburn-Midaleプロジェクト-約3MtpaのCO2圧入を継続中。

・ 「実施」段階にある2件のプロジェクト-Boundary Dam 及びACTLを用いるAgrium CO2

回収。

・ 2012年に最終投資判断を下すかが決定されると思われる3件のプロジェクト-政府によ る2億8,500万カナダドルの資金援助契約を締結済みであるSwan Hills Synfuels、8億6,500 万カナダドルの資金援助契約を締結済みであるQuest及び7億7,900万カナダドルの資金 援助の交渉が進んでいるProject Pioneer。

27

図13 欧州の産業別LSIP地図

欧州のLSIP 産業部門

発電 ガス精製 鉄鋼生産 水素生産 その他の産業 EOR(石油増進回収) 深部塩水層 枯渇した油ガス層 各種/明示せず 貯留タイプ

28

欧州

2010 年報告書発行以降、欧州で最も重要な展開がみられたのは欧州連合(EU)加盟国であ る。加盟各国は、NER300融資プログラムの第1回融資のために欧州委員会(EC)へCCSプ ロジェクトに関する報告を行っている。2011年5月には、欧州投資銀行(EIB)の評価を受け るため、合計65件の再生可能エネルギープロジェクトと13件のCCSプロジェクトに関す る提案書がECに提出された。ECは2012年後半にNER300融資プログラムの第1回融資の 結果を明らかにする意向である。NER300プログラム全体からの融資で4~6件の大規模CCS プロジェクトを支援可能であると思われるが、同融資は申請されたプロジェクトの質及び 競争入札で決定された支給金の金額に左右される。これらの支援を受けたプロジェクトは、

融資決定の通知後4年以内に操業すると期待されている。報告された13件のCCSプロジェ クトを表2に要約した。

表2 NER300のため欧州委員会へ提出されたCCSプロジェクト申請

CCSプロジェクト分類 提出されたプロジェクト名 プロジェクト件数 発電(燃焼前) ・C.GEN North Killingholme(英国)

・Don Valley(英国)

・Eston Grange CCS(英国)

3

発電(燃焼後) ・Getica CCS実証(ルーマニア)

・Bełchatów(ポーランド)

・Porto Tolle(イタリア)

・Longannet(英国)

・Peel Energy CCS(英国)

・Peterhead Gas CCS(英国)

6

発電(酸素燃焼) ・UK Oxy CCS実証(英国)

・Vattenfall Jänschwalde(ドイツ)

2

産業応用 ・ULCOS-高炉(フランス)-鉄鋼製造

・Green Hydrogen(オランダ)-水素製造

2

CCS関連の提出から、以下のとおり考察できる。

・ 7カ国がNER300融資プログラムの資金を求めてECへプロジェクトを申請した。

・ 発電部門の三つの分類にわたる7件のプロジェクト案が、英国政府により提出された。

・ 英国政府のみが、発電の燃焼前分類についての申請書を提出した。

・ 大多数のプロジェクトは発電関連であり、一般的にこれらプロジェクトの回収技術は貯 留要素よりも成熟度が高い。

・ 欧州では、沖合貯留を提案する尐なくとも 9 件のプロジェクトに関して、回収された CO2の「戦略的に重要な」沖合貯留サイトの特定と許可取得が、落札する上での鍵にな

ドキュメント内 The Global Status of CCS: 2011 (ページ 35-61)

関連したドキュメント