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調 査

ドキュメント内 Microsoft Word - 71_第7章_嵩上げ拡幅.doc (ページ 194-200)

導 材

2) 調 査

河川における土工事の施工中に特定有害物質による汚染の可能性のある地盤に遭遇した場 合には、汚染状況を把握すること及び対策工の立案に必要な調査を適切に行うものとする。

(解説)

河川区域内での土工事中に特定有害物質による汚染の可能性のある地盤に遭遇した場合、

実施しなければならない調査は、以下の3種類がある。

(1) 緊急調査

(2) 資料等調査

(3) 汚染状況調査

ただし、土壌汚染対策法や自治体の条例の適用を受ける場合には、これらの法令で定め られた調査を実施しなければならない。一般的な調査から地盤汚染対策の実施に至るまで の手順としては、図7.6.2に示すものがある。

調査に際して、汚染原因が敷地外にあることが想定される場合は、工事上の安全確保は もちろんのこと、作業員や周辺住民の健康被害に関わる問題であるので、速やかに自治体 を含む関係機関に相談することが望ましい。また、調査は、その結果を計量証明書として 公的機関に報告する必要があることから、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関を介して 実施するものとする。

No 地形図 既往

ボーリング 既設 井戸

航空写真

住宅地図 登記簿 特定有害物 質の届出

廃棄物 処分場台帳

地盤構成 帯水層状況 地下水利用状況 土地利用履歴 有害物質使用履歴

保全対象の確認 対象有害物質の絞り込み

調査計画立案

揮発性有機化合物による 汚染の可能性はあるか

土壌調査 地下水調査

分析試験(公定法:溶出量、含有量) カラム試験(影響検討) 分析試験(公定法) 地下水位 土壌ガス調査

地盤構造 帯水層構造

地下水位分布 流向・流速

汚染濃度分布

(水平・鉛直)

地下水利用状況

(保全対象)

汚染の進行状況の把握、汚染源・汚染機構・汚染範囲の絞込み 補足調査 Yes

【凡例】

必要な調査 必要に応じた調査

(検出時のみ)

汚染の可能性のある地盤に遭遇

緊急調査

(公定法・簡易法による有害物質の分析)

図 7.6.2 特定有害物質による汚染地盤の一般的な調査フロー

(1) 緊急調査

河川土工の現場において、通常の状態ではない地盤に遭遇した場合は、実態を把握する ため、緊急調査を行なわなければならない。

河川区域内の土工事において外観での確認や五感を通じて発見される地盤汚染に遭遇 するケースは、以下のような状況が考えられる。

• 焼却灰や廃材を混入する廃棄物の掘削

• 朽ちたドラム缶や石油缶から内容物の漏出

• 刺激臭や異臭、異様な色を呈した土壌・地下水の認知

• 掘削土を残土として処分する場合に受け入れ側基準に従う分析を行なって判明す る場合

• その他

また、汚染物質の種類により、以下に示すような特徴を有するものもある。

• 六価クロムなどは、濃度が高い場合、黄色に着色しているケースがある。

• シアンは青色に着色しているケースがある。

• 砒素やカドミウムなどは視認することは困難であるので注意が必要である。

• PCBは少量でも毒性が大変高いので注意が必要である。

• 水銀は重金属であるが揮発する場合もある。

河川土工の現場において、通常の状態ではない地盤に遭遇した場合、まず地盤汚染であ るのか否か、含まれる物質が特定有害物質であるのか否かを緊急に調査する。

具体的にはその土壌試料と周囲の水を採取し、環境省告示第 16~19 号(平成 15 年 3 月6日)に規定されている測定法または適切な簡易測定法(簡易分光光度法、簡易比色法、

検知管、ガスモニター等)による分析を行なう。

なお、簡易測定法については、「土壌・地下水汚染の調査及び対策実務」((社)土壌環境 センター)等を参照されたい。特定有害物質としての分析対象については巻末の参考資料に 示した「各特定物質の基準値」に示されている25項目とする。

分析結果から、特定有害物質が特定された場合は、特定された有害物質を中心として資 料等調査や汚染状況調査を進める。また、緊急調査の結果から、有害物質の濃度が高く、

作業員への曝露等のおそれがあると判明した場合には、安全確保等のための応急措置

(7.6.1 5) )安全確保等のための応急処置 参照)を検討する。

一方、緊急調査により当該土壌に有害物質の存在が認められない場合についても、周辺 において、より濃度の高い有害物質が存在している可能性もあるので、資料等調査や汚染 状況調査を行い、有害物質の有無を把握する必要がある。

(2) 資料等調査

河川土工において特定有害物質による汚染地盤に遭遇した場合は、対策等の計画立案の ために、既存資料等に基づいた調査を適切に行うものとする。資料収集は、以下に示す1)

~4)の4項目について行う。

なお、これらの資料は、以後の汚染状況調査から地盤汚染対策、およびモニタリングま での検討における基礎資料とする。

(a) 地盤構成

特定有害物質による土壌汚染、地下水汚染などの汚染経路の推定を行うため、以下の 項目について調査する。

• 水文地質の状況、特に水系、地下水盆

• 地下水の流向、流速

• 地形、地質

水文地質状況等を調査する場合には、遭遇した汚染現場から上流側を重点的に実施す る。必要に応じて現地踏査を行う。

(b) 帯水層状況

既往のボーリング資料等をもとに、以下の項目について調査する。

• 帯水層の透水性、

• 帯水層の分布・連続性

• 地下水位

(c) 地下水利用状況

保全すべき対象として、以下の項目について調査する。

• 対象箇所周辺の既設井戸等、

• 地下水の利用状況

• ため池の分布、構造

• その他

(d) 土地利用履歴・有害物質使用履歴

汚染の原因を推定するため、以下の項目について調査する。

• 汚染箇所とその周辺の土地利用履歴

• 周辺地域での特定有害物質使用履歴

• 有害物質に係る廃棄・排出などの履歴調査

• 過去の地形図、住宅地図、空中写真などを収集・整理

• 必要に応じて現地踏査

• 必要に応じて周辺の施設、官公庁、住民などを対象としたアンケートや聞き取り 調査

(3) 汚染状況調査

河川土工において汚染地盤に遭遇した場合は、汚染の三次元的広がりを把握し、地盤汚 染対策及びモニタリングの検討に必要な情報を得るため、汚染状況調査を行なうものとす る。

調査計画の立案にあたっては、資料等調査で得た情報等をもとに、あらかじめ汚染源、

汚染範囲および汚染機構について仮説を立て、これを調査によって検証する形で進めるこ とが望ましい。

(a) 調査範囲

汚染状況調査の範囲については、資料等調査の結果に基づき、保全すべき対象や汚染 濃度が高いと想定される範囲、汚染源の位置関係、周辺の地盤条件、特定有害物質の種 類・性質などを考慮して設定する。

汚染源が敷地外にある「もらい汚染」の場合、あるいは汚染が敷地外に拡散している 可能性が高い場合には、用地外側の調査の必要性について、自治体を含む関係機関と協 議することが望ましい。

(b) 調査内容

調査項目は、以下のように特定有害物質の種類に応じて選定する。

• 揮発性有機化合物に対しては、土壌ガス調査を主体とし、土壌調査(土壌溶出量)

および地下水調査も併せて行う。

• 揮発性有機化合物以外の有害物質に対しては、土壌ガス調査は必要なく、土壌調 査(土壌溶出量および土壌含有量)および地下水調査を行う(土壌含有量は重金 属等に対してのみ)。

なお、特定有害物質の測定方法は、汚染範囲を絞り込む場合では簡易測定法でもよい が、汚染の有無を評価する場合では公定法(土壌ガス調査(平成15年3月6日環境省告示 第16号)、土壌溶出量調査(平成15年3月6日環境省告示第18号)、土壌含有量調査(平 成15年3月6日環境省告示第19号))による。

(c) 調査の留意点

調査に際しては、その調査によって汚染を拡大・拡散させること(二次汚染)を防止 するよう細心の注意を払うものとする。

また、試料の運搬などに当たっては、運搬中に化学的な性質が変化しないよう留意す る。

(4) 調査結果の評価及び利用

対策を実施すべき範囲は、調査結果を指定基準をもとに評価して設定するものとする。

また、確認された汚染が自然的原因によるものかどうか、汚染源が当該工事区域外にあ る(いわゆる「もらい汚染」)かどうかを判断し、適切な処理を行なわなければならない。

なお、これらの評価結果は、影響検討、地盤汚染対策、モニタリング等の検討の際の資 料として利用するものとする。

(a) 調査結果の整理

各調査結果は以下の観点から整理するものとする。

① 特定有害物質の種類、濃度および深度

② 地下水位(汚染が地下水まで達しているか)

③ 地下水の流向・流速

(b) 汚染の除去等の措置を実施すべき範囲の設定

①汚染土壌の場合

平面範囲は、10m×10mのメッシュで実施した汚染状況調査の結果、「基準値に適合 しないことが認められた区域」とし、深度範囲は、深度1m毎に実施した汚染状況調査 の結果、「基準値に適合しないことが認められた深度」以深の「基準値に適合するこ とが認められた深度」までの範囲とする。

②汚染地下水の場合

汚染の除去等の措置を実施すべき汚染地下水の範囲は、地下水基準に適合しない範 囲を基本とする。

(c) 自然的原因によるものかどうかの判定

汚染が自然的原因によるものかどうかの判定は「土壌中の特定有害物質が自然的原因 によるものかどうかの判定方法」(「土壌汚染対策法の施行について」(環水土第20号,

平成15年2月4日)(巻末の参考資料を参照)に基づいて判定する。

なお、汚染が自然的原因によるものと判定された場合にも、工事の中で土壌汚染対策 の対象となっている場合があるので、留意が必要である。特に自然的原因による汚染土 を当該工事区域外に搬出する際は、汚染土と同じ取り扱いをしなければならない。

①「もらい汚染」と判断された場合の対応

汚染土壌がもらい汚染と判断された場合において当該工事区域内で汚染土の除去 等を行う場合は、汚染を工事区域外に拡散させるおそれがあるので、自治体を含む関 係機関と協議することが必要である。

②調査結果の利用

上記①に示した調査の結果は、地盤汚染対策、モニタリングを検討する上で必要と なる他、土壌汚染対策法の適用の有無を検討する際にも必要となる。

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