一般に、国内の施工現場においては、遮水シートとして純ポリ塩化ビニールのシボ(突 起:標準菱形)付きのものと、シボがついていない平滑なシートの2種類が使用されてい る。また、シートは被覆材(補強布付繊維性フェルト、厚さ10mmなど)と一体となってい る。
③ 材料の保管
現場に搬入された遮水シートは、劣化防止の観点から直射日光にさらされないよう、シ ートがけ等を行って保管する。
c) 遮水シートの継ぎ目部における重ね合わせ幅
隣り合う遮水シートの重ね幅は、一般に15cm以上としている例が多い。ただし、特殊 な場合には(のり面が一様でない、縦断方向に敷設するなど)、重ね幅をさらに大きく とる必要がある。
施工区間の端部継ぎ手や小規模な構造物(水位計、キロ杭など)がある場合は、構造 物等に貼り付けた止水シートと遮水シートの重ね幅は図7.2.4及び写真7.2.1に示すよ うに20cmとする。ただし、端部で曲線となるよう特殊な条件がある場合には、重ね幅を さらに大きくとる必要がある。
10cm以上
20cm以上
止水シート 遮水シート+補強マット 接着
横帯工・小口止工
護岸
図 7.2.4 端部のシートの重ね図
写真 7.2.1 端部のシートの重ね状況
d) 覆土
遮水シートの流出防止のため、覆土を行う。覆土厚は、50cm程度とすることが多い。
遮水シートの上面に直接覆土を行う場合には、土砂の滑落が生じないように十分な転圧 を行って仕上げるものとする。また、シート上面に、押えの目的で覆土ブロックを施工 することが多い。
e) 覆土や護岸の施工時におけるシートの破断・ズレへの対応策
遮水シートの敷設後に、その上面に覆土やブロック張りの護岸を施工する場合には、
遮水シートの損傷、引っ張りによる破断またはズレを防止しなければならない。
万一、覆土やブロック張りの護岸施工の際に、遮水シートが損傷、破断またはズレた りした場合には再度、遮水シートの敷設を行い、遮水性を確保しなければならない。
なお、部分的に遮水シートの破断箇所を補修する場合には、当該部分に所要のシート の重ね幅を確保しなければならない。
f) 残留水圧や流水等に起因するはらみ出し・浮き上がりへの対応策
表のり面被覆工として遮水シートを敷設した後、降雨の浸透や流水等に起因する残留 水圧によって、シートにはらみ出しや浮き上がりが発生する場合がある。このような場 合の対応方策には、排水機能付きの遮水シートへの変更をする場合もある。
遮水シートの排水機能を確保するためには、図7.2.5及び写真7.2.2に示すようなウィ ープホールを設置する事例がある。
護岸ブロック 遮水シート用
ウィープホール
遮水シート 砕石
遮水シート用 ウィープホール
図 7.2.5 シート用ウィープホールの設置概念図
写真 7.2.2 遮水シート用ウィープホールの設置状況
① ドレーン工法の施工
既設河川堤防の耐浸透機能強化対策をドレーン工法によって行う場合は、堤防強化対策の基 本的考え方、および工事の設計内容を理解するとともに、既設堤防の堤体、基礎地盤および周 辺状況などの諸条件を把握して、ドレーン部・フィルター部・堤脚水路と既設堤体が一体とな って所定の耐浸透性機能が確保できるよう適切に施工するものとする。
(解説)
ドレーン工法は、図7.2.6に示すように、既設堤防の裏のり尻部に透水性材料で構成さ れるドレーン部を設置し、降雨あるいは河川水の浸透によって堤体内に形成される浸潤面 を低下させる。さらに、堤体の一部をドレーン材料で置換えることにより、せん断強度の 向上を図り、堤防の浸透に対する安全性を確保しようとするものである。
ドレーン工法は、図7.2.6に示すような部分から構成されている。
a) ドレーン部・・・洪水時に堤体に浸透した降雨ならびに河川水を集め、排水する。
ドレーン部は中詰め用の石材と、必要に応じてこれを包むかご材か ら構成される。
b) フィルター部・・堤体を構成する土粒子が移動してドレーン部に目詰まりが発生する ことを防止する。吸出し防止材を使用する場合が多い。
c) 堤脚水路・・・・ドレーン部からの排水を受けて所定の流末に導く。
d) その他(縦・横断パイプ)
・・・基礎地盤が軟弱な場合において、のり尻部に堤脚水路を設置すると、
排水された水が堤体に浸透することによって堤体の安定を損なう 恐れがあることから、のり尻部から離れた場所に排水路を設ける。
裏のり尻から排水路までの距離は、川裏側に確保されている用地の 状況によって 5m~10m程度の事例がある。
この場合、ドレーン部と排水路を縦・横断パイプで結び、ドレーン 部からの排水処理を行う。このとき、堤体横断方向の有孔パイプは 堤防延長方向に 20m毎に設置している事例がある。また、泥炭地盤 上では、施工後の圧密沈下によって、堤体横断方向の有孔パイプが 逆勾配になることを防止するため、ドレーン施工後、一定期間経過 後に、堤体横断方向の有孔パイプを布設する事例もある。
図 7.2.6 ドレーン工法の基本的な構造
② 材料の選定
ドレーン工法に用いる材料は、設計された耐浸透機能が確保されるよう適切に選定するもの とする。
(解説)
a) ドレーン部の材料
一般に、ドレーン部の材料については、中詰には砕石が使用される。また、必要に応 じてかご材が用いられる。
・かご材
かご材には、一般に表7.2.2に示す鉄線かご(以下 かごマット という)が用いら れている。
表 7.2.2 かごマットの仕様
かごマットの厚さ 30cm かごマットの厚さ 50cm 名 称
鉄線径 枠および骨線径 鉄線径 枠および骨線径
蓋金網 4.0mm 5.0mm 5.0mm 6.0mm その他の金網 2.0mm 4.0mm 4.0mm 6.0mm
かごマットの網目の大きさは、内部に詰められた中詰用の砕石が出ない大きさとし、
蓋金網部で小さく、その他の金網部で若干大きくするのが一般的である。写真7.2.3に かごマットの組み立て状況を示す。
写真 7.2.3 かごマットの組み立て状況
・中詰用の石材
中詰用の石材は、以下のような事項を満足する材料を選定する。
(ⅰ) 堤体あるいは基礎地盤から浸出する浸透水を小さな損失水頭で排水できるも の
(ⅱ) せん断強さの面から、内部摩擦角φが概ね 40°以上を有するもの (ⅲ) 施工時や施工後に劣化して細粒化しないもの
一般にかごマットの厚さにより中詰用の石材は、以下の事項を参考に選定する。
・かごマットの厚さが 30cm の場合、直径 5cm~15cm の天然石や割ぐり石 ・かごマットの厚さが 50cm の場合、直径 15cm~20cm の天然石や割ぐり石
b) フィルター材料
フィルター材料は、天然材料と人工材料に大別できるが、材料の入手の容易さ、品質 の安定性および施工性を考慮して、吸出し防止材あるいは目詰まり防止材と称される人 工材料(以下 吸出し防止シートという)を使用することが多い。
吸出し防止シートについては、「河川護岸用吸出し防止シート評価書」(国土交通大 臣認可)を有している製品のうち、表7.2.3に示す規格を満足しているシートを選定す る。
表 7.2.3 吸出し防止シートの規格
項 目 基 準 備 考
透 水 性 10-2(cm/sec)以上 JIS L204 準拠
厚 さ 10mm以上
引 張 強 度 1.0tf/m 以上 縦・横方向共
化学的安定性(強度保持率) 70%以上 10%以下 JIS K7114 準拠(PH5〜9) 耐候性(強度保持率) 70%以上 10%以下 JIS A1410・1415 準拠
なお、上記の評価書を有していない製品についても、別に「公的試験機関による技術 証明書」(表7.2.4参照)を有しているシートについては使用することができる。
表 7.2.4 「公的試験機関による吸出し防止シートの技術証明書」の内容
評 価 項 目 評 価 基 準 試 験 方 法
開 孔 径 ○95/D85≦1.0
(なお、○95≦0.2mm は上記判定不要) 振動式開孔径試験 垂直方向透水性 10-2(cm/sec)以上 JIS L204 準拠 引 張 強 度 1.0tf/m 以上(縦・横方向共) JIS L204 準拠 化学的安定性(強度保持率) 70%以上 10%以下 JIS K7114 準拠(PH5〜9)
耐候性(強度保持率) 70%以上 10%以下 JIS A1410・1415 準拠
摩擦(静止摩擦係数) μ≧0.5(適用勾配1:2以上)
0.3(適用勾配1:3以上)
(財) 国土技術研究セン ター統一試験
○95;ジオテキスタイル 95%開口径