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河川土工における建設発生土の有効利用

ドキュメント内 Microsoft Word - 71_第7章_嵩上げ拡幅.doc (ページ 155-160)

導 材

7.5.5 河川土工における建設発生土の有効利用

1) 有効利用に関する工事間の調整

(解説)

河川土工において建設発生土の有効利用を促進するためには、土砂を発生・搬出する工 事と土砂を受入れて有効利用する工事間において、取扱う土砂の場所、時期、量、品質、

概算費用などについて適切に調整を行っていく必要がある。

また、河川土工の工事間において行われている土砂の有効利用に係わる流れには、大別 して以下のような形態がある。

• 掘削土を、そのまま同一河川内の他工事に利用

• 掘削土を、同一河川内に設置した土質改良プラントやストックヤードを経由して、

同一河川内の他工事に利用

• 第三者の設置したストックヤードを利用して搬入して利用、または搬出・処理

上記の形態について、図7.5.3に、土砂発生側の工事から有効利用側の工事への土砂の 流れを模式的に示した。

図 7.5.3 建設発生土の有効利用における土砂の流れ模式図

(発生側から利用側へ)

河川土工における建設発生土は、有効利用を促進するため、工事間の利用調整等を 適切に行うものとする。

発生側

水位低下掘削 、改良材混合掘削等 の 実施、安定処理等の土質改良を実施

現場掘削 (浚渫)

受入側(利用側)

受入側現場内 で利用

良質土混合 、安定処理等 の土質改良 の実施

ストックヤード 仮置き

土質性状の改 良を行った発生土

天日乾燥、良質土混合 、安定処理等 の土質改良 を実施

土質改良プラント

粒度調整、安定処理等 の土質改良 を 実施

掘削土

(浚渫土)

※“ストックヤード”および“土質改良 プラント”は、第 三者機関 を使用する場合と発生側現場 (あるいは受 入側現場 )内に設置する場合の2種類がある。

掘削土 直接利用

(浚渫土)

2) 築堤材料に用いる土砂の選定

(解説)

河川堤防の築堤には、以下のような性質を備えた土砂がふさわしいとされている。

・ 敷きならし、締固めの施工が容易で、かつ締固め後の強度が大きいこと

・ 圧縮性が少ないこと

・ 河川水や雨水などによる侵食に対して抵抗力が大きいこと

・ 吸水による膨潤性が低いこと

建設発生土を河川堤防の築堤材料として有効利用する場合は、上記の性質を備えた良質 の土砂を優先して使用することが望ましい。

しかしながら、河川事業においては、従来から掘削した土砂を利用して築堤することが 事業の通例であり、掘削土を遠地に搬出・処分する場合に比較して経済的、効率的である 場合が多い。また、築堤には極めて大量の土砂を必要とすることから低品質の発生土を土 質改良や粒度調整等を行い、有効利用することも、併せて検討する。

表7.5.4に、河川堤防の築堤材料としての適用用途標準として、前掲の表5.3.2 の河川 堤防の欄を再掲して示した。

表 7.5.4 河川堤防の築堤材料としての適用用途標準

建設発生土を河川堤防の築堤に使用する場合の土砂は、築堤材料としての機能を満 足するように適切に選定もしくは改良するものとする。

評価 留意事項

第1種

第1種改良土

第2a種 最大粒径注意 透水性注意

第2b種

第2種改良土

第3a種 施工機械選定注意 第3b種 施工機械選定注意 第3種改良土 施工機械選定注意

第4a種

第4b種

第4種改良土

泥土a

泥土b

泥土c ×

第2種

第3種

第4種

泥 土 砂質土・礫質土及び これらに準じるもの 通常の施工性が確保される 粘性土及びこれらに準じる もの

粘性土及びこれらに準ずる もの

発生土の区分 第1種 砂・礫及びこれらに準じる

もの

(出典:「発生土利用基準」国官技第341号、国官総第669号、H16.3.31 より抜粋)

〔評価〕

〔土質改良の定義〕

〔留意事項〕

  透水性注意;透水性が高く、難透水性が要求される部位への利用が適さないもの

  施工機械の選定注意;過転圧などの点で問題があり、締固め等の施工機械の接地圧に注意を要するもの   「発生土」は表中の第1種~第4種および泥土に区分される。

含水比低下;含水比により利用可能

粒度調整;利用場所や目的によっては細粒分あるいは粗粒分の付加やふるい選別を行うことで利用可能

安定処理等;セメントや石灰による化学的安定処理、高分子系・無機材料を使用した改良材による土質改良を行うことにより利用可能   最大粒径注意;利用用途先の材料の最大粒径、または1層の仕上がり厚さが規定されているもの

 ◎;そのままで使用が可能

 ○;適切な土質改良(含水比低下、粒度調整、機能付加・補強、安定処理等)を行えば使用可能  △;評価が○のものと比較して、土質改良にコスト及び時間が必要

 ×;良質土との混合などを行わない限り土質改良を行っても使用が不適

3) 低品質土の築堤材料への有効利用

(解説)

河川土工の現場において堤防の築堤材料に低品質の発生土を有効利用しようとする場 合に行われている代表的な土質改良法には、以下のようなものがある。

① 含水比低下のための工法

・掘削予定地における地下水位低下のためのトレンチ掘削・・・掘削前

・仮置き乾燥ヤードにおける天日乾燥・・・・・・・・・・・・掘削後

・改良材と掘削土との混合・・・・・・・・・・・・・・・・・掘削前・後

② 築堤材料として必要な粒度調整のための工法・・・・・・・・・・掘削後 以下に河川土工で発生した低品質土砂を有効利用し、築堤材料として利用するために実 施されている代表的な工法について記述する。

なお、改良材を原位置で混合した土に対しては、六価クロム溶出試験を実施し、溶出量 が環境基準値以下であることを確認する必要がある。

(1) 掘削前の土質改良

地下水位の高い掘削現場において、掘削予定土の含水比を低下させるための工法とし て、表7.5.5に示すように掘削前に地下水位低下のためのトレンチを掘削する工法と、

改良材を原位置で混合して土質改良する工法がある。

表 7.5.5 掘削前の発生土の適用工法

河川土工において建設発生土の有効利用を促進するため、河川堤防の築堤材料に低 品質土を使用する場合は、これを適切に改良して用いるものとする。

分類 工法名

工法名

工法原理・特徴

 含水比の高い軟弱地盤の掘削時に石灰・セメント等の改良材を原位置で混合しながら掘削し、掘削土の含水状態とハンドリ ングを改善し搬出する方法。混合の方法には改良材を地盤に散布し、掘削機で撹拌する方法と予め石灰パイルを打設した地 盤面を表層から掘削することで土と改良材が混合される方法がある。

掘削前の適用工法

工法原理・特徴

水位低下(含水比低下)

 地下水位の高い砂質系の地盤を掘削する場合、掘削地山の地下水位を予め低下させ、掘削土自体の含水比を下げる掘削 補助工法。

 水位を低下させる方法は、トレンチ掘削の他、ウェルポイント工法等が多く用いられている。なお、ウェルポイント等の工法を 採用する場合、掘削地山周辺に遮水性の土留壁等を設置し、実施する場合が多い。

適用条件

★土の性状:砂質土系地盤

★所要面積:ウェルポイント工法の場合、ポンプ設置場所程度

★所要時間:トレンチ掘削の場合、1~2ヶ月程度、ウェルポイント工法の場合、排水開始後、数日間で掘削可能。

★機械設備:ウェルポイント工法の場合、集水管、揚水管、ウェルポイント、ポンプ、水槽。

改良材混合掘削

適用条件

★土の性状:砂質土系・粘性土系地盤

★所要面積:散布混合では、改良材(フレコンパック)置き程度、石灰パイルの打設では上記の他、打設機械の稼働スペース。

★所要時間:散布混合では特に待ち時間は不要。石灰パイルは打設して数日後から掘削。

★機械設備:石灰パイルでは、クローラークレーン、3点式ケーシングオーガー等。

改良土

石灰 パイル

軟弱層

石灰 パイル

(2) 掘削後に別の場所で行う土質改良

河川において掘削した低品質土を別の場所に運搬して改良する工法には、掘削した土 砂を表7.5.6に示すように、天日乾燥して含水比低下させる工法、他の土砂を混合して 含水比を低下させる工法、または複数の粒度の異なる土砂を混合して粒度調整を図る工 法、あるいはプラントにおいて安定処理する工法がある。

表 7.5.6 掘削した発生土の適用工法

4) 低品質土を改良して築堤材料に使用した事例

この事例は、土砂発生側の工事、および土砂利用側の双方の工事で、高含水比の低品質 土を改良して築堤材料に有効利用した事例であり、第7.1節に「高含水比の不良土を自然 乾燥によって改良した事例」として記述している。

工法名分類

工法名

水切り(含水比低下)

工法原理・特徴

 水を多量に含んだ掘削土を、水はけの良い地盤上に山状に仮置きし、

脱水を図る。

 安価であり、大量の掘削土を比較的早期に脱水でき、特別な設備は不 要である等の利点があるが、掘削土を仮置きするヤードの確保や流動 性のある土の場合は、仮置き場周囲を透水性のある擁壁で囲む等の工 夫をする必要がある。

適用条件

★土の性状:礫、砂礫、砂などの粗粒土。

★所要面積:1日~数日間の掘削土量に対応した仮置き可能な敷地。

★所要時間:1日~数日。

★機械設備:不要

天日乾燥(含水比低下)

工法原理・特徴

 土を平面上に薄く広げ、天日にさらして乾燥を待つ。

 含水比の低下を図るため、数日ごとに油圧ショベル等で撹拌や天地返 しを行う必要もある。

 安価であり、特別な設備は不要であるが、天候、季節、地域、掘削土 の土質等で効果に差が出る。

★土の性状:シルト、粘性土、有機質土、火山灰質粘性土が対象となる が、含水比があまり高くない泥土についても適用が可能である。

★所要面積:対象土と同等程度の良質土の置き場(数日分)が必要とな る。

プラント混合ではさらに50㎡程度のプラント用地が必要である。

★所要時間:施工する土構造物の規模、仕様による。

★機械設備:混合プラント、トラクターショベル等。

適用条件

★土の性状:砂質土系。粘性土系地盤でも適用可能であるが、撹拌(曝 気)を行わないと効果が低い場合もある。

★所要面積:広大な敷地が必要。できるだけ薄く広げる程、含水比低下 効果が期待できる。

★所要時間:数日~数ヶ月(土質により異なる。粘性土地盤の場合は 1ヶ月~2ヶ月程度の放置が必要な場合もある)。

★機械設備:油圧ショベル等(撹拌用)。

掘削した発生土の適用工法

プラント安定処理(安定処理等)

 定置式の混合プラントを用いて、発生土と改良材を所定の配合にした がって計量・混合する方法である。改良原理や期待する効果などは原位 置安定処理と同様であるが、巨礫やガラの除去も含めて品質の安定した 処理土とすることが可能で、発生土の性状変化にも対応が可能である。

★土の性状:全ての土に適用可能。ただし、対象とする土質性状に適応 した混合装置を選定する必要がある。

★所要面積:混合プラント用に100㎡以上必要である。この他、未改良土 および処理土を仮置きするスペースが必要である。

★所要時間:連続式では、処理能力50㎡/hが標準、バッチ式では1バッ チ(1~2㎡)当たり、2~5分程度のサイクルタイムが標準。

★機械設備:ミキサー、材料サイロ、ベルトコンベヤ、計量装置、ホッパー 良質土混合(含水比低下、粒度調整)

 粒度分の多い軟弱土に砂等の良質土を混合して粒径分布を変えるこ とにより、締固め特性を改善する。

 混合の方法としては、ミキサー等によるプラント混合と油圧ショベル等 を利用した現場混合があるが、軟弱土と良質土をサンドイッチ状に盛り 上げた状態でショベル等により掘削して混合する方法もある。

発生土

ホッパー ベルトフィーダ

スクリュー コンベア

改良材サイロ

ベルトコンベア 混合

処理土

細粒分の多い砂質土 または粘性土 処理土

砂などの良質土

ドキュメント内 Microsoft Word - 71_第7章_嵩上げ拡幅.doc (ページ 155-160)