3.6 B 粉末の影響
3.6.2 評価結果
1)
J
c測定結果図3.6-1にB粉末が異なる3種類のMgB2線材の4.2 KにおけるJc-H特性を示す。Aldlich 製B粉末を用いたMgB2線材で最も高いJcとなり、4.2 K、10 Tで13.7 A/mm2が得られた。ま た、Starck製B粉末で1.8 A/mm2、高純度化学製B粉末で0.2 A/mm2となったことから、Aldlich 製 B粉末を使用することで容易に高いJcを得られることが確認できた。また、高純度化学製B 粉末では、11 T以上では、超電導状態を示さなかった。
図3.6-1 B粉末が異なるMgB2線材のJc -H特性 0.1
1 10 100 1000
6 7 8 9 10 11 12 13
Magnetic field (T) Jc (A/mm2 )
Aldlich Starck 高純度
4.2 K
2) SEM観察結果
図 3.6-2に B粉末が異なる3 種類の混合粉末を示す。乳鉢による混合であったため、粉末の
外観色は、すべて B粉末と同様であり、これまでの結果から、Mgの周囲を Bで覆われた状態 であったと考えられる。また、高純度化学製B粉末においては、Mgへの付着が少なかった。
図3.6-3にB粉末が異なる混合粉末で作製したMgB2線材のMgB2コアのSEM観察結果を示 す。使用した B粉末で MgB2コアが異なり、Aldlich 製 B粉末を使用した MgB2の結晶粒径が 0.1~0.3 μm、Starck製B粉末を使用したMgB2の結晶粒径が0.5~1.0 μmとなり、使用し た B 粉末の粒径と相関性があることが確認された。一方で、高純度化学製 B 粉末を使用した MgB2の結晶は他と異なり、具体的な結晶粒径を判断できなかった。
a) Aldlich製 b) Starck製
c) 高純度化学製
図3.6-2 B粉末が異なる混合粉末のSEM観察結果
a) Aldlich製 b) Starck製
c) 高純度化学製
図3.6-3 B粉末が異なるMgB2線材のMgB2コアのSEM観察結果
3) 結晶構造回折結果
図3.6-4にB粉末が異なる3種類のMgB2線材のMgB2コアのXRDパターンを示す。高純度 化学製、Starck製のB粉末を用いたMgB2コアからは、MgB2ピークだけでなく、Mgピークも 確認されたのに対し、Aldlich 製のB粉末を用いたMgB2コアからは、MgB2ピークだけが確認 された。
図3.6-4 B粉末が異なるMgB2線材のMgB2コアのXRDパターン
4) TG-DTA測定結果
図3.6-5にAldlich製B粉末を用いた混合粉末のTG-DTA測定結果を示す。
TG 測定結果では、温度上昇に伴い重量減少を示し、その重量減少は、3.2~3.5 章で示した Starck製B粉末よりAldlich製B粉末の方が大きい傾向を示した。これは、Aldlich製B粉末 の方が微細であり、多くのO2やH2Oが表面に有したためと考えられる。
DTA測定結果では、520 ℃付近のシャープなピークと640 ℃付近のMgB2生成ピークが確認 されたものの、Mg融解の吸熱ピークは確認されなかった。従って、3.2~3.5章で示したStarck 製B粉末よりMgB2生成ピークが低温側にシフトすること、Mgの残存が確認されないことから、
MgB2への反応性が高くなることが示唆された。
図3.6-5 Aldlich製B粉末を用いた混合粉末のTG-DTA測定結果 高純度
30 40 50 60 70
2θ (dergee)
Intensity (a.u.)
◆Mg ●MgO
◆
◆ ●
◆
100
◆ 002
101 102
110
◆
高純度
Starck
Aldlich
-0.02 -0.018 -0.016 -0.014 -0.012 -0.01 -0.008 -0.006 -0.004 -0.002 0
0 100 200 300 400 500 600 700
Temperature (℃)
TG (%) Heat Flow (relative)
TG
DTA