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計測結果

ドキュメント内 山 田 髙 幸 (ページ 98-104)

第 4 章 オーバーレイ誤差の評価方法の開発

4.4 評価結果

4.4.1 計測結果

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(1) SEM画像の取得

作製された円錐状構造体のSEM写真の例をFig. 4-10に示す.Fig. 4-10 (a) はターゲット 基板上の1 mm角のセル全体写真で,底辺の半径が10 µmの円錐状構造体のほか,底辺の半 径がそれぞれ12.5, 15, 25 µmの円錐状構造体,および4種類のピラミッド状構造体が合計 128個一括して作製されている.これらすべてが10層の積層構造体であり,1バッチの積 層工程で作製されたものである.この中の一部を拡大した写真がFig. 4-10 (b) である.こ れは第1層の半径が10 µmのAl-Cu合金製積層構造体である.1層の膜厚は170 nmで10 層からなっている様子がわかる.SEMはあらかじめ標準サンプル(日立標準メゾスケール [9] )で校正済みであり,倍率4,000倍の画像の1 pixelは24 nmである.ターゲット基板 上にはこのようなパターンが複数あるので,観察したパターンを明示するためFig. 4-11に 示す表記を用いてパターンを特定する.

なお,SEM撮影時に観察方向が鉛直線からずれた場合,各層の高さの差に起因する系統 誤差が原理的に発生する.その量は,2層間の高さの差(1層の膜厚)をd,ずれ角をθと すると,

d・sinθ となる(Fig. 4-12).

今回の計測では鉛直方向からの観察に配慮したので,θは最大0.2 ºと見込まれる(SEM のステージチルト角の最小目盛りが1 ºなので,その±1/10とした).したがって,隣接レ イヤ間(d= 170 nm)の系統誤差は0.59 nm,高さの差が最大値1.53 µmの時(レイヤ1 と10),5.3 nmとなる.今回,対象とするF-1機の隣接レイヤ間オーバーレイ誤差が100 nm 程度であることを考慮すると,これは無視できるレベルと考えられる.ただし,構造体の 高さが増えたり,今後加工精度が改善されたりすれば,この要因を考慮に入れる必要があ る.

(a) Overview of the cell (b) Close-up view of the structure Fig. 4-10 SEM photographs of the TEG patterns

- 93 - (2) エッジ座標の抽出

本節では,手順(2)について説明する.SEM 画像から各円のエッジを抽出する作業は,

Scion Imageを用いて行う.このソフトウェアから計測対象の画像データを開き,座標計測

モードにして画像上をクリックすると,その画素のx,y値が記録される.具体的には,Fig.

4-13に示すように,10個の同心円の外側から矢印に示すように順番にエッジをクリックし てゆく.重要な決めごとは後の計算プログラムとの対応で外側から内側に向かってクリッ クすることで,8本の動径の位置や順序は任意である.このため異物がある場所やコントラ

Fig. 4-11 Notation of observed patterns on the target substrate

Fig. 4-12 Systematic error caused by observation direction 観察方向

θ

d d・sin θ

Layer (n-1)th Layer nth

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ストが不鮮明な部分を避けることができる.合計 80 点を抽出するのに要する時間は,約

5 minである.なお座標原点は,画像左下とした.

Scion Imageの操作画面をFig. 4-14に示す.SEM画像を拡大表示することで,各円の エッジ部分が判別でき,クリックした点は黒く表示される.そしてこの点の座標が,テキ ストファイルに出力される.この図においてエッジは白い(明度の高い)領域であるが,

その幅は数pixelある(1 pixelは24 nm).その理由として,サンプルの段差が必ずしも垂 直ではない(膜厚170 nmの薄膜の断面がテーパーになっている)ことや,SEMの性能や 設定(フォーカスやコントラスト)が考えられる.

Fig. 4-15は,出力したテキストファイルの例と,確認のためこれをエクセルで読み込み

散布図にプロットしたものである.テキストファイルには,画像上でクリックした順番に 80点のx,y座標がcsv形式で記録されている.

上記のように本方式では,目視により各円につき複数のエッジを抽出することを特徴と している.SEM画像を半導体プロセスの寸法計測に用いることは一般的であり[10],画像 処理により自動的にエッジを抽出することも可能であるが,下記 2 つの理由により目視に よりエッジを判定した.

① 評価パターン自身の問題として,エッジに異物などが付着している場合がある.

この時は画像処理において正しく円のエッジを認識できない.同心円パターン の設計上の半径の差は0.5 µmであり,2つの円のエッジのギャップは0.5 µm

±オーバーレイ誤差量となり,実際のギャップは0.1 µm程度の場合がある.そ のため,その程度の直径の異物が付着してもエッジ抽出にエラーを生じる.

② 画像形成時の問題として,SEM画像の明度やコントラストが必ずしも一定では ない.これにより画像処理時にエッジが正しく抽出できないことがある.

ただし目視によるエッジ抽出には作業者の差や再現性に懸念があることから,目視によ るエッジ抽出による計算結果の繰返し性を次節で評価する.これは目視による認識だけの 問題ではなく,画像処理においても生じる共通の課題である.

Fig. 4-13 Edge extraction of concentric circles

- 95 - (3) 最小二乗法による円の計算

ここでは追補1で述べた行列計算プログラムとFig. 4-15に示したエッジ抽出ファイルを 用いて算出した10層の最小二乗円をFig. 4-16に示す.左の表は,行列計算ソフトウェア

Scilabによる計算結果の出力ファイルで10層分の円の中心座標と半径がcsvファイル形式

で書き出されている.また右のグラフは Scilabのプロットコマンドによるグラフで,エッ ジ抽出点(赤丸)と,算出された最小二乗円(青線)を重ねてプロットした図である. こ のプロットとFig. 4-10に示したSEMの元画像を対比させれば,各円が正しく算出できた か どうかを 確認する ことがで きる.計 算に要する時 間は標準 的なデス クトッ プ PC

(Pentium 4, 3.6GHz)で1-2 sである(グラフ描画を含む).

Fig. 4-14 Operation view of edge extraction by Scion Image

Fig. 4-15 Confirmation of the extracted edges

- 96 - (4) オーバーレイ誤差の算出

行列計算ソフトウェアScilab による計算結果の出力ファイルをエクセルで読み込み,オ ーバーレイ誤差の算出結果をTable 4-2に示す.表中で水色のハッチング部分がcsvファイ ル部分である.円の中心座標や半径の単位は元画像のピクセル値なので,これをあらかじ め校正したスケール値(黄色のハッチング部分)を乗じてナノメートル単位に変換する.

オーバーレイ誤差としては2種類算出する.ひとつは隣接レイヤ間誤差で,もう一方は第1 層基準誤差である.第1層基準誤差は,隣接レイヤ間誤差を累積したものとなる.

Fig. 4-17は結果のプロットである.Fig. 4-17 (a) は各レイヤの半径のプロット,Fig. 4-17 (b) は第1層基準のオーバーレイ誤差をプロットしたグラフである.このように,最小二乗 円法により各円の半径および中心座標の変動が得られた.各円の半径は,レイヤ数の増加 に対しこの例では515 nmずつ小さくなっていく様子がFig. 4-17 (a) の1次回帰線から確 認できる(設計上は500 nm).またFig. 4-17 (b) において各プロット点は第1層に対する 各レイヤのオーバーレイ誤差であるが,これらの点を順に結ぶ各ベクトルは隣接レイヤ間

Fig. 4-16 Calculated result of the least square circles

Table 4-2 Calculation of the overlay error

Layer Xcenter Ycenter radius Xn-Xn-1 Yn-Yn-1 Xc[nm] Yc[nm] R[nm]

1 583.1 519.2 427.2 14017.2 12479.7 10268.1

2 592.7 518.7 405.5 9.5 -0.5 14246.6 12468.6 9748.8

3 590.4 522.5 383.7 -2.2 3.8 14193.4 12561.0 9223.7

4 590.2 523.4 360.4 -0.2 0.9 14187.4 12582.6 8663.0

5 587.4 526.1 339.2 -2.8 2.7 14120.2 12646.5 8154.5

6 584.3 528.9 318.1 -3.1 2.8 14046.5 12713.5 7647.2

7 586.7 529.4 297.0 2.3 0.5 14102.4 12726.2 7139.9

8 590.8 531.3 273.6 4.1 1.9 14201.1 12771.5 6576.9

9 585.6 533.1 252.9 -5.2 1.8 14076.0 12813.8 6078.6

10 585.3 538.1 232.1 -0.2 5.1 14070.9 12936.3 5578.1

σ[n m]

pixel nm nm/pixel Ave [n m]

104 2500 24.03846

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のオーバーレイ誤差となる.このベクトルを見ると,同心円として設計された各円がレイ ヤごとに不規則な位置ずれを起こしている様子がわかる.

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