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第 5 章 長繊維含有樹脂の可塑化におけるスクリュ形状の最適化

5.3 解析方法

5.3.1 解析条件とモデル

各スクリュ形状における樹脂の流動を解析するために,流動条件を以下の内容とした.

① 流体は非ニュートン流体とし,非圧縮性の非等温とする.

② 高粘性流体のため流体への慣性力,重力の影響は無視する.

③ 流体は流路内に完全充満しているものとする.

④ 流体のスクリュ表面およびシリンダ表面での滑りはない.

この時,連続の式,運動方程式,および構成方程式は,式(2-1),(2-2),(2-3)で示され る.

流体は完全溶融したポリプロピレンを想定し,キャピラリーレオメーターにより 190℃,

200℃,210℃におけるせん断速度とせん断粘度をそれぞれ測定した.ここで,粘度測定に 使用した樹脂は,本研究で使用したガラス繊維を含有していないポリプロピレンである.粘 度データをFig.5-2に示す.流体のせん断速度依存性は,式(2-3)に示すBird-Carreauモデ ルを用いた.流体の温度依存性については式(5-1)に示すArrheniusモデルを用いた.

𝑯(𝑻) = 𝒆𝒙𝒑 [𝜶 (

𝑻−𝑻𝟏

𝟎

𝑻 𝟏

𝜶−𝑻𝟎

)]

(5-1)

ここで,Hは粘度,α は活性化エネルギー比,𝑇𝛼 は基準温度,𝑇0 は絶対温度である.こ れらのモデルより,式(5-2)を用いて流体の粘度 𝜂 (𝛾̇, 𝑇) を定義した.

𝜼(𝜸̇, 𝑻) = 𝑭(𝜸̇)𝑯(𝑻)

(5-2)

また,本解析は式(5-3)を用いて非定常,非等温にて行った.

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𝝆𝒄

𝒑𝑫𝑻𝑫𝒕

= 𝒓 − 𝜵 ∙ 𝒒 + 𝒕𝒓(𝝈𝑫)

(5-3)

ここで,ρ は密度,cp は比熱,DT/Dtは温度の時間導関数,r は外部熱源により発生した 熱,qは熱流束,σはコーシーの応力テンソル,D は変形速度テンソルである.右辺第3項 はせん断作用による発熱項である.

解析における樹脂流量 Q は,実際の可塑化工程における樹脂の単位時間あたりの可塑化 体積に相当するため,実成形中における計量時間t を測定し,式(2-4)より樹脂流量Qを求

めた.Table 5-2に各スクリュにおける樹脂流量Qを示す.また,解析は流体の初期温度を

200℃とし,流体とスクリュ物性値はTable 5-3に示す値を用いた.

Fig. 5-2 Shear viscosity data of Polypropylene at each temperature.

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Table 5-2 Volumetric flow rate to flow channel.

Table 5-3 Physical properties of fluid and screw.

5.3.2 粒子追跡法

本研究においても,2.4.3節と同様に粒子追跡を用いて検討を行った.第4章においては,

繊維折損が粒子の平均せん断応力が高い場合に引き起こされる要因と仮定し検討を行った.

本章においては,繊維折損に加え,繊維分散性に対する検討を行った.繊維分散性について は,流体に作用する力と時間が関係する現象と考えられることから,総せん断ひずみ量εtotal

を繊維分散性の指標とした.各粒子が受けた総せん断ひずみ量 εtotalは式(5-4)により算出し た.

𝜺

𝒕𝒐𝒕𝒂𝒍

= ∫ 𝜸̇(𝒕)𝒅𝒕

𝟎𝒕𝒑 (5-4)

ここで,𝛾̇ はせん断速度,tpは粒子の滞留時間である.本研究では,各粒子が受けた総せん 断ひずみ量εtotalが大きいものほど繊維分散性が良好であると仮定した.

また,樹脂溶融状態に対する繊維への影響を確認するため,実際のスクリュの溶融位置に Flow late Q (mm3/s)

Standard 2600

Low-shear 2869

Dulmadge 2928

Variable-pitch 3155

V & D 2955

Density Thermal conductivity Specfic heat

(kg/m3) (W/mK) (J/kg°C)

Fluid 900 0.125 1930

Screw 7800 41.9 481

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対し,各粒子が受けたエネルギーUを式(5-5)により算出した.

𝑼 = ∫ 𝝉 ∙ 𝜸̇(𝒕)𝒅𝒕

𝟎𝒕𝒑 (5-5)

ここで,tpは粒子の滞留時間,τはせん断応力,𝛾̇ はせん断速度である.実際の溶融位置に おける粒子が受けたエネルギーUを算出することで,使用する樹脂に対する完全溶融位置を 予測することが可能となる.