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親権 ・ 監護権の所在とそれにまつわる諸問題

ドキュメント内 제8회 한일학술포럼(선명) 수정0830.hwp (ページ 115-145)

1. 子に対する虐待と親権の剥奪ないし制限

近時

我が国において

親の子に対する虐待のニュースが新聞紙上を賑わせることが多くなった

虐 待の内容は

身体的な虐待

養育の放棄

同居人による虐待の放置

心理的虐待

性的虐待等で ある

こうした状態に適切に対処するために

2011年に民法の改正がなされた

それまで

父又は母が 親権を濫用 した場合に

家庭裁判所が その親権の喪失を宣告することができる (834条) と規定する のみで

虐待の態様や程度

状況に応じたきめ細かい対応ができなかったところ

改正法は

834条に おいて 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又 は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは

家庭裁判所は

その父又は母について

親権 喪失の審判をすることができる

ただし

2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは

この限りで ない

と規定し

次いで

834条の2において ①父又は母による親権の行使が困難又は不適当である ことにより子の利益を害するときは

家庭裁判所は

その父又は母について

親権停止の審判をすること ができる

②家庭裁判所は

親権停止の審判をするときは

その原因が消滅するまでに要すると見込ま れる期間

子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して

2年を超えない範囲内で

親権を停止する期間を定める

と規定した

このような民法の規律だけでは児童虐待に対処するには不十分であって

それと連携する公的制度とし て用意されているのが

児童福祉法による対応である

同法では

都道府県が設置する児童相談所を 通じての子の保護の仕組みを用意している

それによると

児童相談所が虐待の事実を把握した場合

所長は

知事への報告

子や保護者の指導

子の在宅保護

里親委託や施設への入所措置等の

措置をとることができる

また

子を一時的に保護することができる

このような仕組みのほかに

そもそも親 による虐待が行われていることを把握することが容易ではないことから

2000年に制定された 児童虐待の 防止に関する法律 は

児童虐待の事実を把握するためのさまざまの仕組みを用意している

2. 別居中の夫婦間での子の奪い合い

民法上

親権は

父母の婚姻中は

父母が共同して行う

とされている

しかし

夫婦が不仲になっ て

一方が子を連れて出て行き

別居生活を始めた場合

他方から子の引渡しを求め

相手がそれに 応じない場合

無理矢理に子を連れ戻すといったケースがしばしばみられる

こうした婚姻中ではあるが別 居した夫婦間での子の奪い合いに対して

法はどのような救済ないし解決方法を用意しているのだろう か

民法上は

この問題に対処する直接の規定は存しないが

共同親権行使における協力扶助(752 条)の問題として

又は

離婚後の子の監護に関する家庭裁判所の処分(766条1項)に準ずるものと して

家事事件手続法上の家庭裁判所による審判事項として扱い

審判前の保全処分を活用するという 解決が行われうる

この手続きの中で

家庭裁判所が

子の監護を誰に委ねるのが適当かを判断する ことになる

しかしながら

この手続きによる場合には

解決に相当の期間を要することから

人身保護法という立 法の沿革からは予定されていなかった夫婦間での子の奪い合いという場面で

この法律による救済が申し 立てられ

裁判所もそれに応答してきた

人身保護法による救済においては

親権の所在等は関係しない

夫婦間の争いで問題となったのは

同法にいう 法律上正当な手続によらない 拘束の違法性であった

まず

拘束 について

判例は

意思能力のない幼児を監護することは

監護方法の当不当又は愛情に基づくかどうかとはかかわりなく

人身保護法及び同規則にいう 拘束 と解すべきであるとし

次いで

監護者の監護を受容している11 歳の子について拘束性を認めた事例における判示では

幼児に意思能力がある場合であっても

幼児 が自由意思に基づいて監護者の下にとどまっているとはいえない特段の事情があるときは

その監護は 拘 束 に当たるとした

拘束状態の当

不当を決するについては

当初

判例は

夫婦のどちらに子を監 護させるのが子の幸福に適するかを主眼として定めるべきものとしていた

しかし

その後

拘束者の権限 と拘束の違法性についての考え方を変更するに至った

すなわち

最高裁1993年10月19日判決(民集 47巻8号5099頁)は

夫婦がその間の子である幼児に対して共同で親権を行使している場合には

夫 婦の一方による右幼児に対する監護は

親権に基づくものとして

特段の事情がない限り

適法というべ きであるから

右監護․拘束が人身保護規則4条にいう顕著な違法性があるというためには

右監護が 子の幸福に反することが明白であることを要する として

単に「3

4歳の幼児にとっては父親よりも母親

の下で監護․養育されるのが適切であるということから

本件拘束に顕著な違法性がある」とした原審の 判断は不当であるとした

さらに

1994年4月26日判決(民集48巻3号992頁)においては

夫婦のい ずれか一方による幼児に対する監護が例外的に違法になる場合として

①拘束者に対し

幼児引渡しを 命ずる仮処分又は審判が出され

その親権行使が実質上制限されているのに拘束者がその仮処分等に 従わない場合

②幼児にとって

請求者の監護の下では安定した生活を送ることができるのに

拘束者 の監護の下においては著しくその健康が損なわれたり

満足な義務教育を受けることができないなど

拘 束者の幼児に対する処遇が親権行使という観点から見ても

これを容認することができないような例外的な 場合が挙げられている

3. 離婚後の子との面会交流をめぐる問題

民法においては

成年に達しない子は

父母の親権に服するものとされ

父母の婚姻中は

父母が 共同して親権を行使するものとされている(818条)

そして

父母が協議上の離婚をするときは

その協 議で

その一方を親権者と定めなければならず

協議が調わないときは

家庭裁判所が父又は母の請 求によって

協議に代わる審判をすることで

親権者を定める

裁判上の離婚の場合には

裁判所が父 母の一方を親権者と定める(819条)

なお

2011年の改正前の民法766条は

父母が協議上の離婚 をするときは

子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は

その協議で定める

協議が調わ ないとき

又は協議をすることができないときは

家庭裁判所が

これを定める

(1項)と規定していた

これらの規定によれば

親権の所在(親権者)とは別に

監護者を定めることができることになるが

その際

親権と監護権の関係は必ずしも明らかではない

しかしながら

実際の運用においては

(夫)を親権者とし

母(妻)を監護者として

子は母(監護者)の下で養育し

養育費は父(夫)

あるいは

父(夫)も負担するように定められることが多い

ことに子が幼児である間は

母(妻)

を親権者ないしは監護者と定めることが多い

厚生労働省の2009年の「離婚に関する統計」では

離 婚後

母親が親権を得る割合が8割だとのことである

以上を前提とした上で

次に生ずる問題は

親権や監護権を有しない親は

子との関係が切断さ れ

ただ扶養(養育費の負担)義務のみ負わされるだけなのかが問題となる

子にとっては

父母が離 婚したとしても

父は父であり

母は母であるという事実に変わりはない

父又は母の側でも同様である

そこで

2011年の民法の一部改正において

従来から議論されてきた離婚後の子との面会交流を規定 の中に盛り込むこととされ

上記の766条1項を次のように変更した

すなわち

父母が協議上の離婚を するときは

子の監護をすべき者

父又は母と子との面会及びその他の交流

子の監護に要する費用の 分担その他の子の監護について必要な事項は

その協議で定める

この場合においては

子の利益を

最も優先して考慮しなければならない

このようにして民法上も明文の規定によって認められた面会交流権は

日常的に子の養育にかかわるこ とのできない親が

部分的に子の養育にかかわることによって

親子関係を維持することを可能にする最後 の砦とも言えるものであるが

監護親(親権者

監護者)の側では

面会により子が相手方の下での養 育を望んだり

また

相手方により子にそのような働きかけがなされることで

せっかくの平穏無事な養育環 境が乱されることへの懸念から

面会交流を望まないか

年1․2回といった僅かな交流しか認めない事例 が見られた

しかしながら

面会交流権が親子の交流を通して子の成長発達を支援する権利であるとす れば

父母の離婚後も子の状況に応じた自然な親子の交流が保障されるべきであり

父母の双方がそ の実現に協力する必要がある

また

直接的な面会交流が困難な場合には

電話․手紙․電子メー ルなどによる間接的な交流の方法もある

ただし

面会交流が子の利益に反する場合は

面会交流権 は制限される

家庭裁判所が面会交流権について判断する場合は

その具体的な判断基準として

子の側の事情と 面会交流を求める親側の事情が考慮される

子の側については

10歳前後になれば

子の意思が尊 重され

幼ければ

親に対する拒否感情(恐怖感․嫌悪感)が考慮される

親側については

子に 対する児童虐待の事実

面会交流の意図の不当性(子の奪取の可能性

監護親との復縁の意図

監護親の監護への強い干渉の意図)などが考慮される

面会交流について取り決め(協議․調停․審判)後に

その履行をめぐって紛争が生じる場合があ る

取り決め後に事情の変更が生じている場合は

家庭裁判所に面会交流に関する調停․審判の申立 てを行うことができる

 

調停․審判などで定められた面会交流の不履行に対しては

家庭裁判所による履行勧告の制度

(家事事件手続法289条)がある

強制執行の可能性については

間接強制を認めた例がある(東 京高裁2012年1月12日決定

家裁月報64巻8号60頁)

4. 子の引渡しの強制方法

先に 2 別居中の夫婦間での子の奪い合い において

速やかに子の引渡しを求める法的手段とし て

人身保護法上の救済によることは例外的な場合以外には認められず

家事事件手続法上の家庭裁 判所による審判事項として扱い

審判前の保全処分を活用する解決が本則であることを観た

では

別 居中の夫婦間(共同親権者間)であれ

離婚後の一方から他方に対する子の引渡しの請求であれ

その強制方法として如何なる態様のものが用意されているのだろうか

以下においては

この問題について 述べることとする

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