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製造技術分野の現状及び動向 1 .設備製造業の調整・振興計画

ドキュメント内 表紙OL.ai (ページ 187-195)

温家宝首相(当時)は 2009 年 2 月 4 日、国務院常務会議 を主宰し、設備製造業の調整・振興計画を審議・可決し た。会議では、設備製造業は各業界に技術・設備を供給 する戦略的な産業であるとの認識で一致した。また、各 種産業のグレードアップや技術の進歩を保障する重要な 産業であり、国としての総合的な実力が集約的に反映さ れる産業であるとの見方も示された。具体的には、以下 の方針が打ち出された。

①重点製品の国内製造を実現

高効率のクリーン発電、特別高圧変・送電、石炭・金 属鉱物の採掘、天然ガス輸送パイプラインと液化天然ガ スの貯蔵・輸送、高速鉄道、都市軌道交通などの分野で の重点プロジェクトによって、重要製品の国内製造を適 切に実現する。

②関連設備の技術レベル向上

大型鋳造・鍛造部品、基礎部品、加工補助具、特殊な 原材料などの関連製品の技術レベルを引き上げ、産業発 展の土台を着実に固める。

③設備の自動化の推進

鉄鋼、自動車、繊維などの大型産業の重点プロジェク トを連携させ、設備の自動化を推進する。

④構造調整の推進による産業成長モデルの転換

設備製造業の基幹産業の連携や再編を支援し、製品の 標準システムを改善する。増値税のモデル転換政策を十 分に活用し、企業の技術的進歩を推進する。国産第一号 設備を使用した場合のリスク保障メカニズムを構築す る。輸出に際しての貸付金の限度額を引き上げ、設備製 品の輸出を支援する。

そうしたなかで中国政府は、一部の産業の生産過剰を 是正する動きに出た。温家宝首相(当時)が 2009 年 8 月 26 日に招集した国務院常務会議では、風力発電やポリシ リコンの新産業で製造能力の重複建設傾向が強まってい ると判断し、鉄鋼やセメント、平板ガラスなどに加えて、

これらの産業に対する指導を強化する方針を打ち出し た。

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.先進製造科学技術ロードマップ

中国科学院が組織した先進製造分野の戦略研究グルー プは 2009 年 9 月、2050 年を視野に入れた先進製造科学技 術発展のロードマップ(「中国至 2050 年 先進製造科技 発展路線図」)をまとめた。それによると先進製造技術 は、「国際化」、「情報化」、「インテリジェント(智能)化」、

「グリーン化」、「学際化」の方向に向かうとしたうえで、

そのなかでもとくに「グリーン化」と「インテリジェン ト(智能)化」が主要な発展方向になるとの見通しを示 した。

6-10表 2050年までの中国の先進製造工業体系構築の特徴と目標

2020年前後 2030年前後 2050年前後

先 進 製 

製造業水準 核心技術の対外依存度を30%未 満にする

核心技術の対外依存度を20%未 満にする

核心技術の対外依存を5%未満 にする

設備製造

重大設備の過大な輸入依存を基 本的に転換する

重大設備の研究・製造・生産の 基本的ニーズに応える

世 界 的 に 見 て 一 流 の 設 備 イ ノ ベーション設計・製造能力を備 える

製造の智能化

ユビキタス感知自動化製造の広 範な応用、生産効率を10%以上 向上する

人と機械が調和した智能制御・

管理製造システムを構築する

智能機械・自主制御の生産シス テムを実現する

製品のグリーン設計

電気・機械設備、自動車等の製 品が分解可能で回収しやすいよ うにする

主要製品の全プロセスにおいて グリーン設計基準を構築する

製 品 の 全 プ ロ セ ス に お い て グ リーン設計・リサイクルを普及 する

省エネと炭素の排出削

製造プロセスにおいて、30%の 省エネと20%の炭素排出量削減 を達成する

製造プロセスにおいて、50%の 省エネと30%の炭素排出量削減 を達成する

低炭素経済型の製造業体系を構 築する

資源の高効率・クリー ン利用

原料損失率を30%低減し、二次 資源リサイクル率50%を達成す

原料損失率を50%低減し、二次 資源リサイクル率70%を達成す

原料損失率を90%減少し、廃棄 物のリサイクル率90%を達成す

環境影響

製造プロセスの環境汚染を基本 的に制御する

有害廃棄物の排出量をゼロに近 づけ、化学環境リスクを基本的 に制御する

有害廃棄物の排出量をゼロにし、

化学環境リスクを取り除く

出典:「中国至2050年 先進製造科技発展路線図」(中国科学院先進製造領域戦略研究組、20099月)

6章 製造技術分野

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.重大設備

中国は、大型施設・設備の製造技術の水準向上も重視 しており、各種の国家計画の中でも具体的な目標が掲げ られている。例えば、「国民経済・社会発展『第11次5ヵ年』

計画綱要」(2006 年 3 月公表)では、大型冶金設備や石炭 採掘設備などが重点開発設備としてあげられた。

また、国家発展改革委員会が 2008 年 1 月 17 日に公布し た「『第 11 次 5 ヵ年』重大技術設備研究製造・重大産業技 術開発特定計画」(「 十一五 重大技術装備研制和重大産 業技術開発専項規劃」)では、100 万 kW 級原子力発電所 の中核設備や大型鋼板生産中核設備を含めた分野におい て、重大技術設備の研究製造活動を展開することが重大 任務として盛り込まれている。

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)航空機

① ARJ21-700

中国航空工業第一集団公司(当時)が独自に研究開発 した中国初のローカル線用ジェット旅客機「ARJ21 − 700」(Advanced Regional Jet for the 21st Century 700)

が 2007 年 12 月 21 日、上海の工場で完成した。同機は、

2008 年 11 月に処女飛行を終え、同 12 月 18 日に工業・情 報化部の審査にパスした。

同機は、中国西部の高温の飛行場での離着陸や複雑な 航路の飛行が可能で、70 人乗りが基本のタイプである。

機体の各部分は国内各地の工場で製造され、エンジンや 電気、電源などのシステムはすべて入札によって世界中 から調達された。最高飛行高度は 1 万 1900m、座席数 90 で、満員の場合の飛行距離は 2225km という。

同機の採算ラインは 250 機程度とみられているが、中 国商用飛機有限責任公司は 2009 年 10 月 24 日、すでに 240 機の注文と受注希望を受けたことを明らかにした。

これまでに、4 機が許可証を申請、3 機が試験飛行を終え、

4 機が上海で組み立てられている。同社は、今後 10 年間 で受注が 500 機に達すると見込んでいる。同機の予想販 売価格は、2700 万〜 2900 万ドルと予想されている。ARJ シリーズとなる「ARJ-900」の研究開発も行われている。

中国民用航空局は 2012 年 2 月 13、14 の両日、上海で

「ARJ21 − 700」の型式合格審査委員会の会合を開いた。

同会合には、米連邦航空局(FAA)の関係者も参加し、

型式検査承認書(TIA)が発給された。46 

また中国民用航空局は 2014 年 12 月 30 日、中国商用飛 機有限責任公司のビジネス機「ARJ21 − 700」の型番合 格証を発給した。型番合格証の取得は、国産のローカル 線用ジェット旅客機が運行に向けて大きな一歩を踏み出 したことになる。『新華社』(2014年12月31日)が伝えた。

なお、同機は2014年10月29日、成都市と貴陽市の間で、

初の機能・信頼性試験飛行(申請者の適合性を検証する 試験)を実施した。試験飛行は、航空機の運航路線上の 飛行を想定した飛行試験で、航空機の部品・設備の交付 後の正常な機能と信頼性を保証するものである。

②新舟 600

国産第一号のプロペラ旅客機「新舟 600」の完成式が 2008 年 6 月に陝西省の西安市で行われた。同機は、中国 航空工業第一集団公司・西安飛機工業有限責任公司が開 発した。

なお、2008 年 11 月、中国航空工業第一集団公司と中国 航空工業第二集団公司が合併し、中国航空工業集団公司 が設立されている。登録資本金は 640 億元で、大型航空 機の製造に特化するという。新会社の譚瑞松・副総経理 は、2017 年をめどに経営規模 1 兆元を達成し、中国を「航 空工業強国」に発展させることをめざすとの考えを表明 した。新会社は、軍用の航空機・装備だけでなく、「新舟」

シリーズのコミューター機、「運 8」と「運 12」型輸送機、

「直 9」型ヘリコプターなどの生産も手がける。

同公司の耿汝光・副総経理は 2008 年 11 月、国産の次 世代プロペラ機「新舟 700」の研究開発がすでにスタート しており、2014 年に市場に投入する予定であることを明 らかにした。

③ AC311、AC313

中 国 民 用 航 空 局 華 東 地 区 管 理 局 は 2012 年 11 月 13 日、中航工業昌飛公司に対して、民間用ヘリコプター

「AC311」と「AC313」に対して生産許可証を発給した。

「AC311」は 2 トンクラスの国産の新型軽量多目的ヘリコ プター。最大飛行重量 2200kg、最大乗員 6 名、航続距離 590km で、2012 年 6 月に中国民用航空局から型式合格書 を取得している。「AC313」は最大飛行重量 13.8 トン、最 大乗員 27 名、あるいは 15 名の負傷者を輸送することが でき、最大航続距離は 900km。2012 年 1 月に型式合格書 を取得している。47

④ C919

全国政治協商会議の委員を務める呉光輝・中国商用 飛行機有限責任公司副総経理は 2009 年 3 月 6 日、「C919」

と命名された中国の国産大型旅客機の開発が全面的にス タートしたことを明らかにした。

同氏は、まず座席数 150 程度の旅客機からスタートし、

約 8 年間で開発を終了する見通しを示した。飛行機の エンジンや搭載設備、材料などは全世界から入札方式で 調達するとともに、中国の民間航空機産業の発展をめざ して国外のサプライヤーと国内メーカーとの協力を奨励 する考えを明らかにしている。

同氏はまた、国外のサプライヤー選定にあたっては、

中国メーカーと協力関係を結ぶメーカーを優先的に選定 するとの方針を示したうえで、国内サプライヤーの選定 にあたっては、国有、民営企業に関係なく能力のある企 業を選ぶ意向を表明した。さらに、民営企業を重点的に 支援し、大型旅客機の産業チェーンに参加させる考えで あることも明らかにした。

「C919」は、プロジェクトの立ち上げ論証、実行可能

ドキュメント内 表紙OL.ai (ページ 187-195)