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環境及び資源・エネルギー分野の現状及び動向 1 .環境

ドキュメント内 表紙OL.ai (ページ 144-168)

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)地球温暖化

①二酸化炭素排出量

オランダ環境評価機関(MNP)は 2007 年 6 月、2006 年 の中国の二酸化炭素排出量が米国を抜いて世界最大に なったと発表した。MNP によると、 2005 年時点では中国 の二酸化炭素排出量は米国を 2 %下回っていたが、2006 年には米国が58億トンだったのに対して中国は62億トン となり、米国の排出量を初めて上回った。

MNP は、化石燃料の燃焼とセメントの製造によって 排出される二酸化炭素だけを集計しており、発電部門と セメント製造における石炭の利用拡大が二酸化炭素の排 出増大につながったと分析した。

中国外交部の秦剛報道官(当時)は 6 月 21 日の定例会 見で、中国の 1 人あたりの二酸化炭素排出量が 3.66 トン であるのに対してオランダは 11.4 トンもあると指摘し たうえで、現在の地球温暖化を招いた主な原因は、西側 先進国が工業化の過程で長年にわたって蓄積してきた 排出量と現在の 1 人あたりの高い排出量にあると批判 した。

また、京都議定書には中国を含めた発展途上国の排出 削減目標はないものの、中国としては真剣かつ積極的に 排出削減に努力を払い、地球温暖化問題の解決に国際社 会とともに取り組んでいるとの見解を表明した。

国家発展改革委員会が 2007 年 6 月に公表した「気候変 動国家方案」(「中国応対気候変化国家方案」)は、あらゆ る手段を講じて温室効果ガスの排出削減に取り組むとの 方針を明らかにする一方で、排出削減の量的目標は明示 しなかった。

中国政府は、同方案の中で、以下のような具体的な気 候変動の証拠があるとの見方を示した。

− 気温:過去 100 年の間に平均気温が 0.5 〜 0.8 ℃上昇 した。これは、世界の気温上昇と比べるとわずかだ が高い。中国での気温上昇は、ほとんどが過去 50 年 間に観測されている。中国国内での傾向を見ると、

長江南部より西部や東部、北部での温暖化が顕著に なっている。とくに冬季の気温上昇が大きく、1986 年から 2005 年にかけて 20 年連続で暖冬を記録した。

− 降雨量:過去 100 年間では、年間降雨量に顕著な変 化は見られなかったものの、地域別に見るとかなり の違いがある。年間降雨量の減少が顕著なのは北

部、北西部の東側、北東部で、このうち北部での減 少が最も大きい。一方で、南部と北西部では降雨量 が大きく増加した。

− 異常気象:中国全土における異常気象の頻度と強さ については、この50年間に明らかな変化が見られた。

具体的には、北部と北東部では渇水、長江中流・下 流、南東部では洪水が深刻化した。

− 海面水位:中国の沿岸部での海面水位の上昇は、過 去 50 年間では年間 2.5mm で、世界平均よりわずか だが高かった。

− 氷河:中国の山岳氷河は後退しており、そうした傾 向が加速している。

米エネルギー省(DOE)傘下のエネルギー情報局(EIA) が ま と め た「International Energy Outlook 2013」(July   2013)28は、2010 年から 2040 年の世界全体のエネルギー関 連の二酸化炭素排出量増加分の 94 %を非 OECD 諸国が 占めると予測しているが、このうち非 OECD アジアだけ で増加分の 71 %を占める。中国の排出量はこの間、年率 平均 2.1 %で増加するとみられており、非 OECD 諸国の 増加分の 69 %、世界全体の増加分の 49 %を中国一ヵ国 で占める。ちなみに、インドの二酸化炭素排出量は、年 率平均 2.3 %で増加すると見込まれている。EIA は、中国 のエネルギー起源の二酸化炭素排出の最大の原因は石炭 の使用拡大と見ているが、天然ガスや液体燃料の使用量 拡大も二酸化炭素の排出拡大を引き起こす。

②温暖化の将来予測

中国の研究者らは、「気候変動国家方案」の中で、以下 のように、将来的には気候変動(温暖化)の傾向がさら に強まると予測している。

− 年間平均気温は2000年に比べると、2020年時点で1.3

〜 2.1 ℃、2050 年時点では 2.3 〜 3.3 ℃、それぞれ上 昇する。とくに気温の上昇が顕著なのは、北西部と 北東部である。2030年までに北西部では1.9〜2.3℃、

南西部では 1.6 〜 2 ℃、青海・チベット高原では 2.2

〜 2.6 ℃、それぞれ上昇するとみられる。

− 降雨量については、今後 50 年間は増加すると予測 される。中国全体で見ると、2020 年までに 2 〜 3 %、

2050 年までに 5 〜 7 %増加する。最も増加するとみ られているのは南東部の沿岸地域である。

− 異常気象の発生頻度が増加し、社会経済や国民生活 に計り知れない影響を及ぼすと考えられる。

− 乾燥地帯が拡大し、砂漠化のリスクが増大すること も考えられる。

−海水面は引き続き上昇すると考えられる。

 −青海・チベット高原と天山山脈の氷河は加速度的に  後退し、小さい氷河の中には消失するものも現れる。

③気候変動戦略目標

中国政府は、「気候変動国家方案」の中で、気候変動に 対応するための戦略目標として、①温室効果ガスの排出

抑制②気候変動に対する適応能力の向上③気候変動に関 連した科学、技術、研究開発の水準向上④気候変動に対 する国民の意識向上――等をあげている。

このうち、温室効果ガスの排出抑制を目的として、経 済成長パターンの転換を加速するとともに、省エネに関 する政策指針を強固なものとするとの方針を打ち出し た。

具体的には、省エネに対する政府の監督・管理の強化、

省エネ技術の研究開発・実証・導入を促進することに加 えて、市場原理に基づいた省エネに関する新しいメカニ ズムを軌道に乗せるというのが中国政府の考え方であ る。また、省エネに対する国民や社会の意識を向上させ、

省エネ社会の構築を加速することが温室効果ガスの排出 抑制に貢献すると見ている。

国家方案では、温室効果ガスの排出抑制の一環として、

エネルギー供給構造の最適化にも言及されており、再生 可能エネルギーと原子力発電を積極的に開発するととも に、コールベッドメタン(coal-bed methane)の利用を加 速することが含まれている。

具体的な目標としては、大規模水力発電を含めて、一 次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を 2010 年までに 10 %に引き上げるとともに、コールベッド メタンを最大で 100 億㎥採収するとしている。

このほか、冶金や建築資材、化学工業といった分野の 産業政策を強化し、循環経済を発展させるという方針も 掲げている。資源の利用効率を高め、窒素酸化物の排出 抑制を強化することも温室効果ガスの排出削減に貢献す ると見ている。

④気候変動と CDM

中国政府は 2008 年 10 月、「中国の気候変動政策と行動」

(「中国応対気候変化的政策与行動」)と題する白書を公 表した。白書は、中国が気候変動への対応を重視してい るとしたうえで、先進国に対して率先して排出削減を求 めるとともに、発展途上国に対して資金や技術の面で協 力するよう求めた。

白書では、クリーン開発メカニズム(CDM)が国内の 持続可能な発展を促進するうえで積極的な役割を果たす ことを重視し、CDM 事業協力に参加することを通じて 世界の温室効果ガスの排出削減に貢献したいとの考えを 示した。

また中国は、政府部門や業界、学術団体、諮問サービ ス機関、金融機関などが CDM 事業を推進するため、キャ パシティ・ビルディング(能力開発:トレーニングなど を通じて教育・訓練を行い、CDM 等に関わる人々や組 織の能力の向上をはかること)を強化したと指摘した。

同白書によると、2008 年 7 月 20 日までに中国が国連に 登録することに成功した CDM 協力事業は 244 件に達し、

これらの事業によって二酸化炭素相当で年間 1 億 1300 万 トンの排出削減が期待されるとしている。

こうした CDM 事業に推進によって、中国国内の再生

5章 環境及び資源・エネルギー分野(原子力を除く)

5-18図 各省・自治区・市別に見た「第115ヵ年」期の省エネ達成度

出典:「中国応対気候変化的政策与行動 2009年度報告」(国家発展改革委員会、200911月)

可能エネルギーの発展と省エネが促進されただけでな く、関係政府部門や企業、組織、個人の気候変動意識が 向上したことから、中国としては効果的で有益な協力メ カニズムとして CDM を 2012 年以降も引き続き実施する 必要があるとの見解を表明した。

「中国応対気候変化的政策与行動 2012 年度報告」で は低炭素発展に力を入れる方針を示した。具体的には、

低炭素省市と都市のパイロットプロジェクトを継続的に 推進するほか、自主参加型の炭素排出取引パイロット事 業を開始し、低炭素型産業パークやコミュニティ、製品、

都市交通運輸システム、低炭素中小都市の構築パイロッ ト事業を発展させていくとしている。

国家発展改革委員会が 2013 年 11 月に公表した「中国 応対気候変化的政策与行動 2013 年度報告」では、温室 効果ガスの排出削減目標を達成する一環として、産業構 造の調整を行う方針を改めて確認した。それによると、

同委員会はすでに「低炭素技術イノベーション・産業化 実証プロジェクト」をスタートさせており、2012 年には 石炭や電力、建築、建材の 4 分野で 34 件の実証プロジェ クトを実施した。

中国国家発展改革委員会は 2014 年 8 月 25 日、「国家が 重点的に普及をはかる低炭素技術リスト」(「国家重点推 広的低碳技術目録」)を公表した。石炭や電力、鉄鋼、非 鉄金属、石油・石油化学、化学工業、建築、軽工業、紡績、

機械、農業、林業等の 12 の産業を対象に全部で 33 件の低 炭素技術をリストアップした。29 

このうち非化石エネルギー技術では、太陽熱利用・建 築一体化技術や直接駆動永久磁石風力発電技術、低風速 風力発電技術、バイオマス成型燃料大規模利用技術など が、また燃料及び原材料代替技術では、生活ゴミ燃焼発 電技術などが入っている。

⑤ 2020 年までの温室効果ガス排出削減目標

中国は温家宝首相(当時)が主宰した 2009 年 11 月 25 日の国務院常務会議で、2020 年までの温室効果ガスの排 出削減目標を決定し、政策措置と行動方針を打ち出した。

具体的には、2020 年までに単位 GDP(国内総生産)あた りの二酸化炭素排出量を 2005 年比で 40 〜 45 %削減する としたうえで、こうした目標を、拘束力を持った指標と して国民経済と社会発展の中長期計画に組み込む考えを

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