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)各政策の分野別取り組みについて中国政府は、各種製造技術を含めた「産業設備製造業」
の振興が、国力と国際競争力を強化するにあたって不可 欠であるとの基本的姿勢を堅持しており、2006 年以降に 公布された国家計画の中で具体的な目標を掲げている。
①国家中長期科学技術発展計画
国務院が 2006 年 2 月 9 日に公表した「国家中長期科学 技術発展計画綱要(2006 〜 2020 年)」(「国家中長期科学和 技術発展規劃綱要(2006 − 2020 年)」は、中国における科 学技術政策の最上位に位置付けられる計画であり、イノ ベーションに主眼を置いたうえで、今後の科学技術の発 展における指導方針と目標を定めている。具体的には、経 済・社会・国防の発展にとって重要な 11 の重点領域と 68 の優先テーマ(国防関係の 6 テーマは非公開)を定めた。
このうち重点分野の 1 つに選ばれた製造業については、
中国が世界の製造大国であるとの認識を示す一方で、製 造技術の基礎部分が弱いことに加え、革新能力が不足し ているとの課題を明らかにした。また、製品が低価格帯 に偏っているだけでなく、製造過程において資源・エネ ルギーの浪費や汚染の発生が深刻化している現状に懸念 を示した。
同計画では、製造業分野の基本方針を以下のようにあ げている。
− 産業設備の設計、製造、統合能力を引き上げ、企業 の技術革新を促進することによって飛躍的な進歩を 達成し、技術的な難関を突破する。また、高水準の 数値制御(NC)工作機械や重大な技術産業設備、材料、
部品の自主的な設計・製造を基本的に実現する。
−環境に優しい(グリーン化)製造を積極的に進める。
−先端技術を利用し製造業の改革・改良を進める。
また、製造技術関係の優先テーマとして、デジタル化 及びインテリジェント化による設計製造技術の研究開発 を重点的に行うことが明記されている。
このほか同計画では、超大規模集積回路製造技術と NC 工作機械が「重大特定プロジェクト」として位置付け られた。また「先端技術」の中には、先進製造技術が含ま れており、将来的には情報化、極限化、グリーン化をめ ざすとしている。
その一環として、マイクロ機械システムやマイクロ製 造、超精密製造、強磁場における製造に関係した設計・
製造工程・検査測定技術、知能サービス・ロボット、重 要製品や設備の寿命予測技術について重点的に研究が行
われることになっている。
②第 11 次 5 ヵ年計画
「第 11 次 5 ヵ年」期(2006 〜 2010 年)は、「国家中長期 科学技術発展計画綱要(2006 〜 2020 年)」実施のスター ト期となり、同計画綱要で定めた目標の実現にとって重 要な意義を持つ時期であると位置付けられた。
2006 年 3 月の全国人民代表大会(全人代)で承認され た 2010 年までの中国としての全体目標を定めた「中華人 民共和国国民経済・社会発展『第 11 次 5 ヵ年』計画綱要」
(「中華人民共和国国民経済和社会発展第十一个五年規劃 綱要」)では、基幹技術を飛躍的に進歩させるとともに、
重大技術産業設備の研究開発・設計能力に加えて、中核 的な部品の加工・製造ならびに全体システムの水準を引 き上げるとの方針が打ち出された。
同計画綱要では、NC 工作機械と基礎製造産業設備の 研究・製造に関して、政策面での支持を強化し、重点プ ロジェクトを拠り所として技術基準を整備したうえで、
研究開発から製造までを手がける競争力を持った企業を 設立するという目標が掲げられた。
科学技術部は、柱となる 2 つの計画に基づき、相次いで 2 つの関連政策を公布した。まず、2006 年 9 月 19 日に公 表した「国家科学技術支援計画『第11次5ヵ年』発展綱要」
(「国家科技支撑計劃 十一五 発展綱要」)は、「国家中長 期科学技術発展計画綱要」に規定された重点分野と優先 テーマを実施に移し、多数の重要な技術を開発すること によって難関を突破することを目標として掲げた。
同発展綱要では、製造業に関して、設備製造を突破口 として環境に優しいグリーン化製造をめざしながら、情 報化と自動化技術を支えとして自主開発を強化すること により、工場設備一式やハイテク設備、科学計器設備、
主要部品の自主製造目標を達成するとの方針を示した。
具体的な発展目標は以下の通りである。
− 製造業における重要技術の飛躍的な進歩を達成し、
一部業界のハイテク工場設備一式、基礎部品と汎用 部品の自主的な設計・開発・製造能力を習得する。
− 一部業界の省エネ及びグリーン化製造技術を先進国 の水準まで引き上げる。
− 鋳造成形、精密成形モデル、迅速製造技術を習得す る。
− 重大な工場設備一式、ハイテク設備、基礎・汎用部 品については基本的に国内で足場を固める。
− 製造業の情報化を着実に進め、重点業界における設 計、製造、管理の一体化を順次実現し、情報化サー ビス基盤を構築する。
− 科学計器設備の主要技術及び部品の製造技術を習得
第 6 章
し、計器設備の技術水準と産業化能力を大幅に向上 させる。
− 分析計器設備の研究開発基盤と産業化基地を育成す る。
同発展綱要は、①製造業情報化プロジェクト、②グ リーン製造に関わる主要技術・設備、③科学計器設備研 究開発――を重大プロジェクトとして位置付けている。
また、科学技術部が2006年10月27日に公表した「国家『第 11 次 5 ヵ年』科学技術発展計画」(「国家 十一五 科学技 術発展規劃」)では、「国家中長期科学技術発展計画綱要」
で定められた要求等に基づき、製造業の競争力を大幅に 強化することを基本方針に、超大規模集積回路の製造設 備と一体工程、ならびに高水準の NC 工作機械と基礎製 造設備を 2010 年までに実施する重大特定プロジェクト として指定した。
超大規模集積回路の製造設備・一体工程に関しては、
90 ナノ・メートル製造設備の製品化に加え、いくつかの 重要な技術と部品の国産化実現に重点を置くとしてい る。また、65 ナノ・メートルのプロトタイプ製造設備の 研究開発を行うとともに、45 ナノ・メートル以下の重要 技術についても課題をクリアし、超大規模集積回路製造 にあたっての中核技術と汎用技術を開発するという目標 を掲げた。
NC 工作機械と基礎製造設備については、2 〜 3 種類の 高精度かつ大型の NC 工作機械を重点的に研究する方針 を示した。さらに、航空や宇宙、船舶、自動車、エネル ギー等の分野で緊急に必要とする高精度の NC 工作機械 を開発するとしている。このほか、NC 工作機械の基礎技 術と重要な汎用技術を飛躍的に進歩させ、NC 工作機械 の研究開発ならびに人材養成の基盤を構築する考えも明 らかにした。
③国務院の設備製造業の振興に関する見解
国務院は、2006 年 2 月 13 日に公表した「産業設備製造 業の振興加速に関する若干の意見」(「国務院関干加快振 興装備制造業的若干意見」)の中で、中国の最高行政機関 としての産業設備製造業に関する見解を示した。
それによると、2010 年までに競争力を持った産業設備 製造企業を多数育成し、エネルギー、交通、原材料など の分野と国防における要求を満たすという方向性が明ら かにされている。
国務院はこの中で、①市場競争と政策誘導、②対外 開放と自主革新、③産業構造の調整と企業改革の推進、
④重点的発展と全面的発展――を組み合わせるという基 本原則を示したうえで、以下の設備を重点的に開発する とした。
− 100 万 kW 級の原子力発電所を含めた各種大型発電所
−高圧直流送変電プラント設備
− 100 万トン級のエチレン製造設備
−大型石炭加工プラント設備
−大型薄板冷熱圧延プラント設備
−大型石炭採掘設備
−大型海洋石油工事設備
−高速鉄道技術
− 都市・工業用汚水処理、固体廃棄物処理等の大型環 境保護設備と海水淡水化設備
− 鉄道、水利、都市軌道交通等の建設用プロジェクト で必要となるボーリングマシン
−大型自動制御システムと精密計測計器
−大型 NC 工作機械・システム・機能部品
−新型紡績機械
−高馬力農業機械
−集積回路の主要設備
−民生用航空機とエンジン
④ 製造技術の輸入奨励
中国は、各種政策の中で製造設備の国産化を進める方 針を示す一方で、外国からの技術導入も奨励した。商務 部と国家税務総局は 2006 年 12 月 18 日、「国務院の『国家 中長期科学技術発展計画綱要(2006 〜 2020 年)』の実施 に関する若干の関連政策通知」(「国務院関干実施<国家 中長期科学和技術発展規劃綱要(2006 − 2020 年)>若干 配套政策的通知」)の要求に基づき、「中国技術導入奨励 目録」(「中国鼓励引進技術目録」)を公表した。
同目録では、314 件の技術が奨励項目としてリスト アップされた。このうち 149 件については、現行の税法 規に基づき、所得税の減税または免税措置の対象となっ た。外国企業についても条件付きで免税の対象とした。
また、「汎用設備製造業」と「専用設備製造業」に関して、
以下の技術の導入を奨励するとした。
国家発展改革委員会、財政部、商務部は 2011 年 4 月 29 日、各省などの関係機関に対して、「輸入を奨励する技 術・製品目録(2011 年版)」(「鼓励進口技術和産品目録
汎用設備製造業 優遇措置 専用設備製造業 優遇措置
高速プレス機製造技術 有 液圧支架電気油圧式制御システム 無
高速冷間・熱間圧延・鍛造技術 無 原子力発電用大型機械製造技術 有
石炭直接液化装置専用バルブ製造技術 無 大型車輪式あるいはキャタピラ式トラクター製造技術 有
長距離パイプライン・グローブバルブの設計・製造技術 無 野菜収穫機械技術 有
超超臨界火力発電ユニットの主蒸気バルブの製造技術 無 果物収穫機械技術 有
第6-1表 設備製造業における技術導入奨励項目