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)各政策の分野別取り組みについて中国政府は、エネルギー資源の大規模な開発と利用が 環境汚染と気候変動の主要な要因の 1 つであるとの認 識を示したうえで、石炭を中心として、エネルギーのク リーンな利用に最大限の注意を払いながら環境保護に焦 点をあてて生態の破壊と環境汚染の防止に取り組んでい く意向を表明している。
2011 年 3 月に全国人民代表大会(全人代)で承認され た、中国の全体計画である「国民経済・社会発展『第 12 次 5 ヵ年』計画綱要」(「国民経済和社会発展第十二个五 年規劃綱要」)では、単位 GDP(国内総生産)あたりのエ ネルギー消費量を 2010 年比で 2015 年までに 16 %削減す るとともに、汚染物質の排出量を 8 〜 10 %削減する方針 を打ち出した。中国では、「節能減排」(省エネ・排出削 減)がエネルギー・環境問題を語るうえでのキーワード
となっている。
①中長期科学技術発展計画(2006 〜 2020 年)
科学技術政策に関する長期的な方向性を示した「国家 中長期科学技術発展計画綱要(2006 〜 2020 年)」(「国家 中長期科学和技術発展規劃綱要(2006 − 2020 年)」)は、
重点課題として「持続可能な発展を可能にするエネル ギー、水・鉱産資源、環境技術の開発」をあげている。
同計画では、11 の重点領域と 16 の重大特定プロジェ クトが定められている。11 の重点領域についてはさらに 細かく 68 件のテーマがリストアップされている。エネ ルギー、資源、環境に関しては、重大特定プロジェクト として①大規模な油田と炭層ガスの開発、②大型先進加 圧水型炉と高温ガス冷却炉による原子力発電所の建設、
③水質汚染の抑制と管理体制の確立――があげられてい る。一方、重点領域については、以下の構想と優先テー マが掲げられている。
第 5 章
分 野 発 展 構 想 優先テーマ
エネルギー
①省エネ、エネルギー消費量の削減を優先とする。主要な省エネ分野にお ける重要な技術を把握するために、積極的に省エネ技術を発展させ、一 次エネルギーの利用効率と最終利用効率を上げる。
②エネルギー構造を多様化し、供給を拡大する。石油・天然ガスの開発・
利用、及び水道、電気の技術水準を高めるとともに、原子力技術の発展 をはかることによって原子力発電の自主的イノベーション能力を構築す る。風力や太陽、バイオマス・エネルギー等の再生可能エネルギー技術 のブレークスルーを達成し大規模利用をはかる。
③石炭のクリーン・効率利用を進め、環境汚染を低減する。石炭のクリー ン・高効率化技術を発展させ、国際的な先進水準に到達させる。
④エネルギー設備の技術導入、消化、吸収と再イノベーション能力を高め る。先進的な石炭火力発電、原子力発電等の重要な設備製造技術の把握 に努める。
⑤エネルギーの地域最適化配置技術能力を高める。信頼性のある先進的な 送電技術開発に重点を置き、大容量、遠距離、高効率の送電を実現する。
・工業分野での省エネ
・石炭のクリーン・高効率な開発利用、液 化及び複合利用
・複雑な地質における石油・天然ガス資源 の探査及び開発利用
・再生可能エネルギーの低コストかつ大規 模な開発利用
・超大規模な送・配電と電力網の安全確保
水資源・鉱物資源
①資源の節約を優先する。農業の高効率節水と都市における水の循環利用 を重点的に研究し、多流域にまたがる水の調達、雨水利用、海水淡水化等 の水資源開発技術を発展させる。
②既存資源の埋蔵量を拡大する。地質を重点的に研究し、鉱山の深部評価 と高効率探査技術を発展させ、チベット高原等の複雑な条件下における 鉱物を早急に調査し、大規模な予備資源基地として資源の供給量を拡大 する。鉱物資源の高効率採掘と総合利用技術を開発し、水と鉱物資源の 総合利用率を高める。
③積極的に非在来型資源を開発する。炭層ガスと海洋鉱物資源等の新規資 源の開発、利用をはかり、非在来型資源の利用技術の研究能力を向上さ せる。
④資源探査・開発設備のイノベーションを強化する。高精度の資源探査・
掘削設備、大型鉱山機械、海洋開発プラットフォーム等の技術を積極的 に開発し、資源探査設備を国際的な先進水準に到達させる。
・水資源の最適化配置及び総合開発利用
・総合的な節水
・海水の淡水化
・資源の探査、確認埋蔵量の拡大
・鉱物資源の高効率開発・利用
・海洋資源の高効率開発・利用
・総合的な資源利用のための区域計画
環境
①循環経済の発展を指導、支援する。深刻な汚染を発生させている業界向 けにクリーン生産技術を開発し、廃棄物の減量化、資源化利用・安全対 策、循環経済に共通した技術の研究を強化する。
②地域環境の総合管理を行う。流域内の水環境及び地域の大気環境汚染の 総合的管理、典型的な生態機能悪化地域に対する総合修復技術の展開及 びモデル構築、飲用水の安全確保技術及び生態・環境の監視・警報技術 を開発する。
③環境保護産業の発展を促進する。中国の国情に適した環境保護設備・計 器を重点的に研究し、国産の環境保護製品の市場占有率を引き上げ、環 境保護の設備・技術水準を向上させる。
④国際環境協力活動に積極的に参加する。
・総合的な汚染対策及び廃棄物の循環利用
・脆弱な生態地域における生態システムの 機能修復
・海洋生態及び環境保護
・地球規模の環境変化の監視・測定及び対 策
このほか中長期科学技術発展計画は、先端技術の項目 で、エネルギーの将来の課題は経済的、効率的、クリーン な利用と新エネルギーの開発にあるとしたうえで、先進 エネルギー技術として①水素エネルギー及び燃料電池技 術②分散型エネルギー技術③高速炉技術④磁場閉じ込め 方式核融合――をあげている。
③ 「第 12 次 5 ヵ年」科学技術発展計画
「国 家『第 12 次 5 ヵ 年』科 学 技 術 発 展 計 画」(「国 家 十二五 科学技術発展規劃」)は、エネルギー・資源・
環境分野において、以下の戦略目標を掲げている。
− エネルギー探査開発とクリーンエネルギーの高効率 利用技術を発展させ、エネルギーの安全保障能力を
向上させる。
− 水資源と鉱物資源の開発技術を発展させ、資源の総 合利用効率を向上させる。
− 生態系環境保護技術を発展させ、人と自然の調和の とれた発展を促進させる。
− 気候変動の科学研究と技術の集約を強化し、全面的 に対応能力を向上させる。
同 計 画 で は、こ う し た 戦 略 目 標 に 基 づ い た エ ネ ル ギー・資源・環境分野の重点特定プロジェクトに加えて、
緊急のニーズに応じて克服する必要がある各種技術を以 下のように具体的に定めている。
目 標 主要項目、技術
戦略目標に基づいた重点特定プロジェクト
在来エネルギーの探査開発能力向上:
−複雑な石油・ガス田探査と石炭、海底油田の安全開発 −高効率石油・ガス安全集中輸送技術
エネルギーグリーン高効率利用:
−石炭のガス化、液化、化学工業のグリーン転化技術
−超超臨界発電、石炭ガス化複合発電、省エネ型循環流動床技術
−スマートグリッド、原子力発電、風力発電、太陽エネルギー発電、バイオマス発電、海洋エ ネルギー、地熱利用技術
戦略目標に基づいた省エネ環境保護、新エ ネルギー技術
省エネ環境保護産業の発展向上:
−半導体照明
−石炭グリーン高効率利用 −大気汚染処理技術 −廃棄物資源化技術
新エネルギー産業の生産、運輸と消費を促進:
−風力発電技術 −高効率太陽熱発電技術 −バイオマス・エネルギー技術 −スマートグリッド技術 −新エネルギー自動車
持続可能な発展を支える科学技術
モデル事業:
−海水淡水化と総合利用技術 −生態保護と修復モデル技術 −環境汚染処理モデル技術 −持続可能な集積技術の応用と実証
中国政府、島嶼部などでの海水淡水化に本腰
科学技術部社会発展科技司(局)は 2014 年 8 月 25 日、
海水淡水化に関する国の計画等を着実に実施に移すとと もに、海水淡水化と総合利用技術のイノベーション・移 転応用をはかることを目的として、「海水淡水化・総合 利用基幹技術・設備成果集(意見公募ドラフト)」(「海 水淡化与総合利用関鍵技術与装備成果匯編(征求意見 稿)」)を公表した。各種技術の正確性や権威性を確認す るためのもので、意見は 9 月 20 日に締め切られた。25 成果集では、逆浸透膜技術や多段フラッシュ法のほ か、MW 級の風力発電を使った海水淡水化システム、
海水総合利用技術が紹介されている。このうち、「島嶼 に適用可能な海水淡水化技術・設備」については、逆 浸透膜を使った技術が最も一般的だとしたうえで、電 力と海水が供給できればすぐに運用できるとしている。
中国では 1997 年、逆浸透膜技術を使った海水淡水 化施設(500㎥ / 日)が嵊山島で初めて完成して以来、
大連長海県の大長山島(1999 年、1500㎥ / 日)、和獐 子島(同、1000㎥ / 日)などで続々と操業を開始した。
2012 年末時点では、中国国内に海水淡水化プラントが 95 ヵ所あるが、このうち 45 ヵ所は島嶼に建設されて いる。
一方で、陸地からかなり離れた小規模島嶼では電力 供給の難しさのため淡水化プラントの規模が制約され てしまうという問題を抱えている。成果集は、国家主 権の維持や海洋科学研究、海洋探査と密接な関係があ る小規模の島嶼では十分な電力が供給できないため、
風力発電や太陽エネルギー、波浪エネルギー等の再生 可能エネルギーと逆浸透膜を組み合わせた淡水化が新 たな方法として期待できるとしている。しかし、再生 可能エネルギーは連続して安定的に電力が供給できな いため、各種の再生可能エネルギーを組み合わせて海 水淡水化のための安定的な電源を供給することが現実 的であるとしている。