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藤本 聰 [清水建設 (株) 国際支店企画部長]

ドキュメント内 10&11 OCAJI 60 OCAJI JICA MSHI40 TSUCHIYA TSUCHIYA (ページ 36-44)

このたびは海外建設協会OCAJIの創立60周年、

誠におめでとうございます。

振り返ると、1955年に海外建設協力会(後の海外

建設協会)の設立にあたって、当時の弊社社長だった 清水康雄が全国建設業協会会長として設立発起人 のひとりとなり、創立総会で副会長に任じられた。

また翌年、アジア西太平洋諸国8カ国の建設業者団 体がフィリピンのマニラに集まり、アジア・西太平 洋建設業協会国際連盟IFAWPCAを結成する際に も、清水社長が海外建設協力会派遣団団長を務め た。このように日本建設業の海外事業における戦後 揺籃期を、当社はOCAJIと共に歩み始めたことと なる。

OCAJIにおいては、以来、各種海外事業支援策や

政府・関係機関との連携などを通じて、日本建設業 の海外事業の発展に大きな貢献を遂げている。当社 としては今後ともOCAJIの諸活動に参加・協力し、

日本建設業の海外事業の発展に寄与していきたいと 思っている。

1. 慎重を期した戦後の海外進出

当社は、長期ビジョン「スマートビジョン2010

2010年策定)において、海外における事業、すなわ ちグローバル事業を重点注力分野のひとつに位置付 けており、2020年には全社事業量の約2割を担える 体制を構築することを目標としている。以下では、

この当社の海外事業の歩みについて簡単に振り返ら せていただく。

基本方針 ー持続的成長とさらなる進化へ向けてー

・事業強化方針

1. 建設事業競争力の革新的強化により 国内市場縮小に打ち克ち、

シェア拡大により成長を持続

・グローバル事業強化方針 グローバルに戦える競争力の保持

-新興国を中心としたインフラ整備・開発と 経済成長に貢献する

-ハード・ソフト両面でお客様を的確にサポートし、

グローバルに信頼されるシミズ・ブランドを確立する

コアビジネスの建設事業 持続的成長

ストックマネジメント事業 安定定期な 収益基盤の確立

グローバル事業 社会・経済の グローバル化への

対応力強化

グローバル事業 サステナビリティ 事業 マネジメント事業ストック

建設事業

コアビジネス

事業領域の拡大 CSR経営 技術力 人材

マネジメント 組織 企業体質

3. すべての事業活動の機軸を「環境」に置き、 経営基盤

シナジー効果の追及によるグループ経営の パワーアップ

・基盤強化方針

1. 景気変動の影響を最小限に抑えながら、

環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を 可能にする経営体質づくり

2. グローバル展開、ストックマネジメントなど、

事業の多様化に適した経営システムの確立 2. 次代の収益の端の構築に向けた、

3つの重点注力分野におけつ事業基盤の確立

スマートソリューション・カンパニーを 目指して

サステナビリティ事業 地球規模での サステナビリティの実現

長期ビジ「スマートビジ2010長期ビジ「スマートビジ20102010年策定)の実現に向けて現在、グローバル事業を重点注 力分野のひとつとして強化を進めている。

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当社は海外での事業を明治時代から行っていた。

戦後、事業を再開するにあたって、設計や工事監理、

技術指導といったリスクの少ない業務、そしてその 後の展開の準備として駐在員や留学を通じた海外要 員の育成から始めた。

戦後最初の海外進出は、1950年の西パキスタン

(現在のパキスタン)での紡績工場の設計業務だった。

工事監理としては、1958年の東パキスタン(現在の

バングラデシュ)での肥料工場建設が最初だった。こ の肥料工場建設は、プラント輸出では当時最大と言 われたものであり、工場の生産規模は尿素年産10 万6,500t、工期は39カ月の大工事だった。当社は、

土建工事を落札した英国系建設会社から設計と工事 監理を受注した。このほかにも、1960年代末頃にか けて、東パキスタンのチッタゴン製鉄所、タイやフィ リピンでの日系工場、ザンビアの肥料工場などで設 計と工事監理業務に取り組んだ。

長らくこのような工事監理を中心に取り組んでい たが、1968年に初めての請け負い工事として、東パ キスタンのチッタゴン漁港建設を設計施工で受注し た。敷地2万7,000m2、150t級トロール船68隻接岸 の漁港において、年間7万5,000tの荷揚設備、1日 50tの製氷設備と200tの冷蔵室ほかの関連施設を持 つ大型工事で、1971年に無事完成した。

一方で、当社はアジア諸国をはじめ欧州、南米、

中近東などを積極的に 視察して現地の建設事 業に関する研鑽を重 ね、1960年 代 初 め に は海外研修制度を設 け、海外事業に従事す る若手社員の育成を始 め た。1960年 代 後 半

には米国などへの駐在員派遣を始め、また、海外留 学制度を導入し、事務系、設計系、建築系、土木系な ど幅広い目的で留学生を派遣した。これらの留学生 は後に、それぞれの専門家として海外拠点の中核と なり活躍した。

2. 1970年代前半に海外進出を本格化

こうした助走期間を経て迎えた1970年代前半 は、当社にとって本格的な海外進出の時期であっ た。「海外進出積極化」の経営方針の下、シンガポー ルなど各国に相次いで営業拠点を開設し、中近東 諸国やアジア諸国などで各種大型工事案件の入札 に参加するなど、海外での事業展開を本格化させて いった。

中近東では当時、原油高騰で富を得た産油国が社 会基盤整備のために資本投下を開始し、建設市場が 拡大していた。当社は1975年に中近東を視察して 大規模な市場と判断し、イラクとサウジアラビアの 建設事情に関する情報を収集するべく駐在員を派遣 し、大型のプロジェクトを次々と請け負った。

中東での建設事業として最大のプロジェクトは、

1979年のイラクハイライズ工事(延床面積44m2 複合施設、受注総額約800億円)だった。当社にとって

イラクハイライズ工事(イラク)

海外で最初の工事として受注した チッタゴン漁港

(現在のバングラデシュ)

戦後最大規模となったこのプロジェクトは、バグ ダッド市を流れるチグリス川西岸に位置する約36 万m2の敷地に、住宅2,450戸、学校や幼稚園8カ所、

センタービル、商業ビル、ショッピングセンターを 含むニュータウンを建設するもので、当社は三菱商 事と共に10カ国を相手に取る国際入札に勝ち抜い たのである。

工事の最中にイラン・イラク戦争が勃発。「人命 尊重を第一に、工事続行に備える」との方針に沿っ て、一時中断せざるを得なかったが、着工から4年 余りの1984年に無事完成した。この工事を通じて、

海外での非常事態にいかに対応するかという貴重な

体験を積むことができた。

1980年代は、欧米各国にも営業所・現地法人を 設立し、後半以降はアジア主要国の急成長にとも ない建設需要を取り込み、シンガポール、インドネ シア、マレーシアなどで大型工事を次々と受注し た。受注案件は従来、日系企業の進出工事や日本の ODA工事が中心であったが、東南アジアでは日系 の案件に加え、現地企業や政府が発注する非日系案 件を受注するビジネスモデルも積極的に展開し、今 日に至っている。

シンガポールでは、1980年の32階建ての超高 層ビル、ゴールドヒルスクエア新築工事を皮切り

チャンギ空港ターミナル3(シンガポール) リパブリックプラザ(シンガポール)

ニーアンシティ(シンガポール)

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バイチャイ橋(ベトナム)

パハンセランゴール導水トンネル

マレーシア)

PNB本社ビル(マレーシア) アストラ本社ビル(インドネシア)

に、シンガポール住宅開発局HDBプロジェクト

(総戸数15,000戸のプレキャスト式住宅)の設計施工、

ショッピング中心街・オーチャード通りの超大型複 合施設・ニーアンシティ、超高層ビル・リパブリッ クプラザ、同国における20世紀最後の大型公共工 事と言われたHDBセンター(住宅開発局本庁舎ビル)、 アジアのハブ空港・チャンギ空港第3ターミナルビ ル、アジアの情報通信拠点・フュージョンポリス、

地下鉄の710工区など、現地政府・現地企業発注の 大型工事を継続して受注している。当社は現在、こ のシンガポールに海外事業の本拠地を置き、アジア を中心に事業展開している。

また、マレーシアでは、同国最初の地上42階建て 超高層ビルのペルモダラン・ナショナル・ベルハッ ドPNB本社ビル、下水処理場5カ所・下水道幹線・

汚水管路網を整備するマレーシア下水処理施設プロ ジェクト、東南アジアで最長、アジアでも2番目に

長いパハン・セランゴール導水トンネルプロジェク トなど、数多くの国家プロジェクトに参画した。イ ンドネシアでは、ジャカルタ市の高層ビルの多くを 手掛け、最近では、同国最高層のオフィスビル・ア ストラ・インターナショナル本社ビル、同国初の地 下鉄となるジャカルタ都市高速鉄道MRT、同国最 大手メディア企業・MNCグループ発注の大型複合 ビル・MNCメディアタワーなど、非日系の建設プ ロジェクトにも複数携わっている。

3. グローバル事業の強化 シミズブランド確立と各国の成長へ貢献 当社は多数の国や地域で、建設事業に留まらない さまざまな事業に取り組み、成功だけでなく失敗 も通じて、海外での事業リスクと向き合ってきた。

その経験を糧に、現在は長期ビジョン「スマートビ ジョン2010」の下、全社の事業における大きな柱 として、グローバル事業を強化する方針を掲げて いる。

今後は、日本が誇れる高い品質のインフラをはじ め、エンジニアリング、都市開発、エネルギーなど の分野でもシミズ・ブランドを確立し、同時に進出 国の経済成長に貢献できることを目標として事業を 進めていく。

Tashkent Wroclaw Prague London

Istanbul

Dubai Gurgaon Dhaka Bangalore

Lusaka

Yangon Bangkok Kuala Lumpur Jakarta

Dalian Guangzhou Shanghai Tokyo(Head Office)

Hong Kong Taipei Hanoi Manila Vientiane Ho Chi Minh City

Singapore

New York Atlanta Querétaro

清水建設のグローバル・ビジネス・ネットワーク

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