○辻本乃理子
(流通科学大)
目的 民間組織の自然環境保全活動と地域コミュニティの関係 を探るべく,英国の非営利組織 Wildlife Trusts の自然環境保 全活動に注目した.Wildlife Trusts は組織の活動指針となる Living Landscapes をもとに各支部で活動を行っている.Liv-ing Landscapes の理念のもと,支部組織がどのように地域コ ミュニティに根差した自然環境保全活動を行っているのかを把 握し,その活動について考察する.
方法 調査対象は,英国 Wildlife Trusts の支部である Worces-tershire Wildlife Trust を対象にヒアリングを行った.調査期 間は2019年 3 月初旬である.
結果 Worcestershire Wildlife Trust の成長にとって Local Group の形成は重要であり,現在 8 つの group で様々なイベ ントを企画実施している.このイベントが一般市民と組織をつ なぐ役割を果たしている.また Worcestershire Wildlife Trust は,Nature Reserve の取得とマネジメント,教育活動の二つ を柱に寄付を募り活動を行っている.Living Landscapes 指定 地域は活動の優先地域であるが,保全方法についてはこれまで の活動形態を実施している.いかに地域コミュニティレベルで の活動と市民の同意と参加が必要であるかわかった.
3D-10
15:30~
社会実験への反復参加による道環境への意 識の変化
○原わかな,薬袋奈美子(日本女大)
目的 住宅地内の道において,地域住民の滞留等生活行為を促 し,歩きたくなる空間にするための社会実験を行う過程におい て,被験者が複数回社会実験に参加することにより,道環境や 道における生活行為に対しての意識が変化するかを調べた.
方法 道路空間に,一回目の社会実験はベンチとプランターを 配置し,二回目の社会実験は路面装飾の設えを施し,地域住民 にそれらの空間を通行する体験してもらい,アンケート及びイ ンタビュー調査に回答してもらった.一回目と二回目は二か月 の間をあけて実施した.二回の実験の参加者(リピーター)と 一回のみの参加者(非リピーター)の設えへの評価,道での生 活行為への受容性等を比較分析した.
結果 リピーターは非リピーターと比較して,二回目の社会実 験での設えへの評価が高く,特に「安心して歩ける」「楽しく 歩ける」「人が優先の道と感じる」への五段階評価の Top1回 答者が多い.且つ,各評価項目の bottom1の回答者が非常に少 ない.また,リピーターの第一回と第二回の評価を比較する と,設えの対象が異なるものの,非リピーターより肯定的な評 価が増加している.特に「安心して歩ける」「高齢者がゆっく りと歩ける」「通常の状態と比較して歩きたい」への評価は,
大幅に増加している.社会実験に参加して体験をすることで,
新しい考え方を取り入れた道環境への受容性が高くなる傾向が あると考察できる.
3D-11
15:45~
婦人雑誌掲載記事からみた住居管理の変遷
―1946年から1955年を中心として―
○藤平眞紀子
(奈良女大)
目的 本研究では,居住者を主体とする住まいの管理の変遷を たどり,これからの持続可能な住居管理のあり方を考察するこ とを目的とする.住居管理に対する居住者の意識に視点をあ て,時代の流行,人々の考え方,社会のありようが表れやす く,生活に影響を与えると考えられる婦人雑誌掲載記事に着目 した.
方法 1903年創刊の『婦人之友』を閲覧し,住まい,住生活,
住居管理に関する掲載記事を収集した.『婦人之友』は家庭生 活の合理化を目指す中流知識層を読者とし,生活改善から社会 を豊かにしていくという理念に基づき,生活改善運動の主導的 役割を果たしたと位置づけられることから対象とした.本報で は,1946年か1955年に発刊された115冊のうち,閲覧できた60 冊からの結果を報告する.
結果 第二次世界大戦終戦後の日常生活に厳しい時代である が,住まいや住居管理に関する記事が掲載されており,整頓さ れた家,使いやすい家,美しい清潔な家が求められていた.整 理整頓,掃除,点検,補修・修繕など住居管理の多くの内容は 家事に含まれており,日頃のこまめな手入れにより,美しく能 率のよい住生活環境を整えること,住まいは使い続けていく中 で補修が必要であり,家計の中に補修費用の予算立ての必要性 が示されていた.さらに,住まいに関する課題解決において,
科学的視点,共同の必要性が述べられており,より良い生活の 実現に向けて前向きに取り組む姿勢が読み取れた.
3D-12
16:00~
日本女子大学出身者による住居学の研究の 歴史
○薬袋奈美子,矢島浩子
(日本女大)
目的 日本の家庭を改善することを目的に1901年に創立され,
開学当初から存在していた家政学部での住居学の研究・教育 は,日本の住居学の草分け的存在である.日本女子大学家政学 部住居学科出身の研究者による研究の傾向を把握し,日本の住 まいに関する研究の歴史を体系づけるための基礎的資料とす る.
方法 戦前の研究者については建築学会の名簿より,また戦後 については日本女子大学家政学部住居学科出身者の名簿研究者 を抽出する.そのうえでこれらの研究者の論文を Cinii より探 し,その分野と傾向について,社会的な住まいに係わる課題と の関係性を踏まえて,考察を行う.論文タイトルを用いたテキ スト分析を行う.
結果 住居学を専門的な領域として確立をしたのは,井上秀・
柴谷邦であることが確かめられた.佐藤功一等による教育の影 響を受けつつも,生活改善同盟会等,学外で社会的な住まいに 対する改善の動きに参加しながら,それを教育・実践を日本女 子大学で学生とともに行い,学問と社会を結びつけていた.こ ういった取り組み方は,戦後非常に多くの研究者を輩出してか らも,実践的な生活環境形成の視点を大切にしていることが確 かめられた.また,研究分野についても,専門性が細分化され る中で,計画系,構造系,環境系,政策系等に拡がった.
被 服
2 号館 2 階(E 会場)
9 :00-10:45
3E-01
09:00~
服選択における物質文化(MaterialCul-ture)の解明
―日本版 Fashionstudies アプローチ―
○松岡依里子,菅原正博
(国際ファッション専門職大)
目的 衣食住に関する物の研究は,かって文化人類学の中心で あった.そもそも物質文化は,文化の物質的表現であり,物質 文化研究とは,文化人類学では,民族の急速な変化はものに表 れているとする研究であった.物質文化とは,文化人類学で議 論されてきた概念であり,人類の生活に不可欠な衣食住に本質 的にかかわる文化的基本要素である.本研究では,家政学の分 野で研究されてきた「クローゼット(ワードローブ)」分析に おいて,服選択(Clothing Selection)に関する物質文化論を 活用する.特に日本の女性の「服選択」のプロセスを改善し,
ファッション AI 時代に対応する「服選択行動」の予測,推奨
(リコメンデーション)のモデルを考案する.
方法 ニューヨークのパーソンズスクールが立ち上げたファッ ションスタディズに着目して,研究の可能性を検証した.さら に服装社会学との位置づけにおいて,物質文化としてのワード ローブ研究のアプローチを試みた.
結果 ファッションスタディーズからのワードローブ分析は,
ものとしてだけではなく,物質文化ともかかわり,文化を複合 した包括的なアプローチが可能であることがわかった.AI 時 代に対応するためには一人ひとりの「服選択行動」を観察し,
測定し,モデリング,実装する「感性価値創造プロセス」を体 系化する必要がある.
3E-02
09:15~
ビジュアル・マーチャンダイジングへの満 足感と効果に関する男女間の差異性の考察
―アパレル商品をネット店舗で購買する消費者の 行動研究―
(大妻女大)○吉井健
目的 近年,アパレルのリアル店舗に訪問しながらも,ネット 店舗で購買する消費者が急増している.これらはリアル店舗の ディスプレイ等のビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)
に対して満足感を高めると共に,購買に際する不安やマイナス に感じること等の知覚リスクを低減することで購買意思決定を する傾向があると言われている.本研究では,ネット店舗で購 買する消費者の性別に応じた,リアル店舗の VMD への満足感 による知覚リスク低減への影響の差異性を解明することに目的 を置く.方法 アパレル商品をリアル店舗訪問後にネット店舗にて購買 した,全国の20-50歳代の男性158名と女性314名を対象とし,
様々な VMD の要素への満足感と知覚リスク低減に関する,イ ンターネット・アンケート調査を2019年11月に実施した.仮説 に基づき,消費者の性別に応じた行動傾向の分析に加え,年代 に応じた分析も行った.
結果 ネット店舗で購買する男性消費者における VMD への満 足感は,女性よりも,より強く知覚リスク低減に影響を与える ことが明らかになった.そして,男女共に,30代の消費者にお ける VMD への満足感は,知覚リスク低減に最も強く影響を与 えることが分かった.本研究では,この結果を踏まえ,小売実 務への示唆を見出せた.
本研究は,JSPS 科研費 JP19K13829の助成を受けたもので
3E-03
09:30~
フェアトレードファッションに対する購入 心理
(神戸学院大)○辻幸恵
目的 フェアトレードという言葉を最近は珍しくなく聞くよう になった.しかし,多くの人々がまだ具体的な商品を認知して いるとは限らない.そこで本報告では実際にフェアトレードの ファッションを好んで購入している顧客の属性と心理を明らか にすることを目的とした.そのことによって,さらにフェアト レードの市場が広がる糸口になると考える.
方法 フェアトレード商品を販売している店舗内で,実際に商 品を購入した顧客に対してインタビュー調査を実施した.事前 に質問項目を作成し,インタビューの時間を約20分とした.期 間は2019年11月20日から12月26日までとした.インタビューで 得た回答をデータとし,テキストマイニングと因子分析を用い て分析した.
結果 購入者の共通した心理には強くフェアトレード商品であ ることを意識していることがわかった.また,「支援」したい という気持ちも明らかになった.これら以外にも,自分に「似 合う」,「ふさわしい」,「自己表現」,「満足」などのキーワード となるワードが得られた.
考察 因子分析によって購入心理には「理解」「支援」「継続」
の因子が得られた.支援をしたいという気持ちの背景には,
フェアトレードのコンセプトへの理解があることが考えられ る.また,リピーターとして購入しつづけたいという希望があ ることもインタビューからわかった.これが継続の因子とつな