―国際連盟『連帯』の自然共生と共生社会の原理 から―
○小野瀬裕子
(共立女大)
目的 国連の2030年までの「持続可能な開発目標(SDGs)」で は,「地球上の誰一人として取り残さない」と人間生活に着目 しており,目標 4 教育の 7 に示された人権とグローバルシティ ズンシップは,SDGs 達成に必要な人間の資質と考えられる.
本研究では,人権の実践的理論といわれる社会保障萌芽期の国 際連盟『連帯』から,持続可能な社会を創るグローバルシティ ズンシップの理論構造を分析する.
方法 (1)国際連盟のパンフレット『連帯』について,著者の 経歴と国際連合への影響から国際的意義を考察する.(2)『連 帯』第一編「自然共生の科学的原理」と第二編「共生社会の実 践的原理」の内容分析から,グローバルシティズンシップの理 論構造を分析する.
結果 (1)国際連合の前身である国際連盟の初代議長であるレ オン・ブルジョワは,19世紀後半の産業革命による格差問題解 決を,慈善活動に頼らず,個人の平等な権利実現のための正義 の重要性を明確にし,人権の実践的理論として『連帯』を集成 した.国際連合の世界人権宣言の第25条と第29条に影響を与え ている.(2)人間は自然と共生し,科学的事実として連帯して いるが,その相互依存関係は必ずしも平等ではない.しかし社 会的存在である人間は実践的義務として連帯している.協働し て対話により正義を見出し,共生社会が形成される.自由権・
参政権・平等権・社会権の発展過程からグローバルシティズン シップの理論構造を具体化した.
2K-02
09:45~
地方の家庭科研究会だよりにみる小学校家 庭科の展開
―「鹿内瑞子旧蔵資料」をもとに―
○八幡彩子
(熊本大)
目的 演者は「鹿内瑞子旧蔵資料」をもとに,戦後における小 学校家庭科の展開過程について研究を進めている.すでに,全 国小学校家庭科教育研究会の発足過程について報告を行った が,地方の研究組織の発足・展開過程の検討は十分ではない.
本研究では,「鹿内瑞子旧蔵資料」に散見される地方の家庭科 研究会だよりを資料として,地方における小学校家庭科の展開 過程を検討することを目的とする.
方法 国立教育政策研究所教育図書館所蔵「鹿内瑞子旧蔵資 料」のうち,各都道府県等の小学校家庭科研究会が発行した家 庭科研究会だより(横浜,山形,群馬,東京,近畿等)を抽出 し,地方における小学校家庭科研究会の動向を把握・検討す る.
結果 (1)検討資料中最も発行の早い「東京都家庭科ニュー ス」(昭和33年 9 月10日発行)は,昭和33年 8 月の学習指導要 領改訂がどのように受け止められたのかが窺われる資料である
(資料番号365).(2)「山形県小学校家庭科教育研究会だより」
No.1(1964年 2 月発行)によれば,同研究会の誕生は昭和38年 9 月18日,全国小学校家庭科教育研究会の発足と連動して組織 化が進められた(資料番号355).(3)全国大会の地方開催を機 に,ブロック研究会が立ち上げられていったことが窺われる
(資料番号356).
本研究の一部は,JSPS 科研費17K00758の助成を受けた.
2K-03
10:00~
高校生向け伝統工芸デザインコンクールの 開催意義と進路選択に及ぼす効果の考察
―伝統工芸品「博多織」の後継者育成に向けた取 組を通じて―
○大淵和憲
(九州産業大)
目的 「博多織デベロップメントカレッジ(以下,博多織 DC)」
は,国指定の伝統的工芸品「博多織」の製織技術後継者を育成 している.この学校が主催する「博多つくりべデザインコン クール(以下,コンクール)」には,多くの高校生が帯向けの 意匠作品を応募し,優秀作品については博多織 DC の学生が意 匠データを作成し製織作業を行ってきた.本研究では,伝統工 芸品の後継者育成に向けたコンクールの開催意義を検討し,高 校生の伝統工芸に対する興味関心の向上に寄与しているかを考 察することを目的としている.
方法 コンクールの開催状況や参加人数等の基礎データを集約 した上で,優秀作品の意匠データ作成から製織作業に至るまで の工程を整理した.また,作品を応募した高校生に記入式の質 問紙調査を実施し,「着物や帯,博多織への関心度の変化」お よび「将来,着物や帯を作る仕事につきたいか」等の質問項目 について回答を求め,コンクール参加を通じた高校生の興味・
関心等の態度変化についての検証を試みた.
結果 コンクール優秀作品が博多織後継候補者の製織技術向上 に生かされている現状を通じて開催の重要性が明らかとなっ た.また,高校生への質問紙調査を通じて,コンクールへの応 募を契機に和装・博多織への興味を増している可能性があるこ とがわかった.しかし,進路の選択肢に和装・博多織業界を含 めるまでには至っていない可能性があることも判明し,今後開
家政学原論・家族・児童
1 号館 2 階(K 会場)
9 :30-10:45
2K-04
10:15~
育児中女性が働く場としての NPO 活動の 検証
―均等法第一世代のキャリア変遷における NPOの位置付け―
○赤松瑞枝
(跡見女大)
目的 我が国では少子高齢化に伴う労働力減少への対策が喫緊 の課題である.筆者は育児中女性の働く場を多様化し復帰率向 上に努めることが有効と考え実証を試みている.今回は NPO に着目し育児と両立しやすい職場となり得るかの検証を目的と した研究(小田急財団2018年度研究助成採用)を行った.その 中からメンバーのキャリア変遷における NPO の位置付けにつ いて分析した結果を報告する.
方法 神奈川県横浜市で育児中女性の再就職支援を行っている NPO の主要メンバー12名を対象にヒアリング調査を行った
(2019年 8 月~ 9 月).実施にあたり跡見学園女子大学研究倫理 審査委員会の了承を得た(承認 No19-003).
結果 (1)対象者のうち 8 名が均等法第一世代で,全員結婚や 出産を機に大学卒業後得た仕事を退職したが,その後資格取得 やアルバイト従事を経てセカンドキャリアを構築した.(2)そ の経験から対象者達は,育児中でも本人が希望するなら仕事を すべき,周囲も支援すべきと考えている.また NPO 活動をセ カンドキャリアを活かして社会貢献する場として捉え,収益を 上げられる事業として安定的に継続させることを目指してい る.(3)従って当該 NPO は育児中女性が働きやすい環境にあ ると言える.学童期の子を持つメンバーも「育児をしながら実 践的な経験とスキルを得られる」と評価している.とは言え,
事業収益確保については未だ課題が多いことも明らかになっ た.
2K-05
10:30~
幼児期の食育についての意識
―箸の作法を中心に―
○篠原久枝
(宮崎大)
目的 我が国においては,「箸」の使い方や作法の指導は食文 化の継承として大切なものである.食事スキルの獲得として,
幼児期に食具の正しい使い方を定着させること,学童期に食事 マナーを獲得させることが望ましいとされている.そこで本研 究では,幼稚園児を持つ保護者と教員養成系の大学生を対象に 箸の作法や食事マナーの指導の意識について調査した.
方法 2019年12月に M 大学附属幼稚園保護者と M 大学生を対 象に質問紙調査を実施した(保護者配布数119部,有効回答数 101部,大学生配布数138部,有効回答数127部).
結果 箸の持ち方については,幼児の約 6 割,保護者の約 9 割,大学生の約 8 割が「伝統型」と回答しており,保護者は就 学前に正しく持てるようになることを望んでいた.矯正箸の使 用の効果について「正しい指の位置がわかる」,「自然ときれい な持ち方になる」などの利点が見られた一方で,「なかなか箸 に移行できない」などの欠点も見られた.保護者も大学生も,
伝統型の持ち方をしている方は母親,家族から厳しい指導を受 けていた.嫌い箸の指導については,保護者は自分が受けた指 導と同じものを幼児に対して行っていた.食事マナーの指導に ついても家庭で行うべきと考えていた.一方,大学生はこれら の指導は幼稚園や学校で行うべきと考えており,指導意欲が高 かった.以上より,箸の作法や食事マナーの指導については,
家庭と園・学校の更なる連携が望まれる.
3B-01
09:15~
グルテンフリー米粉パンの製パン性に対す るアミロース含量と加水温度の影響
○大河内万彩1,齋藤公美子1,武智多与里2, 畠中芳郎3,萬成誉世1,高村仁知1
(1奈良女大,2千里金蘭大,
(独)大阪産業技術研究所)3
目的 これまで私たちは,米粉パンを調製する際に加える水の 温度(加水温度)を高温に設定することで,デンプンを部分的 に糊化させ,生地粘度を上昇させることにより,製パン性を向 上させることを明らかにしてきた.一方,米粉のアミロース含 有率はデンプンの糊化特性に影響するが,米粉パン調製におい ても品質に影響することが明らかになっている.本研究では,
グルテンフリー米粉パンの製パン性に対するアミロース含量と 加水温度の影響を明らかにすることを目的とした.
方法 アミロース含量の異なる米粉を用い,加水温度を50~
80℃, 2 ℃刻みで変えて生地を調製し,生地の物性評価(粘度 測定,糊化度測定)および形態評価(電子顕微鏡観察)を行っ た.同様の条件で米粉パンを焼成して,製パン特性評価(比容 積測定,断面評価,テクスチャー測定,官能評価)を行った.
パン生地の糊化度と焼成パンの品質を比較検討し,パン生地の アミロース含量と加水温度が製パン性に及ぼす影響を解析し た.
結果 高温の水を添加することで,温度上昇とともに生地粘度 が上昇した.パン生地調製時,高アミロース米では高温の水の 添加により焼成パンの品質が低下したものの,低アミロース米 では加水温度が66~70℃の時,製パン性の向上が認められた.
パン生地の糊化度測定および製パン特性評価の結果から,低ア ミロース米では糊化度5-10%の範囲で品質の良いパンを焼成で きることが確認された.
3B-02
09:30~
生地の特性がキヌアパンの製パン性に与え る影響
○石井和美,小林三智子
(十文字学園女大・院)
目的 雑穀粉を主材料としてパンを調製することが最終目標で ある.本研究では,キヌア粉を主材料として増粘多糖類を添加 して食パンを調製し,生地の特性が製パン性に与える影響を検 討した.
方法 キヌア粉に増粘多糖類 3 種を添加し,粉の特性として糊 化特性を測定した.また,キヌア粉と基本的な副材料を使用し て卓上ミキサーで生地を調製し,発酵試験を実施した.生地の 動的粘弾性は20℃から90℃まで昇温して温度依存性を測定し た.ドライイーストを添加して食パン型でパンを焼成し,パン の特性として,比容積,テクスチャー測定を実施した.
結果 キヌア粉(以下,コントロール)の糊化開始温度は 62.8℃で,MCE-4000を添加すると低下した.他の 2 種はコン トロールとほとんど変わらなかった.MCE-4000を添加した場 合,ピーク粘度および最低粘度はコントロールより高くブレー クダウンも高かった.しかし他の 2 種は粘度のカーブが始終コ ントロールより低かった.動的粘弾性の温度依存性は,初期の 貯蔵弾性率(G’)はコントロールが最も低いが,G’ の最大値は 最も高かった.損失弾性率のカーブも同様だった.焼成したパ ンは,MCE-4000を添加して調製したもの以外はケービングを 起こした.増粘多糖類の添加で弾性要素や粘性要素は増加する ものの,膨らみを維持する骨格となるデンプン含量が少ないた め焼成の段階で気泡を維持できず,ケービングを起こしたと考 えられた.
3B-03
09:45~
ホワイトソルガム粉の製パンへの利用Ⅱ
○片山佳子,大貫拓馬
(東京聖栄大)
目的 ホワイトソルガムとはグルテンを含まないことから小麦 アレルギーの人々には小麦代替品として利用されている.しか し,ソルガム粉を用いたパンは風味が無く,焼くと硬くなりパ サつきのある食感という問題があり,それらの改善が求められ ている.平成28年度では丸パンサイズで,そして平成29年度で は食パンサイズでの製パンを行った.本研究では,さらなる食 感の改善を図り,食パンサイズでのグルテンフリーパンを製造 することを目的とした.
方法 試料調製はソルガム粉を主原料に米粉,ヒドロキシプロ ピル化タピオカデンプン,もち種とうるち種のコーンスター チ,ヒドロキシプロピル化リン酸架橋馬鈴薯デンプンを副原料 として適宜配合し製パンを行った.物性測定はテクスチャーア ナライザーを使用して貫通試験を行い,比容積はレーザー体積 計を使用して測定した.
結果 物性測定の結果から市販品配合のパンは,最も硬くもろ いパンで弾力性に欠けることが数値からも示された.他の配合 では,粘り強さにあまり差は見られなかったが,馬鈴薯デンプ ン入りは,最も柔らかく弾力性に富んだパンとなった.このこ とは,ヒドロキシプロピル化リン酸架橋馬鈴薯デンプンが保水 力を上げ,ソフトに仕上げたことが考えられた.平成29年度ま でのパンは,弾力性を上げることに重視したため,付着性が少 し強く感じたが,本研究ではその部分を解消し柔らかく軽い口 当たりとなり,市販品食パンに近い食感となった.
食 物
6 号館 1 階(B 会場)
9 :15-10:45 6 号館 1 階(C 会場)
9 :15-10:45