―伝統的な住まいとまち並みに関する中学生の経 験と意識―
○有友里沙1,古田慧1,田中憂希1,鈴木佐代1, 豊増美喜2
(1福岡教育大,2大分大)
目的 本研究は,若い世代に伝統的な住生活文化がどの程度継 承されているかを明らかにし,今後の住教育に活かすことを目 的とする.本報では,伝統的な住まいやまち並みに対する中学 生の経験や意識の実態を明らかにする.
方法 調査対象及び調査概要は第 1 報に同じ.本報では,伝統 的な住生活文化(住まい,暮らし,まち並み)の経験や興味・
関心,継承意識,学びたい内容について考察した.
結果 伝統的な暮らしの経験では,「畳に座る」「畳に寝転が る」の経験有りは95%を超えていたが,「縁側に腰掛ける」「す だれで日よけ」は約35%,「ほうきで畳の掃除」「畳をあげて掃 除をする」に関しては25%未満であった.これらの伝統的な暮 らしの経験は高齢親族との交流経験と関係がみられた.また,
歴史的なまち並みを実際に訪れたことのある生徒は73.0%と多 い.一方,衣食住の伝統的な生活文化の中では,「和食」の興 味・関心(69.0%)及び将来への継承意識(81.9%)が高く,
「伝 統 的 な 建 物」(興 味・関 心 45.6%,将 来 へ の 継 承 意 識 65.5%)や「歴史的なまち並み・集落」(同39.8%,同58.4%)
は「和食」に比べて低かった.また,興味・関心があるほど将 来への継承意識は高い.伝統的な建物やまち並みについて学び たい内容は,男子は「日本の伝統的な建築デザイン」や「大工 職人の技」などで,女子は「日本の伝統的な建築デザイン」や
住 居
6 号館 2 階体育館(P 会場)
掲示時間
30日 12:00-31日 14:10
討論時間 31日
講演番号奇数 13:10-13:40 講演番号偶数 13:40-14:10
P-106 中高年の住空間管理をめぐる現状と課題
(鳴門教育大)○金貞均
目的 戦後高度経済成長期に広まったマイホーム主義はモノの 量で豊かさをはかる競争的消費志向を拡大させ,多くの家がモ ノのオーバーストック状態になり,今に至っている.本研究は 徳島県の中高年を対象とした消費者教育のための探索的研究の 一部で,中高年のモノの整理・収納をめぐる住空間管理の現状 と課題を明らかにした.
方法 2018年 9 月と10月に実施した「50代からのお片づけ」講 座の参加者を対象に,アンケート調査を行った(有効調査数 210票).調査項目の中で住まい関連項目および 3 件のケースス テディの分析を通して,問題と課題を考察した.
結果 中高年の住まいは,「一戸建(84.8%)」「居住年数20年 以上(67.6%)」「現住宅での定住志向(81.9%)」が特徴で あった.居住年数が長いほど持ちモノの数も増えており,「モ ノが多い」が「捨てられない」「片づけできない」ことで,「整 理・収納に困っている(衣類61.9%,思い出・記念品類50%,
食器類42.9%,本・雑誌類40%)人が多く見受けられた.ま た,テーブルや家具の上,床などがモノで占拠されていたり
(67%,59%),空き部屋が死蔵品の物置になっていたりと,空 間の管理・活用が十分ではない状況も見られた.こうした問題 から,①各部屋・スペースにおけるモノの見直し,②合理的な 片づけの方法,③空間の活用・管理方法に関する中高年向け成 人学習の課題が見られた.
P-107 若年世代における防犯対策への関心と取組み
―熊本市の大学生の事例より―
○中迫由実
(熊本大)
目的 日本で発生している犯罪では20代などの若い世代が被害 者となる事例も多いが,防犯への働きかけは子ども向けのもの と比較して十分とは言えない.そこで本研究では,K 大学に在 籍する一人暮らしの女子大生の犯罪被害経験や防犯対策等の実 態を把握するとともに,犯罪不安感や防犯対策との関連性を明 らかにする.
方法 K 大学の 3 , 4 年生の一人暮らしをしている女子29名を 対象に聞き取り調査を実施した.調査期間は2019年11月22日か ら約 1 ヶ月である.調査内容は,1. 夜間の行動実態,2. 犯罪不 安感と被害経験,3. 防犯意識と防犯対策である.
結果 犯罪不安感として,不審者に対する不安,路上での不 安,アパート内での不安があげられた.大学入学以降の被害経 験は,11名で15件の申告があり,自転車盗,公然わいせつ,痴 漢の順に多かった.防犯や犯罪に対する関心は全般に高くない ものの,居住地付近で起きている犯罪には関心があり,夜間の 帰宅時や自宅において自ら防犯対策を行っていた.自分が行う 防犯対策への評価と実施している対策の数にはあまり関連性が みられなかった.犯罪不安感が高い人の方が防犯への関心が比 較的高い傾向がみられた.大学生は夜間の行動が多いが,夜間 の外出の頻度と帰宅時の不安感や実施している防犯対策の数に は特に関連は見られなかった.
(本研究は2019年度卒業生 前田紗奈との共同研究である)
P-108 居住者参加型賃貸コレクティブハウスに関 する研究
―「コレクティブハウスかんかん森」の16年目の生活実態と居住者評価―
○大橋寿美子1,鈴木歩実1,岡崎愛子2
(1大妻女大,2住総研)
目的 本研究は,日本における居住者参加型賃貸コレクティブ ハウス(共生型集住)のあり方について検討する.本稿は,日 本初事例「コレクティブハウスかんかん森」を対象として,居 住16年目の生活実態と居住者評価を明らかにする.
方法 ①居住者へのアンケート調査(2019年 9 月,回答者数・
回収率:29人・76%)②ヒアリング調査(2019年10月~2020年 1 月, 8 名).
結果 ①全居住者の特徴は,単身者が約 4 割,家族で入居して いる人が 6 割である.また全体の1/4の世帯が30~40歳代の子 育て期で共働き,子どもの数は現在11人で,16年間で最も多 い.さらに 3 年未満の居住者が約半数で,創立メンバーは 2 人 のみになった.②コレクティブ活動への参加や運営は,コモン ミール(CM)は月 7 ~ 8 回程度で主に週末に実施され,居住 者の半数が毎回参加している.また CM の調理を共に担当す ることでより親しくなることや,CM の前後に活動が行われて いることがわかった.共用空間の掃除は三か月に 1 回の頻度で 居住者が行い,外部サービスも利用している.さらにかんかん 森通貨を廃止しチャージ制が導入された.このように居住者属 性の変化に伴い,コレクティブ活動の簡便化が図られていた.
③居住者は,居住者間の助け合いや会話,多様な年代の人との 交流,安心・安全を高く評価していた.特に子育て中の人は,
安心して子育てできる環境に関する評価が高いことがわかっ
P-109 高齢期の住環境整備に関する一考察
―ドイツの取り組みから―
○村田順子1,田中智子2
(1和歌山大,2兵庫県大)
目的 本研究は,高齢化が進展しているドイツにおける高齢期 に安心して暮らすための住環境整備事例として事業主体の異な る取り組み実態を複数把握し,高齢期の住環境整備の示唆を得 ることを目的としている.
方法 連邦家庭・高齢者・女性・青少年省の高齢者局へ介護予 防等に関する全般的な施策についての聞き取り調査,高齢者が 安心・安全に暮らせることを目的としている①連邦政府の支援 を受けた住宅協同組合による多世代住宅プロジェクト,②保険 会社,大学,住民,住宅公社が協力した多世代・高齢者住宅事 業,③労働者社会福祉団体による近隣交流集合住宅の 3 ヶ所の 訪問調査を実施した.調査地は 2 都市(ベルリン,ハノー ファー),調査実施は2018年12月.
結果 ドイツでは,在宅生活継続のためには住環境全体の整備 が重要と考えられ,安全に年を取るための新しい住環境モデル への関心が近年高まりをみせている.キーワードとして住宅+
近隣,および IT 技術の活用があげられた.連邦政府では,モ デル事業の実施とともに情報提供を行っている.訪問先の①と
②にはバリアフリー設備や IT を活用した安全を見守るシステ ム等のモデルハウスが設置され,地域内外への情報提供を行っ ている.また,いずれの事業も人的交流を図る取り組みが行わ れ,住民間の互助を促している.この活動は介護予防にもなり 在宅生活継続に寄与している.
本研究は JSPS 科研費 JP15K00758の助成(代表田中智子)を
P-110 生活環境が幼児の手首の動きに及ぼす影響
○正岡さち,水師美佳
(島根大)
目的 保育施設や家庭の設備の実態と,幼児の手首の動きを 伴った生活動作の実態を把握することを目的としてアンケート 調査を行った.さらに,幼児の手首の動きの問題点を探ること を目的として実験を行った.
方法 ①出雲市・松江市内の保育施設計 9 園の保育者と幼児の 保護者を対象としてアンケート調査を行った.内容は,設備環 境,幼児の生活動作の習得度,手首をひねる動作に対する意識 について等である.有効回収数は,園長用 9 票,クラス担任用 38票,保護者用460票である.②現在の園に多く採用されてい る 3 種類の蛇口の実物大模型を作成し,それを開け閉めしても らう実験を行い,動作及び力等の問題点について検討した.被 験者は 3 ・ 4 ・ 5 歳児クラスの幼児56名である.
結果 ①園ではドアの取っ手はくぼみ,水栓はハンドル式が多 かった.家庭では扉はレバー式,水栓もレバー式が圧倒的に多 かった.②生活動作の習得度は,年齢が上がるについて上昇し ていたが,複雑な動きを必要とする動作でひとりでできる割合 が低かった.また,動作自体を行う機会がない動作もあった.
③道具・設備の変化や生活の変化による「手首をひねる動作」
の減少が伺え,それによる影響を危惧している保育者・保護者 が多かった.④実験により蛇口をひねる力と動作を分析した結 果,力が弱いという結果は得られなかった.しかし,動作の面 で,肘や肩から動かす等,適切な動きができない幼児が見られ た.
P-111 美術館の外部空間とロビーにおける人の行 動と心理に関する研究
―建築形態により心理の影響―
○ロクンジョ,藤本麻紀子
(共立女大)
目的 近年,美術館などの展示施設の急激な成長とともに,展 示空間以外の空間も注目を浴びてきている.これらの空間は,
作品と触れ合った感動をじっくりと温めたり,美術にまつわる 知識を深めたりできる,創造的で生き生きとした場であるとと もに,誰かと待ち合わせたり,展覧会を見終えた後に休憩でき る場でもある.本研究は,日本と中国の美術館の外部空間とロ ビーにおける人の行動と心理について研究するものである.
方法 文献調査においては,東京都内の美術館に絞り,設計 者,構造,規模等を分析する.現地調査においては,外部空間 の境界,構造,展示,緑,水,舗石,出入り口の数,型,立面 の高低差について調査する.内部空間においては,天井,壁,
床の仕上げ,照明計画等を調査する.更に,休憩エリアとして の場所,椅子,テーブル,パーティションのタイプ,配置形態 について調査する.アンケート調査においては,現地にいる被 験者に対して,広さ,ソファーの数,座りやすさ,温冷感,街 路の眺め,デザイン,自由度,落ち着き,解放感を調査する.
中国美術館調査においても,東京の調査と同様の調査を行う.
結果 以上の調査より,東京都内の美術館の外部空間とロビー における現状を把握でき,更に空間の違いによる心理状態の変 化を把握することができた.また,日本と中国の美術館の違 い,利用者の意識の違いなどを把握することができた.
P-112 韓国・家庭科教育における実践的推論プロ セスへの哲学的アプローチ
―『実践的問題中心カリキュラムに基づく家庭科 授業:理論と実践』(ユ・テミョン,イ・スヒ 著,倉元綾子翻訳,南方新社,2020)から―
○倉元綾子
(西南学院大)
目的 韓国では,2007年改訂でカリキュラムに「実践的推論プ ロセス」が導入された.そのための研究の成果である哲学的ア プローチについて明らかにする.
方法 『実践的問題中心カリキュラムに基づく家庭科授業:理 論と実践』(ユ・テミョン,イ・スヒ著,倉元綾子翻訳,南方 新社,2020,原著2010)および関連資料を調査した.
結果
(1)著者,ユ・テミョン氏とイ・スヒ氏はいずれも韓国家政 学・家庭科教育を代表する研究者・リーダーであり,韓国家政 科カリキュラムの進歩に重要な貢献をしてきている.
(2)本書は,家庭科・家政学に関わる人々が新しい観点・実践 的問題中心カリキュラムに基づく家庭科の授業を実践するのに 必要なコンピテンシーの強化と授業能力向上,実践的問題中心 カリキュラムの理論的基礎であるブラウンやハバーマスなどの 批判的観点(実践概念,行動体系概念,知的思考能力など)の 的確な理解を意図している.
(3)ブラウン,パオルチの『家政学の使命』,IFHE ポジショ ン・ステートメント2008などを的確に位置づけ,家庭科・家政 学が「個人・家族・コミュニティ・社会におけるウェルビーイ ングの向上をめざしている」ことを理解できるようになってい る.これらは,家庭科・家政学に対する理解と認識を促すもの 6 号館 2 階体育館(P 会場)
掲示時間
30日 12:00-31日 14:10
討論時間 31日
講演番号奇数 13:10-13:40 講演番号偶数 13:40-14:10