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VI. マーケット・リスク

1. 自己資本規制の対象範囲

683(ⅱ). 金利関連商品および株式に係るリスクに対する所要自己資本は、以下のパラ グラフ 690 から 701 に従い銀行によって適正に評価されるトレーディング勘定内の商品 に対して課される。トレーディング勘定の定義は以下のパラグラフ 685 から 689(ⅲ)で 定められている。

683(ⅲ). 為替リスクおよびコモディティ・リスクに係る所要自己資本は、銀行全体の 通貨およびコモディティのポジションが対象となるが、構造持高ポジションの除外につ いてはある程度の裁量が認められる。これらのポジションについては、時価により報告・

評価されるものと、簿価により報告・評価されるものがあり得る

683(ⅳ). 当委員会は、現時点では、以下のパラグラフ 718(xLii)に述べる為替リスク を除けば、取引規模が小さいことを理由にマーケット・リスク規制の適用を免除する措 置(de minimis exemption)は不要であると考える。自己資本合意は国際的に活動する 銀行のみを対象としており、また、基本的には連結ベースにより適用されているため、

対象となる銀行は全て、トレーディング業務をある程度行っていると考えられるためで ある。

683(ⅴ). 信用リスクの場合と同様、マーケット・リスク規制もグローバルに連結ベー スで適用される。監督当局は、適切であると判断した場合、同一グループに属する銀行 やその他の金融機関が連結ベースのグローバル・ブックを運用し、グローバルに自己資 本が評価される場合、全く同一の商品(例えば、通貨・コモディティ・株式・債券)の ショートとロング・ポジションは、帳簿上の所在地を問わずネット・ベースで報告する ことを認めることが可能である111。また、本改定の他の部分に定められているオフセッ トに関するルールも、連結ベースで適用することが認められる。しかし、監督当局は、

グループ内におけるポジションの相殺を認めずに個別ポジションをリスク計測システム に投入することを要求する場合もあり得る。こうした措置は、例えば、海外子会社から 親会社への収益の移動に関して制約がある場合や、法的ないしは手続的に、連結ベース での適時なリスク管理が困難な場合に、必要となる。また、全ての監督当局は、個別企 業のマーケット・リスクを単体ベースでモニターすることにより、グループ内における リスクの偏在が監督の目を逃れているといった事態が生じていないことを確認する権限 を留保する。監督当局は、銀行が報告日において、リスクの計測を逃れるためにポジシ ョンを移動させることがないよう特に注意する。

684(削除)

685. トレーディング勘定は、トレーディング目的、またはトレーディング勘定の他の 要素のヘッジ、のいずれかのために保有している金融商品およびコモディティのポジシ ョンからなる。トレーディング勘定での自己資本の取扱いとして適格となるため、金融 商品は、売買可能性を制約するいかなる条項も付されていないものであるか、完全にヘ ッジ可能である必要がある。加えて、ポジションは高い頻度で正確に評価され、ポート フォリオは積極的に管理されるべきである。

686. 金融商品とは、ある主体にとっては金融資産であるとともに、他の主体にとって は金融負債または株式となるあらゆる契約をいう。金融商品には、一次金融商品(primary financial instruments)(すなわち現物商品(cash instruments))とデリバティブの 金融商品の双方が含まれる。金融資産とは、現金、現金または他の金融資産を受領する 権利、金融資産を有利となり得る条件で交換する契約上の権利、または株式、に該当す るすべての資産をいう。金融負債とは、現金または他の金融資産を引渡す、または金融 負債を不利となり得る条件で交換する、契約上の義務をいう。

111 出資比率が 100%未満の子会社に係るポジションに関しては、親会社が監督を受けている国の一般会計 原則に従った扱いを受ける。

687. トレーディング目的で保有するポジションとは、短期の転売を意図して保有され るもの、現実のまたは予想される短期の価格変動から利益を得ることや裁定取引による 利益を確定することを意図して保有されるもの、および両者の側面をもつものをいい、

例 え ば 、 自 己 所 有 の ポ ジ シ ョ ン (proprietary positions) 、 顧 客 サ ー ビ ス (client servicing)( 例 え ば 、 マ ッ チ ン グ し た プ リ ン シ パ ル 取 次 業 務 (matched principal brokering))から生じるポジション、マーケット・メイキングなどである。

687(i). 銀行は、本セクションで示されたトレーディング勘定に関する要件の遵守を確 保するとともに、銀行のリスク管理能力と実践を考慮しつつ、自己資本賦課を算定する ことを目的としてトレーディング勘定の対象あるいは対象外とすべきエクスポージャー を決定するための明確な方針および手続規定を定めなければならない。これらの内部方 針および手続規定の遵守は十分に文書化され、かつ、定期的な内部監査の対象としなけ ればならない。

687(ⅱ).こうした内部方針および手続規定(policies and procedures)では、少なくと も以下に列挙する一般的な検討事項に取り組まなければならない。以下に示すリストは、

ある金融商品あるいは関連する金融商品の集まりがトレーディング勘定の対象として適 格となるためにパスしなければならない一連のテストを提示することを目的とするもの ではない。むしろ、このリストは、銀行がトレーディング勘定を総合的に管理するため の内部方針および手続規定によって取り組まれるべき最低限のキーポイントを提供する ものである。

銀行がトレーディングであると考え、自己資本規制上、マーケット・リスク相当 額への算入対象とみなしている活動。

取引が活発で流動性が高い双方向の取引が行われている市場における関連情報 を参照し、日々の時価評価が可能であるエクスポージャーの度合い。

モデルを用いて時価評価を行っているエクスポージャーの場合は、銀行が以下の 点に対応できている度合い。

(ⅰ) エクスポージャーの重要なリスクの認識。

(ⅱ) エクスポージャーの重要なリスクのヘッジ、およびかかるヘッジ手段 が活発で流動性の高い双方向の市場で取引が行われる度合い。

(ⅲ) モデルに使用される主要な仮定およびパラメーターについて、信頼で きる推計値を導き出すこと。

外部の者による一貫した方法による検証が可能なエクスポージャーについて、銀 行が評価を行うことができ、かつ、そのような評価を行うことが求められている ものの範囲。

法規制あるいはその他の運用上の要件があるために、エクスポージャーを即座に 清算する銀行の能力が妨げられる度合い。

トレーディング業務の運営上、銀行が積極的なリスク管理を義務付けられている エクスポージャーの度合い、もしくは積極的なリスク管理が可能なエクスポージ ャーの度合い。

銀行がトレーディング勘定とバンキング勘定の間でリスクあるいはエクスポー ジャーの移転を行うことのできる度合いとかかる移転の要件。

688. トレーディング勘定での自己資本の取扱いに適格なポジションに関する基本的 な基準は以下のとおりである。

上級管理職による承認を受け、明確に文書化された、ポジション/商品またはポ ートフォリオについてのトレーディング戦略(予想保有期間を含む)。

積極的なポジションの管理についての明確に定義された方針および手続規定。こ れには以下のものが含まれなければならない。

– ポジションはトレーディング部署において管理されている。

– ポジション・リミットが設定され、その適切性がモニターされている。

– ディーラーは、合意された限度内で、合意された戦略に従って、ポジシ ョンをとり、管理する自主性を有する。

– ポジションは、市場価格により、少なくとも日次で評価されている。ポ ジションがモデルにより評価されているときは、パラメーターを日次ベ ースで評価しなければならない。

– 当該金融機関のリスク管理プロセスを構成する必要不可欠な項目とし て、上級管理職に対し、ポジションの報告が行われている。

– ポジションは、市場情報に照らして積極的にモニターされている(市場 流動性またはポジションのヘッジ可能性、あるいはポートフォリオのリ スク特性についての評価が行われるべき)。これには、評価プロセスへ の入力情報である市場情報の質および入手可能性の評価、市場出来高の 水準、市場で取引されているポジションの規模等が含まれる。

銀行のトレーディング勘定の取引高および動きの少ないポジションのモニタリ ングを含む、銀行のトレーディング戦略に照らしてポジションをモニターするた めの、明確に定義された方針および手続き。

689.(削除)

689(ⅰ). 銀行がトレーディング勘定に計上されたクレジット・デリバティブを利用し てバンキング勘定の信用リスク・エクスポージャーをヘッジする場合(すなわち、内部 ヘッジの利用)、銀行が第三者の適格プロテクション提供者から、パラグラフ 191 の要 件を満たすバンキング勘定に対するクレジット・デリバティブのプロテクションを購入 しない限り、バンキング勘定のエクスポージャーは自己資本規制上ヘッジされたとはみ なされない。第三者からかかるプロテクションを購入し、これが自己資本規制上バンキ ング勘定のヘッジであるとみなされた場合、内部取引および外部取引となるいずれのク レジット・デリバティブも自己資本規制上、マーケット・リスク相当額に算入されるこ とはない。

689(ⅱ). 銀行自身にとって規制上適格な自己資本に算入される資本調達手段のポジシ ョンは自己資本から控除される。他行、証券会社、その他の金融機関にとって規制上適 格な自己資本に算入される資本調達手段のポジションおよび無形資産の取扱いは、各国