• 検索結果がありません。

胴4000 ◇ ぽ   ◇

ドキュメント内 ポリウレタン系形状記憶ポリマーの開発 (ページ 99-108)

帳        O

着・… ◇8  。、レ、、。孫

   口護嚢§鶏離騒一三ξ;嬬繋孫

  2000−60 −40 −20 0 20

        ガラス転移温度(℃)

図10.7ガラス転移温度と水蒸気透過率の関係

今後の課題とその対策について次にまとめた。現状の問題点は、下記に示したようにガ

ラス転移温度と貯蔵安定性の向上である。

 (1)ガラス転移温度

 図10.7に示したバO04(△)に代表されるように、水蒸気透過率は高いが、ガラス転移 温度が低いという系がある。これらの系のガラス転移温度を向上させることで、既開発品 の性能を上回る高水蒸気透過性ポリマーの開発が可能となる。ガラス転移温度向上の手法

としては、以下の方法がある。

 ①芳香族イソシアネートの使用

 WPUの組成としては、脂肪族イソシアネートが使われている。これを芳香族に変更するこ とにより、ガラス転移温度の向上は可能であるが、芳香族イソシアネートの使用には重大 な問題点がある。すなわち、芳香族イソシアネートは水との反応性が高いため、ディスパ ージョンの際に反応温度を下げてやる必要がある(1〇一2)。これはすなわちプレポリマーの粘 度上昇を意味する。この粘度上昇はエマルジョンの分散不良を引き起こす原因となるため、

通常アセトンを多量に投入し、粘度を下げる手法が取られる。この方法ではアセトンを使 用するため、脱アセトンのプロセスが必要となり、結果として製造コストが上がる。この 理由により、ほとんどのWPUでは芳香族イソシアネートよりも水との反応性が低い脂肪族 イソシアネートが使用されている。芳香族イソシアネートの使用に際しては、この問題点 を充分に考慮する必要がある。

 ②架橋構造の導入

 多官能基(3官能以上)を持つ原料を使用することにより、ガラス転移温度向上が可能で ある。しかしながら、架橋構造を導入することにより、ガラス転移温度は向上するが、水 蒸気透過性が低下する恐れがある。

 (2)貯蔵安定性(10・12)

 第二の問題点として、JWO04のように親水性が高い系(親水性セグメント%≒30%)では、

貯蔵中に凝集が発生する(10 l1)。この凝集は疎水性の高い原料を用いることにより抑制でき るが、疎水性の付与により水蒸気透過性は低下する。このことから貯蔵安定性と水蒸気透 過性の関係を把握し、適正な範囲を見いだす必要がある。

 具体的には、親水性の低いポリオーノレ(例えば、EO−PPG,PTMG等)とのブレンドを検討 する。本研究で重合したE0−PPG系のWPUの親水性セグメント%は3〜5・t%と低く、その場 合凝集は発生しない。ところが、二rWO04のように親水性セグメント%が30%高くなると、

凝集が発生する。したがって今後は、親水性セグメント%をパラメータとして親水性セグ メント%と貯蔵安定性の関係を明らかにし、適正値を見いだしていく。

参考文献

(10.1)木村英正;高分子Vo!.30No.12,p888(1981)

(10.2) W.C,Chan and S.Chen;Po1ymer Vo1.29, p1995(1988)

(10.3)木村次雄;日本接着学会誌Vo1.26No.1!,p430(1ggO)

(10.4) J.w.Rosthauser a11d K.Nachtkamp; Waterborne Polyurethanes , Advanced in

    Uretha・eSci.andTech.Vo1.6,P121(1987)

(10・5)W・P・Y・・g; Th・…1・・dM・・h・・i・・lP・・p・・ti…fW・t・・b・。。。P.ly。。。・h。。。。・,

    出典不明

(10・6)H・X・Xi・・,S・Y…,….;W・…b・m・,High・・一S・lid。・dP。。d。。C。。・i.g.

    Sympos ium (1993)

(10.7)F.Beck; EユectricaユandChemicalAspectsofElectrodepositionofPaint ,出

    典不明

(10・8)B・K・Ki…dY.M.L・・;C・11・idP・ly・.S・i.V.1,270N。.1O,P956(1992)

(10・9)S・しH・・,H.X.Xi・・,・t・.;J.ApP1i.P・!y・.S・i.V.1.29,P2467(1984)

(1O・1O)H・A・Al−S・1・h,K.C.F・i・・h,・t・.;J.P・ly・.S・i.P・・tA:P.1y。.Ch。。.V.1.25,

   P2127(1987)

(10・11)N.B.G・・h・…dM.Z・1fig・・;P・1y…V・1.30,P2131(1989)

(10・12)林俊一、山田敏郎ら、化学工学会秋季大会研究発表講演要旨集、Vo1.32.1032

     (1999)

第11章ポリウレタン系形状記憶ポリマーの特性と

応用

11.1緒言

 知的材料(インテリジェントマテリアル)の一つに形状記憶材料があり、中でも形状記 憶合金(11・1)および形状記憶ポリマ」1L2)の実用化が進んでいる。形状記憶合金に比べて形状 記憶ポリマーは低密度であり、成形性が良く、低廉であるなどの多くの特徴を有しており、

その用途開発が注目されている(lL3)。前報(1い1)では、形状記憶ポリマーの開発と応用につい て紹介した。

 形状記憶ポリマーの中で、ポリウレタン系形状記憶ポリマー(三菱重工業㈱製・ダイア リィ)は、透明で成形性が良く、ガラス転移温度(以下丁、と略す)が自由に設定できるな どの特徴のほかに、光学的性質や水蒸気透過性がT、の上下で異なる、抗血栓性に優れてい るなどの特性を有するために、広範囲の分野での応用が特に注目されている(11.5)〜(lLR)。

 本報では、このポリウレタン系形状記憶ポリマ]について、基本的な変形特性、形状回 復 性、形状固定性、水蒸気透過性、エネルギ』散逸特性などの諸特性を紹介し、さらにそ れらの性質の応用例について述べる。

11.2ポリマーの種類と形態

 本ポリマーには、ポリウレタン系高分子材料の配合により、組成の異なる工一テル系と エステル系の2種類がある。両材料について、分子量の違いによりT、が243〜343Kの範囲 で設定可能である。

 本ポリマーの主な形態と特徴を示すと表11.1のようになる。表11.1に示されるように、

目的に応じ各種の形態の試料が使用できる。また、従来の熱可塑性プラスチックと同様に、

射出、押出、ブローなどの成形法が使用でき、複雑な形状が容易に得られる。さらに、透 明であるので、着色も自由にできる。

11.3材料特性

 11.3.1基本的な変形特性  (1)弾性率

 本ポリマーの弾性率と温度との関係を模式的に図1!・1に示す。図11.1に示すように、T、

の上下の温度において弾性率は大きく異なる。T、以下の温度では結晶相とガラス状態非晶相 のエネルギー弾性のために弾性率が高くなり、T、以上の温度では非晶相のミクロブラウン運 動に基づくエントロピー弾性のために弾性率が低くなる。T、以上のゴム領域で低弾性率を示 すエーテル系ポリウレタンについて・動的粘弾性試験により求めた貯蔵剛性率G はT、以下 の温度では約1000MPa・T。以上の温度では約3〜6MPaである(1L9)。したがって、T、の上下の 温度におけるG の比率は約200であり、非常に大きい。エステル系ポリウレタンでは、結晶

分率を高く設定しているため、T、以上の温度でのG を比較すると、工一テル系材料より約 2.5倍大きい。

 (2)応力一ひずみ曲線

 丁、=318Kのエステル系ポリウレタンについて、一定温度丁で一定ひずみ速度εの下での単 軸引張試験で得られた応力一ひずみ曲線を図11.2に示す。図11.2からわかるように、温 度が低いほど、またひずみ速度が大きいほど降伏応力、ユ00%モジュラスは大きくなる。ま

た、同じ応力で生じるひずみは小さくなる。

 T:298K<T、の場合、;=500%/minでは上降伏点の現れる降伏現象が見られる。試験片の変 形状態を観察すると、この降伏現象はくびれの発生および進展によって生じている。他方、

上降伏点の現れない場合には、試験片にはくびれは発生せず、試験片は一様に変形する。

なお、くびれにより生じた変形は除荷後に非回復ひずみとして残留するが、無応力下で丁目 以上の温度に加熱すると、くびれは削減し、材料は元の形状に回復する。T〈T、の低温で負荷

し、除荷した場合、与えた最大ひずみはほぼ非回復ひずみとして残留する。一方、T〉丁目の高 温で負荷し、除荷した場合、与えた最大ひずみはほぼ回復する。この場合、応力一ひずみ 曲線は大きなヒステリシスループを描く。

 (3)クリープ変形

 丁〉T、の温度においては、一定応力下で時間の経過に伴いひずみの増加するクリープ現象が 現れる。繰返し負荷を受ける場合、クリープひずみは最初の負荷で大きく現れるが、第2 サイクル以降ではほぼ一定の値をとる(11・1o)。第2サイクル以降でのクリープひずみは、除 荷後のクリープ回復ひずみとほぼ一致する。

 11.3.2形状回復性と形状固定性

 丁〉T、の高温では、本ポリマーは小さな応力で容易に変形する。この場合、最大ひずみを一 定に拘束してT〈T、の低温まで冷却すると、熱収縮に対する抵抗として応力が増加する。こ れは回復応力と呼ばれ、負荷時の応力の約2倍の大きさになる。この状態から低温のまま で除荷すると、高弾性率のために最大ひずみとほぼ等しい残留ひずみが得られる。この性 質は形状固定性と呼ばれる。この低温状態では、弾性率および降伏応力が共に高いので、

弾性範囲内で大きな荷重を受けることができる。低温除荷の状態から無負荷の下でT〉Tピの 高温まで加熱すると、ひずみは削減し、材料は元の形状に戻る。この性質は形状回復性と 呼ばれる。

 T、:318Kのエーテル系ポリウレタンについて、338Kの高温で負荷し、最大ひずみ100%一 定で298Kの低温にし、低温のまま除荷し、無応力下で338Kに加熱する操作を10回繰り返

した場合の応力一ひずみ曲線を図11.3に示す。図11.3からわかるように、低温での除荷 ひずみは最大ひずみにほぼ等しく、繰り返し数に依存せずほぼ一定値をとる。また、繰り 返し数Nの増加と共に加熱後の残留ひずみは増加し、負荷時の応力一ひずみ曲線の傾きは 大きくなる。これらの量は繰り返しの初期に大きく変化し、N≧5での変化は小さくなる。

この傾向は、その変形機構は異なるものの、形状記憶合金の場合も同様である(]川。形状記 憶合金ではマルテンサイト変態に伴う回復ひずみが約6%であるのに対し、形状記憶ポリマ

ドキュメント内 ポリウレタン系形状記憶ポリマーの開発 (ページ 99-108)