Cグループ:イトモロコ,タナゴ亜科 Dグループ:ドンコ,ムギツク
Eグループ:ヤマメ
図4-14 九州北西部A~Eグループに属する調査地点の平均魚種数
表4-5 各セグメントエコリージョンおける主な種の出現率(50%以上)
種数
汽水・海水魚 純淡水・回遊魚 0
20 40 60 80 100 120
A B C D E
コイ スズキ ボラ ギンブナ
ヒイラギ シモフリシマハゼウロハゼ マハゼ
サッパ コノシロ
セスジボラ ハゼクチ
シモフリシマハゼカマツカ ナマズ コイ
ウナギ ツチフキ ギンブナ
トウヨシノボリ オイカワ
ウロハゼ モツゴ
ヤマトシマドジョ ヤリタナゴ モツゴ ナマズ ギンブナ アユ カネヒラ ムギツク トウヨシノボ オイカワ
カワヒガイ カワムツ
カマツカ イトモロコ ドンコ
ギンブナ タカハヤ オイカワ
ムギツク カワムツ カマツカ ドンコ
ドンコ カワムツ タカハヤ
ヤマメ
※青字:汽・海水魚 G4
G5 G1
G2
50-60 60-70 70-80 80-90 90-100
出現確率(%)
G3
図4-15 各セグメントエコリージョンにおける代表種の出現率(九州北西部)
出現確率
0 20 40 60 80 100
A B C D E
コイ ドンコ イトモロコ ヤマメ マハゼ (%)
b)九州北東部
図4-16はA~Dグループに属する調査地点における平均魚種数を示したものである.九州北東 部においては下流から上流へと総魚種数が減少する傾向が見られる.一方で純淡水魚・回遊魚の 種数は下流域の C グループで最も多く上流,下流に向かうにつれて減少する傾向が見られた.B グループでは汽・海水魚の出現が見られるがCグループでは殆ど見られない.また,Aグループ とBグループはともに潮の影響を受ける区間であるが,汽・海水魚の占める割合は大きく異なる など魚類相の構成は大きく異なることがわかる.従って環境指標を作成する際にはこのような魚 類相の違いを考慮する必要があり,九州北東部においてもセグメントエコリージョンの概念が有 効であることが確認された.
各セグメントエコリージョンを代表する指標種について考察を行う.表4-6は各セグメントエ コリージョンの調査地点に50%以上出現した魚種を示したものである.表中に青字で記した種が 汽・海水魚である.Aグループでは50%以上出現した魚種の大半が汽・海水魚であり,回遊魚は ビリンゴ,チチブが全地点で確認された.B グループはウロハゼ,ボラといった汽・海水魚の出 現が見られる一方で純淡水魚であるコイ,ギンブナも全地点で確認されておりAグループとCグ ループの中間の魚類相となっている.CグループではBグループにおいて全地点で出現が確認さ れたコイ,ギンブナの出現率が下がり,オイカワ,カマツカ等のコイ科魚類やシマヨシノボリ,
ゴクラクハゼなどの淡水性のハゼ科の種も多くみられた.D グループでは瀬に多く生息するカワ ヨシノボリやカワムツが多く見られた.
図 4-17 は各セグメントエコリージョンで指標種となり得る出現確率が 90%以上(ウキゴリを 除く)の種について,各セグメントエコリージョンにおける出現率を表したものである.スズキ,
オイカワ,カワムツ等は複数のセグメントエコリージョンにおいても出現率が高く,指標種とし ては不向きなことが伺える.以上より九州北東部の河川は以下の魚種によって特徴付けられると 考えられる.
Aグループ:シマイサキ,シロギス Bグループ:コイ,ギンブナ Cグループ:ウキゴリ
Dグループ:オオヨシノボリ,カワヨシノボリ
九州北西部の指標種とは異なり,B グループを除いてはタナゴ亜科をはじめとするコイ科では なくウキゴリやヨシノボリ類といった淡水性ハゼ科魚類によって各セグメントエコリージョンが 特徴付けられる結果となり,九州北東部の魚類相を反映した指標種が抽出された.
図4-16 九州北東部A~Dグループに属する調査地点の平均魚種数
表4-6 各セグメントエコリージョンおける主な種の出現率(50%以上)
0 5 10 15 20 25 30 35
A B C D
種数
汽水・海水魚 純淡水・回遊魚
ウグイ ビリンゴ
ゴンズイ チチブ
ヒメハゼ コノシロ
アベハゼ マゴチ
クサフグ スズキ
シマイサキ シロギス クロダイ ボラ セズジボラ ウロハゼ マハゼ アシシロハゼ ヒナハゼ
オイカワ コイ
ドンコ ギンブナ
ゴクラクハゼ ウグイ
ゴンズイ ウナギ
クロダイ アユ
キチヌ ビリンゴ
メナダ ヌマチチブ
マハゼ チチブ
アシシロハゼ コノシロ
マゴチ スズキ ボラ セズジボラ ウロハゼ
マハゼ カワムツ ドンコ オイカワ
ナマズ シマヨシノボリ ウグイ
ウナギ ウキゴリ カマツカ
ボラ ヌマチチブ アユ
ゴクラクハゼ イトモロコ ムギツク オオヨシノボリ ウグイ オイカワ
ナマズ トウヨシノボリ アユ カワムツ
60-70 70-80 80-90 90-100
D A
C B
出現確率(%) 50-60
0 20 40 60 80 100
A B C D
コイ カワヨシノボリ ウキゴリ シロギス
出現確率
図4-17 各セグメントエコリージョンにおける代表種の出現率(九州北東部)
(%)
4.4.2 セグメントエコリージョンの概念に基づく指標開発の方向性
北米では同一エコリージョン内で魚類や底生動物,鳥類等を対象としたIBI(Index of Biological Integrity)など多くの指標開発が進められ,実用化が為されている(Karr & Dudley 1981).IBIとは河 川やその流域における人為の影響を評価するため,魚類相の多くの特質を統合したもの(Karr
1991)であり,これらの特質を表す測定基準を指数化することで河川環境の健全度を定量的に評価
できるものである(Gansan & Hughes 1998).
ここでは「同一セグメントエコリージョン内であれば生物相の良否が比較可能である」という 仮説に基づき,九州北西部の各セグメントエコリージョンを対象に各調査地点の出現魚種数の比 較を行った.ここでの基本概念は,セグメントエコリージョンが同じで,環境の状況が同じであ れば生息する魚類相は等しいというものである.すなわち生息する魚類相は環境の状況を反映し ていると考えるのである.ここでは魚種数が多いほど環境が良いという考えのもと評価を行う.
本章では,分類されたA~Eの5つのセグメントエコリージョンを対象に生態学的健全度を評 価可能な指標作成の方向性について検討する.
a)セグメントエコリージョンA(河口域)
九州北西部の河口域のセグメントエコリージョンに分類された17地点を対象に,前述の基本概 念を適用し,各地点で出現が確認された汽・海水魚および回遊・純淡水魚の種数比較を行う.
図 4-18は河口域のセグメントエコリージョン A に出現した汽・海水魚の種数を示したもので ある.九州北西部の河口域では85種の汽・海水魚が確認された.最も種数が多く確認された地点 は松浦川の河口で31種,最も種数が少なかった地点は筑後川流域花宗川下流で3種である.各河 川ともに河口部で種数が多く,上流側に種数が減少する傾向が見られた.
図 4-19は河口域のセグメントエコリージョン A に出現した回遊魚・純淡水魚の種数を示した ものである.九州北西部の河口域では26種の回遊・純淡水魚が確認されており,最も多くの魚種 が確認された地点は筑後川の調査地点で11種,確認種数が最も少なかった地点は筑後川本川の最 下流部で 1種であった.筑後川,白川では同じ感潮区間の上流側の地点で回遊・純淡水魚の種数 が増加する傾向がみられた.
回遊・純淡水魚や汽・海水魚の生息魚種は塩分濃度によって大きく変化する傾向があり,上流 方向に汽・海水魚が減少し,回遊・純淡水魚が増加する傾向がある.しかし,連続的に変化する 塩分濃度毎にセグメントエコリージョンを細分化することは困難であり,感潮区間の範囲を相い つセグメントエコリージョンとすることは妥当である.感潮区間に属する調査地点の評価を行う 際には,塩分濃度に対応して変化する種組成に対して,どのような物理環境が欠落しているか評 価可能な指標の作成が重要であり,産卵場所や利用場所で生息環境の良否が判断可能な指標項目 を設定することが重要と考える.
図4-18 九州北西部のセグメントエコリージョンAに属する地点に出現した汽・海水魚の種数
図4-19 九州北西部のセグメントエコリージョンAに属する地点に出現した回遊魚・純淡水魚の
種数
平均23.0種
21~30 11~20
~10 31~40 41~
平均5.0種
4~5 2~3 0~1 6~7 8~
b)セグメントエコリージョンB(下流域)
九州北西部の下流域のセグメントエコリージョンBに分類された13地点を対象に,各地点で出 現が確認された回遊・純淡水魚および氾濫原依存種の種数比較を行う.氾濫原依存種は平常時の 生息場や産卵時等,その生活史の一環で氾濫原を利用する種のことである.ここではコイ,ギン ブナ,オオキンブナ,ツチフキ,メダカ,ナマズ,ドジョウ,モツゴ,ニッポンバラタナゴ,タ イリクバラタナゴの10種を氾濫原依存種とする.なお,タイリクバラタナゴは外来種であるが氾 濫原を利用するため氾濫原依存種として数えた.
図4-20は当該セグメントエコリージョンに出現した回遊魚・純淡水魚の種数を示したものであ る.九州北西部の中下流域では33種の回遊・純淡水魚が確認されており,最も多く確認された地 点は嘉瀬川下流の調査地点で20種,確認種数が最も少なかった地点は六角川および遠賀川に属す る地点で8種であった.
図4-21は当該セグメントエコリージョンに出現した氾濫原依存種の種数を示したものである.
九州北西部の中下流域では 8種の氾濫原依存種が確認されており,最も多く確認された地点は六 角川の調査地点で7種,種数が最も少なかった地点は緑川および遠賀川に属する地点で3種であ った.六角川は回遊魚・純淡水魚の確認種数が他の河川と比較して少なかったが,氾濫原依存種 は多く生息しており,こうした種が生息するために必要な氾濫原環境が下流域に多く存在するこ とが伺える.
図4-20九州北西部のセグメントエコリージョンBに属する地点に出現した回遊・純淡水魚の種数 平均12.7種
11~15 6~10
~5 16~20 21~