第 1 章 序論
5.1 緒言
第 5 章
「発展研究 3 」
「進化するネットワーク型個人知」構成法の研究
い組織創造等をもとにした「絶えざる新たな組み合わせ」によりイノベーションを達成でき ると指摘されている[26].
分野を“つなぐ”,プロセスを“つなぐ”,及びシステムと人を“つなぐ”ことを支える新 しいインフラ創出への「ITサービス産業」の役割が指摘されている.これをリードする新し いIT人材像として,構想を立案する能力と構想を技能によって実現する能力を持った「シス テム・アーキテクト(Geek・Suit & Designの資質を具備)」が示されている[28].
これからは,既成概念にとらわれずに新しい視点から物事をとらえ,新しい意味づけを与 える「コンセプチュアル社会」となることが示されている.ここでは,国家や自治体より,
企業より,突出した「個人」が富を生み出す時代となると指摘されている[29].
これまでのネットワークコラボレーション手法を活用したイノベーションは,企業経営面 からみた新しい価値創造活動・価値獲得活動に中心をおいたものとなっている.これからの ネットワークシステムでは,「ディジタル情報化された知識・技術・経験が流れ・蓄積・利 活用」され,グローバル規模で「実世界とディジタル世界」の連携度が今後一層深まる可能 性を持っている.マーケット多様性の増大,ビジネス環境変化の加速,及び技術革新の加速 に対し一層の柔軟性と俊敏性を持って対応するためには,社会の構成要素である「個人活動」,
「企業活動」,及び「社会活動」をバランスよく支える「社会基盤としてのネットワークシ ステムの働き」が求められる.
これに対処するため,前章までに,知識創造理論のSECIモデルの概念を応用した「ネッ トワークを介した組織的知識創造活動」を基本において,「ネットワーク型社会知」構成法,
「ネットワーク型組織知」構成法,及び「三層構造オープンイノベーション基盤」に関して 考察してきた[23] [31] [32] [33].しかし,これらにおいては「知識・技術・経験の豊かで体系 的な個人知」の獲得を仮説として設定して考察を進めてきた.
本章では,「個人知」について考察する.具体的には,ライフステージ毎に相応しい「知 識・技術・経験の豊かで体系的な個人知」を獲得するための「進化するネットワーク型個人 知」構成法を考察する.なお,本章の「進化するネットワーク型個人知」構成法の研究にお いては,組織的知識創造活動を支える「ネットワークシステム」として,「三層構造オープ ンイノベーション基盤」を活用して検討を進める.
図5.1に,「進化するネットワーク型個人知構成法」の検討の枠組みを示す.
第5.2節では,前章までの考察において詳述している組織的知識創造活動を支える「三層 構造オープンイノベーション基盤」に関して,本章の展開に必要となる部分を抽出して議論 を進める.第5.3節では,「個人知」を,上記ネットワーク上の「空間軸」の視点から,「個
人知」が関わる「知の連結・統合機能」について考察する.第5.4節では,「個人知」を,個 人ライフサイクル上の「時間軸」の視点から,「個人知」を取り巻く「変化する知識創造環 境」について考察する.第5.5節では,本章で提案する,「進化するネットワーク型個人知」
構成法について考察する.個人の幅広い「マルチモード活動」を支える「総合力」の視点を 加えて,「個人知」の空間軸と時間軸を総合力で統合する「進化するネットワーク型個人知」
構成法とその効果について考察する.第5.6節では,本章のまとめを行う.
図5.1 「進化するネットワーク型個人知構成法」の検討の枠組み