第 1 章 序論
2.4 知識「連結・統合」構成法の必要性と「要素技術」研究
2.5.4 新しいネットワークの役割
社会システム」として発展することにより,初めて飛躍的な普及を達成する.
「新しい社会システム」は一つの企業内や,特定産業内に限定されて利用されるものでは ない.「新しい社会システム」は,社会全体で,産業横断的に広く活用されるシステムであ る.したがって,このような特徴をもつ「新しい社会システム」は一人の天才によって生み 出され,発展させられるものではない.一つの企業によって生み出され,発展させられるも のではない.一つの産業界によって生み出され,発展させられるものではない.
「現社会システム」は一朝一夕に出来上がったものではない.「現社会システム」は当該 社会そのものを具現化したものである.「新しい社会システム」は,今の社会活動をささえ ている「歴史を内包した現社会システム」抜きでは存在しえない.すなわち,「現社会シス テム」から「新しい社会システム」への発展的移行・革新的移行には,幅広い分野から「バ ランスのとれた人間性を備え,総合力ある人間活動ができる人々,そして企業」の参加が必 要である.
「社会知」は,今の社会活動をささえている「現社会システム」を利用し,個人的価値・
企業的価値・社会的価値を生み出す「社会総体の知識・技術・経験」である.そして更に,
「現社会システム」から「新しい社会システム」への発展的移行・革新的移行を推進する「社 会総体の知識・技術・経験」である.即ち,「社会知」とは「現社会システム」と「新しい 社会システム」そのものである.
情報通信ネットワークは,「自身が世界の隅々までひろがり・繋がった社会システム」で ある.併せて,他の多くの個人システム,企業システム,及び社会システムを情報通信機能 で支える使命を持った「社会システムのための社会システム」,即ち、「基盤的社会システム」
である.ネットワーク技術の進展によって,これまで業界主導で,それぞれ個別に発展して きた「産業界別・業務分野別社会システム」はネットワークを介して相互に連携する「社会 システム間連携」のステージに入っていく.
知識創造社会における「社会知」は,社会の効率性・安定性・豊かさの向上に資する「社 会システム」として具現化され,基盤的社会システムであるネットワークシステムを介して
「社会活動」を幅広く支える.
「社会知」に関するコア技術は,「個人知」,「組織知」,及び「社会知」の知識「連結・統 合」構成法である.
で支える使命を持った「社会システムのための社会システム」,即ち「基盤的社会システム」
である.
これからのネットワークはNGN,NWGN,LTE,ユビキタスセンサーネットワーク,SaaS,
及びクラウドコンピューティング時代へ移行していく.そしてネットワーク自身に付加価値 がつけられていく.これによりネットワーク利用法の革新がおこる.その典型例は「データ センター」&「コンタクトセンター」,「ユビキタス・マルチメディア・センサー情報集約セ ンター」,「ネットワーク・アプリケーション・サービスセンター」,及び「ディジタル情報 化された知識・技術・経験の創造・伝達・継承(個人知,組織知,及び社会知)センター」
である.
新しいネットワークは,「自由で・自立的で・豊かで・文化的で・創造的な個人の個人活 動・企業活動・社会活動を支える個人システム」,「企業の新しい価値創造・価値獲得の源泉
/国際競争力の源泉としての企業システム」,「社会システム間連携機能を具備しつつ,現社 会システムから新社会システムへ発展的移行・革新的移行を繰り返し,個人システムと企業 システムを支え続ける統合型社会システム」の三つをバランスよく支えながら発展していく.
即ち,これからのネットワークシステムは,新しい知識・技術・経験を次々に創造・伝達・
継承していく「知識創造社会」を支援する「知識創造活動支援型ネットワーク」と「持続的 な新しい価値創造・価値獲得の仕組みづくり」を目指すこととなる.
2.6 結言
「基本研究」として,「組織的知識創造活動」の有効性を明らかにするとともに,「知識創 造の場のコンセプト」を活用した新規の知識「連結・統合」構成法の提案とその「要素技術」
研究を行った.
インターネット本格普及期における「コミュニケーションシステム事業」のビジネス実践 時に遭遇した「技術的課題と組織的課題」に対して,個人の能力に頼るのではなく「組織知」
の構築によって解決を目指した.これは,知識創造理論のコンセプトを応用して,「場」を 共有した四パーティが連携して取り組む「クリエイティブ・ルーティング・ワーク活動」で あった.これにより,技術面及びビジネス面において激しい変化が流入してくる事業環境に おいて「組織的知識創造活動」の有効性を確認した.
グローバル化の波が世界の隅々まで浸透してきた「競争と連携のグローバル水平分業・垂 直分業型ビジネス」環境においては,「持続的な新しい価値創造・価値獲得の仕組みづくり」
を獲得した事業,即ち,「知識創造事業」が成長・発展を牽引していく「知識創造社会」と
なる.
ビジネス実践経験とその後の幅広い調査活動に基づき「グローバル時代,クラウド時代,
及び本格的な知識創造時代」を展望して,改めて「二つの重要課題」を設定した.第一の重 要課題は,情報通信産業界及びユーザ産業界を対象とする「人材の流動問題・結合問題」及 び「組織の知識・技術・経験の創造・伝達・継承問題」である.第二の重要課題は,情報通 信産業界を対象とする「情報通信分野トータル・ソリューション企画・開発・提供問題」及 び「新産業分野創造をリードする母体産業界への産業進化問題」である.
「二つの重要課題」に対し,これらを解決する共通の鍵として「ネットワークコラボレー ション手法を活用した組織的知識創造活動」に着目し,「個人ベース」,「組織内ベース」,「組 織間ベース」,「地域社会間ベース」の「知識の創造・伝達・継承問題」として捉え,「組織 知」に加えて「社会知」及び「個人知」についても総合的に取り扱う,新規の知識「連結・
統合」構成法を提案した.
次に,基本的な知識「連結・統合」構成法とその「要素技術」を明らかにした.「個人ベ ース」の知識創造活動では,「個人知」の基本構成について示した.「組織内ベース」の知識 創造活動では,「個人知」と「組織知」の知識「連結・統合」構成法について示した.「組織 間ベース」の知識創造活動では,「組織知」と「組織知」の知識「連結・統合」構成法につ いて示した.
更に,情報通信産業界を対象とする「情報通信分野トータル・ソリューション企画・開発・
提供問題」及び「新産業創造をリードする母体産業界への産業進化問題」に対する「基本研 究」の位置づけで,情報通信関連の「幅広い課題抽出法」,情報通信関連の「直接的な課題 抽出法」を示した.
以後の「発展研究1,2,3」及び「応用研究」に備えて,「個人知」,「組織知」,「社会知」, 及び「新しいネットワークの役割」について基本的な考え方を整理した.