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組織的知識創造活動を支える「ネットワークシステム」

ドキュメント内 2011年1月 有馬修二 内容梗概 (ページ 141-156)

第 1 章 序論

6.2 組織的知識創造活動を支える「ネットワークシステム」

6.1 知識創造活動支援型ネットワークがカバーする三分野

分野 項目

人類と自然の

共生

競争と連携の グローバルビジネス

国民と公共・国家

構成要素 人類・自然

個人 組織(企業)

社会(地域,グローバル)

国民 公共,国家

国際

コンセプト 持続可能

自由と自律 競争と連携 起業家精神

権利と義務

主要な 関心事

環境 天然資源 エネルギー

文化・富 資源としての

「知識・技術・経験」

価値創造・価値獲得 技術・ビジネス・社会

イノベーション

立法・行政・司法 社会制度・国家財政 教育・科学・医療・福祉

社会貢献・国際貢献

手段

エコシステム 再生可能エネルギー

社会システム

組織的知識創造活動型 個人システム 企業システム 社会システム

国家戦略 社会システム

「三層構造オープンイノベーション基盤」を組織的知識創造活動の「場」として連結・統 合を繰り返す,知識創造社会における「個人知」,「組織知」,「社会知」,「ネットワーク型社 会知」,「ネットワーク型組織知」,「ネットワーク型個人知」,及び「ネットワーク型産業知」

を,ネットワークの視点から以下のように定義して,以後の議論を展開する.

「個人知」は,個人の自由と自律性の増大に資する「個人システム」として具現化され,

ネットワークを介して個人の「個人活動」,「企業活動」,及び「社会活動」を幅広く支える.

「組織知」は,企業の新しい価値創造・価値獲得の増大に資する「企業システム」として 具現化され,ネットワークを介して「企業活動」を幅広く支える.

「社会知」は,社会の効率性・安定性・豊かさの向上に資する「社会システム」として具 現化され,基盤的社会システムであるネットワークを介して「社会活動」を幅広く支える.

これらの「個人知」,「組織知」,及び「社会知」は,個人システム,企業システム,及び 社会システムとしてネットワークシステムに接続され相互に影響を与えながら成長・発展し

ていく.

「ネットワーク型社会知」は,当該地域社会に係わる全ての個人及び企業に対し地域ディ ジタルビジネス活動全体・地域ディジタル社会活動全体を俯瞰できる環境を与える.

新しい価値創造活動・価値獲得活動の単位として,個人,企業,及び社会に加えて,個人 と企業の中間に,一つの巨大な「仮想企業」の概念を導入し,この仮想企業向けの組織知を

「ネットワーク型組織知」と呼ぶ.

進化する「ネットワーク型個人知」は,「個人知」の「空間軸」と「時間軸」をマルチモ ード的人間活動の「総合力」で統合して構成する.

「ネットワーク型産業知」は,産業としての明確な「産業ビジョン」,産業ビジョンを実 現するための具体的な「産業戦略」,ターゲットとする「産業マーケット」,産業構造の全て の階層を支えるコア技術獲得に向けた持続的な「研究・開発・製造・デリバリー・・・等の 仕組み」,当該産業で活躍する優れた人材が次々に流入してくる「人材連結・人材結合の仕 組み」,及び「異分野の産業知と産業知がネットワークを介して連結・統合し進化と創造を 繰り返す仕組み」である.「ネットワーク型産業知」は,「個人知」,「組織知」,「社会知」,「ネ ットワーク型社会知」,「ネットワーク型組織知」,及び「ネットワーク型個人知」を構成要 素としてネットワークを介して連結・統合を繰り返しながら成長・発展し「新産業分野創造 活動」を幅広く支える.

図6.2に,「三層構造オープンイノベーション基盤」と新産業分野を創造する「ネットワー ク型産業知」の関係を示す.

6.2「三層構造オープンイノベーション基盤」

と新産業分野を創造する「ネットワーク型産業知」

6.3 知の連結・統合の「ネットワーク基本モデル」

6.3.1 知の連結・統合の「ネットワーク基本モデル」 の概念

「知識創造社会」におけるネットワークシステムの「基本的な使命」について,「知」の 連結・統合の「ネットワーク基本モデル」の概念として確認しておく.

ネットワークシステムの基本的な使命は「価値あるモノxi」と「価値あるモノyj」を連結・

統合することである.具体的には,ネットワークシステムの連結技術により,「価値あるモ

ノxi」と「価値あるモノyj」は相互交流を促進し,「価値あるモノxi」から「一層の価値あ

るモノXi」へ,及び「価値あるモノyj」から「一層の価値あるモノYj」へ変化する.更に,

統合技術により「成果物」として「新しい価値あるモノZ」を獲得する.なお,「成果物」の 帰属は所有者間で予め締結される契約にもとづいて決定される.具体的には,両者において

「共有」される,あるいは一方に「分有」される等である.重要なことは,「成果物」とし

て「新しい価値あるモノZ」を獲得することに加えて,連結・統合の過程で獲得される「組 織的知識創造活動の経験」が,もともと「分有」されていた「価値あるモノxi,yj」に対し 変化を促し,「一層の価値あるモノXi,Yj」に成長・発展させ両者が其々を「分有」するこ とである.

図6.3に,「知」の連結・統合の「ネットワーク基本モデル」を示す.

6.3 知の連結・統合の「ネットワーク基本モデル」

6.3.2 「知」の連結・統合の「基本パターン」と「応用パターン」

当該「個人知」とこれを取り巻く他の「個人知」,「組織知」,及び「社会知」との連結・

統合パターンは,前章において詳述しているが,本章の議論展開上必要となるので一部再掲 して記述する.

以下の9個の「基本パターン」として整理することができる.①「個人知」と「個人知」

の連結・統合,②「個人知」と「組織知」の連結・統合,③「個人知」と「社会知」の連結・

統合,④「組織知」と「組織知」の連結・統合,⑤「組織知」と「社会知」の連結・統合,

⑥「個人知」,「組織知」,及び「社会知」の連結・統合,⑦当該「ネットワーク型社会知」

と域外「ネットワーク型社会知」の連結・統合,⑧「幅広い業界分野からの知識・技術・経 験の豊富で体系的な個人知」から仮想企業向け「ネットワーク型組織知」構成,⑨ネットワ ーク層,社会システム層,及び企業組織層による「三層構造オープンイノベーション基盤」

構成等である.

②と④はそれぞれ,私企業の情報セキュリティ面及び情報コンプライアンス面から「個 別的な連結・統合」手段を確保する必要性がある.なお,①,②,③,④,及び⑤は⑥に包 含して連結・統合を検討することができる.⑥,⑦,⑧,及び⑨は連結・統合にあたってそ れぞれ「特別な連結・統合構成法」を工夫する必要がある.⑥に対しては「ディジタルビジ ネス型地域社会ネットワークシステムの考察[23],⑦に対しては「A Study on “Network-based Global Digital Business Community based on Social Knowledge”」[31],⑧及び⑨に対しては「ネ ットワーク型組織知の考察」[32],及び「A Study on a “Three-Layered-Structure Open Innovation Foundation” Accelerating the Interaction of Innovation」[33] の検討に基づき,第3章,第4章,

及び第5章でそれぞれ記述した .⑩「個人知」構成法は,①から⑨の全体に関係する基本 技術である.

上記の9個の「基本パターン」で連結・統合する際は,前述の,⑪知の連結・統合の「ネ ットワーク基本モデル」 の概念に基づいて構築することとなる.

上記に加えて「応用パターン」として,テクノロジーイノベーション,ビジネスイノベー ション,及びソーシャルイノベーション全てに対し最もインパクトのある,⑫「産業界xi」

と「産業界yi」の連結・統合がある.「三層構造オープンイノベーション基盤」上において,

「産業界xi」と「産業界yi」の連結・統合することにより,新たな「産業知」を獲得できる.

「産業知」については次項以後において記述する.

「産業知」の検討に先立ち,次項において,「産業界xi」と「産業界yi」の連結・統合の

構成要素となる②,④,⑥&⑧,及び⑦に関する連結・統合の「基本パターン」について,

知の連結・統合の「ネットワーク基本モデル」の有効性について例示する.

図6.4に,「知」の連結・統合の「基本パターン」と「応用パターン」の関係を示す.

6.4「知」の連結・統合の「基本パターン」と「応用パターン」

6.3.3 基本的な連結・統合パターンに対し

知の連結・統合の「ネットワーク基本モデル」 の有効性の例示

6.3.3.1 「個人知」と「組織知」の連結・統合

「個人知」と「組織知」を知識「連結・統合」する際に考慮すべきことは,個人の「自由 で自律的」な知識創造活動を保証しつつ,当該組織としての知識・技術・経験・実績・ノウ ハウ・固有の強みを生かして体系的な組織的知識創造活動を促進することである.そのため,

「個人知」と「組織知」の知識「連結・連結」構成法では,「個人知」と「組織知」の関係 を,個人と組織間相互の積極的な交流を促す「密結合な関係」を基本とした上で,「個人と 企業の両方が所有する知」に加えて「個人,企業の片方が所有する知」の観点を取り入れ,

知を個人と企業間で共有・分有できる「疎結合な関係」を維持しながら連結・統合する手法 を提案した[23].

個人a1と企業組織b社間の「知識共有及び知識分有」問題への対処には,「知の連結・統 合のネットワーク基本モデル」を適用する.即ち,「価値あるモノxi」=「個人知a1」,「価 値あるモノyj」=「組織知b」と置き換える.ネットワークシステムを介して両者を連結・

統合する.

「個人知a1」は,連結技術により,成長・発展した「一層の価値あるモノXi」=「成長・

発展した個人知A1」へ変化する.「組織知b」も同様に,連結技術により,成長・発展した

「一層の価値あるモノYj」=「成長・発展した組織知B」へ変化する.両者は,統合技術に より「新しい価値あるモノZ」=「組織的知識創造活動の成果物(ビジネス企画書,研究計 画書,製品設計書,新製品,新サービス,・・・)」を獲得する.「成果物」の帰属は,両者 において予め締結される「契約」にもとづいて決定される.具体的には,両者において「共 有」される,あるいは一方に「分有」される等である.通常の「成果」の場合は,報酬を支 払っている企業側に「分有」される.個人にとって重要なことは「成長・発展した個人知

A1」を獲得することである.企業組織にとって重要なことは「成長・発展した企業組織知B」

を獲得することである.これにより一層クリエイティブな組織的知識創造活動を持続的に継 続することが可能となる.

図6.5に,連結・統合により相互に成長・発展する「個人知」と「組織知」を示す.

ドキュメント内 2011年1月 有馬修二 内容梗概 (ページ 141-156)