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周波数の測定方法

ドキュメント内 大久保章 (ページ 88-91)

第 5 章 光周波数コムを使ったメタン分子 ν 3 バンドの絶対周波数測定 78

5.2 実験

5.2.3 周波数の測定方法

メタンの遷移周波数測定は以下の手順で行った.最初に,frepを増減してf1.06µmbeat の符 号を決め,波長1.06µmレーザーを光周波数コムに安定化した.次に,波長1.55µmレー ザーの周波数を粗調し中赤外光の周波数を遷移周波数に近づけ,PDH法で中赤外光の周 波数をCEACの縦モード共振周波数に安定化し,PZT1に三角波電圧を印加して共振器長 を掃引して飽和吸収スペクトルを観測した.その後,CEACのモード周波数を飽和吸収線 の中心に安定化し,再びfrepを増減してf1.55µmbeat の符号を決めた.このとき,ビート周波 数の符号は,レーザー周波数νlaser とそれに最も近い光周波数コムのモード周波数νcomb

(a)f1.06µmbeat (b)f1.55µmbeat

5.5 観測したf1.06µmbeat f1.55µmbeat .周波数スパンは70 MHz,中心周波数は35 MHzである.

を使って

fbeat ≡νlaser−νcomb (5.6)

で定義する.frepf1.06µmbeatf1.55µmbeat の絶対値はそれぞれ周波数カウンターを使ってゲー トタイム1 sで同時に記録した.記録したデータ1組は,200回の測定の平均をとった.

また,データの再現性を確かめるため,1つの吸収線につき最低 2回の測定を別の日に 行った.最後に,光周波数コムのモード数間隔∆nは,HITRAN2008の吸収線周波数デー

タ[114]を使用して計算した.HITRANデータベースは,多くの吸収線でドップラー限界

分解能のFT-IRを基にしており,理論計算による外挿値も含んでいる.∆nの決定に誤り

があると,遷移周波数の測定値はfrep の整数倍だけずれる.しかし,本章で測定した吸

収線はFT-IRによって観測されたもので,HITRANデータの不確かさは悪く見積もって

±20MHz以下である.これは,frepが65 MHzの光周波数コムのモード数間隔を決定す るには十分な精度である.HITRAN2008の吸収線周波数をfHITRANとすると,モード数 間隔は

∆n= [

fHITRAN+ (f1.55µmbeat −f1.06µmbeat )

frep + 1

2 ]

(5.7)

で求められる.ここで[ ]はGauss記号である.これから,メタン分子の遷移周波数fCH4

fCH4 = ∆nfrep(f1.55µmbeat −f1.06µmbeat ) (5.8) で与えられる.

図5.4には,fCEO を測定するためのf–2f 干渉計が含まれていないが,遷移周波数測 定実験の間,スペクトラムアナライザでfCEOをモニターした.この測定ではfCEOを制 御していないので,fCEOの線幅は100 kHz以上であった.しかし,これは長時間平均さ れた中赤外光周波数測定値の不確かさを増やすことはなかった.

図5.6 f1.06µmbeatf1.55µmbeat の符号決定方法を示している.具体的には以下の手順で 決める.まず,fCEO を固定してfrep を制御しているシンセサイザーの発振周波数を操 作し,frep を増減しがらスペクトラムアナライザでf1.06µmbeat を観測する.ここで,frep

が増加したときにf1.06µmbeat も増加した場合にはf1.06µmbeat <0,逆の場合にはf1.06µmbeat >0 である.次に,中赤外光の周波数を遷移周波数に固定してfrep を増減し,スペクトラム アナライザでf1.55µmbeat を観測する.frep が増加したときにf1.55µmbeat も増加した場合には f1.55µmbeat > 0,逆の場合にはf1.55µmbeat < 0である.この間,差周波光の周波数は常に飽和 吸収線に安定化されている.

1.55 μm 1.06 μm

ECLD Nd:YAG

ν

frep

5.6 ビート周波数の符号決定方法.(1)から(4)は,f1.06µmbeat f1.55µmbeat の符号の組 み合わせのパターンを表している.表のは周波数の増減を表す.右上の表は,

frepの増減に対してf1.06µmbeat f1.55µmbeat が増加した場合,減少した場合に対応する符 号の組み合わせを示している.右下の表は,(1)から(4)の組合せとf1.06µmbeat f1.55µmbeat の符号の対応を示している.ここで,+はそれぞれビート周波数の符号である.

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