4.4 暗電流の測定
4.4.2 結果
まず、ガードリング数毎の暗電流測定の結果を図4.14に示す。baby chipは、厚さが500 µmでカットサイズがC の4枚を使用した。そして、表 4.2は各ガードリング数における 100 Vでの1ピクセルあたりの平均暗電流値(Idc)とブレイクダウン電圧(Vbd)をまとめた ものである。測定は3回行い、各回において、電圧1点あたり10個のデータを取得した。そ して、それぞれの電圧においてデータをヒストグラムに詰めた。図4.14はヒストグラムの平 均値をプロットし、その誤差としてヒストグラムのRMSを採用した。本研究では、図4.14 でプラトー領域と急激な電流増加の領域それぞれでの適切な範囲において直線フィットし、2 直線の交点をブレイクダウン電圧と定義した。
Voltage[V]
0 50 100 150 200 250 300 350
Current [A / pixel]
−10
10
−9
10
−8
10
−7
10
0 guard-ring C7 1 guard-ring C8-1 2 guard-ring C8 4 guard-ring C8-1
図4.14 各ガードリング数での暗電流測定の結果。横軸は印加電圧、縦軸は1ピクセルあ たりに平均した暗電流値である。
ガードリング数 シリアル No. Idc @100 V [nA/pixel] Vbd [V]
0 C7 1.84 155
1 C8-1 1.30 208
2 C8 0.86 236
4 C8-1 0.77 307
表4.2 各ガードリング数における暗電流値とブレイクダウン電圧。Idcは暗電流、Vbdは ブレイクダウン電圧を表す。使用したbaby chipは厚みが500µm、カットサイズがCの ものである。
以上の結果から、暗電流はガードリング無し(0ガードリング)と4ガードリングを比べる
と、100 Vでの暗電流値は0ガードリングは4ガードリングの約2.4倍であることが分かる。
また、ブレイクダウン電圧に関してはガードリング数が多いほうが高くなっており、こちら も0ガードリングと4ガードリングで比べると、4ガードリングは0ガードリングよりも約 2倍高い値となっている。
さらに0ガードリングと2ガードリングについては同構造の3枚のbaby chipを測定して おり、これらの結果を図4.15, 4.16と表4.3に示す。今回の測定において同構造間での暗電 流値の個体差は最大0.73 nA、ブレイクダウン電圧では最大43 Vであった。
Voltage[V]
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
Current[A / pixel]
−10
10
−9
10
−8
10
−7
10
0 guard-ring C7 0 guard-ring C8 0 guard-ring C9
図 4.15 0ガードリングの暗電流測定の結果。3 枚のbaby chipとも厚さは 500 µm、 カットサイズはCである。
4.4 暗電流の測定 65
Voltage[V]
0 50 100 150 200 250 300
Current[A / pixel]
−10
10
−9
10
−8
10
−7
10
2 guard-ring C7 2 guard-ring C8 2 guard-ring C9
図 4.16 2ガードリングの暗電流測定の結果。3 枚のbaby chipとも厚さは 500 µm、 カットサイズはCである。
ガードリング数 シリアル No. Idc @100 V [nA/pixel] Vbd [V]
0 C7 1.84 153
0 C8 1.20 156
0 C9 1.11 174
2 C7 0.97 204
2 C8 0.86 229
2 C9 0.72 247
表4.3 今回測定した0, 2ガードリングサンプルの100 Vにおける暗電流値とブレイクダウン電圧。
これらより、0ガードリングと1ガードリングでは、暗電流値の差は0ガードリングの3 枚のサンプルでの個体差よりも小さいが、1ガードリングと2ガードリングでの暗電流値の 差は2ガードリングの3枚のサンプルでの個体差よりも大きいことが分かる。ブレイクダウ ン電圧に関しては、同構造間での個体差よりもガードリング間での差の方が大きく、ガード リング数の増加によってブレイクダウン電圧が増加していることが確認できた。
次に厚さとカットサイズに関して同じ暗電流測定を行った結果が図4.17である。そして、
100 Vでの1ピクセルあたりの平均暗電流値とブレイクダウン電圧の値を記したのが表4.4
である。こちらの測定で用いたbaby chipは0ガードリングの厚さとカットサイズの組み合 わせが異なる4枚である。
Voltage[V]
0 100 200 300 400 500
Current [A / pixel]
−10
10
−9
10
−8
10
−7
10
320um B2 320um C2 500um B5 500um C7
図4.17 各厚さとカットサイズでの暗電流測定の結果。横軸は印加電圧、縦軸は1ピクセ ルあたりに平均した暗電流値である。
シリアルNo. 厚さ [µm] カットサイズ Idc @100 V [nA/pixel] Vbd [V]
B2 320 B 0.61 >500
C2 320 C 0.67 338
B5 500 B 0.64 466
C7 500 C 1.84 158
表4.4 各厚さとカットサイズにおける暗電流値とブレイクダウン電圧。Idc は暗電流、
Vbd はブレイクダウン電圧を表す。測定したサンプルは0ガードリングのbaby chipで ある。
厚さの違いではブレイクダウン電圧は500 µm厚よりも320 µmの方が高い結果となって いる。カットサイズ CのC2 とC7で比べてみると、C2のブレイクダウン電圧はC7の約 2.1倍であった。
カットサイズでのブレイクダウン電圧の変化はカットサイズBの方がカットサイズCより も大きいことが分かる。320 µm厚の baby chipでは B2のブレイクダウン電圧が今回の測
定電圧(0-500 V)を上回っていたためカットサイズ間のブレイクダウン電圧の差を見ること
はできないが、500 µm厚においてはカットサイズBがカットサイズCよりも約2.9倍高い 結果となった。
さらに、暗電流値に関しては500 µm厚でカットサイズ Cのチップ(C7)だけが高い値 で、他の3枚のチップの平均値よりも約2.9倍大きい値となっている。これは、C7が4枚の 中でエッジタッチが最も低電圧で起きやすく電流を拾いやすい構造をしているためであると 考えられる。同時に、他の3枚(B2, C2, B5)のチップの暗電流値が同程度であることから、