アンメータ(Keithley 6517B Source/Am meter)で行っている。そして全容量を測るため にLCRメータ(Keysight E4980A LCR meter[29])*4を用いた。恒温恒湿槽内は暗電流測定 と同様に温度20 ◦C、湿度50%に保たれている。
図4.18 全容量測定のセットアップ回路図。
LCRメータでの測定は4端子法と呼ばれる方法を用いて行った。これは電圧測定と電流測 定を1つの回路で行うのでなく、電圧測定用にもう1つ別の回路を用意して測定する方法で、
測定サンプルが10 MΩ程度以上の場合、電圧計の抵抗値よりも大きいため電圧計内部に流れ る電流は無視でき電流と電圧の測定が正しく行える。図4.18中ではLcur、Hcur で電流測定 を、Lpot、Hpotで電圧測定を行っている。また、H側についている47 nFのコンデンサーは 印加電圧がシリコン半導体検出器だけでなくLCRメータにもかかってしまうのを防ぐ役割 をしている。
LCRメータでは測定の際に測定周波数を決める必要がある。測定周波数の決定にはシリコ ン半導体のインピーダンスの複素平面上における位相が関係する。まず、シリコン半導体の インピーダンスZ は複素平面上で
Z =|Z|eiθ =R−i 1
ωC (4.7)
|Z|=
√ R2+
( 1 ωC
)2
(4.8) と表される。ここでRとC はシリコン半導体の抵抗と全容量、ωは測定周波数である。θは 複素平面上の位相を表し
θ = tan−1 ( −1
ωRC )
(4.9)
*4ベクトル演算により測定した電流、電圧からインピーダンス、全容量、インダクタンス等を計算する計測器
4.5 センサー容量の測定 69 である。この時、θが−90◦ となるように測定周波数を決めればRの要素を無視することが でき、正しい全容量が測定できる。今回の測定では θ = −90◦ となる測定周波数として 10 kHzを選んだ。
4.5.2 結果
厚さとカットサイズの組み合わせが異なる4枚のbaby chip(ガードリング数は0)を用い て全容量測定をそれぞれ10回ずつ行った結果が図4.19である。そして、各サンプルの完全 空乏層化電圧(Vfd)、完全空乏層後の測定全容量(Cfd)と計算値(Ccal)を示したのが表4.5 である。ここで完全空乏層化電圧は図4.20において、完全空乏層化前後の各直線をフィット し、その交点と定義して求めた。さらに全容量の計算は式4.1を用いて行い、ϵr, ϵ0 にはそれ ぞれϵr = 12とϵ0 = 8.854×10−12 F/mを適用した。
完全空乏層化電圧に関しては、320 µm厚では50 V以下、500 µm厚では80 V以下とい う結果になった。また、全容量に関しては測定値と計算値の誤差がB6で最小の0.6%、最大 がC7の4.6%であった。この誤差は統計誤差(B2で0.2%、C2で0.1%、B6で0.3%、C7 で0.3%)よりも大きく、測定環境の改善により小さくできる可能性がある。
Voltage [V]
10 102
Capacitance [F]
−10
10
−9
10
320um B2 320um C2 500um B6 500um C7
図4.19 各厚さとカットサイズでの全容量測定の結果。
Voltage [V]
0 20 40 60 80 100
2 1/C
0 10 20 30 40 50 60 70 80
1018
×
320um B2 320um C2 500um B6 500um C7
図4.20 図4.19のプロットを縦軸が全容量の逆2乗、横軸が電圧にプロットし直したグ ラフ。このグラフより完全空乏層化電圧を求めた。
シリアルNo. 厚さ [µm] カットサイズ Vfd [V] Cfd [pF] Ccal [pF]
B2 320 B 39 178.2 181.8
C2 320 C 40 180.9 177.2
B6 500 B 68 117.1 116.4
C7 500 C 62 118.6 113.4
表4.5 各厚さとカットサイズにおける完全空乏層化電圧と完全空乏層化後の全容量。Vfd
は完全空乏層化電圧、Cfd は完全空乏層化後の全容量を表す。