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最適な ECAL 構造の提案

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 56-63)

3.5 Hybrid 構造を用いた構造最適化

3.5.1 最適な ECAL 構造の提案

ILCSoft で構造設定をするにあたって、まずはシリコン半導体検出器の層数を決めた。

図1.10 から分かる通り、SiECALとScECALにかかるコストの平均値をとった場合でも ECALが一番大きな割合を占めることから、シリコン半導体検出器の層数はDBDの構造の

半分以下である14層に固定することにした。また入射粒子に対するECALの位置分解能を 維持するために、シリコン半導体検出器は前方領域に用い、後方領域を全てシンチレータ検 出器に置き換えた。

シンチレータ検出器に関しては、ゴーストヒットの影響を無くすためにストリップ型は採 用せず、タイル型を採用した。また、シンチレータ検出器では読み出し数の多さからMPPC にかかるコストが大きな割合を占めているため、タイルの面積を大きくすることで読み出し 数を削減した。ストリップ型では45 mm四方で実質9×9ピクセル(1ピクセルあたりの面 積は5 mm×5 mm)あるが、タイル型では同面積でピクセル数を減らすためにタイル1枚あ たりの面積を15 mm×15 mmに設定した。

3.19 ハイブリッド構造の概略図。簡略化のため層数は減らして表現している。

続いて前方領域と後方領域の境界位置、つまりシリコン半導体検出器とシンチレータ 検出器の使用領域の境目に関して幾つかの構造を考案した。この時吸収層の全厚は固定

(22.8X0 = 79.8 mm)することを条件として課した。考案した4案を図3.20に示す。前方 からの境界位置が8.4X0、11.2X0、12X0、14X0 となる構造をそれぞれHybrid 1、2、3、4 としている。DBDの構造は境目がHybrid 3と同じになっている。

3.20 前方領域と後方領域との境界位置の案。

3.5 Hybrid構造を用いた構造最適化 47

3.5.2 各構造間での性能比較

前節で考案した構造について、層数での性能比較、境界位置での性能比較、そしてDBDの 構造との性能比較を行った。詳細を以下で説明する。

各境界設定でシンチレータ層を変化させた場合の性能比較

まずは、各境界位置の構造においてシンチレータ層の層数を変化させた。調査した構造の 一覧を表3.6-3.9に示した。

Configuration 境界位置 Si層数 Sc層数 吸収層(W)の厚みと層数(前方/後方)

Hybrid (1-1) 8.4X0 14 20 2.1 mm×14/2.653 mm×19 Hybrid (1-2) 8.4X0 14 22 2.1 mm×14/2.4 mm×21 Hybrid (1-3) 8.4X0 14 24 2.1 mm×14/2.191 mm×23 Hybrid (1-4) 8.4X0 14 26 2.1 mm×14/2.016 mm×25

3.6 境界位置が8.4X0の場合でのECALの構造。

Configuration 境界位置 Si層数 Sc層数 吸収層(W)の厚みと層数(前方/後方)

Hybrid (2-1) 11.2X0 14 16 2.8 mm×14/2.707 mm×15 Hybrid (2-2) 11.2X0 14 18 2.8 mm×14/2.388 mm×17 Hybrid (2-3) 11.2X0 14 20 2.8 mm×14/2.137 mm×19 Hybrid (2-4) 11.2X0 14 22 2.8 mm×14/1.933 mm×21

3.7 境界位置が11.2X0の場合でのECALの構造。

Configuration 境界位置 Si層数 Sc層数 吸収層(W)の厚みと層数(前方/後方)

Hybrid (3-1) 12X0 14 16 3.0 mm×14/2.52 mm×15 Hybrid (3-2) 12X0 14 18 3.0 mm×14/2.224 mm×17 Hybrid (3-3) 12X0 14 20 3.0 mm×14/1.989 mm×19 Hybrid (3-4) 12X0 14 22 3.0 mm×14/1.8 mm×21

3.8 境界位置が12X0の場合でのECALの構造。

Configuration 境界位置 Si層数 Sc層数 吸収層(W)の厚みと層数(前方/後方)

Hybrid (4-1) 3.5X0 14 16 3.5 mm×14/2.053 mm×15 Hybrid (4-2) 3.5X0 14 18 3.5 mm×14/1.812 mm×17 Hybrid (4-3) 3.5X0 14 20 3.5 mm×14/1.621 mm×19 Hybrid (4-4) 3.5X0 14 22 3.5 mm×14/1.467 mm×21

3.9 境界位置が14X0の場合でのECALの構造。

次に、それぞれの境界位置におけるエネルギー分解能とPerfectPFA でのエネルギー分解 能、そしてconfusion termを図3.23-3.24に示す。結果を見ると、層数の違いでPandoraPFA

とPerfectPFAともにエネルギー分解能に有意な差は見られなかった。予想される結果とし

ては層数が増加するに従ってエネルギー分解能も良くなることが期待された。エネルギー分 解能が変わらない結果となった理由としては、層数の増加によるシャワーの広がり方に原因 がある可能性があると考えられる。本研究では、後方領域の検出層として用いたシンチレー タ検出器の厚さは2 mmと、シリコン半導体検出器の厚さ0.5 mmの4倍の厚さに設定して いる。これは厚さが増すことで光量が増加するためであるが、一方で厚さ分ECALの後方領 域の厚さも増加し、かつ吸収層以外にシンチレータ検出器内でもシャワーを発生する可能性 がある。よって、層数増加によるエネルギー分解能の向上が見込めるが、同時にシャワーの 広がりも増加して粒子分離の精度が悪くなることでエネルギー分解能がほとんど変化しない 結果になったと推測される。PerfectPFA でもエネルギー分解能が変化しなかった理由につ いては、さらに原因を追求する必要がある。

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 Hybrid (1-1)

Hybrid (1-2) Hybrid (1-3) Hybrid (1-4)

Hybrid (1-1) PerfectPFA Hybrid (1-2) PerfectPFA Hybrid (1-3) PerfectPFA Hybrid (1-4) PerfectPFA

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 Hybrid (1-1)

Hybrid (1-2) Hybrid (1-3) Hybrid (1-4)

3.21 境界位置が8.4X0の構造におけるエネルギー分解能(左)とconfusion term(右)。

3.5 Hybrid構造を用いた構造最適化 49

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 Hybrid (2-1)

Hybrid (2-2) Hybrid (2-3) Hybrid (2-4)

Hybrid (2-1) PerfectPFA Hybrid (2-2) PerfectPFA Hybrid (2-3) PerfectPFA Hybrid (2-4) PerfectPFA

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 Hybrid (2-1)

Hybrid (2-2) Hybrid (2-3) Hybrid (2-4)

3.22 境界位置が11.2X0の構造におけるエネルギー分解能(左)とconfusion term(右)。

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 Hybrid (3-1)

Hybrid (3-2) Hybrid (3-3) Hybrid (3-4)

Hybrid (3-1) PerfectPFA Hybrid (3-2) PerfectPFA Hybrid (3-3) PerfectPFA Hybrid (3-4) PerfectPFA

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 Hybrid (3-1)

Hybrid (3-2) Hybrid (3-3) Hybrid (3-4)

3.23 境界位置が12X0の構造におけるエネルギー分解能(左)とconfusion term(右)。

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 Hybrid (4-1)

Hybrid (4-2) Hybrid (4-3) Hybrid (4-4)

Hybrid (4-1) PerfectPFA Hybrid (4-2) PerfectPFA Hybrid (4-3) PerfectPFA Hybrid (4-4) PerfectPFA

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 Hybrid (4-1)

Hybrid (4-2) Hybrid (4-3) Hybrid (4-4)

3.24 境界位置が14X0の構造におけるエネルギー分解能(左)とconfusion term(右)。

境界間での性能比較

次に、境界間での性能比較を行った。比較を行うにあたって各境界位置での構造は、層数 を合わせるために Hybrid (1-1)、Hybrid (2-3)、Hybrid (3-3)、Hybrid (4-3)を選択した。

これらのエネルギー分解能とconfusion termの結果を示したのが図3.25である。境界位置 が後方に移動するに従ってPandoraPFAでのエネルギー分解能はわずかに向上する傾向が見 られた一方で、PerfectPFAでのエネルギー分解能は後方に移動するとエネルギー分解能が悪 くなっているという結果が得られた。つまり、confusion termの結果からも分かるように、

境界位置が後方に移動すると粒子分離が良くなっている。これは、後方に境界位置がある方 が後方領域の1層あたりの吸収層厚が薄くなり、各検出器での分離精度が向上するためであ ると考えられる。また、今回調査した構造においてエネルギー間でのconfusion termの差が 最も小さかったのは境界位置が11.2X0の時で、45 GeVジェットと250 GeVジェットの間 で0.42%の差となった。

3.5 Hybrid構造を用いた構造最適化 51

0] Radiation length [X

8 9 10 11 12 13 14

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5

PandoraPFA 45GeV Jets PandoraPFA 100GeV Jets PandoraPFA 180GeV Jets PandoraPFA 250GeV Jets

PerfectPFA 45GeV Jets PerfectPFA 100GeV Jets PerfectPFA 180GeV Jets PerfectPFA 250GeV Jets

0] Radiation length [X

8 9 10 11 12 13 14

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5

45GeV Jets 100GeV Jets 180GeV Jets 250GeV Jets

3.25 シンチレータ検出器の層数が20層で境界位置が違う4つの構造におけるエネル ギー分解能(左)とconfusion term(右)。

DBDの構造との性能比較

最後に今回考案した構造とDBDの構造との性能比較を行った。比較対象としたのは先程 の層数変化の結果から、各境界位置の中で最も層数が少なく、コスト的に負担の小さな構造 であるHybrid (1-1)、Hybrid (2-1)、Hybrid (3-1)、Hybrid (4-1) を選択した。図3.26は これらの構造のエネルギー分解能と confusion termの結果を示したものである。この結果 より、境界位置が後方にある構造の PandoraPFAでのエネルギー分解能は高エネルギーに 領域においてDBDの構造でのエネルギー分解能とほぼ同程度になることが分かった。一方 でPerfectPFAに関してはHybrid (1-1)は他の構造より層数が多いため、45 GeVを除いて 最もエネルギー分解能が良い結果であり 100 GeVで4.5%の向上が見られたほか、Hybrid (2-1)からHybrid (4-1)の3構造においてもDBDの構造と比べて同程度あるいは良い結果 となり、Hybrid (2-1)でも100 GeVで2.9%向上している。PandoraPFA とPerfectPFA 両方において45 GeVでのHybrid構造のエネルギー分解能がDBDの構造よりも悪くなっ ている原因としては、中性ハドロン(KL0)に対する較正が正しく行われていない可能性が考 えられる。そしてconfusion termではDBDの構造が最も分離ミスが少ない結果となり、続 いて境界位置が後方にある構造から順に分離ミスが少ない傾向が見られた。

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 SiW(30) (DBD)

Hybrid (1-1) Hybrid (2-1) Hybrid (3-1) Hybrid (4-1)

SiW(30) (DBD) PerfectPFA Hybrid (1-1) PerfectPFA Hybrid (2-1) PerfectPFA Hybrid (3-1) PerfectPFA Hybrid (4-1) PerfectPFA

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300

) [%] j(E 90) / mean j(E90 RMS

1 1.5 2 2.5 3 3.5

4 SiW(30) (DBD)

Hybrid (1-1) Hybrid (2-1) Hybrid (3-1) Hybrid (4-1)

3.26 DBDの構造と各境界位置で最も層数が少ない構造のエネルギー分解能(左)と

confusion term(右)。

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 56-63)