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測定器シミュレーション

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 39-42)

本研究のシミュレーションには、ILCSoft[19]と呼ばれるソフトウェアパッケージを用い る。本研究で使用したバージョンはv01-16-02 である。ILCSoftにはシミュレーションソフ トウェアとしてMokka[20]、イベント再構成のためのフレームワークとしてMarlin[21]が含 まれており、ILD測定器の情報やPFAのような解析手法をまとめて取り扱える。

図3.1 に大まかなILCSoftでのシミュレーションの流れを示した。まず、Mokkaを用い て測定器の構造や素材などの設定を行い、その後粒子の検出器内での振る舞いをシミュレー ションし各検出器内のヒット情報を作成する。そして、その情報をMarlinに読み込ませて事 象の再構成を行う。

3.2 測定器シミュレーション 29

3.1 ILCSoftでのシミュレーションの流れ。Mokkaでシミュレーションを行いデータ を作成した後、Marlinでイベントの再構成を行う。

3.2.1 測定器モデル

ILD の測定器モデルはMokka と呼ばれる Geant4(GEometry ANd Tracking 4)*1[22]

ベースの測定器フルシミュレータの中でパッケージ化されている。本研究ではILD o1 v05 というモデルを用いている。これは、カロリメータがSiECAL+AHCALで構成されている モデルである。これを基にして、構造設定の段階でECALの検出層の種類や、検出層と吸収 層の層数、厚み等を変更している。変更の方法は付録Bに載せている。

3.2.2 イベントの生成とシミュレーション

単一粒子のイベントの生成はMokkaの中で行われる(ジェットのイベントは外部で生成)。

ここでは、粒子の種類やエネルギー、照射方向などを設定できる他、粒子の相互作用の種類 について記述されてあるPhysics Listと呼ばれるものを選ぶことによって、様々な粒子の相 互作用を設定できる。

生成されたイベントは測定器シミュレーションにかけられる。ジェットのイベントは外 部で生成されたものを読み込む形となる。Mokkaでの測定器シミュレーションの例として、

e+e →Zh→µ+µb¯bのイベントディスプレイを図3.2に示す。

*1粒子物理学の分野等で広く使用されている、粒子の物質中の複雑な振る舞いや反応をモンテカルロ法を用いて シミュレーションするソフトウェアである。モンテカルロ法とは、乱数を用いたシミュレーションを何度も行 うことで近似解を求める手法のことである。

3.2 Mokkaのイベントディスプレイ[23]。左から3D、正面、横方向からの様子を示 している。これらのディスプレイで測定器を貫通してる赤とピンクの直線がミューオンで ある。

3.2.3 シミュレーションの再構成

シミュレーションの再構成にはMarlin(Modular Analysis and Reconstruction for the LINear collider)を用いる。ここで行われる過程は以下の3点である。

1. Digitization 2. Tracking

3. Particle Flow Algorithm(PFA)

DigitizationTracking

まず、Mokkaで記録されたヒット情報に対してDigitizationを行う。これは実際の実験と 同様の状況を再現するために、ヒット情報に対する応答を各検出器の検出効率や分解能など を用いてシミュレーションするものである。Digitizationの後、飛跡検出器に残ったヒット情 報に対してTrackingを行う。Trackingでは荷電粒子の飛跡や崩壊点の再構成等が行われる。

PFA

ヒット情報の再構成の後、PFAが用いられる。ILCSoftではPandoraPFA[13]と呼ばれる PFAが用いられている。以下にPFAの主な手順を説明する。

1. カロリメータ内で、ジェット中の粒子1つ1つに対応するクラスタを再構成 2. カロリメータ内の再構成したクラスタのエネルギーを計算

3. 飛跡検出器内の飛跡とカロリメータ内のクラスタを1対1対応させる

4. 3で対応させた飛跡から計算されたエネルギーとクラスタのエネルギーが一致しない 場合にはクラスタの構成を再計算

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 39-42)