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細胞成分との相互作用

ドキュメント内 62. Coal Tar Creosote コールタールクレオソート (ページ 100-103)

6. 実験動物およびヒトでの体内動態・代謝の比較

6.6 細胞成分との相互作用

体内成分とのクレオソートの反応に関する研究は、主としてクレオソートPAHと核酸の 相互反応に関連したものである。そのような反応は発がん性に重要な役割を果たすことが 示唆されており、BaPをはじめとするPAH(e.g., IPCS, 1998; Culp et al., 2000)、ならびに コールタール、ビチューメン、ジーゼル排気といった複合混合物(e.g., Mukhtar et al., 1986;

Schoket et al., 1988a,b; Springer et al., 1989; Gallagher et al., 1990; Phillips et al., 1990a,b; Weyand et al., 1991; Leadon et al., 1995; Lyons et al., 1997; Reddy et al., 1997;

Culp et al., 2000)で十分に立証されている。

PAH-DNA 付加体が、クレオソートに実験で暴露したマウス(Schoket et al., 1988a;

Phillips et al., 1990a; Randerath et al., 1996)およびラット(Chadwick et al., 1995)、環境 中で暴露した魚類(Collier et al., 1993; Ericson et al., 1998, 1999; Rose et al., 2000)、ある いは職業暴露を受けたヒト(Schoket et al., 1988b; Phillips et al., 1990a; Roggeband et al., 1991)で検出されている。

地元の金物商で購入した市販のクレオソート25 µL または5 µLをエタノールで150 µL に希釈し、雄Parkesマウスに単回および複数回局所適用したところ、皮膚にかなりの量の

PAH-DNA付加体が形成された。単回投与から24時間後に測定した形成量は二相性の低下

を示した。第一相では付加体は7日目までに初期値の1/2~2/3が消失、第二相では続く25 日間で残りの1/2~2/3が消失した。複数回の局所適用後、皮膚におけるPAH-DNA付加体 形成は5週間の投与(各週の第1および第4日に投与)経過中に確実に増加した。興味深いこ とに、PAH-DNA 付加体の同様の蓄積が肺組織にもみられ、これは顕著な全身移動を示唆

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している。肺での付加体量は皮膚でのおよそ半分であった。個々のPAH付加体の詳細な識 別は行なわれていない(Schoket et al., 1988a; Phillips et al., 1990a)。米国の防腐処理木材 の処理場から得た試料(コールタールクレオソート、PCP、他のポリ塩化芳香族を含む)の抽 出物(溶媒:ヘキサン/アセトン= 1/1、v/v)でも、雌マウス(各群

n

= 3)に1日1回2日間 皮膚投与し 24 時間後に屠殺したところ、皮膚、肺、肝臓、腎臓、心臓など複数の組織で PAH付加体が組織特異的な量で形成された。主要付加体の1つはBaP付加体で、これら5 つの組織における形成量は総付加体形成量と直線関係を示していた(Randerath et al., 1996)。

クレオソート 50 mg/kg 体重/日(ロット/バッチ CX1984、入手先:米国 National Toxicology Program Repository、調製者:米国テキサス州Radian Corporation、担体:ピ ーナツ油)を5週間強制経口投与した雄Fisher 344ラット(

n

= 6)の肝臓に、DNA付加体形 成が認められた。クレオソートと2.6-ジニトロトルエン(DNT)の間に著しい相互作用もみら れた。クレオソートで前処置したラットの肝臓には、DNT単独投与のラットに比べて、DNT 由来のDNA付加体形成が有意(66%)に増加した(Chadwick et al., 1995) (Chadwick et al., 1995)。

米国バージニア州のエリザベス川から採取された野生の魚オイスター・トードフィッシ ュ(

Opsanis tau

)(

n

= 5)の肝臓で認められたPAH-DNA付加体量は、捕獲場所の表層堆積物 中のPAH濃度(0.01~100 mg/kg乾燥重量)と高い相関性を示し、最高値がクレオソート処 理工場跡地付近で認められた(Collier et al., 1993)。エリザベス川のクレオソート汚染場所 から採取された小型魚マミチョグ(

Fundulus heteroclitus

)(

n

= 4)の肝臓および肝外組織(前 腎、脾臓、血液)でも、高レベルのDNA-PAH付加体が検出された(Rose et al., 2000)。肝臓 でのDNA付加体は、木材処理施設跡地に由来するクレオソートによって底質が濃厚汚染さ れたスウェーデンの河川(以前の測定結果では、0~5 cmの底質中の総PAH濃度は最高1968 mg/kg乾燥重量)から捕獲された野生魚(パーチ[

Perca fluviatilis

]、

n

= 4)でも認められてい る。この付加体量は、数ヵ所の対照場所と比較して有意に上昇していることがわかった。

実験室では、クレオソート汚染底質(総PAH濃度:48 mg/kg乾燥重量)から調製された有機 溶媒抽出物を、反復経口投与によってパーチ(

n

= 7)に暴露した(各用量:PAH 13 mg/kg体 重、4日間の間隔で4回投与、屠殺:最終回投与の4日後)。認められた付加体パターンは、

野外の汚染された場所で捕獲されたパーチのものと酷似していた。付加体の 1 つは暫定的 にBaP付加体と同定された(Ericson et al., 1998, 1999)。

DNA付加体形成はヒトでも明らかになっている。クレオソートに暴露した作業員の白血 球は、就労週にはPAH-DNA付加体の増加を示した(Roggeband et al., 1991、§5.3参照)。

短期間器官培養した成人(

n

= 10)および胎児(

n

= 9)の皮膚組織片に、クレオソート(地元の金

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物商で購入、25 µLをエタノールで150 µLまで希釈、単回投与)を局所適用したところ、マ ウス皮膚を用いた

in vivo

試験と同様のレベルおよびパターンで、24時間以内に付加体が 形成された。クレオソート処置の胎児皮膚における付加体の平均量は、成人皮膚より低値 を示した(Schoket et al., 1988b; Phillips et al., 1990a)。

一般に、こうした測定値をPAH暴露のバイオマーカーとして使用する試みもなされてい る(Randerath et al., 1996; Lewtas et al., 1997; Lyons et al., 1997 and references therein;

Godschalk et al., 1998; Koganti et al., 1998; Reichert et al., 1998)。

ドキュメント内 62. Coal Tar Creosote コールタールクレオソート (ページ 100-103)