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環境への影響評価

ドキュメント内 62. Coal Tar Creosote コールタールクレオソート (ページ 149-153)

10. ヒトの健康リスクおよび環境への影響の評価

10.2 環境への影響評価

150 よるリスク評価に用いられている2

10.1.4 リスク評価における不確実性

クレオソートの組成は、その原産地と製造過程のパラメータに依存し、クレオソートの 成分は種類や濃度で一致することはめったにない。このことが毒性学的評価を困難にして いる。

2種の動物の雌雄による標準的アプローチに対し、重要試験は雄マウスのみで行われてお り、病理学的分析が行われたのは皮膚についてのみである。BaP のみでクレオソートの総 発がん性の20%を占める。クレオソートはその発がん性を左右すると考えられる他の成分 も含有している。それゆえ異なる組成成分では発がん可能性の程度も異なることが考えら れる。

クレオソートの毒性についてのすべてのデータベースに関して、経皮暴露以外の経路に ついての情報が欠如しており、全般的な全身毒性に関する情報はほとんど入手できず、生 殖毒性、免疫毒性、臓器毒性などのエンドポイントについてはまったく情報がない。リス クの総合判定は暴露データおよび有効な暴露指標の欠如によって妨げられている。

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び土壌でみられる。たとえば、クレオソート製造/使用工場の近傍で、数千 mg/kgの濃度 が報告されたことがある。地表水中の濃度は一般に ng/Lの範囲だが、クレオソート漏洩事 故の10年後に1桁高い濃度が報告されている例もある。

クレオソート処理木材の水中あるいは土壌中の使用では、放出クレオソート成分のコン パートメント特異的な除去能および移動性次第で、異なった影響を環境に及ぼす。

処理木材からのクレオソートの浸出は、おもな放出源であり、内在するリスクである。

10.2.2 危険有害性の評価 10.2.2.1 水生環境

水生の微生物、植物、無脊椎動物、魚類の実験室での試験によって、クレオソートある いはクレオソート画分の毒性や光毒性が確認された。もっとも感受性が高い反応は水生無 脊椎動物および魚類で観察された。LC50は20 µg/L(無脊椎動物)あるいは数百 µg/L(魚)で あった。魚の孵化成功に対するLC50は50 µg/Lであった。

野外の水生ミクロコズム試験ではより微細な影響が示された。実験用の池で、クレオソ

ート3および10 µg/Lに暴露した魚に用量依存性の眼の傷害が生じた。魚への有害な免疫

学的変化がLOEC 17 µL/Lでみられた。動物プランクトンについて、群集レベルの調査が 行われたが、魚では行われていない。ミクロコズム試験で、クレオソートの単回投与で動 物プランクトン群集が有害作用を受けることが示された。EC50および NOEC(動物プラン クトンの存在量および分類数の減少に関して)は、それぞれ45 µg/Lおよび6 µg/Lであった。

クレオソートで人工的に汚染させた底質懸濁液に暴露させた魚について、測定された PAH濃度に基づく若干のデータがある。総溶解PAH の96時間LC50は約1700 µg/Lであ った。別の試験では、すべての試験濃度(総溶解PAH 約16~320 µg/L)で、魚は摂食しなく なった。重度のひれのびらん、表皮病変、および死亡を指標とした総溶解PAHの最低濃度 は76 µg/Lであった。

実験室におけるクレオソート汚染された数種のマトリクスの無脊椎動物や魚への暴露試 験でも、生殖障害を含む急性および亜致死性作用が生じている。

野外調査でも、魚の腫瘍性病変とクレオソート汚染には強い関連性が認められている。

魚の腫瘍、および微生物、無脊椎動物、魚へのその他の有害影響の多くは、クレオソート

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の高汚染地点で記録されている。しかしながら、有害影響(魚の発達への影響など)は長期低 濃度汚染(クレオソート処理杭の近辺)などでも観察されている。

10.2.2.2 陸生環境

陸生生物での少数の試験に基づくと、標準的な試験植物およびミミズに対するクレオソ ートの毒性は中等度である。陸生高等生物への危険有害性評価に用いることができる試験 は入手できなかった。クレオソート中毒によると疑われる若干の死亡例は家畜や野生動物 で発生している。

10.2.3 リスク評価

クレオソートの環境毒性のおもな決定因子は、PAHのみでなく、主として水性マトリク ス中の複素環式芳香族およびフェノール化合物も含まれる。クレオソートに内在する毒性 物質の多様性と変動性、それらの相互作用、さらに環境中の移動によって変化する混合物 の組成が毒作用を複雑化する。一般的に、環境による風化では毒性が低下することはない。

今日まで、クレオソートの環境汚染および毒性の指標として用いることができるのはど の成分であるか明確になっていない。しかし、クレオソートは漏洩や浸出によって生物相 に重大なリスクとなることが考えられる。

10.2.3.1 水生環境

1)クレオソート流漏現場近辺

クレオソート、クレオソート画分、あるいは単一の成分が隣接する水性環境に有効濃度 を超えて放出される多くのクレオソート汚染場所が存在する。

急性および慢性作用の毒性プロフィールは明白になっており、残留物分析および野外観 察から、クレオソートの流出や漏出による汚染が水性生物へのリスクと関係することは明 らかである。

2)クレオソート処理木材の構造物近辺

クレオソート処理木材の構造物と接触する水性生物のリスクも懸念される。木材から拡 散し、水中で有害作用を及ぼす濃度になってしまう成分も存在する。

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10.2.3.2 陸生環境

多くのクレオソート廃棄処理場やクレオソート処理木材の構造物の土壌では、汚染物質 が陸生植物や土壌生物に影響を及ぼすのに十分な濃度で存在する。しかし有害作用は、ま れにしか記録されない。

少数の報告に基づくと、クレオソートやクレオソート処理直後の柵などは、それを舐め る家畜や野生動物に致死的リスクを与えることがある。

データ(暴露/影響)が欠如しているため、農場や野生の動物のクレオソート暴露のリスク は評価不可能である。

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