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3. 粉体物性測定法

3.04 粒度測定法

3. 操作法

気体置換型ピクノメーター法による粒子密度の測定は,15

~30℃の温度範囲において行うこととし,測定中,2℃以上の 温度変化があってはならない.

測定に先立って,粉体試料中にある揮発性混在物はヘリウム ガスを流すことで除去する.揮発性混在物の除去は,時には,

減圧下で行う.また,揮発性物質は測定中に発生することもあ り得ることから,試料の最終的な質量測定は,試料体積の測定 後に行う.

最初に試験用セルの質量を量り,記録しておく.医薬品各条 中で規定された量の試料を量り,試験用セルに入れた後,セル を密閉する.

試験用セルと対照セルを接続しているバルブAを開き,系の 圧力が一定であることを圧力計Mにより確認した後,対照圧力 Prを読み取る.次に,二つのセルを接続するバルブを閉じた後,

測定用気体を試験用セルに導入して加圧状態とし,圧力計の指 示が一定であることを確認した後,初期圧力Piを読み取る.次 に,バルブを開いて対照セルを試験用セルと接続し,圧力計の 指示が一定であることを確認した後,最終圧力Pfを読み取り,

次式により試料体積Vsを求める.

1

r f

r i c r s

- -

- -

P P

P P V V V

Vr:対照セルの容積(cm3) Vc:試験用セルの容積(cm3) Vs:試料体積(cm3) Pi:初期圧力(kPa) Pf:最終圧力(kPa) Pr:対照圧力(kPa)

同一試料について上記の測定を繰り返し,連続して測定した 試料体積が0.2%以内で互いに一致することを確認し,その平 均値を試料体積Vsとする.最後に,試験用セルを外して秤量 し,空のセル質量との差より,最終試料質量mを求め,次式に より粉体の粒子密度ρを計算する.

ρ=m/Vs

ρ:粉体の粒子密度(g/cm3) m:最終試料質量(g) Vs:試料体積(cm3)

なお,ピクノメーターの操作法又は構成が図3.03-1に示し たものと異なる場合,各ピクノメーターの製造者の指示に従う ものとする.また,試料の状態について,前処理なしにそのま ま測定に供したか,あるいは乾燥減量で規定されるような特別 な条件で乾燥処理したものか等,測定結果とともに記録してお く.

3.04 粒度測定法

本試験法は,三薬局方での調和合意に基づき規定した試験法である.

なお,三薬局方で調和されていない部分は「 」で囲むことによ り示す.

粒度測定法は,粉末状等の医薬品原薬,添加剤等の粒度特 性を確認するために,外観,形状,大きさ及びその分布を直接 又は間接に測定する方法であり,測定の目的と試料の性状によ り,光学顕微鏡法又はふるい分け法を用いる.

1. 第1法 光学顕微鏡法

光学顕微鏡法は,光学顕微鏡を用いて肉眼又は顕微鏡写真 によって直接に個々の粒子の外観及び形状を観察し,その大き さを測定する方法である.また,これにより粒子径分布を求め ることもできる.本法によれば,複数の異なる種類の固体粒子 が混在する場合であっても,光学的に識別が可能であれば,そ れぞれの固体粒子の粒度測定が可能である.なお,粒子径分布 を求める場合,画像解析などによるデータ処理も有用である. 粒子評価のための光学顕微鏡法は,一般には1μmより大き い粒子に適用できる.下限は顕微鏡の解像能による.上限はあ まり明確ではなく,大粒子の粒子径を評価する際の困難さによ って影響される.光学顕微鏡法の適用範囲外の粒子評価につい ては,いくつかの別法が利用できる.光学顕微鏡法は非球形粒 子を評価するのに特に有用である.本法は,より迅速かつ汎用 的な方法の校正のための基礎的方法としても役立つ.

1.1. 装置

安定で防振対策がなされた顕微鏡を用いる.顕微鏡の総合倍 率(対物レンズ倍率×接眼レンズ倍率×その他の拡大部品の倍 率)は,試料中の最も小さい粒子を適切に評価するのに十分な 大きさでなければならない.対物レンズの最大開口数は,各々 の倍率に合わせて決める.適切な分析機器や検板と組み合わせ て,偏光フィルターを用いてもよい.比較的狭い分光透過特性 を持つ色ガラスフィルターは,アクロマート対物レンズと共に 用いるが,アポクロマートレンズと共に用いる方がより望まし く,顕微鏡写真における演色のために必要である.少なくとも 球面収差を補正したコンデンサーを光源と共に顕微鏡のサブス テージ内で用いるべきである.コンデンサーの開口数は,使用 条件下で対物レンズの開口数と釣り合っていなければならない.

すなわち,開口数はコンデンサーの絞りとイマージョンオイル があるかどうかによって影響される.

1.1.1. 調整

光学系のすべての装置が正確に調整されていることと,焦点 が適切に調節されていることが必要である.装置の焦点の調節 は,使用する顕微鏡に指定された方法に従う.厳密な軸調整も しておいた方がよい.

1.1.1.1. 照明

良好な照明のための必要条件は,視野全体にわたって光の強 度が均一で,かつ調節可能であることである.このためにはケ ーラー照明がよい.着色粒子については,粒子像のコントラス トと像の細部を調整できるように,用いるフィルターの色を選 択する.

1.1.1.2. 目視による評価

倍率とレンズの開口数は,評価すべき粒子像を適切に確認す

るのに十分に大きくなければならない.接眼ミクロメーターを 校正するために,あらかじめ校正された対物ミクロメーターを 用いて実際の倍率を決定する.粒子像が接眼ミクロメーターで 少なくとも10目盛はある,十分に高い倍率であれば,誤差を 小さくすることができる.各々の対物ミクロメーターは個々に 校正しておく.接眼スケールを校正するために,対物ミクロメ ーターのスケールと接眼スケールは平行にさせておかねばなら ない.このようにして,接眼用ステージの目盛間隔の長さを正 確に測定することができる.

粒子径を測定する場合は,接眼ミクロメーターを接眼レン ズの絞りの位置に入れた後,対物ミクロメーターをステージの 中央に置き,固定する.接眼レンズを鏡筒に装着し,対物ミク ロメーターの目盛に焦点を合わせる.次にこれら二つのミクロ メーターの目盛の間隔を比較し,このレンズの組み合わせにお ける接眼レンズの1目盛に相当する試料の大きさを次式により 算出する.

接眼レンズ1目盛に相当する試料の大きさ(μm)

=対物ミクロメーターの長さ(μm)/接眼ミクロメーターの 目盛数

対物ミクロメーターを取り除き,試料をステージにのせ,焦 点を合わせた後,読み取った接眼レンズの目盛数から,粒子径 を測定する.

なお,粒子径分布幅が広い試料を評価するには,いくつかの 異なった倍率が必要である.

1.1.1.3. 写真による評価

写真法によって粒子径を測定する場合には,フィルム面で被 写体の焦点が確実に合うように注意しなければならない.十分 な感度,解像力及びコントラストを持つ写真フィルムを用いて,

校正された対物ミクロメーターの写真を別に撮影することによ って,実際の倍率を測定する.試料及び倍率測定のための撮影 に当たっては,露光と現像・焼付処理は同じでなければならな い.写真上の粒子のみかけの大きさは,顕微鏡の解像力と同様 に,露光や現像,焼付によって影響を受ける.

1.2. 試料の調製

固定剤は試料の物理的特性に応じて選択する.試料外縁の細 部まで確実に確認できるように,試料と固定剤の間には過度に ならない程度の十分なコントラストが必要である.粒子を平板 上に置き,個々の粒子を識別するために適切に分散させる.更 に,粒子は試料中の粒子径分布を代表していなければならず,

マウントの調製中に変化してはならない.固定剤を選択する際 には,試料の溶解性も考慮に入れておかねばならない.

1.3. 観察

1.3.1. 結晶性の評価

試料の結晶性は,医薬品各条中に記載されている結晶性に関 する条件に適合するかどうかを決定するために評価される.各 条中で別に規定するもののほか,清浄なスライドガラスの上で 数個の試料粒子を鉱物油中に固定する.偏光顕微鏡を用いて試 料を観察する.試料が結晶性の場合には,顕微鏡のステージを 回転すると粒子は複屈折(干渉色)と暗視野を示す.

1.3.2. 顕微鏡法による粒子径の限界試験

適当量(例えば,粉体の場合10~100mg)の試料を量り,必要 ならば分散剤を加えて試料が溶解しない適切な分散媒10mLに 懸濁させる.粒子密度と近似又は一致した密度を持つ分散媒中

に懸濁させ,適切にかき混ぜることによって粒子の均一な懸濁 液を得る.均一な懸濁液の一部を適当な計数セルに入れ,粉体 の場合,顕微鏡下で10μg以上の試料に相当する面積を走査し,

所定の限界粒子径より大きい最大長さを持つすべての粒子を数 える.限界粒子径とこれを超える粒子の許容個数は,物質ごと に決められる.

1.3.3. 粒子径の評価

粒子径の測定は粒子形状に依存して複雑に変化するので,評 価される粒子個数は,測定された数値の信頼性を統計的に保証 するのに十分な数でなければならない1).不規則な形状の粒子 の場合には,粒子径に関する多数の定義が存在する.一般に,

不規則な形状の粒子については,粒子径を評価する際に粒子形 状に関する情報と同様に,測定した粒子径の種類に関する情報 も含めなければならない.

汎用されているいくつかの粒子径測定では,以下のように定 義されている(図3.04-1).

(ⅰ) フェレー径(定方向接線径):ランダムに配向した粒子に 接し,接眼スケールに垂直な仮想的平行線間の長さ

(ⅱ) マーチン径(定方向面積等分径):ランダムに配向した粒 子を二つの等しい投影面積に分割する点における粒子の長さ (ⅲ) ヘイウッド径(投影面積円相当径):粒子と同じ投影面積 を持つ円の直径

(ⅳ) 長軸径:接眼スケールに対して平行に配向した粒子の外 縁からもう一方の外縁までの最大長さ

(ⅴ) 短軸径:長軸径に対して直角に測定した粒子の最大長さ

図3.04-1 一般的に用いられる粒子径 1.3.4. 粒子形状の評価

不規則な形状の粒子については,粒子径の評価に粒子形状に 関する情報も含めなければならない.試料の均一性は適切な倍 率を用いてチェックすべきである.

以下に示すものは,粒子形状に関して汎用されているいくつ かの用語の定義である(図3.04-2).

(ⅰ) 針状:短軸径と厚みがほぼ等しく,細長い針状の粒子 (ⅱ) 柱状:針状粒子より大きい短軸径と厚みを持つ,長くて 薄い粒子

(ⅲ) 薄板状:長軸径と短軸径がほぼ等しく,薄くて扁平な粒 子

(ⅳ) 板状:長軸径と短軸径がほぼ等しいが,薄板状より大き い厚みを持つ扁平な粒子

(ⅴ) 葉片状:長くて薄く,葉片状の粒子

(ⅵ) 等方状:ほぼ同じ長軸径,短軸径及び厚みを持つ粒子.