4. 生物学的試験法/生化学的試験法/
4.01 エンドトキシン試験法
での粒子の飛散を利用してもよい.測定結果には,用いた振と う法と振とうに関係するパラメータ(これらを変化させること ができる場合には)を記載しておかねばならない.
2.1.4. 終点の決定
ふるい分けは,いずれのふるいについても,ふるい上質量変 化が直前の質量に対して5%(76mmふるいの場合には10%)又 は0.1g以下となったとき,終了する.所定のふるいの上の残留 量が全試料質量の5%未満となった場合には,終点は,そのふ るい上の質量変化を直前の質量に対して20%以下まで引き上 げる.各条中に別に規定するもののほか,いずれかのふるい上 に残留した試料量が全試料質量の50%を超えた場合には,ふ るい分けを繰り返す.このふるいと,元の組ふるいの中でこれ より粗い目開きを持つふるいとの中間にあるふるい,すなわち,
一群の組ふるいから削除されたISOシリーズのふるいを追加す る.
2.2. ふるい分け法
2.2.1. 機械的振とう法(乾式ふるい分け法)
各ふるいの風袋質量を0.1gまで量る.質量を正確に量った試 料を最上段のふるいの上に置き,ふたをする.組ふるいを5分 間振とうする.試料の損失がないように組ふるいから各段のふ るいを注意深くはずす.各ふるいの質量を再度量り,ふるい上 の試料質量を測定する.同様にして,受け皿内の試料質量も測 定する.ふるいを再度組み合わせ,更に5分間振とうする.先 に述べたように各ふるいをはずし,質量を量る.これらの操作 を終点規格に適合するまで繰り返す(終点の決定の項を参照).
ふるい分けを終了した後,全損失量を計算する.全損失量は元 の試料質量の5%以下である.
新たな試料を用いてふるい分けを繰り返すが,このときは先 に用いた繰り返し回数に対応する合計時間を1回のふるい分け 時間とする.このふるい分け時間が終点決定のための必要条件 に適合していることを確認する.一つの試料についてこの終点 の妥当性が確認されている場合は,粒子径分布が正常な変動範 囲内にあれば,以後のふるい分けには一つの固定したふるい分 け時間を用いてもよい.
いずれかのふるいの上に残留している粒子が単一粒子ではな く凝集体であり,機械的乾式ふるい分け法を用いても良好な再 現性が期待できない場合には,他の粒子径測定法を用いる.
2.2.2. 気流中飛散法(エアー・ジェット法及びソニック・シ フター法)
気流を用いた種々の市販装置がふるい分けに利用されている.
1回の時間で1個のふるいを用いるシステムをエアー・ジェッ ト法という.本法は乾式ふるい分け法において述べたのと同じ 一般的なふるい分け法を用いているが,典型的な振とう機構の 代わりに標準化されたエアー・ジェットを用いている.本法で 粒子径分布を得るためには,最初に最も細かいふるいから始め,
個々のふるいごとに一連の分析をする必要がある.エアー・ジ ェット法では,しばしば通常の乾式ふるい分け法で用いられて いるものより細かい試験用ふるいを用いる.本法は,ふるい上 残分又はふるい下残分のみを必要とする場合には,より適して いる.
ソニック・シフター法では組ふるいを用いる.この場合,試 料は所定のパルス数(回/分)で試料を持ち上げ,その後再びふる いの網目まで戻すように垂直方向に振動する空気カラム内に運 ばれる.ソニック・シフター法を用いる場合は,試料量を5g
まで低減する必要がある.
エアー・ジェット法とソニック・シフター法は,機械的ふる い分け法では意味のある分析結果が得られない粉体や顆粒につ いて有用である.これらの方法は,気流中に粉体を適切に分散 できるかどうかということに大きく依存している.粒子の付着 傾向がより強い場合や,特に帯電傾向を持つ試料の場合には,
ふるい分け範囲の下限付近(<75μm)で本法を用いると,良好 な分散性を達成するのは困難である.上記の理由により,終点 の決定は特に重大である.また,ふるい上の試料が単一粒子で あり,凝集体を形成していないことを確認しておくことは極め て重要である.
2.3. 結果の解析
個々のふるい上及び受け皿中に残留している試料の質量に加 えて,試験記録には全試料質量,全ふるい分け時間,正確なふ るい分け法及び変数パラメータに関する値を記載しておかねば ならない.試験結果は積算質量基準分布に変換すると便利であ る.また,分布を積算ふるい下質量基準で表示するのが望まし い場合には,用いたふるい範囲に全試料が通過するふるいを含 めておく.いずれかの試験ふるいについて,ふるい分け中にふ るい上に残留している試料の凝集体の生成が確認された場合は,
ふるい分け法は意味がない.
1) 粒子径測定,試料量及びデータ解析に関するその他の情報は,例え ば,ISO 9276において利用できる.
2) International Organization for Standardization (ISO) Specification ISO 3310-1;Test sieves-Technical requirements and testing
4. 生物学的試験法/生化学的試験法/
微生物学的試験法
4.01 エンドトキシン試験法
本試験法は,三薬局方での調和合意に基づき規定した試験法である.
エ ン ド ト キ シ ン 試 験 法 は , カ ブ ト ガ ニ(Limulus polyphemus又はTachypleus tridentatus)の血球抽出成分より 調製されたライセート試薬を用いて,グラム陰性菌由来のエン ドトキシンを検出又は定量する方法である.本法には,エンド トキシンの作用によるライセート試液のゲル形成を指標とする ゲル化法及び光学的変化を指標とする光学的測定法がある.光 学的測定法には,ライセート試液のゲル化過程における濁度変 化を指標とする比濁法,及び合成基質の加水分解による発色を 指標とする比色法がある.
エンドトキシン試験は,ゲル化法,比濁法又は比色法によっ て行う.ただし,その結果について疑義がある場合又は係争が 生じた場合は,別に規定するもののほか,ゲル化法によって最 終の判定を行う.
本法はエンドトキシンによる汚染を避けて行う.
1. 器具
試験に用いるすべてのガラス製及びその他の耐熱性器具は,
有効とされている方法により乾熱処理を行う.通例,少なくと も250℃で30分間の乾熱処理を行う.また,マルチウエルプレ ート及びマイクロピペット用チップなどのプラスチック製品を
用いる場合は,エンドトキシンが検出されないこと及びエンド トキシン試験に対する干渉作用のないことが確認されたものを 用いる.
2. 溶液の調製
2.1. エンドトキシン標準原液の調製
エンドトキシン標準原液はエンドトキシン標準品をエンドト キシン試験用水で溶解して調製する.エンドトキシン標準品の 力価は,世界保健機関のエンドトキシン国際標準品を基準とし て標定される.なお,エンドトキシン単位はEUで示し,1EU は1エンドトキシン国際単位(IU)に等しい.
2.2. エンドトキシン標準溶液の調製
エンドトキシン標準溶液はエンドトキシン標準原液を十分に 振り混ぜた後,エンドトキシン試験用水で希釈して調製する.
エンドトキシン標準溶液は,エンドトキシンの容器への吸着を 避けるため,できるだけ速やかに使用する.
2.3. 試料溶液の調製
別に規定するもののほか,被検試料をエンドトキシン試験用 水で溶解又は希釈し,試料溶液とする.ライセート試液と試料 溶液の混液のpHが用いるライセート試薬に規定されるpH範囲 になるように,試料溶液のpHの調整を必要とする場合もある.
通例,試料溶液のpHは,6.0~8.0の範囲にあればよい.pHの 調整に用いる試液又は溶液はエンドトキシン試験用水を用いて 調製し,エンドトキシンが検出されない容器に保存する.これ らの試液又は溶液は,エンドトキシンが検出されないこと,及 び反応干渉因子を含まないことが保証されたものでなければな らない.
3. 最大有効希釈倍数の求め方
最大有効希釈倍数とは,試料溶液中に存在する反応干渉因子 の影響を希釈により回避できるとき,許容される試料溶液の最 大の希釈倍数である.
最大有効希釈倍数は,次の式によって求める.
最大有効希釈倍数
=(エンドトキシン規格値×試料溶液の濃度)/λ
エンドトキシン規格値:注射剤のエンドトキシン規格値は,
投与量に基づいて規定されており,K/Mに等しい.なお,
Kは発熱を誘起するといわれる体重1kg当たりのエンドト キシンの量(EU/kg)であり,Mは体重1kg当たり1回に投与 される注射剤の最大量である.ただし,注射剤が頻回又は 持続的に投与される場合は,Mは1時間以内に投与される 注射剤の最大総量とする.
試料溶液の濃度:試料溶液の濃度の単位は,エンドトキシン 規 格 値 が質 量 当た り(EU/mg)で 規 定 さ れて い る場 合 は mg/mL,当量当たり(EU/mEq)で規定されている場合は mEq/mL,生物学的単位当たり(EU/単位)で規定されてい る場合は単位/mL,容量当たり(EU/mL)で規定されている 場合はmL/mLである.
λ:ゲル化法の場合はライセート試薬の表示感度(EU/mL) であり,比濁法又は比色法の場合は検量線の最小エンドト キシン濃度(EU/mL)である.
4. ゲル化法
本法は,エンドトキシンの存在によるライセート試液の凝固 反応に基づいて,エンドトキシンを検出又は定量する方法であ
る.
本法の精度と有効性を保証するために,「4.1.予備試験」と して「4.1.1.ライセート試薬の表示感度確認試験」及び「4.1.2.
反応干渉因子試験」を行う.
4.1. 予備試験
4.1.1. ライセート試薬の表示感度確認試験
ライセート試薬の表示感度とは,ライセート試薬に規定され ている条件下でのライセート試液の凝固に必要な最小エンドト キシン濃度である.ライセート試薬は各ロットにつき,使用す る前にその表示感度λを確認しなければならない.
本試験は,試験結果に影響を及ぼす可能性が予想される試験 条件の変更があるときにも行う.
ライセート試薬の表示感度の確認は,次の方法により行う.
エンドトキシン標準原液をエンドトキシン試験用水で希釈し,
2λ,1λ,0.5λ及び0.25λの4種の濃度のエンドトキシン標 準溶液を調製する.
ライセート試液及びそれと等しい量,通例,0.1mLのエンド トキシン標準溶液を試験管にとり,混和する.単回試験用の凍 結乾燥ライセート試薬を用いる場合は,その容器にエンドトキ シン標準溶液を直接加え,ライセート試薬を溶解する.
これらの試験管又は容器を通例,37±1℃に保ち,振動を避 けて60±2分間静置した後,穏やかに約180°転倒し,内容物を 観察する.流出しない堅固なゲルが形成されているとき,陽性 とする.ゲルを形成しないか,又は形成したゲルが流出すると き,陰性とする.
調製した4種の濃度のエンドトキシン標準溶液を用いて,こ の4種の液を一組とした試験を4回行う.
各回の試験において,濃度0.25λのエンドトキシン標準溶液 がすべて陰性を示すとき,試験は有効である.試験が有効でな いときは,試験条件を整備して再試験を行う.
各回の試験において,陽性を示す最小エンドトキシン濃度を エンドポイント濃度とし,次の式によって4回の試験の幾何平 均エンドポイント濃度を求める.
幾何平均エンドポイント濃度=antilog(Σe/f ) Σe:各回のエンドポイント濃度の対数eの和 f:試験の回数
求めた幾何平均エンドポイント濃度が0.5~2λの範囲にある とき,ライセート試薬の表示感度は確認されたと判定し,以下 の試験にはその表示感度を用いる.
4.1.2. 反応干渉因子試験
本試験は,試料溶液について,反応を促進又は阻害する因子 の有無を調べる試験である.
表4.01-1に従い,A,B,C及びD液を調製し,A及びB液は 4回,C及びD液は2回試験する.反応温度,反応時間及びゲル 化判定法は,4.1.1.に従う.
B液及びC液の幾何平均エンドポイント濃度は,4.1.1.の計算 式を準用して求める.
本試験は,試験結果に影響を及ぼす可能性が予想される試験 条件の変更があるときにも行う.
A及びD液の試験結果がすべて陰性で,C液の試験結果によ りライセート試薬の表示感度が確認されたとき,反応干渉因子 試験は有効とする.