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4. 生物学的試験法/生化学的試験法/

4.05 微生物限度試験法

4.04 発熱性物質試験法

発熱性物質試験法は,発熱性物質の存在をウサギを用いて試 験する方法である.

1. 試験動物

体重1.5kg以上の健康なウサギで,使用前1週間以上は一定 飼料で飼育し,体重の減少を見なかったものを試験動物として 使用する.ウサギは個別ケージに入れ,興奮させないよう刺激 のない環境で飼育する.試験前48時間以上及び試験中は室温 を20~27℃の範囲内で一定に保つ.初めて試験に用いるウサ ギは,試験前1~3日間以内に注射を除く全操作を含む偽試験 を行い,試験に馴化する.試験に用いたウサギを再使用する場 合には,48時間以上休養させる.ただし,発熱性物質陽性と 判定された試料を投与されたウサギ,又は以前に被検試料と共 通な抗原物質を含む試料を投与されたウサギは再使用しない.

2. 装置及び器具

(ⅰ) 温度計:測定精度±0.1℃以内の直腸体温計又は体温測 定装置を用いる.

(ⅱ) 注射筒及び注射針:発熱性物質除去処理として,通例 250℃で30分間以上乾熱処理したものを用いる.又は滅菌済み の注射針を含むプラスチック製の注射筒で,発熱性物質が検出 されないこと及び発熱性物質試験に対する干渉作用のないこと が確認されたものを用いることができる.

3. 操作法 3.1. 試験用量

別 に規 定する ものの ほか ,試験 動物 体重1kgに つき 試料 10mLを投与する.

3.2. 方法

試験は,飼育室と同じ室温に保った部屋で,刺激のない環境 で行う.飼料は対照体温測定の数時間前から試験終了まで与え ない.試験動物は,通例,自然な座姿勢のとれる緩やかな首か せ固定器に固定する.体温は,直腸体温計又は測定装置の測温 部分を直腸内に60~90mmの範囲内で一定の深さに挿入して 測定する.試料注射の40分前から注射までの間に,30分の間 隔をとって2回測温し,それらの平均値を対照体温とする.こ れら2回の体温測定値の間に0.2℃を超える差がある動物,又は 対照体温が39.8℃を超える動物は試験に用いない.

試料は37±2℃に加温し,試験動物の耳静脈に緩徐に注射す る.ただし1匹への注射は10分以内に完了させる.低張な試料 には,発熱性物質を含まない塩化ナトリウムを加えて等張とし てもよい.注射後3時間まで,30分以内の間隔で体温を測定す る.対照体温と最高体温との差を体温上昇度とする.体温が対 照体温より低下した場合,体温上昇度を0℃とする.

4. 判定

3匹の試験動物を用いて試験を行い,3匹の体温上昇度の合 計により判定する.ただし,試験結果により試験動物を3匹単 位で追加する.初めの3匹の体温上昇度の合計が1.3℃以下のと き発熱性物質陰性,2.5℃以上のとき発熱性物質陽性とする.

体温上昇度の合計が1.3℃と2.5℃の間にあるとき,3匹による 試験を追加する.計6匹の体温上昇度の合計が3.0℃以下のとき 発熱性物質陰性,4.2℃以上のとき発熱性物質陽性とする.6匹 の体温上昇度の合計が3.0℃と4.2℃の間にあるとき,更に3匹 による試験を追加する.計9匹の体温上昇度の合計が5.0℃未満

のとき発熱性物質陰性,5.0℃以上のとき発熱性物質陽性とす る.

発熱性物質陰性のとき,被検試料は発熱性物質試験に適合す る.

4.05 微生物限度試験法

微生物限度試験法には生菌数試験及び特定微生物試験が含ま れる.原料又は製品の任意の異なる数箇所(又は部分)から採取 したものを混和し,試料として試験を行う.試料を液体培地で 希釈する場合は,速やかに試験を行う.また,本試験を行うに 当たっては,バイオハザード防止に十分に留意する.

Ⅰ. 非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験

本試験法は,三薬局方での調和合意に基づき規定した試験法である.

本試験は,好気的条件下で発育可能な中温性の細菌及び真菌 を定量的に測定する方法である.

本試験は,原料や製剤が既定の微生物学的品質規格に適合す るか否かを判定することを主目的としたものである.採取試料 数も含めて指示通りに試験を実施し,結果を判定する.

有効成分として生菌を含む製品には,本試験を適用しない.

本試験法との同等性が示されている場合は,自動化法を含む 別の微生物学的方法を用いてもよい.

1. 基本手順

生菌数測定は,被験製品への外部からの微生物汚染を回避す るように設計された条件下で行う.汚染を回避するための予防 措置は,試験で検出しようとしているいかなる微生物に対して も影響を与えてはならない.

被験製品が抗菌活性を有する場合は,この抗菌活性を可能な 限り除去又は中和する.この目的のために不活化剤を用いる場 合は,その有効性と微生物に対する毒性がないことを確認する.

試料の調製に界面活性剤を使用する場合は,微生物に対する 毒性がないこと,及び用いる不活化剤との間に相互作用がない ことを確認する.

2. 生菌数測定法

通常はメンブランフィルター法又はカンテン平板法を用いる.

最確数(MPN)法は概して精度に欠ける菌数測定法ではあるが,

バイオバーデン(汚染菌数)が非常に少ない製品群に対しては最 適な方法となることもある.

製品の特性や要求される微生物限度値などに基づいて測定法 を選択するが,選択した測定法は,規格に適合していることを 判断するのに十分な試料量を試験できるものでなければならな い.また,選択した方法の適合性を確認する.

3. 培地性能,測定法の適合性及び陰性対照

被験製品存在下における微生物検出能力を確認する.

また,試験結果に影響を及ぼすような試験法の変更や製品の 処方変更があった場合には,再度,適合性を確認する.

3.1. 試験菌の調製

試験菌は標準化された安定な懸濁液を使用するか,又は次に 示す手順で調製する.

なお,試験に用いる微生物は,最初のマスターシードロット

からの継代数5回を超えないように,シードロット培養管理手 法(シードロットシステム)を用いて管理する.細菌及び真菌の 各試験菌について,表4.05-Ⅰ-1に示す条件でそれぞれ個別 に培養する.

試験菌懸濁液の調製には,pH7.0のペプトン食塩緩衝液又は pH7.2のリン酸緩衝液を用いる.Aspergillus brasiliensisの胞 子を懸濁させるために,緩衝液にポリソルベート80を0.05%

加えてもよい.懸濁液は2時間以内,又は2~8℃に保存する場 合 は24時 間 以 内 に 用 い る .Aspergillus brasiliensis又 は Bacillus subtilisの栄養型細胞の新鮮懸濁液を調製して希釈す る代わりに,胞子懸濁液又は芽胞懸濁液を調製し,接種菌液と して使用できる.それぞれの懸濁液は,保証された期間内は2

~8℃で保存できる.

表4.05-Ⅰ-1 試験菌の調製と使用法

培地性能 製品存在下での 生菌数測定法の適合性 微生物 試験菌の

調製 総好気性

微生物数 総真菌数 総好気性

微生物数 総真菌数 Staphylo

-coccus aureus 例えば,

ATCC 6538 NCIMB 9518 CIP 4.83 又は NBRC 13276

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地又 はソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェスト培地 3035 1824

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地及 びソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェスト培地

100 CFU 3035

3日間

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地/

MPNソイ ビーン・カ ゼイン・ダ イジェスト 培地

100 CFU 3035

3日間 Pseudo

-monas aeruginosa 例えば,

ATCC 9027 NCIMB 8626 CIP 82.118 又は NBRC 13275

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地又 はソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェスト培地 3035 1824

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地及 びソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェスト培地

100 CFU 3035

3日間

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地/

MPNソイ ビーン・カ ゼイン・ダ イジェスト 培地

100 CFU 3035

3日間 Bacillus

subtilis 例えば,

ATCC 6633,

NCIMB 8054 CIP 52.62 又は NBRC 3134

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地又 はソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェスト培地 3035 18~24

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地及 びソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェスト培地

100 CFU 3035

3日間

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地/

MPNソイ ビーン・カ ゼイン・ダ イジェスト 培地

≦100 CFU 30~35℃

≦3日間

培地性能 製品存在下での 生菌数測定法の適合性 微生物 試験菌の

調製 総好気性

微生物数 総真菌数 総好気性

微生物数 総真菌数 Candida

albicans 例えば,

ATCC 10231,

NCPF 3179,

IP 48.72 又は NBRC 1594

サブロー・

ブドウ糖カ ンテン培地 又はサブロ ー・ブドウ 糖液体培地 20~25℃

2~3日間

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地

≦100 CFU 30~35℃

≦5日間

サブロー・

ブドウ糖カ ンテン培地

≦100 CFU 20~25℃

≦5日間

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地

≦100 CFU 30~35℃

≦5日間 MPN:適 用せず

サブロー・

ブドウ糖カ ンテン培地

≦100 CFU 20~25℃

≦5日間

Aspergillus brasiliensis 例えば,

ATCC 16404 IMI 149007 IP 1431.83 又は NBRC 9455

サブロー・

ブドウ糖カ ンテン培地 又はポテ ト・デキス トロースカ ンテン培地 2025 57 間,又は良 好な胞子形 成が認めら れるまで

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地

100 CFU 3035

5日間

サブロー・

ブドウ糖カ ンテン培地

100 CFU 2025

5日間

ソイビー ン・カゼイ ン・ダイジ ェストカン テン培地

100 CFU 3035

5日間 MPN:適 用せず

サブロー・

ブドウ糖カ ンテン培地

100 CFU 2025

5日間

3.2. 陰性対照

試験状態を確認するために,試料液の代わりに使用した希釈 液を用いて陰性対照試験を実施する.微生物の発育があっては ならない.微生物の発育が認められた場合には,原因調査が必 要である.また,陰性対照試験は「1.4.製品の試験」に記載の 製品の試験においても実施する.

3.3. 培地性能

市販生培地についてはバッチごとに試験する.また,乾燥粉 末培地又は各成分より調製した培地については,調製バッチご とに試験する.

表4.05-Ⅰ-1に示す微生物の少数(100CFU以下)をソイビ ーン・カゼイン・ダイジェスト培地の一部,ソイビーン・カゼ イン・ダイジェストカンテン培地及びサブロー・ブドウ糖カン テン培地の平板に接種する.菌株ごとに別個の液体培地の一部 又は平板を用い,表4.05-Ⅰ-1に示した条件でそれぞれ培養 する.

カンテン培地では,接種菌の出現集落数は標準化された菌液 の計測値の1/2から2倍以内でなければならない.新鮮培養菌 を用いて試験する場合は,有効性が確認された培地バッチで以 前に得られた発育と同等の発育を示さなければならない.

液体培地では,有効性が確認された培地バッチで以前に得ら れた発育と同等の発育が認められなければならない.

3.4. 製品存在下での測定法の適合性 3.4.1. 試料の調製

試料の調製法は,被験製品の物理学的特性に依存する.以下 に記載したいずれの方法も満足できるものでない場合は,別な 方法を確立する.

(ⅰ) 水溶性製品:被験製品をpH7.0のペプトン食塩緩衝液,

pH7.2のリン酸緩衝液又はソイビーン・カゼイン・ダイジェス ト培地で溶解又は希釈する(通常は10倍希釈液を調製する).必 要ならば,pH6~8に調整する.さらなる希釈が必要な場合は