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5. 生薬試験法

5.01 生薬試験法

生薬試験法は,生薬総則に規定する生薬に適用する試験法で ある.

1. 試料の採取

別に規定するもののほか,次の方法によって試料を採取し,

必要ならば気密容器に保存する.

(ⅰ) 小形の生薬,切断生薬及び粉末生薬は,よくかき混ぜた

5.01 生薬試験法 101 .

後,試料50~250gを採取する.

(ⅱ) 大形の生薬はよくかき混ぜた後,試料250~500gを採取 する.

(ⅲ) 1個の質量が100g以上の生薬は5個以上を採取し,試料と するか,又は生薬を適当な大きさに切断してよくかき混ぜた後,

試料500g以上を採取する.

2. 分析用試料の調製

試料をよく混ぜ,粉末生薬はそのまま,粉末生薬でないもの は,別に規定するもののほか,粉末とし,もし,粉末にできな いものは,なるべく細かくした後,薄く広げて平均した部分を とり,分析用試料とする.必要ならば気密容器に保存する.

3. 鏡検 3.1. 装置

光学顕微鏡を使用する.対物レンズは10倍及び40倍を,接 眼レンズは10倍を用いる.

3.2. 鏡検用プレパラートの作成

(ⅰ) 切片:切片をスライドガラス上にとり,封入剤1~2滴を 滴加した後,気泡が封入されないように注意してカバーガラス で覆う.観察に用いる切片の厚さは,通例,10~20μmとする.

(ⅱ) 粉末:粉末の試料約1mgをスライドガラス上にとり,膨 潤剤1~2滴を滴加し,気泡が入らないように小ガラス棒の先 でよくかき混ぜた後,しばらく放置して試料を膨潤させる.封 入剤1滴を滴加した後,組織片が重ならないように均等に広げ,

気泡が封入されないように注意してカバーガラスで覆う.組織 片が不透明な場合は,別に粉末の試料約1mgをスライドガラス 上にとり,抱水クロラール試液1~2滴を滴加した後,小ガラ ス棒の先で混ぜながら突沸しないように加熱し,試料を透明化 する.冷後,封入剤1滴を滴加し,以下同様にカバーガラスで 覆う.

封入剤及び膨潤剤は,別に規定するもののほか,水/グリセ リン混液(1:1)又は水/エタノール(95)/グリセリン混液(1:

1:1)を用いる.

3.3. 生薬の性状の項の各要素の観察

切片は,通例,外側から内側に向かい,次いで細胞内容物の 順に医薬品各条に記載されており,この順に観察する.粉末は,

特徴的なもの又は多量に出現するもの,まれに現れるもの,次 いで細胞内容物の順に医薬品各条に記載されており,この順に 観察する.

4. 純度試験 4.1. 異物

別に規定するもののほか,試料25~500gを量り,薄く広げ て生薬中の異物を,肉眼又は10倍のルーペを用いて選びだし,

その質量を量り,異物の量(%)とする.

4.2. 総BHC及び総DDT(末は,本品の粉末を本品に読み替える) 本操作に用いる塩化ナトリウム,無水硫酸ナトリウム及びカ ラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウムは,それぞ れ約130℃で12時間以上加熱した後,デシケーター(シリカゲ ル)で冷したものを用いる.また,カラムは,カラムクロマト グラフィー用合成ケイ酸マグネシウム20gを200mLのフラスコ にとり,生薬純度試験用へキサン50mLを加えて激しく振り混 ぜ,直ちに内径約2cm,長さ約30cmのクロマトグラフィー管 に注入し,上部のへキサン層の深さが約5cmになるまでヘキサ ンを流出し,次に無水硫酸ナトリウム8gをカラム上端から入 れ,無水硫酸ナトリウムの上部に少量のへキサンが残る程度ま

で更にへキサンを流出させたものを用いる.

本品の粉末約5gを精密に量り,共栓遠心沈殿管に入れ,生 薬純度試験用アセトン/水混液(5:2)30mLを加え,密栓して 15分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を分取する.残留 物は,生薬純度試験用アセトン/水混液(5:2)30mLを用いて,

更にこの操作を2回行う.全抽出液を合わせ,アセトン臭がほ とんどなくなるまで,減圧,40℃以下で濃縮する.濃縮液を 塩化ナトリウム試液100mLを入れた分液漏斗に移し,生薬純 度試験用へキサン50mLを加えて5分間振り混ぜて抽出する.

水層は生薬純度試験用へキサン50mLを用いて再度この操作を 行う.へキサン層を合わせ,塩化ナトリウム試液50mLを入れ た分液漏斗に移し,5分間振り混ぜる.へキサン層をとり,無 水硫酸ナトリウム30gを用いて乾燥した後,ろ過する.残留物 を生薬純度試験用へキサン20mLで洗い,ろ液及び洗液を合わ せ,減圧,40℃以下で濃縮して約5mLとする.この液をカラ ムに入れ,生薬純度試験用へキサン/生薬純度試験用ジエチル エーテル混液(17:3)300mLを用いて1分間に5mL以下の速度 で流出する.全流出液を減圧,40℃以下で濃縮し,生薬純度 試験用へキサンを加えて正確に5mLとする.この液を共栓付 き試験管に移し,硫酸1mLを加えて,注意して振り混ぜる.

次にこの上層液から4mLをとり,別の共栓付き試験管に移し,

水2mLを加えて,軽く振り混ぜる.続いてこの上層液から 3mLを共栓付き遠心管に移し,無水硫酸ナトリウム1gを用い て乾燥した後,遠心分離して上澄液を試料溶液とする.別に α-BHC,β-BHC,γ-BHC,δ-BHC,o,p′-DDT,

p,p′-DDT,p,p′-DDD,p,p′-DDE,それぞれ約10mgを精 密に量り,生薬純度試験用アセトン5mLに溶かし,生薬純度 試験用へキサンを加えて正確に100mLとする.この液10mLを 正確に量り,生薬純度試験用へキサンを加えて正確に100mL とする.更にこの液1mLを正確に量り,生薬純度試験用へキ サンを加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液 及び標準溶液1μLずつを正確にとり,次の条件でガスクロマト グラフィー〈2.02〉により試験を行う.それぞれの液のα-

BHC,β-BHC,γ-BHC,δ-BHC,o,p′-DDT,p,p′- DDT,p,p′-DDD,p,p′-DDE,に対応するピークの面積,

ATA及びASA,ATB及びASB,ATC及びASC,ATD及びASD,ATE及 びASE,ATF及びASF,ATG及びASG,ATH及びASHを測定し,次 式によりα-BHC,β-BHC,γ-BHC,δ-BHC,o,p′- DDT,p,p′-DDT,p,p′-DDD及びp,p′-DDEの量を求める.

α-BHCの量(ppm)

= M

(g) BHCの秤取量 α-

×

SA TA

A A ×50 β-BHCの量(ppm)

= M

(g) BHCの秤取量

β- ×

SB TB

A A ×50 γ-BHCの量(ppm)

= M

(g) BHCの秤取量

γ- ×

SC TC

A A ×50 δ-BHCの量(ppm)

= M

(g) BHCの秤取量

δ- ×

SD TD

A A ×50 o,p′-DDTの量(ppm)

= M

p

o, ′-DDTの秤取量(g)

×

SE TE

A A ×50

p,p′-DDTの量(ppm)

= M

p

p, ′-DDTの秤取量(g)

×

SF TF

A A ×50 p,p′-DDDの量(ppm)

= M

p

p, ′-DDDの秤取量(g)

×

SG TG

A A ×50 p,p′-DDEの量(ppm)

= M

p

p, ′-DDEの秤取量(g)

×

SH TH

A A ×50

M:本品の粉末の秤取量(g) 総BHCの量(ppm)

=α-BHCの量(ppm)+β-BHCの量(ppm)

+γ-BHCの量(ppm)+δ-BHCの量(ppm) 総DDTの量(ppm)

=o,p′-DDTの量(ppm)+p,p′-DDTの量(ppm)

+p,p′-DDDの量(ppm)+p,p′-DDEの量(ppm) 試験条件

検出器:電子捕獲検出器 注入方法:スプリットレス注入法

カラム:内径0.3mm,長さ30mのガスクロマトグラフィ ー用石英製キャピラリーカラムの内壁にガスクロマトグ ラフィー用7%シアノプロピル-7%フェニル-メチル シリコーンポリマーを0.25~1.0μmの厚さで被覆したも の.

カラム温度:注入後,2分間60℃に保ち,その後200℃ま で毎分10℃で昇温し,次いで260℃まで毎分2℃で昇温 する.

キャリヤーガス:ヘリウム

流量:すべての対象物質の保持時間が10分から30分とな るように調整する.

システム適合性

検出の確認:標準溶液1mLを正確に量り,ヘキサンを加 えて正確に10mLとする.この液1μLから得た各対象物 質のピーク面積が,標準溶液から得た各対象物質のピー ク面積の5~15%になることを確認する.

システムの性能:標準溶液1μLにつき,上記の条件で操作 するとき,各対象物質のピークが完全に分離するものを 用いる.

試験の再現性:標準溶液1μLにつき,上記の条件で試験を 6回繰り返すとき,各対象物質のピーク面積の相対標準 偏差は10%以下である.

5. 乾燥減量

別に規定するもののほか,分析用試料2~6gをあらかじめ質 量を量ったはかり瓶に入れ,その質量を精密に量り,105℃で 5時間乾燥し,デシケーター(シリカゲル)で放冷し,その質量 を精密に量る.再びこれを105℃で乾燥し,1時間ごとに質量 を精密に量り,恒量になったときの減量を乾燥減量(%)とする.

ただし,乾燥時間の規定があるときは,規定された時間乾燥し た後,質量を精密に量り,その減量を乾燥減量(%)とする.

6. 灰分

あらかじめ白金製,石英製又は磁製のるつぼを500~550℃

で1時間強熱し,放冷後,その質量を精密に量る.別に規定す るもののほか,分析用試料2~4gを採取し,前のるつぼに入れ,

その質量を精密に量り,必要ならばるつぼのふたをとるか,又 はずら し,初めは弱く 加熱し,徐々 に温度を上げて500~

550℃で4時間以上強熱して,炭化物が残らなくなるまで灰化 する.放冷後,その質量を精密に量る.再び残留物を恒量にな るまで灰化し,放冷後,その質量を精密に量り,灰分の量(%) とする.この方法で,なお炭化物が残り,恒量にならないとき は,熱湯を加えて浸出し,定量分析用ろ紙を用いてろ過し,残 留物はろ紙及びろ紙上の不溶物と共に炭化物がなくなるまで強 熱する.これにろ液を加えた後,蒸発乾固し,強熱する.放冷 後,質量を精密に量り,灰分の量(%)とする.この方法でも炭 化物が残るときは,エタノール(95)少量を加えて潤し,ガラス 棒で炭化物を砕き,ガラス棒をエタノール(95)少量で洗い,エ タノールを注意して蒸発した後,前と同様に操作して灰分を量 る.放冷はデシケーター(シリカゲル)で行う.

7. 酸不溶性灰分

灰分に希塩酸25mLを注意して加え,5分間穏やかに煮沸し,

不溶物を定量分析用ろ紙を用いてろ取し,熱湯でよく洗い,残 留物をろ紙と共に乾燥した後,灰分の項と同様に操作した質量 既知の白金製,石英製又は磁製のるつぼ中で3時間強熱し,デ シケーター(シリカゲル)で放冷後,その質量を精密に量り,酸 不溶性灰分の量(%)とする.得た値が規定の値より大きい場合 は,恒量になるまで強熱する.

8. エキス含量

エキス含量の試験は次の定量法によって行う.

8.1. 希エタノールエキス定量法

別に規定するもののほか,分析用試料約2.3gを精密に量り,

適当なフラスコに入れ,希エタノール70mLを加え,時々振り 混ぜて5時間浸出し,更に16~20時間放置した後,ろ過する.

フラスコ及び残留物は,ろ液が100mLになるまで希エタノー ルで洗う.ろ液50mLを水浴上で蒸発乾固し,105℃で4時間乾 燥し,デシケーター(シリカゲル)で放冷後,その質量を精密に 量り,2を乗じて希エタノールエキスの量とする.乾燥減量に よって得た数値より乾燥物に換算した試料量に対し,エキス含 量(%)を算出する.

8.2. 水製エキス定量法

8.1.の希エタノールの代わりに水を用いて同様に操作し,そ の質量を精密に量り,2を乗じて水製エキスの量とする.乾燥 減量によって得た数値より乾燥物に換算した試料量に対し,エ キス含量(%)を算出する.

8.3. エーテルエキス定量法

別に規定するもののほか,分析用試料をデシケーター(シリ カゲル)で48時間乾燥し,その約2gを精密に量り,適当なフラ スコに入れ,ジエチルエーテル70mLを加え,還流冷却器を付 け,水浴上で4時間穏やかに煮沸し,放冷後,ろ過する.フラ スコ及び残留物は,ろ液が100mLになるまでジエチルエーテ ルで洗う.ろ液50mLを水浴上で蒸発乾固し,デシケーター (シリカゲル)で24時間乾燥し,その質量を精密に量り,2を乗 じてエーテルエキスの量とし,エキス含量(%)を算出する.

9. 精油含量

精油含量の試験は次の精油定量法により行う.

9.1. 精油定量法

医薬品各条に規定する量の分析用試料を,1Lの共通すり合 わせ硬質ガラスフラスコに入れ,5~10倍量の水を加えた後,

精油定量器(図5.01-1)を装着し,定量器の上端に還流冷却器