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第3節 立体図形に含まれる多様な性質 に気づかせる指導
第3節 立体図形に含まれる多様な性質
る指導」を行うことが二・つの方策と考える。
たとえば、先ほどの正四面体の「向かい合った2辺は、同じ長さの線分で、向き が90。ずれている」という性質に気づかせる指導案として、村上[66】が提案した
「正四面体を正方形から構成する方法」を指導に取り入れることが考えられる。こ の構成方法は、図4−4のような教具を用い、図4−5に示すように正方形の対角 線にあたる2本の木を離すことによって、正四面体を構成する方法である。
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【図4−4】
【図4−5】
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これを参考にして、筆者は、図4−6のような教具を用い、正八面体を正六角形 から構成する方法を考案した。
【図4−6】
正八面体について竹之内[67]は、次のように述べている。
《 先般、ある会合で聞いた意見だが、
正八面体は、普通、頂点を上下にし た右のような形で描く。しかし、こ んな不安定な形はない。そこで、一 つの面が平らおかれた安定なものを 考えよ、というとこれができない。
要するに、立体図形に接しながら、
その要素を知り、そのお互いの間の 関係について考え、さらにそれを表 現する方法、となると、とても十分
とは言えないであろう。 >> ([67],p.127)
1つの面が平らにおかれた安定な形の正八面体は、筆者の考案した教具で、図 4−7に示すように、六角形の対角線を構成している2つの木製の正三角形を離す ことによって構成される。
【図4−7】
このような構成方法を示すことによって、生徒は正八面体に含まれる標準的な見 取図だけからは気づきにくい次のような性質に気づくことができるのではなかろう
か。
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・向かい合った面は平行である。
・一ツの面が平らに置けれた状態にして、真上から見ると正六角形に見える。
・図4−8のように、AE,BE,BFの中点P,Q,Rを通る平面で切ると、
切り口が正六角形になる。
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【図4−8】
おわりに
本研究では、空間図形領域における問題解決を阻害する要因を探るために、問題 解決の過程を理解過程と探索過程という2つの過程でとらえ、 「見取図」と「内的 表現の生成」を分析の視点として考察を行ってきた。その結果、問題解決を阻害す
る要因として、次の3点を指摘することができた。
①問題に与えられている見取図をよみとることができないために、
問題となっている3次元的状況を把握できない。
②問題に与えられた見取図の上で、正解を求めるための操作がで きない。
③問題解決のために有効な内的表現を生成できない。
①の要因を詳しく見ると、見取図をよみとる際の障害として次の5点が考えられ
る。
(ア)基本的な立体図形でも、それに付加的な状況や新しい状況が加わる と、その3次元的状況を解釈することができない。
(イ)見取図の見え方に惑わされ、誤った3次元的状況をよみとる。
(ウ)問題に与えられている見取図と類似しているが微妙に異なる個人的 標準図を用いて解釈してしまう。
(エ)個人的標準図の視点を変えることができず、解決の糸口となる3次 元的状況を捉えることができない。
(オ)与えられた見取図から解決に必要な情報をよみとれない。
②の要因には、次のような見取図の影響が関係していると思われる。
「立体を見る視座が異なると、それを表す見取図の形態が異なる。
見取図の形態によっては、補助線がかきこみにくかったり、展 開した状態を考えにくいことがある。」
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③の要因を詳しく見ると、問題解決のために有効な内的表現を生成できない原因 として次のような点が考えられる。
(ア)立体の多様な見方ができない。
(イ)新たな内的表現を生成しなければならない場面で、類似しているが 不適切な内的表現を想起してしまう。
(ウ)経験の不足により想起すべき知識が記憶されていない。
(エ)見取図上に見える幾何的性質や関係を3次元へ持ち込んでしまう。
(オ)問題文中の位置関係や操作を表す「幾何的専門用語」の意味がわか らない。
問題解決を阻害するいくつかの要因を明らかにすることによって、解決に失敗し ている生徒の状態を診断する手がかりとなるものを得ることができ、その生徒にあ った適切な指導を行うことができると考える。つまり、このような要因を指摘する ことにより、いままで、 「空間概念に未習熟なために、問題が解けない」と解決で きない原因を捉えられていた生徒に対し、その生徒が問題を解決できない真の要因 を見いだし、その要因を解消するための援助を与えることができるのではないかと
考える。
しかしながら、本研究において指摘した要因は、理論的考察と筆者のわずかばか りの現場経験から引き出されたいわば推察にすきない。したがって、本研究で指摘 した要因が、どの程度生徒の中に存在するのか、また、それ以外にはどのような要 因が存在するのか、ということは明らかでない。これらの点については、実態調査 などをもとに調べていく必要がある。
また、いくつかの要因を指摘できたものの、その要因を解消するための指導法の 設計や教材の開発については、まだまだ不十分である。たとえば、4章で述べた
「見取図のかき方の指導」については、それをもとにした指導を実際に行い、その 妥当性や限界を知ることが必要である。また、 「問題解決に失敗している生徒の状 態を診断する方法」については、診断後、生徒に対して行う次のような指導につい ての明確な指導内容やその指導法を設計しなければならない。
・見取図を別の見取図にかき直す指導。
・見取図と立体図形との結びつきをつける指導。
・基本的な立体図形の模型を用いて基礎的な概念や位置関係に関する概念 などを身につけさせる指導。
「立体図形に含まれる多様な性質に気づかせる指導」については、基本的な立体 図形に含まれる多様な性質をどのような構成方法を用いることによって気づかせる ことができるのかを考えなければならない。また、その構成のための教具を開発し、
それを用いて実際に指導を行い、その効果を検証することも必要である。
これらの課題に早急に取り組み、生徒の空間図形領域における問題解決能力を少 しでも向上させたいと考えている。
最後に、本研究を進めるにあたり、細部にわたって適切な教示ならびに示唆を与 えて下さり、最後まで懇切丁寧なご指導をして下さった國岡高宏先生に心より感謝 申し上げます。また、論文全体にわたり、貴重なご助言を賜った野村泰敏先生、福 森信夫先生、崎谷眞;也先生はじめ数学教室の諸先生方に、感謝申し上げます。
平成6年12月20日
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《 弓1用:文献 》
[1]静岡県教育研究会数学教育研究部,平成元年度〜平成5年度『中学校数学 数 学指導内容の定着度調査報告書』,1990〜1994.
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[24]前掲書[8].
[25]前掲書[9].
[26]前掲書[10].
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[29]前掲書[12].
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[31]文部省,『小学校指導書 算数編』 (平成元年),東洋出版社,1989.
[32]小学校教科書, 『新しい算数4下』,東京書籍,1993.
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