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第2節 問題解決に失敗している生徒の 状態を診断する方法
3章の分析の結果をもとに、空間図形領域における問題の解決を阻害する見取図 に関する要因を、理解過程と探索過程に分けてまとめれば、次のようになる。
(1)理解過程(見取図のデイコーディングの際の障害)
①新しい状況が加わると、それを3次元的に解釈できない。
②2次元図に固有な見え方に惑わされ、誤った3次元的状況をよみとる。
③既有の個人的標準図が、問題解決の障害となる。
④個人的標準図の視点を変えることができない。
⑤与えられた見取図から、問題解決に必要な惰報をとり出すことができない。
⑥慣用的な図がミスコンセプションを生じさせる。
(2)探索過程(与えられた見取図の上で探索活動を行う際の障害)
①補助線がかきこみにくい。
②新しい図形を構成しても、解決に必要な情報を得にくい。
③切断面がかきこみにくい。
④展開した状態を考えにくい。
このような要因によって問題解決に失敗している可能性があるなら、問題の3次 元的状況に対する模型を与えたり、問題で与えられた見取図とは異なる見取図を用 いることで、問題解決にあたる生徒の状態を診断する手がかりを得ることができる
(図4−2を参照)。
たとえば、別の見取図を与えることによって、問題を解決できるようになった生 徒は、上であげたような見取図の影響により、問題解決に失敗していた可能性が高 い。このような生徒は、はじめに与えられた見取図からは、その問題の意図する3 次元的状況が把握できなかったために、あるいは、はじめに与えられた見取図の上 では探索過程に必要な操作が実行できなかったために、問題解決に失敗していたと 一92一
考えられる。
また、見取図だけでは解決できないが、模型を使うと解決できる生徒は、見取図 のディコーディングに問題がある可能性が高い。このような生徒は、問題の意図す る3次元的状況を見取図から把握できなかったために、あるいは、見取図自体をま ったく3次元的に解釈できないために、問題解決に失敗していたと考えられる。
また、模型が与えられても解けない生徒は、点、直線、平面などの基礎的な概念 や、直線や平面の平行、垂直などの位置関係に関する概念などが身についていない 可能性が高い。
問題を解決
ナきないでいる生徒
問題で与えられた見取図とは ハの見取図を与える
問題が解ける 問題が解けない
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【図4−2】
このように、模型と、異なる見取図を与えることによって、次のように、レベル の異なる原因で、問題解決に失敗している生徒を特定することができよう。
①ある特定の見取図の影響によりその問題を解決できない生徒。
②見取図を3次元的に解釈できない生徒。
③基礎的な概念がわかっていない生徒。
このような特定ができるならば、それぞれの生徒に、次のような指導が有効であ ると考えられる。
たとえば、①の生徒に対しては、「見取図を別の見取図にかき直す」という見取 図の扱い方を指導すれば、その問題解決能力は改善されると考えられる。
また、②の生徒に対しては、見取図と立体図形との結びつき、あるいは、見取図 と立体図形の上での3次元的構成との結びつきをつけるような指導が必要である。
一つの方策としては、模型などとの対応関係を示しながら、基本的な立体図形の見 取図のかき方を指導したり、基本的な立体図形の上での3次元的構成が見取図の上 ではどのようにかき表されるのかということを指導することが考えられる。
また、③の生徒に対しては、立方体や直方体といった基本的な立体図形の模型を もとに、それらの概念について指導していくことが必要と思われる。
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