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社会的属性ごとのクロス表分析

ドキュメント内 Vol Nishizawa Since 1997 Seminar (ページ 73-76)

4-1.作業定義    公平感を独立変数とし、保革自己イメージを従属変数として社会的 属性ごとにクロス表を作り、仮説を検証する。

公平感については「一般的に言って、今の世の中は公平だと思いま すか。完全に公平な社会を10点とし、極端に不公平な社会を0点と して、公平の度合いを点数にしてお答えください。」という質問を用い た。0〜4点を不公平、5点を中間、6〜10点を公平と3点尺度にまと めた。保革自己イメージについても2節2項の分析で用いた0を革新 的、10を保守的とする11点尺度のものを公平感と同様にして3点尺 度にまとめた。

社会的属性については第2節2項の分析に用いた尺度をそのまま用 いる。

4-2.分析結果    クロス表を見るにあたって、キーポイントとなるのは次の点である。

① 不公平の層の保守的な割合と革新的な割合を比較した場合 に革新的な割合の方が高く、同時に、

② 公平の層で両者を比較した場合に保守的な割合の方が高い。

このことを確認できれば不公平感によって革新的な人が多くなり、

逆に公平感によって保守的な人が多くなっていると言えるだろう。

従って分析の結果が仮説を支持するのは以下の条件を満たす時であ る。年齢では若い世代ほど上の①の傾向が強く、②の傾向が弱い。学 歴では第一に義務教育と比べた場合に中等教育・高等教育において① の傾向が強く、②の傾向が弱い。第二にこの傾向が高等教育において より顕著に現れている。職業では勤め人において自営・家族従業と無 職よりも①の傾向が強く、②の傾向が弱い。

  表2を見ると、①・②が同時に成り立っているのは20代・30代で あり、他の年代では②しか成立していないように見える。確かに 40

代より上の年代では不公平の層における革新の割合は保守の割合より 高くないが、公平の層と比較すると、相対的に不公平の層で革新的が 多くなっているので①の傾向も確認できたと言えるだろう。①の傾向 に注目すると、不公平の層の革新的と保守的の割合の差は40代と50 代の間を除けば年齢が低いほど大きく①の傾向が強い。また②の傾 向に注目すると、公平の層の保守的と革新的の割合の差は年齢が高く なるほど大きくなっているので②の傾向が強くなっていると言えるだ ろう。8 さらにどの年代においてもカイ2乗検定による危険率が5%水 準で公平感と保革自己イメージの関係が認められる。従って仮説を支 持していると言えるだろう。

表3を見ると、①・②が同時に成り立っているのは高等教育だけで、

義務教育と中等教育では②しか成り立っていないように見える。しか し、この場合にも年齢別の分析と同様に不公平の層を公平の層と比較 すると、相対的に見て①の傾向を確認できる。そして義務教育との比 較において、中等教育・高等教育は共に①の傾向が強く、②の傾向が 弱い。また中等教育と高等教育を比較すると高等教育の方が①の傾向 が強く、②の傾向が弱い。従って義務教育を基準とした時に高学歴で 表2 年齢別のクロス表

  20代  30代 40代

保革自己イメージ 保革自己イメージ 保革自己イメージ

革新的 中間 保守的 革新的 中間 保守的 革新的 中間 保守的

不公平(%) 25.7 59.5 14.9 100.0 不公平(%) 27.7 47.9 24.5 100.0 不公平(%) 21.6 54.1 24.3 100.0 中間(%) 15.9 63.6 20.5 100.0 中間(%) 12.3 63.1 24.6 100.0 中間(%) 15.7 66.3 18.0 100.0 公平(%) 35.5 22.6 41.9 100.0 公平(%) 20.0 37.1 42.9 100.0 公平(%) 10.9 42.2 46.9 100.0 合計(%) 24.8 53.0 22.1 100.0 合計(%) 21.1 51.0 27.8 100.0 合計(%) 17.0 55.3 27.7 100.0  カイ2乗検定による危険率=0.002  カイ2乗検定による危険率=0.025  カイ2乗検定による危険率=0.001

  N=149   N=194   N=264

 50代  60代 70歳以上

保革自己イメージ 保革自己イメージ 保革自己イメージ

革新的 中間 保守的 革新的 中間 保守的 革新的 中間 保守的

不公平(%) 20.2 58.1 21.8 100.0 不公平(%) 22.2 50.0 27.8 100.0 不公平(%) 16.7 44.4 38.9 100.0 中間(%) 12.4 48.4 39.2 100.0 中間(%) 9.4 54.7 35.9 100.0 中間(%) 7.8 48.0 44.1 100.0 公平(%) 10.6 37.9 51.5 100.0 公平(%) 8.3 23.3 68.3 100.0 公平(%) 11.8 14.7 73.5 100.0 合計(%) 14.9 49.9 35.3 100.0 合計(%) 13.3 46.4 40.3 100.0 合計(%) 11.1 41.1 47.9 100.0  カイ2乗検定による危険率=0.001  カイ2乗検定による危険率=0.000  カイ2乗検定による危険率=0.004

  N=343   N=278   N=190

公平感 合計

公平感 合計

公平感 合計

公平感 合計 公平感 合計

公平感 合計

あるほど不公平感によって革新的が多くなることが確認できたと言え るだろう。さらにどの学歴においてもカイ2乗検定による危険率が極 めて低いことから公平感と保革自己イメージの関係が認められ、仮説 を支持している。

表4を見ると、①・②が同時に成立しているのは勤め人だけである が、自営・家族従業と無職も、年齢別・職業別の分析と同様にして① の傾向が認められるので①・②が同時に成り立っていると言えるだろ う。そして勤め人は自営・家族従業と比べて①の傾向が強く、②の傾 向が弱い。従って勤め人は自営・家族従業と無職よりも不公平感によ って革新的が多いと言えるだろう。さらにどの職業でもカイ2乗検定 による危険率は極めて低いので公平感と保革自己イメージの関係が認 められる。よって仮説を支持していると言えるだろう。

表3 学歴別のクロス表

 義務教育 中等教育 高等教育

保革自己イメージ 保革自己イメージ 保革自己イメージ

革新的 中間 保守的 革新的 中間 保守的 革新的 中間 保守的 不公平(%) 18.5 55.6 25.9 100.0 不公平(%) 18.3 58.5 23.2 100.0 不公平(%) 33.1 41.5 25.4 100.0

中間(%) 4.3 56.1 39.6 100.0 中間(%) 12.1 57.0 30.9 100.0 中間(%) 18.4 49.1 32.5 100.0 公平(%) 8.9 21.4 69.6 100.0 公平(%) 9.0 36.6 54.5 100.0 公平(%) 23.2 30.5 46.3 100.0 合計(%) 10.2 49.5 40.3 100.0 合計(%) 14.0 53.9 32.0 100.0 合計(%) 25.6 41.0 33.3 100.0  カイ2乗検定による危険率=0.000  カイ2乗検定による危険率=0.000  カイ2乗検定による危険率=0.002

  N=303   N=737   N=351

公平感 合計 公平感 合計 公平感 合計

表4 職業別のクロス表

 勤め人 自営・家族従業 無職

保革自己イメージ 保革自己イメージ 保革自己イメージ

革新的 中間 保守的 革新的 中間 保守的 革新的 中間 保守的

不公平(%) 25.0 53.2 21.8 100.0 不公平(%) 24.3 45.9 29.7 100.0 不公平(%) 27.4 45.2 27.4 100.0 中間(%) 14.6 54.3 31.1 100.0 中間(%) 10.9 54.3 34.9 100.0 中間(%) 6.7 52.4 41.0 100.0 公平(%) 18.0 32.3 49.6 100.0 公平(%) 9.2 21.5 69.2 100.0 公平(%) 7.9 28.9 63.2 100.0 合計(%) 19.7 49.0 31.3 100.0 合計(%) 15.4 44.3 40.3 100.0 合計(%) 13.9 45.8 40.3 100.0  カイ2乗検定による危険率=0.000  カイ2乗検定による危険率=0.000  カイ2乗検定による危険率=0.000

  N=600   N=305   N=216

公平感 合計 公平感 合計 公平感 合計

以上のクロス表分析から社会的属性間の保革自己イメージの違いを 公平感で説明できることが明らかになった。以下にまとめると、

(1) 若い年代ほど不公平感によって革新的である。年齢が上がる につれて公平感によって保守的になる。

(2) 義務教育を基準として、学歴が上がるほど不公平感によって 革新的になる。

(3) 勤め人は不公平感から自営・家族従業と無職よりも革新的で ある。

 次節では本節で明らかになったことを踏まえて考察を論じる。

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