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政党帰属意識と政党支持態度の理論的検討

ドキュメント内 Vol Nishizawa Since 1997 Seminar (ページ 90-93)

政党帰属意識と政党支持態度の理論的検討を行う。次に、第3節で はその理論的枠組みに沿って仮説を提示する。そして、仮説を検証 するために、第4節で変数を定義し、第5節で分析を行う。分析に 用いるデータはJEDS96、NES96である。1

には最も弱い帰属意識・支持態度を聞くというものである。2 しかし、構造は同じでありながらも、測定内容は大きく異なる。

その違いは、米国では「Republican」・「Democrat」といった帰属 政党を聞いているのに対して、日本では「支持」を聞いているとい う点である。

2.2 政党帰属意識 このように政党帰属意識と政党支持態度は測定内容が大きく異 と政党支持 なっている。それでは、この違いはどのようなものなのであろう 態度の相違 か。

「Republican」・「Democrat」といった概念で表される政党帰属 意識は、政党に対する心理的一体感を伴った態度である。西澤に よると、それは、アメリカ人が持つ宗教・人種・民族に対する帰 属意識と同じような、グループに対する感情的な傾向性である(西 澤 1998, p. 6)。つまり、政党帰属意識は心理的一体感を伴った「感 情」が主要な特徴であるような態度である。

 しかし、日本にはそのような概念は存在しない。概念が存在し ない以上、日本には政党帰属意識は存在しないのではないかと私 は考える。この点に関して、西澤は次のように述べている。「日本 人が「私が仏教徒である」(あるいはより一般的には「日本人であ る」)と、自分自身のグループ意識を認識するのと同じように、政 党に対する帰属意識を持つであろうか」と。私も同意見である。

一方の政党支持態度であるが、日本には政党帰属意識は存在し ないのだから、心理的一体感を伴わない態度なのではないだろう か。

この点を間接的に示唆してくれる研究がある。政党支持態度が、

政党帰属意識とは異なり、不安定であるということを実証した研 究である。もし、政党支持態度が政党に心理的一体感を抱いてい るような態度ならば、それは安定していると考えられる。しかし ながら、これらの研究は安定していないことを実証しているので ある。例えば、三宅は1983年に行なわれたJES調査の3波のパ ネル・データを用いて、日本の政党支持が米国の政党帰属と比較 して不安定であることを明らかにしているし、蒲島・石生は JES

Ⅱ調査の 1993 年の部分である 3 波のパネル・データを用いて、

1983 年よりもさらに不安定になったことを明らかにしている(三 宅 1986, p. 78-79, 蒲島・石生 1998, p. 45)。

また、政党支持態度のもう 1 つの意味を間接的に示唆してくれ

る研究がある。政党イメージの分析である。この研究は、政党支 持態度が政党に対する距離感を伴ったシニカルな態度であること を示唆している。三宅はJABISS調査、JES調査、JESⅡ調査な どの「○○党はどういう政党でしょうか。お感じになっているこ とをお聞かせ下さい。」という自由回答方式の質問文の回答を分析 し、政党イメージにはマイナス・イメージが多く、政党はシニカ ルな目で観察されていると述べている(三宅 1989, p. 120-123, 三 宅 1995, p. 73-81)。このことは、日本人は一般的に、政党支持の 方向・有無に関係なく、政党にシニカルであることを示している。

この点から、政党支持態度もそのような態度だと考えることがで きる。つまり、政党支持態度は、政党に対する距離感を伴ったシ ニカルな態度をもちながらも、ある政党に何らかの評価をもって いるような態度なのである。よって、政党支持態度は距離感を伴 った「評価」が主要な特徴であるような態度である。3

2.3 政党帰属意識 上記に述べたように、政党支持態度は政党帰属意識とは全く異 と政党支持態 なった概念であるのだが、投票行動を説明する上では共通点も多 度の類似性 い。3点指摘しておく。第1に、政党支持の投票行動規定力は群を 抜いているということである(三宅 1989, p. 124)。第2に、その他 の投票規定要因(争点や候補者に対する評価)に影響を及ぼすこ とである(三宅・西澤 1992)。第3に、日本の政党支持態度は、ア メリカの政党帰属意識に比べて安定性は低いが、日本のその他の 政治的態度と比べると安定性が高いということである(三宅 1989, p. 126)。

政党帰属意識と政党支持態度は異なった概念でありながら、投 票行動を説明する上では共通点が多いのである。このパズルを、

西澤は「潜在的な党派性を測定する窓口は異なっていても、いず れもどこかで共通したものを測定していると考える」ことで説明 している(西澤 1998, p. 12)。

 私はこの点をふまえて次のように考える。政党支持態度と政党帰 属意識は両者とも日米両国の党派性の共通する部分を測定してい る。投票行動を説明する上での類似性はこのことを示している。だ から、先に述べた両者の質の違いは、両国の党派性の質が異なるこ とを示しているのである。

長期的な感情的要素

短期的な感情的要素

認知的要素

政党支持・帰属

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