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石炭鉱山開発跡地:インドネシア国 南カリマンタン州

第 3 章 森林回復技術開発モデル林造成実証活動

2) 石炭鉱山開発跡地:インドネシア国 南カリマンタン州

国際緑化推進センター 主任研究員 仲摩栄一郎、研究顧問 大角泰夫

インドネシア林業省Barito流域管理署 Mr. Nolianto Ananda, Mr. Hendry Ramadani

1. 背景・目的

近年、新興国での石炭需要の増加および日本への輸出増等により、インドネシアの石炭 生産量が急増している(2010年時点で1990年比約27倍)。

インドネシアの石炭鉱山は主に露天掘りで、採掘跡の埋戻し地や土捨場の盛土地は、政 府の法令により森林・植生回復が義務付けられている。しかしながら、石炭採掘時に随伴 して掘削された岩石層中にはパイライト(黄鉄鉱、FeS2)が含まれており、それが酸化す ることで酸性硫酸塩土壌が生成される。そのほかにも重機の踏圧による土壌の固結や貧栄 養等、森林・植生回復の阻害要因が存在している。

そこで、本事業では、こうした石炭採掘跡の埋戻しおよび盛土地において、「森林回復技 術開発モデル林」の造成を通して、適切な森林・植生回復技術(整地・地ごしらえ、客土、

施肥、樹種選定等)を実証的に検討することを目的とした。

2. 対象地と方法 (1) 対象地の概要

南カリマンタン州では、7~9月に月間降水量 100mm を下回る乾期が存在するが、その 他の9ヶ月間は月間降水量100mm以上の雨期である。造成対象地は、鉱山会社2社の石炭 露天掘り後の埋戻し地(AGM社)および土捨場の盛土地(TAJ社)である(図3-2)。埋め 戻し用土および捨て土は、主に石炭採掘時に随伴して掘削された岩石層(海成堆積物)で あることから、土壌の物理性、化学性ともに劣悪である。

土壌の物理性に関しては、通常、埋め戻し時には土壌流亡を防止するため重機で転圧さ れるので土壌が固く締め固められ、通気性・排水性ともに不良となる。また、化学性に関 しては、腐植有機物のほとんどない貧栄養土壌である。また、パイライトが含まれている ため、酸性硫酸塩土壌が局所的に発生している。

図3-2. 南カリマンタン州におけるモデル林造成地

AGM 社 TAJ 社

州都バン ジャルマシ

バンジャル

バルー

(2) 植栽樹種の選定

平成23年度は、南カリマンタン州の現地で一般的に用いられている造林樹種のうち、石 炭採掘跡地の劣悪土壌に耐性があると考えられる樹種を8種選定し、計8.5ha(AGM社:

5.0ha、TAJ社3.5ha)に試験植栽した(表3-2)。

表3-2.南カリマンタン州における平成23年度の造林樹種リスト

No. 学名 和名・商業名 用途 起源

1 Acacia mangium アカシアマンギウム 用材 外来種

2 Anthocephalus cadamba カランパヤン 用材 在来種

3 Enterolobium cyclocarpum ゾウノミミ 用材 外来種

4 Fagraea fragrans テンブス 用材 在来種

5 Hevea brasiliensis ゴム 用材、樹液 外来種

6 Melaleuca cajuputi カユプテ 用材、薬用油 外来種

7 Swietenia macrophylla マホガニー 用材 外来種

8 Tectona grandis チーク 用材 外来種

平成24年度は、同様に、新規樹種を中心に、11種選定しAGM社:5.0haに試験植栽し た(表3-3)。

表3-3.南カリマンタン州における平成23年度の造林樹種リスト

No. 学名 和名・商業名 用途 起源

1 Acasia mangium アカシアマンギウム 用材 外来種

2 Aleurites moluccana ククイノキ、クミリ 仁: 調理、油 在来種

3 Anthocephalus macrophyllus サママ 用材 在来種

4 Azadirachta indica インドセンダン 種子: 薬用 外来種

5 Dyera costulata ジェルトン・ブキット 用材 在来種

6 Mangifera casturi カスツリ・マンゴー 果実 在来種

7 Melaleuca leucadendron メラルーカ 足場材 在来種

8 Paraserianthes falcataria ファルカタ 用材 外来種

9 Peronema canescens スンカイ 用材 在来種

10 Samanea saman レインツリー 街路樹、用材 外来種

11 Terminalia catappa モモタマナ 街路、被陰樹 外来種

(3) 植栽方法および試験処理

A-1. PT. Antang Gunung Meratus(AGM)社石炭採掘跡地(図3-3) A-1-1. 平成23年度:5.0ha

石炭の露天掘り跡地を捨て土で埋戻した土地(写真3-1)を対照区とし、そこに森林の表 土を被覆(約50cm)した全面客土区、施肥区、マルチング区の3処理区を設定した。上記 の8樹種(表3-2)を2012年3月に植栽し、植栽間隔は3m×3mで、試験プロットの最小 単位は、同一樹種5本×5本とした。試験プロットは処理区順に規則的に配置し、それぞれ 5 回の繰り返し区を設けた(図 3-4)。植栽木の生育(生存率、樹高および地際径)を経時 的に測定した。今後も継続して測定を行う予定である。

A-1-2. 平成24年度:5.0ha

平成23年度の隣接地(写真3-2)に、上記の11樹種(表3-2)を2013年3月に植栽し、

平成23年度と同様の植栽方法、処理方法であるが、その組み合わせで合計8処理区を設定 した(図 3-5)。植栽木の生育(生存率、樹高および地際径)を経時的に測定を行う予定で ある。

写真3-1.AGM社平成23年度埋め戻し地 写真3-2.AGM社平成24年度埋め戻し地

図3-3.AGM社石炭採掘跡地の植栽試験位置図(平成23年度(1年目)、24年度(2年目))

造林面積:

5.0ha

造林樹種:

8樹種(表3-2参照)

植栽間隔:

3m×3m

植栽密度:

1,111本/ヘクタール

植栽試験処理:

A:無処理区(コントロール)

B:施肥

C:表土の敷き詰め D:表土+施肥

E:表土+施肥+マルチング

施肥:

化成肥料

+有機質肥料(鶏糞堆肥)

繰り返し:

5回(Ⅰ~Ⅴ)

プロットサイズ:

植栽木:5本×5本=25本

プロット面積:

15m×15m=225m2

総プロット数

8樹種×5処理区×5回繰り返し =200プロット

図3-4.AGM社石炭採掘跡地(平成23年度:5.0 ha)の植栽試験位置図

造林面積:5.0ha 造林樹種:11樹種(表3-3参照) 植栽間隔:3m×3m 植栽密度:1,111本/ヘクタール 植栽試験処理: A:無処理区(コントロール) B:施肥 C:マルチング D:施肥+マルチング E:表土被覆 F:表土被覆+施肥 G:表土被覆+マルチング H:表土被覆+施肥+マルチング 施肥:化成肥料+有機質肥料(鶏糞堆肥) プロットサイズ:植栽木: 4本×4本=16本 プロット面積:12 m × 12 m = 144 m2 総プロット数:11樹種× (原土区:4処理区×3回繰り返し+ 表土被覆区:4処理区×4回繰り返し) =308プロット 図3-5.AGM社石炭採掘跡地(平成24年度:5.0 ha)の植栽試験位置図

A-2. PT. Tanjung Alam Jaya社石炭採掘跡地(3.5ha)

石炭を露天掘りした際の捨て土の盛り土地を対照区とし、そこに重機で掻き起こしを行 った「リッピング区」、植え穴に森林の表土を客土した「植え穴客土区」、植え穴に牛糞堆 肥を施した「施肥区」およびそれらの組み合わせ処理区の 8 処理区を設定した。上記の 8 樹種(表3-2)を2012年3月に植栽し、植栽間隔は3m×3mで、試験プロットの最小単位 は、同一樹種 4 本×4 本とした。試験プロットは処理区順に規則的に配置し、それぞれ 3 回の繰り返し区を設けた(図3-6)。

植栽後に、植栽木の生育(生存率、樹高および地際径)を経時的に測定した。今後も継 続して測定を行う予定である。

写真3-3.TAJ社石炭露天掘り捨て土地(1) 写真3-4.TAJ社石炭露天掘り捨て土地(2)

写真3-5.TAJ社植え穴 (1) 写真3-6.TAJ社植え穴 (2)

造林面積:

3.5ha

造林樹種:

8樹種(表3-2参照)

植栽間隔:

3m×3m

植栽密度:

1,111本/ヘクタール

植栽方法:

A:リッピング

B:リッピング+植穴客土 C:リッピング+牛糞堆肥 D:リッピング+植穴客土+堆肥 E:無処理区(コントロール)

F:植穴客土 G:牛糞堆肥 H:植穴客土+施肥

繰り返し:

3回(Ⅰ~Ⅲ)

プロットサイズ:

植栽木:4本×4本=16本

プロット面積:

12m×12m=144m2

総プロット数

8樹種×8処理区×3回繰り返 し

=192プロット

図3-6.TAJ社石炭採掘跡地(3.5ha)の植栽試験位置図