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マルチング試験

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第 4 章 現地調査の結果

4) マルチング試験

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb

生存率(%

2012/2013

Swietenia  macrophylla

原材料区(コントロール)

全面客土区

図1-1. AGM社におけるマホガニー植栽木の生存率の経時変化

(注:誤差範囲は信頼水準95%における信頼区間を示す)

写真1-1. 対照区(表土被覆なし) 写真1-2. 全面客土(表土被覆)区

(2012年9月撮影) (2012年9月撮影)

写真1-3. 対照区(表土被覆なし) 写真1-4. 全面客土(表土被覆)区

(2013年3月撮影) (2013年3月撮影)

写真1-5. 対照区(一部表土被覆あり) 写真1-6. 全面客土(表土被覆)区

(2012年9月撮影) (2012年11月撮影)

表土被覆箇所のみ天然更新あり。 表土被覆箇所のみ天然更新あり。

(a) 無施肥区 (b) 施肥区

写真1-7. チーク(Tectona grandis)植栽木の過剰施肥による枯死(2012年5月撮影)

(a) 無施肥区 (b) 施肥区

写真1-8. カランパヤン(Anthocephalus cadamba)植栽木の過剰施肥による枯死

(2012年9月撮影)

A-2. PT. Tanjung Alam Jaya(TAJ)社石炭採掘跡地:平成23年度:3.5ha

植栽約1年後に現地調査を実施したところ、対照区と全面客土区の間で、ほとんどの植 栽木の生存率には明確な差が見られなかった。ただし、アカシアマンギウム等一部の樹種 については、リッピング処理(写真1-9)により植栽木の生存率が向上した(図1-2)。

強酸性土壌(pH3.0以下)が局所的に発生しており、その部分については、植栽木が集団 枯死していた(写真1-10)。また、水溜りも同様に枯死していた(写真1-12, 1-13)。

なお、植え穴客土、牛糞堆肥処理については、対照区と処理区とで明確な差がみられな かった。処理区の差よりも、極めて強い酸性や停滞水のような局所的な立地・土壌条件の 差により、植栽木の生存率および成長が決定されていると考えられた。

(a) リッピングなし区 (b) リッピング処理区 写真1-9. リッピング処理(2012年5月撮影)

図1-2. TAJ社におけるアカシアマンギウム植栽木の生存率の経時変化

(注:誤差範囲は信頼水準95%における信頼区間を示す)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan

生存率(%

2012/2013

Acacia  mangium

リッピング コントロール

写真1-10. 極めて強い酸性土壌(pH2台)が局所的に存在しそれに対応して植栽木が枯死

(2012年9月撮影)

(a) 一部窪地における水たまり (b) リッピングの溝における停滞水

写真1-11. 植栽地内における水たまりおよび停滞水により植栽木が枯死(2012年5月撮影)

A-3. 南カリマンタン州における適切な森林・植生回復技術(まとめ)

今後、AGM社(写真1-12)およびTAJ社(写真1-13)ともに、時間の経過とともに土 壌の酸化が進む可能性もある。土壌の酸性度や硬密度の変化、植栽木の成長経過、根系の 発達状況等について調査を継続する予定である。

これまでのところ、森林の表土を被覆した全面客土の効果が顕著である。しかしながら、

森林の表土を大量に調達することが困難な地域もある。今後、強酸性、貧栄養や緻密な土 壌に耐性・適応能力を持つ樹種の導入を検討する予定である。

なお、マメ科の植栽木が生存率および成長ともに良い傾向が観察された。マメ科樹種は、

根の根粒菌が窒素を固定するので貧栄養地において耐性がある/適応している。今後、菌 根菌を含めた共生微生物の働きについても調査を進めたい。

植栽木の成長量については測定結果を分析中である。今後、これまで得られた結果の要 因を分析し、石炭鉱山開発跡地における森林・植生回復技術には何が重要かを特定し、技 術指針としてとりまとめたい。

写真1-12.AGM社モデル林埋め戻し地 写真1-13.TAJ社モデル林盛り土地

(2013年3月撮影) (2013年3月撮影)

図1-3. モデル林試験植栽の結果とその要因分析

果 → 強酸性土壌が局所的に発生し植栽木枯死

→ それ以外では植栽木は生存、成長???

樹種特性 1 年目 8 樹種 2 年目 11 樹種

要 因 分 析

土壌 物理性 硬堅度

リッピング

化学性 pH 養分 成分 土壌

物理性 硬堅度

リッピング

化学性 pH 養分 成分

共生 微生物 菌根菌 バクテリ

→ 原材料区では植栽木の成長が停止

→ 全面客土区では植栽木が成長中

AGM 社 TAJ 社

整地・

地ごしらえ 傾斜角度

テラス

造林

2. 東ヌサテンガラ州 過剰農牧開発地

B-1. Nekbaun村(平成24年度:4.0ha)(写真1-14) B-2. Penfui Timur村(平成24年度:4.0ha)(写真1-15)

2013年3月植栽後1~2週間以内に生育状況(生存率および樹高)について第1回目の 調査を実施した。結果は現在解析中である。この時点では、ほぼ9割以上が生存していた ことから、植え付けは上手く行ったものと考えられる。

今後、4月から乾期に入るため、今後も定期的に生育状況を調査する予定である。

写真1-14. Nekbaun村植栽地 写真1-15.Penfui Timur村植栽地

(2013年3月撮影) (2013年3月撮影)

表1-1. 東ヌサテンガラ州Nekbaun村における植栽後1~2週間の生存率(%)

表1-2. 東ヌサテンガラ州Penfui Timur村における植栽後1~2週間の生存率(%)

1 2 3 4 5 6 7 8

Swietenia macrophylla

Gmelina arborea

Sterculia foetida

Toona sureni

Pterocarpus indiscus

Enterolobium cyclocarpum

Azadirachta indica

Aleurites moluccana A : 対照区(コントロール) 86 100 97 90 93 96 80 97

B : 牛糞堆肥区 83 96 98 94 98 93 70 97

C : 化成肥料区(NPK 94 100 94 99 94 91 56 98 D : 植え穴に粉砕木炭を混入区 84 100 88 92 100 87 70 98 E : 堆肥+化成肥料+粉砕木炭区 97 98 92 95 97 77 69 100

植栽樹種 処理区

1 2 3 4 5 6 7 8

Swietenia macrophylla

Artocarpus heterophyllus

Toona sureni

Pterocarpus indiscus

Casuarina junghuhniana

Syzygium cumini

Gmelina arborea

Tectona grandis A : 対照区(コントロール) 94 84 87 86 94 93 89 100

B : 牛糞堆肥区 90 73 92 83 95 94 81 93

C : 化成肥料区(NPK 88 87 94 94 93 95 87 92 D : 植え穴に粉砕木炭を混入区 87 81 93 90 93 95 92 86 E : 堆肥+化成肥料+粉砕木炭区 93 79 95 88 88 95 90 100

植栽樹種 処理区

2) 土壌モニタリング調査( pH )

国際緑化推進センター 研究顧問 大角泰夫、主任研究員 仲摩栄一郎 京都大学大学院 農学研究科 教授 太田誠一

Lambubg Mangkrat大学 講師 Dr. Fakhrur Razie

1. 今年度のモニタリングの概要

pH モニタリングは酸性化が最も進行する土壌表層 0-30cm 深を対象として、10cm 刻み で行う。土壌pHに加えて水pHもモニターすることとした。モニタリングはAntang Gunung Meratus試験地 (AGM) とTanjung Alam Jaya試験地(TAJ)で行った。

AGMではマニュアルに従って原土による埋め戻し区 (Original Refilling Material) と埋め 戻し後旧森林土壌の被覆区 (Top Soil Dressing) に土壌モニタリングプロットを設定してモ ニタリングを行った。前者は10プロット、後者は10 プロットである。他に水pHを3カ 所の池に設けたモニタリングポイントで行った。

TAJでは原土埋め戻し地のみで被覆区は設定しなかったが、マニュアル通りの原土埋め戻 しの場所 (Original Material) に加えてリッピングを行った試験区 (Ripping)を設け、更に、

植え穴に旧森林土壌表土を混和した植え穴 (Top Soil Mixed Pit) と原材料のみからなる植 え穴 (Original Material Pit) で土壌pHをモニターした。プロット数はそれぞれ、5プロット、

5プロット、6プロット及び8プロットである。他に水pHを近傍の池2カ所でモニターし た。

モニタリングはマニュアルに従って、5月、9月、2月とおおよそ4ヶ月毎に行った。ま た、水のpHは定期測定に加えて7月にも実施した。

モニタリングは5月に大角、仲摩が実施し、9月は大角、仲摩に加えてLambung Mangkrat 大学のDr. Fakhrurの協力を得て実施し、2月はDr. Fakhrurが実施した。

2. モニタリングポイント及びモニタリング方法の見直し

AGMの土壌pHモニタリングプロットについては、マニュアル通りでは原土埋め戻し区 の中に旧森林土壌が意図せずに混和した地点が 2 プロット存在したが、委員会の助言もあ り、そのまま継続とした。水pHモニタリングポイントは、流域全体からの水が流入する池、

一時的に地表流が現れた個所、さらに2年次植栽予定地に一時的にできた池の3カ所で行 う計画であったが、一時的な地表流や池などは浸食土壌の堆積に伴い水pHの継続調査が危 ぶまれたが、委員会の助言で欠測はやむ負えないものとして継続することとした。

TAJの土壌pHモニタリングについてはマニュアル通り進めることに支障はなかった。た だ、植え穴プロットについては、肥料や旧森林土壌の混和が作業指示通りに行われていな いプロットが見られたため植え穴プロットの廃止も検討したが、委員会の助言もありマニ ュアル通り継続することとした。水pHモニタリングポイントはいずれも一時的できる池を 対象としているが、これも委員会の助言通り継続することとした。

モニタリング方法については pH 測定についてはほぼマニュアル通りに行った。ただし、

当初マニュアルではpH測定は現地で採取直後に行うこととし、第1回目の測定はこれに準 拠したが、第 2 回目以降は採取したすべての試料を実験室に持ち帰った後に測定する方法 に変更し、改訂版のマニュアルには変更後の方法を記載した。更に、一部の委員からpHと 土色が関連する可能性が指摘され、今年度の現地観察でもその可能性が示唆されたことか ら、土色の計測をマニュアルに加えることとした。pH測定用に採取した試料を用い、マン セル土色帖を用いて湿潤時土色を記載することとした。

3. 今年度の測定結果

土壌pHと水pH及び土色の基本データはマニュアルに示したとおり別添資料- のよう に保存されている。以下に今年度のモニタリング結果について概要を記す。

(土壌pH)

前述のように土壌pHは2012年5月、11月及び2013年2月に実施した。AGM試験地 のデータは図-1と図-2、TAJ試験地のデータは図-3と図-4に示した。

①AGM試験地の土壌pHモニタリング ●原土埋め戻し区

AGM試験地の埋め戻し原土は2010年に掘削された炭層上部の材料である。

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

系列2 系列3 系列1 Antang  Original Refilling  Material

図-1 AGMの原土埋め戻し区の土壌pH

-系列2は5月、系列3は9月、系列1は2月-

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