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県・政令市

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第3章 災害対応組織

3.2 県・政令市

3.2.1 災害対応体制 (1) 本部体制

勤務時間内の地震発生であり3県とも職員の参集に問題はなかった。各県の県庁舎は津波被害を受けな かったが、福島県では庁舎が地震動で被災したため近くのビルで業務を開始することとなった。

地域防災計画に基づく本部体制は地震発生後直ちに構築されたが、福島県では県庁舎が使えなかったた め、通信手段や機器類の不備等により初動時の活動に制約となった。他県と比べ自衛隊派遣要請が遅れる など初動での情報収集についての混乱を象徴している可能性がある。

また、福島県によれば、地域防災計画では地震、津波、原子力事故が個別事象として取り扱われており、

同県のような複合型災害は前提とされていないことが課題であるとのことであった。

BCPは、宮城県のみ2010年6月に策定されていた。宮城県沖地震(連動型)を想定したもので、津波のな かった内陸部では問題なく、BCPにしたがった対応が行われた。しかし、沿岸部の浸水のあった出先では 機能しなかった。例えば、事務所が被災した場合にBCPでは保健所などに移って業務継続すると決めてい たが実際には浸水により移動できなかった。このため宮城県では、今回と同レベルの災害が休日夜間に発 生した場合の検討、通信手段の確保、防災協定による協会等との連携、代替機関のあり方などについて BCPを見直している。一方、福島県ではBCPは策定のための検討途上であったが、登庁困難者を想定した

「3日間の行動指針」を策定するとともに、ロールプレイング訓練を行っていたことで一定の成果があった と語っている。

(2) 土木部局の組織体制

福島県と宮城県では、災害対策本部のほか土木部の本部体制がとられている。

福島県では、土木部本部に他機関との連携のため総合調整班を臨時に編成するとともに農林水産部、国 土交通省リエゾン、自衛隊リエゾンを加えた「緊急時応急対策タスクフォース」を組織し、現地での活動 の調整が行われた。沿岸地域の建設業者が原発事故により退避したため、自衛隊と残った地元業者に支援 要請が集中しその調整を行う必要性があったことが背景にある。

一方、岩手県では、膨大な業務量が生じた事により、業務が輻輳したことから、それまでの本部支援室 の体制を見直し、災害対策の主要な業務ごとの部局横断的な専従チームを設置して体制の強化を図った。

また、仙台市では環境局に震災廃棄物対策室を設置し、がれき処理業務の窓口を一元化した。

各県とも土木関係の技術職員の数は近年減少している。

岩手県は従前の技術吏員数は2006年(ピーク時)の564名が2011年には448名と急減している。また、宮 城県の土木部の人数は1996年(ピーク時)の510名が2011年には405名、福島県においても技術職員(土 木)の人数が2000年(ピーク時)の770名が2011年には608名といずれもピーク時の8割程度に減っている。

このような組織体制において避難所支援等の新たな業務対応も加わったため、職員の負荷は大きなもの となった。福島県ではさらに、避難経路に係る交通情報の問い合わせなど原発事故に起因する業務が加わ り、放射性物質の飛散に伴い通常工事でも残土処理などで住民合意が必要となるなど、通常業務体制も困 窮化した。

一方、仙台市において市長部局の土木職の職員数は減少しているが、地下鉄建設部門が増えているため トータル的には1割程度の減少にとどまっている。

(3) 出先機関の支援

公共土木施設の管理及び災害復旧は出先機関の所掌となっている。津波で被災した沿岸の出先事務所等 の支援は基本的に内陸部の出先機関が各県とも行っている。

岩手県では4月1日付の人事を一時凍結し、内陸部から沿岸部への臨時異動を行っている。

宮城県では初期段階では本庁と連絡が取れない状況であったが内陸部の事務所の判断で支援が開始され

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ている。職員のローテーションで沿岸部に精通した職員もいたため順調にできたとのことで、情報がない 中で指示を待たず活動を開始したことは評価できる。また、人的支援に加え、内陸部の事務所の所管区域 を沿岸部の被災事務所の担当区域まで拡大し、業務自体を代わって実施し、7月1日に元の事務所に引き継 いでいる。

福島県では、4月1日付けの人事を凍結し業務の継続性を確保しつつ、県庁及び内陸部の出先事務所から 沿岸部の出先事務所へ人的支援を行い、6月1日に改めて人事を発令し、沿岸部出先事務所の復旧・復興に 係る体制を強化している。また、福島空港が救援拠点となり24時間運用化されたため2名増援し、国内外 からの救援物資、救助部隊の受入れに対応した。

3.2.2 他機関からの支援受け入れ (1) 都道府県・政令市からの人的支援

各県とも建設関係分野も含め他の都道府県からの人的支援を多く受けている。被災3県を含む東北の各 県と北海道、新潟県を含めた8道県による災害時応援協定をはじめ、いくつかの協定が事前に結ばれてい たが、被害が広域かつ甚大であったため、「全国都道府県における災害時の広域応援に関する協定」によ る支援に一本化された。当初は個々の自治体から先遣隊の派遣や支援の打診があり、個別対応で人的な支 援が行われたケースもあった。また、下水道、住宅関係については、国土交通省による調整が先行して行 われたが、これも最終的には全国知事会の支援体制に組み込まれた。全国知事会による支援は、各県ごと に支援する都道府県を割り振り、具体的な支援業務や人数は支援都道府県と受援県の間で調整して決める 方法がとられた。

また、仙台市に対しては「20大都市災害時相互応援に関する協定」等事前の取り決めによる支援が行わ れた。なお、同市によれば神戸市、新潟市など災害経験のある都市からいち早く職員が派遣され有益なア ドバイスが行われたとのことである。

協定等による職員派遣は4月以降に増加したが、多くは短期のローテーションで交替されたので実際の 戦力にはならなかったとの意見も聞かれた。

その後、概ね6月からは地方自治法第257条の17(職員の派遣)に基づく長期派遣に移行し、建設関係で は災害査定業務等の支援が行われた。長期派遣職員の数は建設関係では岩手、宮城、福島を合わせると 200名を上回り2011年内に沿岸地域も含め災害査定がほぼ完了されることができた(ただし、福島県の警 戒区域及び計画的避難区域の一部を除く)。派遣期間は1ヶ月以上の長期であり、次年度からは人事異動に も組み込めるので長期の支援が期待できるが、支援する側の職員数も減少している状況であまり多くを期 待できないため、任期付きの職員を採用するなどの人員確保が行われている。国からの人的支援も必要と の意見もあった。

また、人的派遣はもっと欲しかったが受け入れ態勢が不十分であったことや、積算システムが各県で異 なるため操作方法に慣れるため時間がかかったなどの課題もあった。

(2) 国土交通省の支援

国土交通省からの3県・仙台市に対する人的支援は仮設住宅関連の職員派遣等の一部に止まっている。

国土交通省からの災害対応活動の支援は災害用資機材の提供と技術的アドバイスが主であった。災害用 資機材に関しては3県・仙台市からの要請に応じ提供された。宮城県・福島県の沿岸部を中心に湛水の排 除のために排水ポンプ車が出動し、連携して排水作業が行われた。

技術的アドバイスとしては、国総研・独法土研などの専門家グループによる海岸堤防や道路・橋梁被害 の復旧に対する助言等を受けている。その結果、例えば福島県ではあぶくま高原道路の早期開放、いわき 市南西部の断層に関する助言による復旧作業の円滑化が図られている。

(3) 学会等

仙台市には廃棄物資源循環学会から専門家が派遣され市に常駐し市職員からの相談に対し有益な助言が

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行われた。また、土木学会「復興施工技術特定テーマ委員会」とはがれきに含まれる土砂の盛土への使用 など有効活用方策について連携した調査を行ってある。いずれも仙台市にノウハウのない分野であり、災 害時における学術団体との効果的な連携の事例である。

3.2.3 市町村の支援(3県)

(1) 人的支援

被害の大きかった市町村はもともと技術職員が少ないうえに避難所の運営など住民対応業務が急増した ため人員不足に陥った。各県とも市町村への技術職員の派遣を行ったがその数は多くなかった。福島県で は、「大規模自然災害発生時における支援・受援体制基本方針」(土木部内規2009年3月)に基づき、福島 県土木部が、市町村に対して土木職員派遣の要否を照会した上で、要請のあった10市町村に対して延べ97 名の技術者を派遣し災害調査、設計、積算及び災害査定までの業務支援を行っている。派遣先は主として 中通りであり、浜通りでは南相馬市から応援要請があった。宮城県土木部からは2名が出向、岩手県では1 名が陸前高田市に派遣された。

各県とも他の自治体からの支援を受ける立場であるため、多くの職員を市町村に派遣する余裕がなく、

市町村への人的支援は主に被災地以外の自治体から行われた。

地域の事情に通じた県職員を市町村に派遣するために他の都道府県からより多くの人的支援を受け入れ ることや、国からの職員派遣が今後の検討課題であるとの意見があった。

(2) 業務代行

市町村の業務を県が代わりに行うことにより市町村の負担を軽減することも各県で行われている。

岩手県では大槌町と宮古市に対しては、災害査定、工事発注、監督・検査等に関する業務の代行を行っ ている。災害査定については申請書類の作成までを県が支援し実際の査定は市町村が受けている。災害復 旧工事の代行は、大槌町の 4 件と宮古市の 1 件が要望に基づき行われた。県が災害代行を実施した大槌町 と宮古市を除き、(財)岩手県土木技術振興協会が市町村の査定のための申請を支援している。また、内 陸部に所在する他の市町村から支援を受けた市町村もある。

宮城県では土木部出先機関と被災市町で打合せし、要望に基づき災害査定業務、工事発注業務、監督業 務を支援している。基本は災害査定までであるが、女川町、南三陸町については要望により監督まで実施 している。

福島県でも市道の復旧を1件代行しているが県の工事と一体的に行う必要があったものである。

県による災害復旧工事の代行は、2011年4月制定の「東日本大震災による被害を受けた公共土木施設の災 害復旧事業等に係る工事の国等による代行に関する法律」に基づくものである。

宮城県では沿岸15市町のうち、仙台市、松島町及び利府町を除く12市町からの委託により、県が災害廃 棄物の処理を実施した。一次仮置き場から先の処理は国直轄で行うよう制度の整備を要望し、「東日本大 震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」が8月に制定された。しかし制定時期が遅く、県 で既に処理スキームの検討が進んでいたため、国への要請は行われなかった。この場合、災害廃棄物の処 理に要する費用は、国から災害等廃棄物処理事業費国庫補助金が市町村に対して交付されるため、県が市 町村の委託により実施した処理費用も市町村に交付される。市町村を経由することによる事務処理が、県、

市町村ともに煩雑となることが課題としてあげられた。

(3) 建設技術センター等による業務支援

被災市町村から災害復旧工事について県の業務代行の支援が多くなかったのは、(財)岩手県土木技術 振興協会、(社)宮城建設センター、(財)ふくしま市町村建設支援機構がそれぞれ発注者支援業務を行い 市町村の災害査定から工事管理まで支援したことも要因と思われる。

3.2.4 他機関との連携

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