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リース・レンタル業

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第3章 災害対応組織

3.6 リース・レンタル業

リース・レンタル業界においては、被災地外から東日本大震災の被災地に対して各種物資を提供すると いう支援を行った。それら支援にあたっては、業団体のネットワークを活用した支援と、個々の社のネッ トワークを活用したものに大別される。以下では、この二つのタイプに分けて、支援の実態の一部を紹介 するとともに、マネジメント上の課題を述べる。

3.6.1 業団体における災害対応マネジメント1)

(1) 災害対応の概要 1)体制

社団法人全国建設機械器具リース業協会は、大震災直後に災害対策本部を設置した。災害対策本部は、

物資・機材等の供給を速やかに行うための連絡事務局であり、国土交通省や各地方自治体からの問い合わ せの窓口となるものである。具体的には、被災地からの要請があれば、それを全国の支部に伝え、必要な 物資を調達するマネジメントを行うものである。

本部長には協会長、副本部長には副会長が就任し、会員各社を含めた第1回会議は3月15日に開催され た。

2)支援先、連絡体制

被災3県(岩手県、宮城県、福島県)に連絡窓口を開設していただき、支援内容を連絡・調整するする ルートを確立した。各県からの要請に基づき支援物資を提供したが、その過程においては宮城県名取市、

東松島市、岩沼市、山元町、福島県中通り地方の各市町とも直接接触した。

3)支援物資

災害対策本部設置直後の各県からの要請が届かない段階では、ストーブ、小型発電機、照明器具、ユ ニットハウスの準備を開始した。要請があれば、米、水、粉ミルク等の支援も検討することとした。

その後、各県からの緊急の調達要請があったのは、ストーブ、灯油、軽油、ガソリン、ブルーシート、

ポリ容器、ドラム缶汲み上げポンプなどであり、第1陣は3月17日19時に和歌山県を出発した。

4)協力会社

協会を通じて支援物資を提供した会員会社は全国9支部で合計49社であった。企業規模としては地方の 中小規模のレンタル業者が多く、大手広域会社は後述するように各社個別に対応したものと思われる。

(2) 災害対応マネジメント上の課題 1)被災地との連絡体制

業協会としては被災3県と災害協定を結んでおらず、今回の大震災ではいち早く3県と本部との間の連 絡ルートを開設したことが迅速な支援につながった。ただし、このために一定の時間を要しており、平時 から行政とリース・レンタル業界との間で災害協定を結び、連絡体制を確認しておくことの重要性が認識 された。

2)円滑な緊急物資輸送のための課題

社団法人全国建設機械器具リース業協会では、政府に対して以下の要望を行った。これらは現場におけ る切実な問題であり、将来の災害時緊急物資輸送への備えとして、平時から対応を決めておく必要があろ う。

① 建設機械の燃料が不足している状況にあるので、機械の円滑な稼働を図るために必要な燃料が優先 的に確保できること。

② 緊急車両の通行に際して、所管の警察の対応が異なるため、統一した基準で運用していただきたい。

③ 緊急災害対策として排出ガス規制の延期。

④ レンタカーが緊急災害時においてナンバーと異なる地域の稼働を可能とすること。

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⑤ トラックの緊急災害時における重量規制の緩和。

⑥ 先導車が必要な場合の通行許可がおりるまでの期間を短縮すること。

3)運送業界を含めたマネジメントの必要性

物資を運びたくても運送車両、運転手の手配が付かない事態に遭遇した。運送業界も含めたマネジメン ト体制を構築しておく必要がある。

4)臨機応変な対応ができる体制

今回の大震災のような大規模広域災害では、支援物資の必要量を正確に把握することが困難であり、支 援側もこれを十分に念頭に置いておく必要がある。被災地に支援物資を送り届けた時点でさらなる量の要 請を受けた事例も見受けられた。必要な物資が必要な所に必要数が的確に届くためのマネジメントが求め られる。

3.6.2 リース・レンタル会社における災害対応マネジメント

今回行ったアンケートの結果から、リース・レンタル会社における災害対応マネジメントについて述べ る。なお、アンケートに回答いただいたのは14社である。

(1) 災害協定

東北地方の県・市町村と災害協定を締結していた会社は、6社/14社であった。この6社は44の県・市町 村と協定を締結しており、今回の大震災での協定の活用状況は以下の通りであった。

うち、A.協定に基づく要請があり、活動した……… 13自治体 B.協定に基づく要請があったが、活動できなかった…… 0 C.協定に基づく要請は無いが、活動した……… 3自治体 D.協定に基づく要請が無かったため、活動しなかった… 23自治体 不明……… 5自治体 アンケート結果からは、

・ 規模の大きい会社は自治体と災害協定を結んでいる事例が多い

・ 協定に基づく要請があれば対応した

・ 「協定があると問い合わせ窓口があらかじめ指定されており、情報の錯綜がなかった」と評価した 社があった

・ 協定があるにもかかわらず要請しなかった自治体がおよそ半数あった ことがわかった。

今後、災害協定の意義、効果をさらに分析し、これらをお互いが合意した上で実効性のある協定を締結 する必要があると考えられる。

(2) 災害対応マニュアル、防災訓練

災害対応マニュアルを整備済みだった会社は7社/14社、防災訓練を実施していた会社は6社/14社となっ ており、今後の整備が望まれるところである。

(3) 支援内容

建設作業関連資機材(燃料を含む)の提供、仮設事務所・仮設住宅等の建築資材・設備の提供、建設関 連以外の食料、燃料等緊急物資の提供と運搬など、多岐にわたる物資を提供した。これらは要請に基づい て行われたケースと要請が無くても実施したケースがあった。

また、有償で行ったケースと無償で行ったケースがあり、支援の内容や会社の方針等によって様々な態 様で支援が行われたことが伺える。

(4) 建設機械の貸与

建設機械の貸与は災害協定を結んでいる自治体に優先して提供したものの、大半は建設会社に貸与して おり、その場合は有償が原則である。

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建設会社への貸与に際して生じた混乱として、大手建設会社からリース・レンタル会社への直接の要請 と協力会社(地元建設会社)からの要請が重複した事例があったことが挙げられる。このような重複した 調達要請の事例は、がれき処理等のアタッチメントなどについても生じていた。

宮城県、福島県を管轄する某レンタル会社支店の事例によれば、2011年4月から2012年3月にかけてショ ベルの出庫台数が増加し、月別出庫台数は1年間で約2倍に増えた。これは各地の復旧工事等による需要 が急増したためと考えられ、手持ちのショベルでは対応できないため、新規に購入したり、他支店から ショベルを調達して対応したとのことである。この間、稼働率は80~90%の高い水準で推移しており(故 障するものや一時的に戻ってくるものがあるので、稼働率100%はあり得ない)、ショベルが相当不足して いたものと推定される。ただし、機械を調達できたとしてもメンテナンスに係わる人手が足りないため、

依頼に対して断らざるを得なかったという事例もあった。

その他、特徴的な事例として以下のような報告もあった。2)

・ 被災直後、道路の通行の可否を夜間に緊急点検するために、国交省から小型発電機と投光器の依頼 が多くあった。ただし、運搬可能な発電機は他からの要請も多く、全て出払った。

・ 被災直後の道路啓開の段階では小型車の需要が多く、復旧の初期段階では中小の油圧ショベルや2 t、4tダンプトラックの需要が多かった。

・ 油圧ショベルの先端に取り付けるアタッチメントの需要が多く、アタッチメント製造業者の協力を 得た。

・ 過酷な環境下で使い慣れていない建設機械を用いて特殊な作業を行ったため、機械の損傷が多かっ た。建設機械メーカとも連携して機械の修理に関するサポート体制が必要であった。

(5) 災害対応マネジメント上の諸課題

① 要請に応えるだけの十分な資機材を保有していた社は、複数の機関から要請を受けても優先順位付 けは困難でなかったと回答しているが、複数の要請を受けて対応が困難だったり、重複した要請が あって混乱したとの報告もあった。建設業とリース・レンタル業や機械・部品メーカの間で協定及び 情報共有の仕組みを構築しておくことが、重複要請の混乱を回避するために必要である。

② 災害協定を締結していると、あらかじめ連絡窓口が明確になっており、情報の錯綜がなかったと回 答している。また、災害協定があるがために緊急車両通行証の交付が円滑に行われた事例も報告され た。現場での様々な混乱が報告されている中で、災害協定はマネジメントの有効なツールであること が認められた。

③ 建設機械用の燃料運搬が大きな課題であることが明らかとなった。ローリーやドラム缶が不足した ことも報告されている。燃料業界、運送業界と連携したマネジメントが行われることが今後の大きな 課題といえる。

④ 被災直後の点検、道路啓開等の段階から緊急復旧の段階に進むにつれて、必要とする資機材の種類 が変わってくることを踏まえた対応が必要である。

⑤ 建設機械の調達は、オペレータや整備員の調達も含めたマネジメントが行われないと十分な力を発 揮できない。建設機械を保有していない建設業、建設機械を保有しているリース・レンタル業、整備 サポートの技術を持つ建設機械メーカの三者が災害対応の協定を結んでおくなどの体制が必要である。

(参考文献)

1)(社)全国建設機械器具リース業協会:東北地方太平洋地震に対する緊急支援について、か いほうNo.68,平成23年6月

2)(一社)日本建設機械施工協会:東日本大震災~建設機械が果たした役割 とこれからの課題

~、建設の施工企画、平成24年5月

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